池波正太郎のレビュー一覧

  • 鬼平犯科帳[決定版](一)

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     これまで、二代目中村吉右衛門さんが主役を演じるTVドラマが好きでよく見ていたのだが、去年の年末の特番でそれが終了し、それでは、と原作の小説を読もう、とこの夏ふと思い立って読み始めた。そうしたら、するすると止まらず、遅読の私が、珍しくあっという間に読み終えてしまいました。その出自と生い立ちから、市井の人々の心に通じ彼らの為す諸事に寛容でありながらも、若い頃に鍛えた剣の腕を心の奥底にある正義感から、いざという時には活かし苛烈に処断する。「赦すものは赦すが、赦さぬものは赦さぬ」、現代的ともいうべき江戸の町の中で、軍政の名残りを残す火付盗賊改方という武断的な治安組織の長官として、まさしくそういう心持

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    2017年10月29日
  • むかしの味

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    本書は昭和63年に文庫化されたものだが、食通の著者の文章が素晴らしく良い。〔たいめいけん〕は、当時も有名な洋食屋だったのだろうが、今はTVで紹介されてか、休日には時分どきを外しても長蛇の列で、店そのものに入れやしない。いや、本書は店に客を呼込むグルメ紙ではないのだが、やはり本書に出てくるものを食べたいものだ。〔どんどん焼〕は作れそうな気もするが、元の味を知らないし……解説で書かれた「日々のニュースに見られる救いようのない事件」どころではない平成の世を著者が見たら「君たちは気の毒」では済まないだろうな。

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    2021年09月05日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十三)

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    「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」「一本眉」を収録。妻を強姦する真似事で興奮する性癖の松永弥四郎が手柄を立てる「夜針の音松」、木村忠吾が関わる「殺しの波紋」「一本眉」が面白かった。

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    2017年09月03日
  • 鬼平犯科帳[決定版](十一)

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    「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「土」「亡き味噌屋」「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」を収録。怖がりの盗賊改方の経理担当者が妻の敵を討つ「亡き味噌屋」、木村忠吾が男色の盗賊に誘拐される「男色一本饂飩」が印象的だった。

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    2017年09月03日
  • 江戸の味を食べたくなって

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    果たして本書のタイトルが相応であったかは疑問であるが、久しぶりに池波氏の文章を楽しんだ。味の歳時記では、江戸から東京へと引き継がれ、そして今は味わえないような食材の話も交えて四季が語られる妙味。第二部の対談では江戸っ子の会話の雰囲気を堪能。第三部ではフランスが舞台となっていたが、エッセイ、語り下ろし、小説と同じ素材を使い回したような構成だったが、これも絶筆を盛り上げんがための趣向なのだろう。

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    2017年08月31日
  • 編笠十兵衛(下)

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    吉良邸討ち入りに助力する十兵衛。架空の人物とわかっていてもリアルである。赤穂浪士だけでなく細々とした場面で志を貫こうとする登場人物たち。読後感の爽やかな作品だった。2017.8.26

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    2017年08月26日
  • 幕末新選組 新装版

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    永倉新八の目線で新選組の興亡を見る。手の付けられない悪戯者の新八が剣術に目覚めた時、時代は幕末の激動期に入ってしまった。近藤勇に付き従い壬生浪と半ば蔑まれても、幕府のために京の治安維持に没入する。『竜馬がゆく』を読めば新選組に悪印象を抱くが、当然彼等も日本を良くしたいという思いがあったことが伝わってくる。新八が鳥羽伏見、甲府、会津と動乱の中を転戦していったにも関わらずに生き抜き、明治から大正を生きて天寿を全うできたことは奇跡的だ。

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    2017年08月16日
  • 鬼平犯科帳(四)

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    鬼平の日常を、数多く読むということに、さながらその時代に呼吸するというテーマパークのような効用がありそうだ。

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    2018年10月14日
  • 鬼平犯科帳[決定版](九)

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    「鬼平犯科帳」に登場する盗賊には、急ぎ働き、畜生働きをする悪人がいる一方で、本格派や義侠心に富む者もいる。彼らもまた人間なのだ。「雨引きの文五郎」「鯉肝のお里」「本門寺暮雪」「白い粉」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](八)

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    「鬼平犯科帳」の最大の魅力は、苦労人である長谷川平蔵の、酸いも甘いもかみ分けた人情あふれる沙汰と鮮やかな剣の腕前である。「用心棒」「あきれた奴」「流星」「あきらめきれずに」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](七)

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    家族、友人も大切な登場人物である。しっかり者の妻の久栄、ちょっと頼りない息子の辰蔵、養子のお順、友人で剣豪の岸井左馬之助など。「隠居金七百両」「はさみ撃ち」「掻堀のおけい」「泥鰌の和助始末」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](六)

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    魅力的な密偵たちの名を挙げると、小房の粂八、おまさ、伊三治、相模の彦十、大滝の五郎蔵、舟形の宗平など。「礼金二百両」「狐火」「大川の隠居」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](五)

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    脇役たちの魅力は、密偵に尽きる。善も悪も知ったうえで鬼平と世の平穏に尽くす。しかし、かつての仲間を売る彼らの心境は複雑だろう。「乞食坊主」「兇賊」「山吹屋お勝」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](四)

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    「鬼平犯科帳」の魅力は、個性豊かな脇役たちにある。頼りになる寄力の佐嶋忠介、剣の達人沢田小平治、うさぎの忠吾など。「五年目の客」「血闘」「敵」「夜鷹殺し」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](三)

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    男も女も、時に道に迷う。そんな時に救いになるのは、親子の絆、友の情け、そして男と女の愛。「盗法秘伝」「兇剣」「むかしの男」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳[決定版](二)

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    鬼平の世界では、男は欲深で女好き、女も妖艶で色好みだ。人間の欲望を肯定し、その中で人生の機微を味わう。「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「お雪の乳房」などを収録。

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    2017年07月30日
  • 鬼平犯科帳(二)

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    読んでいる間は、時間の経つのを忘れることができる。一話ごとの長さも、負担にならないので、エンターテインメントとして秀逸。

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    2018年10月14日
  • 男振

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    ネタバレ

    コンプレックスを言い訳にしないこと、身体を張って生きることの格好良さを教えてくれる本。

    もっとも、それができる人は往々にしてこの本のように人には恵まれているんだけどね。

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    2017年07月11日
  • さむらい劇場

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    『上泉の殿、わたくしは間もなく國峰へと嫁ぎます。そして、来年の夏が来る頃、子を産みまする。そのお子は殿のお子にございます。』

    (中略)我から愛する男の子供を身ごもってのちに、別の男へと嫁いで行く。

    自分一人で結婚する相手を決められなかった戦国時代、こうした選択で自分に許される範囲で思いを遂げる女の覚悟のすざましさを感じる一節。

    剣法の新陰流の始祖である上泉伊勢守秀綱という実在の武将が主人公の物語。
    (有名な柳生新陰流は、新陰流の門下の柳生石舟斎宗厳(むねよし)の流派。)

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    2017年09月18日
  • あほうがらす

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    「武士の名誉を生きるためには、いつどこでも死を迎えることになるかも知れぬという覚悟を日々新たにすると同時に、生きて迎える一日一日を充実せしめたい、妻を愛し、家を愛する心を日々新たにしようという又右衛門の生き方なのであった」。

    死が身近なこの時代は、こうした考えで生きていたのだろうが、東日本大震災や熊本地震など、実は身近な死を忘れている我々も、いつ愛する人を亡くしても、また自分が死を迎えても、後悔がないよう一日一日を充実させる姿勢が学ばれる。

    江戸時代初期の武士・剣客であり、日本三大仇討ちの一つの「鍵屋の辻の決闘」で知られる荒木又右衛門の物語など、11編が収められている。

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    2017年09月11日