夢野久作のレビュー一覧
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表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。
文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。
太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。
梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公 -
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皆さん挫折する、『キチガイ地獄外道祭文』の部分の方がむしろ一番読みやすかったw テキ屋の口上みたいに音読出来てとても面白かった。あ、ここ『人間腸詰』っぽい。あ、ここ『犬神博士』か?とセルフオマージュというか内容入れ込みにも感じるところが多々あってとても楽しいwただまぁやっぱ長いっすよね、かったるい、飽きる飽きるwそれは仕方がないと思うw
私としては寧ろここより小説部分の方が逆に読み進めにくいなぁと感じたw
『たのしいプロパガンダ』って本があったけど…下手したらこういうノリなんだろうなと…怖くはなりました…w
てか、解放治療って要は『シャッターアイランド』の世界だよねw
あ-―-ア
と -
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太宰治と夢野久作は、同じ「少女」を題材にしていますが、まったく異なる鏡の中に彼女たちを映し出しています。
『女生徒』(太宰治)
これはまさに、少女の「内面の純度」を丁寧にすくい上げた作品です。羞恥、憧れ、自己嫌悪、ささやかな虚栄心、死と生の間を漂うような感受性が見事に描き出されています。
一見、何気ない日常を綴った一人称日記風の語りが続きますが、その中には「少女」であることのもろさと、同時にどこか気丈で背筋の伸びた誇りのようなものが垣間見えます。太宰自身がこの「女生徒」の語り口を模倣しながら、どこまでも真摯に「少女になりきる」ことで、ある種の理想化された少女像を創り出しているとも言えます -
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姫草ユリ子が自殺した。臼杵先生は、彼女の出会いからついた虚構まで、同じく翻弄された白鷹先生に手紙で語ってゆく。可憐で、美しく、誰からも好かれる姫草ユリ子。彼女の「何でも無い」人生の物語である。「何でも無い」の他に、「殺人リレー」「火星の女」の計3篇が収録。
「ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んでいったのです。彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。ただそれだけです」
「何でも無い」というタイトルが秀逸。自分にとっては大変に重大で特別なことも、誰かにとっては何でも無いことなのかもしれない。
個人的には「火星の女」がゴシック文学・幻想文学っぽくてかなり -
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夢野久作の『瓶詰地獄』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第6巻です。
とある役場から海洋研究所に宛てて3つのボトルメールが打ちあがった旨の手紙が送られます。
手紙の内容はそれぞれ遺書、神への懺悔、両親宛ての助けを乞うもの、でした。
この手紙を出した太郎とアヤ子、二人は大海原を漂流した末にたどり着いた島で長く暮らすことになる兄妹です。
食料や資源などの豊富な島であったので兄妹は特に不自由なく生活をすることができましたが、長い年月により成長したお互いの肉体を異性として意識するようになっていきます。
男と女の関係となってしまったものは兄妹には戻れず、それは社会的にも認められないものでし -
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登場人物が皆若いのに驚く
表題作の「少女地獄」が何と言っても読み応えがある。人はみな自分をよく見せたいという願望を持っているものだが、その願望がいびつに膨らんだ女を、90年も前の作品とは思えない、わかりやすい筆で描ききっている。この作品に限らず「人生50年」の時代だったせいか、登場人物が皆若いのに驚いてしまう。
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購入済み
進路を誤らせた
この作品の登場人物が皆 作者夢野久作に関わりのある人物と知って大変に驚いた。昭和初期の右翼の巨頭「杉山茂丸」が父親だなんて。ドグラ・マグラに代表される作者の作風からは全く想像できない生い立ちだったんだな。その右翼たちの言動は「快男児」と言えるのだろうが、大日本帝國の進路を誤らせた と言えると思う。
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空前絶後の幻魔怪奇探偵小説。
「…ブウウ―ンン――ンン…。」という時計の音で初まり、同じ音で終わる物語世界。徹頭徹尾己が誰か己の名前も分からぬ主人公(果たして彼は呉一郎なのか否か)。怪人めいた二人の大学教授。奇妙奇天烈雑多、絢爛たる様々なテクスト――『ドクラ・マグラ』の中の「ドグラ・マグラ」、精神医療現場の地獄を喝破した祭文語り、「脳髄は物を考える処にあらず」という超絶探偵小説と題する談話、系統発生を繰り返す個体発生の内に胎児の見る先祖から親に至るまでの歴史を繰り返す夢、世にも奇妙な遺書、遺書なのだか活動写真の描写なのだかなんとも奇天烈文体。心理遺伝という不可思議(本当にそんなこともあるかもし