夢野久作のレビュー一覧
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購入済み
ホラーもの
タイトルだけしか知らなかったので読んでみました。
自分自身のことを思い出せない主人公が、不可思議な体験をし、壮大な実験に巻き込まれていることを知りますが…まさかのラストでした。 -
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初めて読んだ夢野久作の著書でした。
死後の恋の一周まわって気持ちいいくらいの惨憺たる残酷描写が好きです。
三大奇書にも選ばれている「ドグラ・マグラ」の作者ともあって、私が期待していた通りの文章の奇怪さ、陰惨さ、陰鬱さでした。
特に印象に残ったのは瓶詰めの地獄、死後の恋、支那米の袋。
この短編集はどの話も、「救いようのない」終わり方をします。それでは何の解決にもなっていない、という終わり方です。
特に瓶詰めの地獄は手紙方式ですが、順番になっている割になんだか話が前後しているような感覚でした。
夢野久作という人物は、人は救われない、「救われない」という意味で人生には終わりがないと考えて -
Posted by ブクログ
ネタバレ過不足の無かったはずの楽園が、時を経て性徴という魔力を前にじわじわと崩壊していく様の、うつくしさと残酷さ。
そして、神の目から逃れるように、救いを投げ出すように目印を倒し聖書を焼いたのに、瓶の中に残されていた手紙に綴られていたのはひたすらに懺悔だった。
そういう歪さに、ただただ感服させられたというか、謎の高揚めいたものを覚えてしまいました。昔の作家はすごい……。
第二の手紙を読み終えた時に、「間に合わなかった」(或いは抗えなかった)ことを示す第一の手紙の意味を知り、締めくくりの第三の手紙で得も言われぬ気持ちにさせられる構成の巧みさも良いです。
挿絵がまた大変に美しいので、文章だけの本が苦手な -
Posted by ブクログ
デビュー作といわれる「あやかしの鼓」も収録された一冊。
「氷の涯」を読んでいるときは、それこそ中島河太郎の解説にあるような「大衆読物視された作品」にすぎないような気がしていたけれど、表題作「押絵の奇蹟」を読んでからはもう全然違って、やはりロマンと推理の複合的怪作を描かせたら夢野久作が一番、という感を新たにせざるをえない。
「押絵の奇蹟」にせよ、「あやかしの鼓」にせよ、それは『ドクラ・マグラ』に通ずる「出生の秘密」×「言い伝えの秘密」×「自我の秘密」をめぐる推理と夢想の境地であり、これを頭脳明晰、あるいは技能随一の登場人物が喝破看破しまくるところがたまらない。もちろん彼ら彼女らは終局的に、左記の -
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ネタバレ以前読んだ『ドグラ・マグラ』が面白かったので、読んでみた。こちらは短編集。独特の不気味さ、気持ち悪さ、猟奇、エログロみたいな雰囲気があって、『ドグラ・マグラ』と似ている。こんなに気持ち悪いのに、引き込まれるものがある。重たくて、怖くて、読むのに精神力がいる。
解釈が難しかったり、色んな"仕込み"がある。一作品読んで、ネットでレビューを見て・・・という感じで作品の世界観を楽しんだ。
全部で7作品あるが、どれも味わいがあって、気持ち悪い。全作品のレビューを書く気力がないので、4つだけ。
「瓶詰の地獄」と「支那米の袋」が特に印象に残った。
そのうちまた読みたいな。
<瓶詰の -
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怪異小品集。狂気に満ちていて、だけどどこかしらユーモラスで、そして美しく思える作品ばかりです。
「猟奇歌」いいなあ。短いのだけれど、短いがゆえに想像の余地が多くって、いろんなことを夢想(妄想?)させられてしまうのがとても素敵です。
お気に入りは「瓶詰地獄」。タイトルは有名で知っていたのだけれど、読むのは初めて。想像したような物語じゃなかったけれど(もっとおどろおどろしいかと)、ある意味想像したよりも恐ろしくて悲しい物語でした。ひどく印象的。
「書けない探偵小説」も好き。たしかにこれらは探偵小説とは言えないかもしれないけれど。いやいや、かなり面白そうな気がします。「大人のお伽話」は充分素晴らしい -
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ムマモノガタリヘ、マ・ミ・ム・メ・モウ!
<収録作品>
【魔】の章
血潮したたる(猟奇歌1)/月蝕/髪切虫/黒い頭/鼻の審判/権威と使命/スフィンクス/呪われた鼻/鉱物式や植物、動物式の性格/無限大の呪い/茶番神楽/定型の根本義/顔
【魅】の章
うごく窓(猟奇歌2)/微笑/青ネクタイ/光明か暗黒か/クチマネ/キキリツツリ/変態性欲とヘアピン/二匹の白い蛾/案内書の秘密/少女のレター/少女誘惑ラムプ団/不良少女享楽団長/瓶詰地獄
【夢】の章
見世物師の夢(猟奇歌3)/犬と人形/虫の生命/白椿/青水仙、赤水仙/正夢/或夜の夢/空地/ビルディング/工場/空中/街路/病院/七本の海藻/硝子世界/ -
Posted by ブクログ
夢野久作さんがすき!
ホノジロトヲジさんのイラストも好き!
な、私にとってこんなにも嬉しい本はないです。
ありがとうございます…!!
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挿絵は20枚ほど収録されていて、全て描き下ろしです。
見開きページの迫力、美しさは息を呑むほど…。
各ページによって文字や紙の色に違いがあって、ページをめくるたびにドキドキしました。
描かれる無人島の兄妹は西洋のお人形風で華奢な美男美女。
耽美で繊細な線や色合いから、彼らの住まう無人島が現世から切り離された小さな楽園。という世界観も、鮮烈に伝わってきます。どちらかと言うと、あまり夢野久作作品からは想像もつかないような雰囲気なので読む人によっては違和感を -
Posted by ブクログ
ネタバレ夢野久作先生らしい、「人」の持っている恐怖を扱った作品集だと思った。また、人によって解釈の方法があるのも夢野先生らしいと感じた。先生が考える背景を理解できなかったので、様々な人の解説記事を読んでみたけれど、実に様々な解釈があって面白かった。特に『瓶詰地獄』は面白かった。
『死後の恋』はよくわからなかった。『悪魔祈祷書』は、店主の嘘(?)をずっと独白するということかな。『支那米の袋』は、とってもよくできていると思った。人間の残虐性や非情さがもっともわかりやすく著している作品だった。
『難船小僧』は、よくわからなかった。とりあえず、迷信を恐れないでやったから良かったということかな。