夢野久作のレビュー一覧
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上巻に続いて読みにくい部分が続くが博士との対面になってからは面白くなってきた。
それにしても腐りゆく美夫人の死体を描くとか発想が猟奇。それ以上に2人の博士の行いも非人道的ではある。けっきょく真犯人はどっちなのか低脳な小生には分かりかねるがそれも含めてが本書の魅力なのかもしれない。
ここからは本書の内容と関係ない話。
今(2023年11月現在)、表紙が『チ』を描いた人の特別仕様になっている。本書の本質をついたような素晴らしい表紙だと思う。というか元々ある女性の下半身が露出したような訳の分からん表紙からコチラに今後も替えて貰えんだろうか。普通に書店で買いにくいし人前で読みにくい。好きな人には申し -
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とある島に流れ着いたた三本のビール瓶には、それぞれに手紙が入れられていた。
その手紙には、離れ島に漂流してしまった兄妹による、助けを待ちながら暮らす島での何年間にもわたる生活の様子と、懊悩が書かれていた——
〈ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。〉
鼻血がでそうなほど耽美な話だった。十一歳の私と、七歳になったばかりの妹のアヤ子。
二人きりで漂流した先は、それでも食糧が豊かにあり、清らかな風と美しい花に彩られ、小鳥のさえずりを聴きながらのんびりと過ごせる島だった。
まるで楽園にいるかのような暮らしをしていたはずだったが、アヤ子が成長していくにした -
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乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとねこ助さんのコラボ作品「ルルとミミ」です。先日運よく1番に借りることができました!!もう~嬉しいっ!…ということで、なんとも表題もイラストも可愛い感じで、期待も高く読んでみることに…。
水が黒く濁るとよくないことが起る予兆だと恐れられている湖があった…。湖のふもとで、兄のルルと妹のミミのふたりで生活していた…。ふたりの父母はすでに他界しているが、亡き父のあとをついで鐘造りになったルル…新しい鐘を丹精込めて作ったが、その鐘は鳴らなかった…。心を痛めたルルは湖に身をなげる…。一人ぼっちになったミミは、ルルに会いたいと湖のほとりで涙を流すと、睡蓮の声が「… -
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最近ブク友さんたちの間で話題になっている『乙女の本棚シリーズ』
色々気になる本がある中で私が選んだ一冊は『瓶詰地獄』
この漢字四文字の並びからして、もう期待しかありません。
浜辺に流れ着いた瓶詰。その中には無人島に取り残された兄妹からの手紙が。
このあらすじを読んで、私の脳内はすっかり『人魚とビスケット』になっていました。これ、絶対好きなヤツじゃーん、と。
しかし、ページを捲るとすぐに地獄の意味が分かります。分かった上でページを捲り続けなければいけません。
昭和三年に発表されたこの作品。文体や言葉使いなどが丁寧で上品な分、地獄の感じが増しますね。
そして、なんといってもこのイラストが苦しさをよ -
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ネタバレ乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「死後の恋」です。この二人のコラボ作品は「瓶詰地獄」がすごくよかったんで、期待も高く手にしました!
浦塩の町で一人の男性に話しかけられたところからはじまる…。その男性は、乞食のような身なりをしているが、貴族出身で元ロシア兵士のワーシカ・コルニコフ…コルニコフは、私の「死後の恋」について話を聞いたうえで、「私の運命を決定てください」と、自らの兵役時代について語りだす…。兵役時代に知り合ったリヤトニコフは、無二の親友とも呼べる存在、彼も貴族の出身だろうと会話を重ねる中で感じてた…。戦場に出向く前の晩、リヤトニコフはコルニコフ -
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再読本
と言っても、読んだのはもうふた昔も前になる。
ただ、奥付を見たら改版初版のようだ。
もちろん違いなんて分かるはずもなく(笑
かなり久しぶりの再読なんだけど「人間腸詰」「木魂」はなんとなく読んだ記憶があった。
なんとなくのイメージとしての記憶だけど。
一番好きなのは「戦場」
とにかく引き込まれる。そして感情が忙しい。
迫力のリアリティで戦争を語ったかと思えば、ハインリヒとの神秘的な交流が始まる。と思ったらまた戦争の恐ろしい描写が始まり……と、展開が目まぐるしいけどとても面白い!
作品によっては思ってた以上に装飾過多な文章でとても驚いた。
(というか、作品ごとに語り口が違いすぎるのよ -
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ネタバレ乞食のような青年の不可思議な話
話を聞き「死後の恋」と言うものが実際にあり得ると認めれば彼の財産を差し出すと言う
そして、彼の語りの最後で我々は衝撃の事実を知る
しかし、彼の話を聞いた後では彼の差し出す財産は受け取れなくなってしまう
受け取る気が失せてしまう・・・
人は目の前の欲望に囚われると、もっと大事な事が身近に現れていても気づく事ができなくなってしまう
そして、取り返しがつかなくなると今度はその過去に囚われてしまう
読み終わった後、悲哀感と言えばいいのか、喪失感と言えばいいのか、形容し難いジクジクとした感覚がじわじわと染み入ってくる