あらすじ
江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵の活躍を描く時代小説の金字塔。
火付盗賊改方とは江戸の特別警察とでもいうべき組織。その長官を務める旗本の平蔵は、若い頃、「本所の銕(てつ)」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた乱暴者だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する。
中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきた作品で、2017年に放映されたアニメ「鬼平 ONIHEI」も大きな話題に。
2017年は「鬼平」が誕生して50周年。これを記念して全24巻を、ふりがなを増やして読みやすくなった決定版で刊行。
第十三巻に収録されているのは以下の作品。
熱海へ湯治に出かけた平蔵。そこで供の老密偵・彦十が昔の仲間を見かけて…。『熱海みやげの宝物』
大川で商人と船頭を鮮やかな手なみで斬った男は、平蔵配下の同心だった。『殺しの波紋』
白昼堂々、同心の妻が暴漢に襲われた。手ごめにしようとした男の煩悩を描いた『夜針の音松』
血を流すことなく盗みを働く本格派の盗賊がわが子のために大店を狙った『墨つぼの孫八』
老いた掏摸が、偶然、抜き取った紙入れに入っていた意外なものとは。『春雪』
上方では名を知られた本格の盗賊一味が、極悪非道の賊と対決する『一本眉』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
池波正太郎鬼平犯科帳シリーズ第13巻
もう沼にハマっています(^^;)毎回毎回鬼平の見立てやその部下や手の者たちの活躍が痛快で次へ次へと進んでしまいます。盗賊の中でも良い?盗賊と許されない盗賊がいるがこの回には良い?盗賊が現れ、悪い盗賊を盗賊同士で成敗するという者が(^^;)その上を行くのが鬼平なんだけどね。
Posted by ブクログ
12巻最後の話で熱海に湯治に出かけた鬼平たち。
そろそろ帰ろうかという時に、お供の密偵彦十が昔馴染みの盗賊の嘗役(なめやく)を務める利平治を見かける。
嘗役とは、一人で全国を回り、自分の所属する盗賊団が入りやすい家を探す役目。
優秀な嘗役は、目をつけた家屋敷の図面、財産、家族や奉公人の人数やら趣向やらをすべて調べ上げるという。
昔気質で仁義の通った仕事しかしない利平治だが、今はかつての仲間に狙われているらしい。
==気骨があるが掴みどころのない名物盗賊が、計らずも鬼平達に助けられる形で刺客たちをひょいひょい躱すお話は楽しいです。
/『熱海みやげの宝物』
与力の富田達五郎は、喧嘩から旗本を斬ってしまったために目撃者である盗賊から強請られる羽目に陥る。
身を護るためにどんどん堕ちてゆく様相。
/『殺しの波紋』
同心の松永弥四郎は、昔抱いた茶屋女の影響で変な性癖を持ってしまった。
松永はかつての女が盗賊のかしらと密会する場面に行きあわせて…
/『夜針の音松』
一人働きの盗賊、墨斗(すみつぼ)の孫八はこれを機会に引退しようとしていた。
幼い頃にバタバタと家族を喪ったことにより命に執着のない孫八の盗みは実にさっぱりしていた。
執着もない、殺しもしない、大胆不敵で迷わない。
だが決して失敗できない最後の仕事には緊張が走る
==ちょっと切ない。本人もだけど周りが。
/『墨つぼの孫八』
鬼平は、旗本の宮口伊織が財布を掏られた現場に行き会う。財布は取り返したが、その中には宮口の妻の実家である大店の図面が入っていた。
金に悪い噂の有る宮口は何か良からぬことを考えているのではないか。
/『春雪』
堂々たる体躯にもじゃもじゃで繋がった眉をもつ昔気質の盗賊、清須の甚五郎。何年も仕掛けを凝らした商家を他の盗賊一味に先を越されてしまった。しかもその一味は、一家皆殺しの畜生盗め(ちくしょうづとめ)。汚い手段は見逃せない。一本眉の甚五郎は、盗人の意地にかけて盗賊団を探す。
===盗賊のけじめは盗賊がつける。これぞ男気!(女盗賊もいるけど)
/『一本眉』
Posted by ブクログ
▼収録作品
熱海みやげの宝物
殺しの波紋
夜針の音松
墨つぼの孫八
春雪
一本眉
▼「一本眉」というのが、殺生をせぬ良き盗人が、悪い盗賊を懲らしめるという一風変わった味わいの一篇。キャラクターが魅力的。
▼平蔵が疲れて湯治したり、やや経年感があるか。
▼だんだん、パターンは出てきますね。
・仲間が殺される
・仲間が悪さをする
・隠密たちの心情
・忠吾をめぐる話
・昔の剣友
とかになりますね。まあこのあたり「剣客商売」もですが。
それはそれとして、味わえちゃうし美味しいから、名人芸。
Posted by ブクログ
「熱海みやげの宝物」、「殺しの波紋」、「夜針の音松」、「墨つぼの孫八」、「春雪」、「一本眉」の全六編。同心・松永弥四郎が自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る「夜針の・・・」と「一本眉」での木村忠吾もイイ。
Posted by ブクログ
「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」「一本眉」を収録。妻を強姦する真似事で興奮する性癖の松永弥四郎が手柄を立てる「夜針の音松」、木村忠吾が関わる「殺しの波紋」「一本眉」が面白かった。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。肴もうまい」と煮売り酒屋で、上機嫌の同心・木村忠吾。さし向いの相手の顔貌は、眉毛と眉毛がつながっていた(「一本眉」)。ほかに「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「墨つぼの孫八」「春雪」の全六篇を収録。