池波正太郎のレビュー一覧
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ネタバレ「一の悪のために十の善がほろびることは見逃せぬ」
「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」
……と、大江戸の悪党をガンガン始末しまくる鬼の平蔵さんとその仲間たち。
この巻に出てきた『妖盗葵小僧』は、今の時代だったら、こんな解決はできないと思えるお話でした。
顔も性格も悪くて女性にモテない大馬鹿野郎が、美女のいる良家ばかりを狙って、その女性たちをキズモノにしていく。
しかも、旦那さんや親の目の前で。
それを正統なルートで裁くとなると、被害者である彼女たちがまた世間という魔物によって更なる被害を受けてしまう。
それを苦に自殺を図る夫婦も出ちゃった。
性根の腐ったコンプレックスの塊オトコは、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「まるで不作の生大根をかじっているようだ」と初めての男に、もてあそばれ捨てられたお松。ある日偶然見かけて、お松はその男を絞殺してしまいます。男のその言葉が頭から離れないお松は自分に自信が持てず、危機を救ってくれた長次郎の勧めで“倉ヶ野の旦那”の世話になることにします。並行して話は鬼平と呼ばれる前の平蔵に移ります。平蔵はお松の話を耳にし興味を持ちます。そして勘蔵を殺したのはお松だと気付くのですが…。
お松が捕まってしまうのか、平蔵がどうするのか気になりましたが、落ち着くところに落ち着きました。
大店の後添えや医者の養女に、と望まれるお松は謙虚であり、罪を犯した分償いのため何事も一生懸命やる姿勢 -
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粋な本である。如何にも旨そうな料理の描写と池波正太郎氏のむかしの挿話が各店を訪ねたい気にさせる。・・・と現代の技術を使ってグルメサイト検索すると何れも高評価なお店ばかり。さすがは食通として名高い文豪である。しかし大切なのは味ばかりではない。丁稚奉公から文豪となった氏が語る料理への思い出は最高の調味料として効いている。回顧主義に走るのではなく、江戸っ子らしい感覚で「よいものはよい」とむかしの味と記憶を紡ぐ物語はなんだかほっこりさせられてしまう。
余談ながら東京下町の老舗にお邪魔すると池波正太郎氏の写真がちょくちょく飾られている。自分の足で色んな店を訪ね歩き、気さくに写真に応じる氏の表情が浮かぶ -
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『鬼平犯科帳』第2巻、これもするすると、水が引く気に流れるが如く読んでしまった。思うに、TV版でもそうだが、欲に捉われた人がもたらす思わぬ結果やその空しさ、呆気なく失われる命の儚さとそれへの哀惜に、日々の生活の中で「諸行無常」を感じている私の心が感応してしまうからだろう。そして、何故か「こういうものだ」と安堵してしまうのである、人も生命体であるのだから、と。そのなかで「兎忠さん」こと、木村忠吾の有り様は、何処か明るく微笑ましい。そして、その無邪気と言っていいぐらいの仕事以外への欲が、事件解決へと繋がっていく。世上の欲が事を起こすのだから、それに通じている者がそこに近くある(自覚的かどうかは別