夢野久作のレビュー一覧
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幼子の健気さ 不思議さ
幼子が持つ一種の超能力を題材にして母親の浮気を暴き出した作品である。作家夢野久作の特徴とも言える残虐味がないせいで、素直なファンタジーっぽい作品になっている。それだけに幼子の健気さ 不思議さがより一層際立ってしまう。
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江戸下町言葉の語り口
江戸下町言葉の語り口がとても快い。陰惨でグロテスクなところもあるストーリーがこの語り口で随分と読みやすくなっている。肝心のストーリー内容も短編でありながら場面展開が多く波乱万丈の趣があってとても良い。数多くの夢野久作の作品の中でも屈指の名作と思う。
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今も続いている「戦場」
西ヨーロッパでは第二次世界大戦よりも第一次世界大戦のほうが遥かに被害が大きかった。その第一次世界大戦の中でも屈指の消耗戦 ヴェルダンの戦いの悲惨な一面を描き出している。エログロ的なイメージが付きまとう作者夢野久作であるが、このような作品もあったのだと認識を新たにした。このような塹壕戦が今もウクライナで続いていることを思うと暗然たる思いである。
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オーディオブックだったので、上下まとめて聴きました。どこから下巻かわからなかったので、本の感想は上巻のコピーです。
日本三台奇書のひとつ。
名作なので、表紙をなんとかして欲しい。
長く、読みにくく、難解。活字をあきらめて、オーディオブックで挑戦しました。
ミステリーという器に、グロテクスさ全部乗せ!
といった印象です。
しかしながら、物語の奇抜さで読ませるのではなく、繊細な心理描写、情景描写が秀逸でのめり込みました。感じました。名作かと。
前半繰り広げられる、無意味とも思えるストーリーが、後半見事に繋がっていく所に鳥肌が立ちました。ただ、前半は読むの(聴くの)が辛い…。
この本が、50年近く前に書かれたなんて…。
本って素晴らしい。読書って素晴らしい。
以下、備忘録
呉一郎の目の光を押し返す。
死人の呼吸が聞こえるような静けさ
乾燥した喉に唾液を押しやったた。
魂から滴り落ちる、血と汗のにおいがわかる
探偵小説は、犯人と探偵の脳髄のスポーツ
脳髄は、謎のご本尊。巨大なタンパク質のスフィンクス。脳のために人体があるのか、人体のために脳があるのかわからない。人体の専制君主。
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Posted by ブクログ
短編集『狂人は笑う』(一九七七年, 角川文庫)に「冥土行進曲」を追加し、改題・復刊された内容。谷口基による解説(pp308-314)によると「冥土行進曲」は遺稿であり、失敗作だとする評者(西原和海)もいるようであるが、この短編が追加されるかされないかで、本書の読後感はだいぶ変わるのではないか。冒頭に収められた「狂人は笑う」から、七編目の「爆弾太平記」までは、書かれた当時の混沌とした時代背景と、食うか食われるかの人間関係が緊張感をもって描かれているが、果てしなく陰惨で殺伐としている。その殺伐さがあまりにも突き抜けていて笑うしかない「爆弾太平記」のあとに付け足された「冥土行進曲」は見事な冒険活劇で、陰惨さはほとんどなく、痛快無比。主人公と共に周囲に振り回されながら、最後は気持ちよくページを閉じることができた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ解説にも書いてあるとおり全て理解するのは無理なんだろうなと思いました。
個人的な解釈として堂々巡りなのだと感じました。
ループもののように繋がっている冒頭と終わりのブーンという音や主人公の今起きている事を先月にもやっていたのではないか?という疑問。
若林先生が話しているドグラ・マグラを書いた大学生のこと。読み終わってからこの部分を再度読み、この本の事を本の中でも言及しているのだと気付きました。
伏線を探すために見返しているこれを書いている私自身。
本の中の1000年前と大正15年、主人公の把握できる今日と1か月前、読み始めと読み終わりでぐるぐる回って主人公も読んでいる私も一生理解出来ないし終わりがくるかもわからないのだとそういう作品なのだと感じました。
難しい部分も多くて読むのにとても時間がかかりましたが個人的にはとても面白くて好きな作品でした。いろんな解釈を漁ってみようと思います。
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Posted by ブクログ
ネタバレ夢野久作はなんだかんだで結構読んでる気がしたけど、これはどれも読んだことない短編集だった。いや、普通に読んだことあるけど忘れてるというのも全然ありうるけど。
本作は、タイトルにもなっている「冥土行進曲」が実は夢野久作の遺稿でもあり、ラストに満を持して登場するのだが… それまでの短編の完成度が高すぎたのか、ちょっと拍子抜けだった。未完成だったのかも知れない。
なぜか船や炭鉱の話が多く、設定もなんか似通っていて繋がってるのかと思いきや、特にそうではない。
そしてどの話も夢野久作作品らしく、二転三転四転していく。もはやどれが真実だかわかりゃしない。だがそれでいいんだ。
「焦点を合わせる」が一番行ったり気たりで幻惑させられた。でもそれが面白いんだなぁ。結局話がなんだったのか良く理解できていないが!夢野久作作品はストーリーを理解して楽しむと言うよりは体験重視という感じがする。
だが、逆転するのが頭に入っていると、普通の話でも「さあいつ反転するんだ?」と訝しむ読み方になってしまい、「爆弾太平記」はストレートに終わったので「おっ… なるほど、まあ、面白かったですけど」ってなってしまった。そうか、転がない場合もあるか…
「商店を合わせる」で出てきた、ニトログリセリンとジンを合わせたダイナジン(ニトログリセリンはダイナマイトに使われているから)というカクテルが気になりすぎた。ネタかと思いきや、ニトログリセリン自体は医薬品でもあり、狭心症の治療に使われているらしい。気になるけど、そこまでして飲みたくはないかな。
あと、夢野久作作品に顕著なのは「…」いわゆる三点リーダー。めっちゃよく見る。
これの「正しい使い方」、ほんとは「……」と2つ並べるというのは往々にして話題になるやつ。そして自分もその2つ並びを見る度に違和感を覚えていた。でも夢野久作作品ではきちんと三点リーダを2つ使ってるんだよなぁ。この頃は普通だったのだろうか。
いつものように読み飛ばしそうになったが、解説がまた面白かった。
江戸川乱歩などが「本格探偵小説」ではなく、『謎が合理的に解き明かされていく快感などはない。しかし、現実を相対化する視点を獲得し、非論理の論理に淫する愉悦がある』「変格探偵小説」を始め、夢野久作はそれに全身で取り組んだ。
確かに、夢野久作作品は探偵小説の快感はない。犯人探しやトリックの解決法なんか全然出てこない。謎ばかりが出てきて、たまに解決するけど大体はホホホホホホ……やアッハッハッハッハ……という笑い声でかき消される印象。でもそれがまさに「被論理の論理に淫する愉悦」だわ。
また、この短編集では漁業や炭鉱の話が多く、且つ解像度の高さが異常だったので、夢野久作の実体験を元にしたものなのか…?と思ったが、解説を読むとものすごく取材をしていたり、親類から聞いた話を昇華していたりしたらしい。とんでもないよなー。名前は轟雷雄とか須婆田とか変わったものが多いけど、その他の細かい内容はとにかく引き込まれるほど詳細。
こういう細かさから話がどんどん現実性を帯びて、その世界に引き込まれていくという仕組みになっている気がするなぁ。 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「瓶詰地獄」です。「この表紙いいね~!今まで借りた中で一番いい!」と、ボカロ好きなうちの息子が言いました。現役乙女世代にも、いい感じに見えるんですね!でも息子は読まないと思うけど(^-^;
浜辺に流れついた、ビール瓶3本…その中には手紙が詰められていた…。この手紙はある無人島から流れついたもので、その手紙には無人島で暮らす兄と妹の生活が綴られていた…。漂着当初は不自由もなかったが、年月の経過によりお互いに成長したことでふたりの心に変化が生じたことで苦しみ、やがては死をも覚悟するようになる…。
ふたりはどうなったんだろう…3通の手紙から読み取れることしかわからない、言ってしまえば想像するほかないんだけれど、切ない胸の想いと葛藤が痛いほど伝わってくる作品でした。3通の手紙は、書かれた順ではないところも想像力を高められる要因になっています。そしてホノジロトヲジさんのイラストが、読みながら見るとますますキレイで…私的にはこの作品、すごく好きです!