夢野久作のレビュー一覧

  • ドグラ・マグラ(下)

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    上巻に続いて読みにくい部分が続くが博士との対面になってからは面白くなってきた。
    それにしても腐りゆく美夫人の死体を描くとか発想が猟奇。それ以上に2人の博士の行いも非人道的ではある。けっきょく真犯人はどっちなのか低脳な小生には分かりかねるがそれも含めてが本書の魅力なのかもしれない。

    ここからは本書の内容と関係ない話。
    今(2023年11月現在)、表紙が『チ』を描いた人の特別仕様になっている。本書の本質をついたような素晴らしい表紙だと思う。というか元々ある女性の下半身が露出したような訳の分からん表紙からコチラに今後も替えて貰えんだろうか。普通に書店で買いにくいし人前で読みにくい。好きな人には申し

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    2023年11月08日
  • ドグラ・マグラ(上)

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    読むと発狂するとされる本。
    出だしは自分の記憶も分からないし隣から声が聞こえるというサスペンスで読み応えがある。
    チャカポコ辺りから読んでいて理解が追いつかなくなってくる。個人的には同じ奇書とされる『黒死館殺人事件』よりは読み易いとは思う。

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    2023年11月08日
  • 瓶詰の地獄

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    わずか10数ページの『瓶詰の地獄』がよかった。どの短編も江戸川乱歩の世界をもっと過激にした感じ。30年ほど前に読んだ『ドグラ・マグラ』もそろそろ再読したい。

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    2023年10月01日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    とある島に流れ着いたた三本のビール瓶には、それぞれに手紙が入れられていた。
    その手紙には、離れ島に漂流してしまった兄妹による、助けを待ちながら暮らす島での何年間にもわたる生活の様子と、懊悩が書かれていた——

    〈ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。〉

    鼻血がでそうなほど耽美な話だった。十一歳の私と、七歳になったばかりの妹のアヤ子。
    二人きりで漂流した先は、それでも食糧が豊かにあり、清らかな風と美しい花に彩られ、小鳥のさえずりを聴きながらのんびりと過ごせる島だった。
    まるで楽園にいるかのような暮らしをしていたはずだったが、アヤ子が成長していくにした

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    2023年09月13日
  • ドグラ・マグラ(上)

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    25年ぶりに再読。なぜか夏に読むべき本なような気がして。チャカポコゾーンは下巻の頭のあたりだと勘違いしていたけれど、上巻の中盤だった。このあたりからさっぱり訳が分からなくなる。今回は、このあたりから、たまたま見つけた朗読動画を聴きながらの読書。朗読だと文字を目で追っていなくても話が進むし、ちょっとしたすきま時間や別のことをしている間にも読めることが分かったことが発見になりました。

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    2023年08月26日
  • ルルとミミ(乙女の本棚)

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     乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとねこ助さんのコラボ作品「ルルとミミ」です。先日運よく1番に借りることができました!!もう~嬉しいっ!…ということで、なんとも表題もイラストも可愛い感じで、期待も高く読んでみることに…。

     水が黒く濁るとよくないことが起る予兆だと恐れられている湖があった…。湖のふもとで、兄のルルと妹のミミのふたりで生活していた…。ふたりの父母はすでに他界しているが、亡き父のあとをついで鐘造りになったルル…新しい鐘を丹精込めて作ったが、その鐘は鳴らなかった…。心を痛めたルルは湖に身をなげる…。一人ぼっちになったミミは、ルルに会いたいと湖のほとりで涙を流すと、睡蓮の声が「…

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    2023年08月23日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    最近ブク友さんたちの間で話題になっている『乙女の本棚シリーズ』
    色々気になる本がある中で私が選んだ一冊は『瓶詰地獄』
    この漢字四文字の並びからして、もう期待しかありません。
    浜辺に流れ着いた瓶詰。その中には無人島に取り残された兄妹からの手紙が。
    このあらすじを読んで、私の脳内はすっかり『人魚とビスケット』になっていました。これ、絶対好きなヤツじゃーん、と。
    しかし、ページを捲るとすぐに地獄の意味が分かります。分かった上でページを捲り続けなければいけません。
    昭和三年に発表されたこの作品。文体や言葉使いなどが丁寧で上品な分、地獄の感じが増しますね。
    そして、なんといってもこのイラストが苦しさをよ

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    2023年07月31日
  • ルルとミミ(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    絵本にすることで手に取りやすく読みやすくなっていると感じる。
    どこまでが夢でどこまでが現か。
    曖昧な境界を明確にせず美しさに魅せられた兄のところへ妹は花の鎖を握ってゆく。

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    2023年07月26日
  • 死後の恋(乙女の本棚)

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    ネタバレ

     乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「死後の恋」です。この二人のコラボ作品は「瓶詰地獄」がすごくよかったんで、期待も高く手にしました!

     浦塩の町で一人の男性に話しかけられたところからはじまる…。その男性は、乞食のような身なりをしているが、貴族出身で元ロシア兵士のワーシカ・コルニコフ…コルニコフは、私の「死後の恋」について話を聞いたうえで、「私の運命を決定てください」と、自らの兵役時代について語りだす…。兵役時代に知り合ったリヤトニコフは、無二の親友とも呼べる存在、彼も貴族の出身だろうと会話を重ねる中で感じてた…。戦場に出向く前の晩、リヤトニコフはコルニコフ

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    2023年07月19日
  • ルルとミミ(乙女の本棚)

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    美しく、哀しいおとぎ話。
    ねこ助先生の挿し絵も、落ち着いた薄暗い配色で、おとぎ話調の哀しい物語を美しく彩っている。
    登場人物の衣装がとてもかわいらしいのも素敵素敵。

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    2023年06月26日
  • 乙女の本棚6 瓶詰地獄

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    ネタバレ

    最後の手紙で二人の関係性がわかって、冒頭の手紙の犯した罪の意味がわかり、こちらまで苦しくなるようだった。幸せが不幸せに転じる楽園。守りたいのに加害してしまいたくなる葛藤。助けが来た絶望。

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    2023年06月02日
  • 死後の恋(乙女の本棚)

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    浦塩の町で、1人のロシア人が話しかけてきた。
    彼が語るのは兵隊時代の話と、それにまつわる「死後の恋」についてであった。

    話の構成が巧い。
    鬱展開だったが、最後のオチが愉快で良かった。

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    2023年05月19日
  • 少女地獄

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    人間の怖さや陰は時代とともに儚げに変わるものもあれば、時代背景でこんなにも影響を与えるのだなと考えさせられました。
    火星さんと呼ばれた少女は
    ルッキズムや人と違うところなどに焦点を合わせず
    男性の道徳観念に関してに怒りを覚えたのも面白かったです。
    「火星の女の置き土産、黒焦げ少女の死体を受け取りください。
    私の体は永久にあなたのものですから。」
    この言葉から炎のように赤い怒りを感じました……

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    2023年05月13日
  • 犬神博士 アニメカバー版

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    「犬神博士」と呼ばれる変人が幼少時代の思い出を語る夢野久作の絶筆作品。乞食芸人に育てられた5、6歳の美少年が様々な修羅場をこえて、筑豊炭田の利権が独占資本の手に落ちるのを防ぐ。風俗騒乱の踊りで猥褻罪で捕まったり、イカサマ賭博を見破ったり、玄洋社社長と堂々とやりやったりと娯楽要素たっぷりの冒険譚。日清戦争前夜の風俗の描写、独特の言い回しも読者の楽しみを与えてくれる夢野久作の代表作。お勧めです。

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    2023年04月19日
  • 死後の恋(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    「乙女の本棚」第14弾。
    ロシア革命直後の浦塩の町で、日本兵に話しかけてきたのは、乞食のなりをした不思議な紳士。兵隊時代の友人と、彼が持っていたマノフ王家の宝石と、その彼が実は彼女だったこと。その後に待つ残酷な運命と、怪しく美しい情景の描写。その「死後の恋」についてのお話。
    怪しい老紳士の独白で進むので、わかりやすいのだけど、不思議で怖い。どこまでが本当で、どこまでが幻想なのか、そのあたりのふやふやしたところが面白い。
    イラストも素敵。

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    2022年08月19日
  • 少女地獄

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    一言で言い表すのが難しい。
    印象に残るのは少女或いは女性達の何重にも張り巡らされた尋常ならざる執念と、なんともオソロシ気な事件の顛末。
    それらが、チョット普通の文体では考えられないようなある種の「ドグラ・マグラ」を思わせるような独特の構成によって炙り出されて行く。
    確かにこれは"少女地獄"というタイトルに相応しい恐ろしくも圧巻の内容だった。

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    2022年08月12日
  • 少女地獄

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    浅ましい男性たちが少女によって世間的に地獄に落とされる話。オカルトに頼らない怖さがあってぞっとする。

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    2022年07月04日
  • 人間腸詰

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    再読本
    と言っても、読んだのはもうふた昔も前になる。
    ただ、奥付を見たら改版初版のようだ。
    もちろん違いなんて分かるはずもなく(笑

    かなり久しぶりの再読なんだけど「人間腸詰」「木魂」はなんとなく読んだ記憶があった。
    なんとなくのイメージとしての記憶だけど。

    一番好きなのは「戦場」
    とにかく引き込まれる。そして感情が忙しい。
    迫力のリアリティで戦争を語ったかと思えば、ハインリヒとの神秘的な交流が始まる。と思ったらまた戦争の恐ろしい描写が始まり……と、展開が目まぐるしいけどとても面白い!

    作品によっては思ってた以上に装飾過多な文章でとても驚いた。
    (というか、作品ごとに語り口が違いすぎるのよ

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    2022年05月22日
  • 瓶詰の地獄

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    純文学というのは、読む度に新しい感情や自分の気持ちに気づく事ができる自分自身を映す鏡のような物だと常々思っているのだけれど
    夢野久作の作品は違う
    読めば読むほど深みに嵌り抜け出せなくなる
    読者すら作品の一部となっていく、そんな感覚すらある

    瓶詰の地獄はそんな夢野久作の作風をたった15頁に凝縮したような作品

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    2022年02月23日
  • 死後の恋―夢野久作傑作選―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    乞食のような青年の不可思議な話
    話を聞き「死後の恋」と言うものが実際にあり得ると認めれば彼の財産を差し出すと言う
    そして、彼の語りの最後で我々は衝撃の事実を知る
    しかし、彼の話を聞いた後では彼の差し出す財産は受け取れなくなってしまう
    受け取る気が失せてしまう・・・

    人は目の前の欲望に囚われると、もっと大事な事が身近に現れていても気づく事ができなくなってしまう
    そして、取り返しがつかなくなると今度はその過去に囚われてしまう

    読み終わった後、悲哀感と言えばいいのか、喪失感と言えばいいのか、形容し難いジクジクとした感覚がじわじわと染み入ってくる

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    2022年01月31日