会社の方から鬼平犯科帳全24冊いただいたのでちょっとずつ楽しんでゆく。
鬼平はドラマを見たことも漫画を読んだこともないのですが、
それでも中村吉衛門の二枚目っぷり、さいとうたかお絵の強面っぷりがすぐ浮かぶくらい。
原作でもそのイメージで読もうとしたら、”小太りで笑うと深い笑窪が浮かぶ穏やかな風貌の持ち主で、市中見回りの時はどこのくたびれた浪人かと思われるような服装”だというのだから、私の吉衛門&さいとうたかおのイメージからうまく変換できずちょっと混乱(苦笑)
そんな穏やかな見かけの平蔵だが、若い頃は力に任せての暴力沙汰やら遊蕩三昧やら女遊びやら一通りの悪さは経験し、剣の技は常人をはるかに凌ぎ、盗人を捕まえれば自らが熾烈な拷問を加えて自白させるというかなりの剛健な男。
そんな鬼の平蔵、鬼平が江戸の盗人たちに睨みを利かす短編集。
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盗賊追捕のお役目の十蔵が出会った盗人の妻。
そのころ火付け盗賊改めの新たな御頭として、鬼平の異名を持つ長谷川平蔵が赴任してきて…
/「唖の十蔵」
市中警備の解説など、ご挨拶代わりの一作か。
鬼平は、かつて父の屋敷のあった場所で過去に思いを馳せる。
再会したかつての剣の友。そしてかつて憧れた女性は今では盗人の女房となっていた。
/「本所・桜屋敷」
鬼平の生い立ちが紹介されるエピソード。
元盗人の粂八は、かつて自分の親分であった丹兵衛の新たな強盗の噂を聞く。かつては「人を殺さない、女を手込めにしない、貧しいものからは盗まない」の仁義溢れる盗賊だった。しかし今では目を付けた屋敷に押し入り皆殺しにし女は犯す最低のクズ野郎となっているという…。
/「血頭の丹兵衛」
盗人集団同士で手下の貸し借りしたり、大掛かりだと数年かけて家に入り込んだり、その後の換金方法など…当時の盗人のやり口が描かれていく。
小料理屋の亭主岩五郎は、かつて盗人一味だった。
岩五郎の元に仕事の話が舞い込み…
/「浅草・御厩河岸」
生きるために運命は過酷だったり、弱者は生きづらかったり、ちょっとの偶然で命運が崩れたり…
盗人を隠居したはずの蓑火の喜之助は、自らの血をたぎらせる女に出逢い、昔の仕事へと戻ろうと…
/「老盗の夢」
女の私からすれば「な~にやってんだ」と思わないでもないんですが、男性からすると気持ちは分かるのでしょうか?
親の仇討のため国を出た男は、それから二十四年、殺しで生計を立てていた。
血の匂いを隠すための香油を纏い、狙うは長谷川平蔵…
/「暗剣白梅香」
盲按摩を装う彦の市は、狙う屋敷に入り込み、中から盗人仲間を手引きする役目。
そんな彦の市は、情人としている女に間男がいると知り…
/「座頭と猿」
鬼平は、かつての女に声をかけられる。女は昔の男たちを強請り同然で金を得ていた。そこに便乗する浪人崩れの無法者たち。
/「むかしの女」
鬼平は、捕えた盗人たちを働かせる施設を管理してもいますが、
働かせることも改心させることもおとなしくさせることも全く不可能な悪党どももいるといいます。
P301「雷神党のような浪人崩れには打つ手がないのだよ。おそらく大丸屋へゆすりをかけたのもこいつらだろうが…そのゆすり方ひとつ見ても分かる。まるで獣だよ。世の中の仕組みが何も分かってねえのだ。獣には人間のことばが通じねえわさ。刈り取るよりほかに仕方はあるまい」
取り締まる相手の悪党たちの特性を瞬時に察し、捕えるか殺すか判断し、そして実行できるのが鬼平なんですね。