原田マハのレビュー一覧
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現代パートは、京都国立博物館の学芸員で俵屋宗達の研究者である若い女性。彼女を訪ねてきたマカオ博物館学芸員の誘いに応じて、マカオへ。
最近持ち込まれた16世紀から17世紀の絵画「ユピテル、アイオロス」を通じて舞台は織田信長の時代に遡る。
天正遣欧少年使節団に14歳の俵屋宗達がいるなんて!マハさんのすごいイマジネーション!
狩野派のボスである狩野永徳とまだ少年の俵屋宗達が、時の権力者織田信長の命により、洛中洛外図屏風を共作(メインが永徳、そのサポート役として宗達)するシーンが良かった。
画面を追い、筆を走らせる。
洛中洛外図というテーマに
「鳥の目で見渡し、虫の目で凝視しなければならないのだ」とし、「作画へのしびれるほどの執着を持たなければ、しょせん、小手先ばかりの絵になってしまうだろう」と気づく。
宗達が描く中に「生きること」を見出す下りは物語の核と言える。画家だけでなく、全ての読者に迫ってくる。
上巻ではまだ、ローマへの道は半ば。無事、ローマ法王に謁見し、帰って来れるのか?
お楽しみは下巻に続く。 -
Posted by ブクログ
とても良かった。
私もこの本に出てきた絵を見たい、美術館に行きたい、と思えた。(私この本の中で特に見てみたい!と思ったのは、「デルフトの眺望」と「道」)
原田マハさんのアートに関する本を読んだのはこれが初めてだけれど、6つの短編集どれもとても後味が深いものだと思った。
マハさんの、その時の情景の描き方とか、言葉遣いとか、人物の心情の表現の仕方とか、、、それらにとても、魅力を感じた。
あと、何より上白石萌音さんが書かれた解説。これが本当に素敵でこの本を読んで感じたことが全て女優さんらしい素敵な言葉で凝縮されていて、感じ方や考え方が私にとっては共感できて素晴らしすぎると思った(´ー`)
この本の内容ももちろん読み返したいもので、美術館巡りのお供にしたいと思ったけれど、上白石さんの解説をまた読み返したいなぁと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ村上たかしさんのコミック"星守る犬"を、原田マハさんが小説化した、犬と人間の絆の物語。犬好きにはたまらない。
野原で死後1年の白骨化した男の死体とそれに寄り添う死後3ヶ月の犬の死体。ハッピーと名付けられた犬の目線で、その経緯が描かれている。
常に穏やかで優しいおとうさんだが、妻と娘には、失業し、持病のあるおとうさんとは一緒にいられないと出ていかれ、旅の途中で助けた身寄りのない子供に財布を盗まれるなど、人との関係においては理不尽な目にあってしまう。一方で、ハッピーとは深い信頼と愛情での結び付きが感じられ、途中から涙が止まらなかった。
さらに、この死体を荼毘に伏す役を担うことになる、福祉事務所の職員、奥津もまた、子供の頃に犬を飼っていながら、ちゃんと世話をしてあげられなかった後悔を胸に抱えていた。
子供は冷たい。最初は夢中で遊んでいても、成長とともに他のことに気を取られ、ペットの世話が蔑ろになることは多いと思うが、自分はどうだったか。もっと一緒に遊べばよかった、優しくすればよかったということがなかったか、などと考えて少し苦しくなった。
原作のコミックも読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
「おもしろくて、残りのページが減っていくのがさみしい」という感覚を初めて味わった気がする。
元々そこまで長文を読むのが得意ではないから、本を読むこと自体は好きではあるけど、それより読み終わった時の達成感やストーリーが完結したときの満足感を楽しみにしてるところがあって。
でも、この作品は読んでいる"その時間"が本当に充実してました。
本作のような作品を書きつつ、「旅屋おかえり」みたいなアットホームで陽な雰囲気な作品も書けちゃうんだから、マハさんすごいなぁ。
本作は大人の女性たちの6話短編集。生きてりゃ色んなことがあって、歳を重ねるほど、過ごした月日の分だけ人間関係も深くなったり、複雑になったり、それに伴う感情もまたしかり。頭じゃ分かってるけど、白黒つけられないこともある。案外グレーのままでいいときもある。ポジティブもネガティブもまるっと受け止めるしかないことを経験で学んだような大人の女性たち。そんな女性たちの大切なひととの関わり。
社会人2年目の頃。求人広告の新規営業で、目標売上に追われて、毎日当たり前に残業続きだった。年末の最終日、旅行の準備を駅前のコインロッカーに忍ばせて、就業時間になるやいなや同期の女の子と飛び出して、越後湯沢へスノボ旅行に行ったの思い出した。
数時間前まで銀座でスーツで仕事してたのが嘘のような雪景色と露天風呂。露天風呂の入り口に「雪が多いときにご利用ください」って笠地蔵みたいな藁の笠が置いてあって、24歳の女子2人、全裸に笠だけかぶって笑いながら露天風呂入ったのは本当にいい思い出。
あれから15年。娘が産まれて2年8ヶ月、いろんなことへの不安、不満、イライラ、焦り、悲しみ、疲労。もちろん娘の成長の喜びや可愛さなどポジティブなこともあるけど、圧倒的にネガティブな感情に覆われてる毎日。もっと大変なママはもちろんたくさんいるだろうけど、娘の健やかな毎日のための健康管理や、笑顔で接すること、おどけること、娘のイヤイヤに冷静に対応すること、自分の感情を殺して褒めたり叱ったりすること。言葉にすれば当たり前のことだけど、陽キャもどきの根暗な私にはソウルジェム( )が曇るように自分でも自覚がないうちに溜まっているのだなぁと思う。
爆発してヒステリックになったり、溜め込んで育児ノイローゼになったりって聞くけど、そりゃあるよなぁと思う。「5歳の我が子をあやめた母親」というニュースを見ると、限界だったんだなぁ、5歳までは頑張ったんだなぁと同情してしまうほどに。
そういう今までの日々の頑張りを肯定されるような時間を過ごせました。
子育てママならみんな同じしんどさ、なんなら私はお金に困らない専業主婦をやらせてもらってる分、幸せなはずなのに何がしんどいのかなって答えが出なくてしんどかった。
専業主婦だから職場もない、旦那の転勤についてきてるから近くに友達どころか知り合いもいない、そういった社会的欲求の不満。
上記のことが無いので承認欲求も満たされない。そして自己実現の欲求も満たされない。
マズローの五段階欲求でいうところの生理的欲求と安全欲求が人一倍満たされたところで、それ以上のことが満たされてないことには変わりがないのだなと気付いた。
仕事がしんどくて鬱病になったこともあったけど、今のように社会人としても女としても市場価値が下がっていく事実と、それに対して努力もできない状態がしんどいのだなと思った。
なので、ボクシングジムに入会した(唐突)
ジムに"所属"して、頑張りと上達を"承認"され、目標は妊娠前の体重(約20kg!)を戻すことで市場価値を上げるという"自己実現"!www
自分の人生を充実させるのは、頑張ることも諦めることも自分の腹落ち感ひとつ。できる範囲でできることをしていこうと思いました。
◆内容(BOOK データベースより)
勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。つまらない人間と妻には疎まれても、娘の進路を密かに理解していた父の最後のメッセージとは…(「無用の人」)。歳を重ねて寂しさと不安を感じる独身女性が、かけがえのない人の存在に気が付いた時の温かい気持ちを描く珠玉の六編。 -
購入済み
名画の見方を変える一作
日本人のパリでの活躍、当時の雰囲気、画壇の様子がリアルでした。少し登場人物に活躍が集中しすぎた傾向がありますが、浮世絵と印象派の接点が面白くて良かったです。