池波正太郎のレビュー一覧

  • 近藤勇白書

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    新選組局長・近藤勇が辿る、栄枯盛衰のドラマを綴った大長編。池波正太郎ならではの豊かな人物描写で、近藤勇、土方歳三、永倉新八、原田左之助ら隊士達が「本当にこういう人だったのかもなぁ」と思わせる。後半、薩長が台頭し幕府が瓦解していく時代の中で、新選組の積み上げてきた栄光がガリガリと削り取られていく様は辛い。どんなに偉くて格好いい人でも、しょせんは歴史の流れに乗って消えていく、小さい泡沫に過ぎんのであるなぁ……

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    2018年01月08日
  • 鬼平犯科帳(九)

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    鬼平シリーズは、出勤のバスの中で読むのにちょうど良くて重宝している。
    「鯉肝のお里」前巻の左馬之助に続き、おまささんと五郎蔵が夫婦に。鬼平犯科帳寿ラッシュである。おまささんの気持ちを知りながらも、鬼平さんはこいつならって五郎蔵さんをおまささんに添わせたんだろうな。
    「本門寺暮雪」凄い奴との死闘。平蔵のピンチを救った柴犬のクマが平蔵家の子に。クマ可愛い。忠吾より有能かも??
    「狐雨」はまさかの妖怪話という変化球。
    今回も面白かった。

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    2018年01月19日
  • 新装版 娼婦の眼

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    池波正太郎記念館へ行った際に興味本位で買った本。真田太平記は読んだことがあったが、娼婦を題材にした作品があったとは。舞台は昭和30年代で、お金の価値観も今とは違うが、今読んでも読み応えがあった。

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    2017年12月11日
  • 鬼平犯科帳(二十四)

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    ネタバレ

    ああ、とうとう読み終わってしまいました…。
    『女密偵女賊』『ふたり五郎蔵』と大切に読み、『誘拐』はこれからというところで未完のまま終わり、続きは想像するしかなくなりました。おまさが無事に戻るのか、はらはらさせたまま終わりだなんて。本当に寂しい。もっともっと鬼平の活躍を見たかったです。

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    2017年12月10日
  • 新装版 若き獅子

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    ネタバレ

    最初の2篇が浅野内匠頭と吉良上野介、3つ目が北斎。続いて高杉晋作、河井継之助、松平容保、新選組、小栗忠順。個人的に北斎がマイブーム中だけど、後半5篇が、同じ時代を別の視線で切り取ってて、映画「羅生門」的面白さがあった。

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    2018年10月15日
  • 鬼平犯科帳(二)

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     『鬼平犯科帳』第2巻、これもするすると、水が引く気に流れるが如く読んでしまった。思うに、TV版でもそうだが、欲に捉われた人がもたらす思わぬ結果やその空しさ、呆気なく失われる命の儚さとそれへの哀惜に、日々の生活の中で「諸行無常」を感じている私の心が感応してしまうからだろう。そして、何故か「こういうものだ」と安堵してしまうのである、人も生命体であるのだから、と。そのなかで「兎忠さん」こと、木村忠吾の有り様は、何処か明るく微笑ましい。そして、その無邪気と言っていいぐらいの仕事以外への欲が、事件解決へと繋がっていく。世上の欲が事を起こすのだから、それに通じている者がそこに近くある(自覚的かどうかは別

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    2017年11月12日
  • 剣客商売二 辻斬り

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    書くことが無いんですよね。剣客商売は剣客商売。一作ずつに感想をつけるようなものでもないし。
    まあ、池波さん独特の文体ですかね。


    (もしや・・・・・?)


    と、浅茅ヶ原へまわってみると、


    (いた!!)

    のである。独特の括弧の使い方ですよね。想いを書くというのか、声にならない会話の表現。
    なんとも魅力的です。

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    2017年11月10日
  • 剣客商売八 狂乱

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    手元に本が無くなって、ついつい暇つぶしに再読した剣客商売ですが、何度読んでも軽々と池波ワールドに入ってしまえるのには感心します。
    狐雨は一寸オカルトの入った、剣客商売の中では異色の作品でした。

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    2017年11月10日
  • 鬼平犯科帳(十四)

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    伊三次が死んでしまった。その死を悼む鬼平も辛い、私も辛い。悲しみがみなぎる「五月闇」のほか、「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」を収録。

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    2017年10月14日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十二)

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    「いろおとこ」「高杉道場・三羽烏」「見張りの見張り」「密偵たちの宴」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の7篇。密偵たちが自分の腕を自慢したくて仕事(盗み)を働く「密偵たちの宴」が面白かった。

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    2017年10月14日
  • 鬼平犯科帳(四)

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    冴えない浪人だった。
    小男で醜男、だが滅法強かった。
    長谷川平蔵の息子の辰蔵が出会った浪人に持ち込まれた殺しの依頼は…。
     /霧の七郎

    客の金を持ち出し逃げた女。
    五年後、別の生活をしている女の前に現れた男の狙いは…
     /五年目の客

    平蔵の妻の叔父から持ち込まれた秘密の依頼。
    屋敷の男が金を持ち出し逃げ出したという。
    屋敷を見張る平蔵の部下たち。
     …という捜査物かと思ったら、一人の女を巡って三人の男の本性があらわになるというお話でした。
     /密通

    平蔵の女密偵おまさが捕えられた。
    荒屋敷を見張る平蔵。
    出てきた男、身のこなしに寸分の隙がない、相当の手練れどもだ。
    おまさを救うため一人忍

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    2017年11月25日
  • 鬼平犯科帳の世界

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    鬼平レファレンスブックとして、本篇全巻読破前に読むことにした。「鬼平一家WHO’S WHO」と「鬼平犯科帳人名録」は重複する人物が当然多く、人名録だけで良かったのではと思ったりする。「18世紀市井事情Q&A」以降は興味深く読むことができた。特に用語解説の『切餅』はこれを読むまで全く誤解していた。

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    2017年09月05日
  • 鬼平犯科帳[決定版](一)

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     これまで、二代目中村吉右衛門さんが主役を演じるTVドラマが好きでよく見ていたのだが、去年の年末の特番でそれが終了し、それでは、と原作の小説を読もう、とこの夏ふと思い立って読み始めた。そうしたら、するすると止まらず、遅読の私が、珍しくあっという間に読み終えてしまいました。その出自と生い立ちから、市井の人々の心に通じ彼らの為す諸事に寛容でありながらも、若い頃に鍛えた剣の腕を心の奥底にある正義感から、いざという時には活かし苛烈に処断する。「赦すものは赦すが、赦さぬものは赦さぬ」、現代的ともいうべき江戸の町の中で、軍政の名残りを残す火付盗賊改方という武断的な治安組織の長官として、まさしくそういう心持

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    2017年10月29日
  • むかしの味

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    本書は昭和63年に文庫化されたものだが、食通の著者の文章が素晴らしく良い。〔たいめいけん〕は、当時も有名な洋食屋だったのだろうが、今はTVで紹介されてか、休日には時分どきを外しても長蛇の列で、店そのものに入れやしない。いや、本書は店に客を呼込むグルメ紙ではないのだが、やはり本書に出てくるものを食べたいものだ。〔どんどん焼〕は作れそうな気もするが、元の味を知らないし……解説で書かれた「日々のニュースに見られる救いようのない事件」どころではない平成の世を著者が見たら「君たちは気の毒」では済まないだろうな。

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    2021年09月05日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十三)

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    「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」「一本眉」を収録。妻を強姦する真似事で興奮する性癖の松永弥四郎が手柄を立てる「夜針の音松」、木村忠吾が関わる「殺しの波紋」「一本眉」が面白かった。

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    2017年09月03日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十一)

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    「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「土」「亡き味噌屋」「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」を収録。怖がりの盗賊改方の経理担当者が妻の敵を討つ「亡き味噌屋」、木村忠吾が男色の盗賊に誘拐される「男色一本饂飩」が印象的だった。

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    2017年09月03日
  • 江戸の味を食べたくなって

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    果たして本書のタイトルが相応であったかは疑問であるが、久しぶりに池波氏の文章を楽しんだ。味の歳時記では、江戸から東京へと引き継がれ、そして今は味わえないような食材の話も交えて四季が語られる妙味。第二部の対談では江戸っ子の会話の雰囲気を堪能。第三部ではフランスが舞台となっていたが、エッセイ、語り下ろし、小説と同じ素材を使い回したような構成だったが、これも絶筆を盛り上げんがための趣向なのだろう。

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    2017年08月31日
  • 編笠十兵衛(下)

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    吉良邸討ち入りに助力する十兵衛。架空の人物とわかっていてもリアルである。赤穂浪士だけでなく細々とした場面で志を貫こうとする登場人物たち。読後感の爽やかな作品だった。2017.8.26

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    2017年08月26日
  • 幕末新選組 新装版

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    永倉新八の目線で新選組の興亡を見る。手の付けられない悪戯者の新八が剣術に目覚めた時、時代は幕末の激動期に入ってしまった。近藤勇に付き従い壬生浪と半ば蔑まれても、幕府のために京の治安維持に没入する。『竜馬がゆく』を読めば新選組に悪印象を抱くが、当然彼等も日本を良くしたいという思いがあったことが伝わってくる。新八が鳥羽伏見、甲府、会津と動乱の中を転戦していったにも関わらずに生き抜き、明治から大正を生きて天寿を全うできたことは奇跡的だ。

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    2017年08月16日
  • 鬼平犯科帳(四)

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    鬼平の日常を、数多く読むということに、さながらその時代に呼吸するというテーマパークのような効用がありそうだ。

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    2018年10月14日