夢野久作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この小説はかの“夜は短し歩けよ乙女”の作者森見登美彦さんのお勧めの文庫本6冊中の一冊です。
夢野久作という作家の名前は知っていましたが、作品のジャンルを怪奇小説?例えば横溝正史風のおどろおどろしい内容だと誤解していました。
得てして食わず嫌いの先入観が読書の幅を狭めるものです。
という訳で森見さんの勧めとあらばと手に取った小説は決して怪奇小説ではなかったのでした。どちらかというと、大衆向きの冒険小説、人間離れしたヒーローが活躍する近代小説というべきものですか。
そこに森見登美彦の小説の原型も見え隠れします。雰囲気が漂っていますね。
時代は日清戦争の前夜という設定。ところは福岡。主人公は出生その物が怪しい“チイ”と呼ばれる大道芸人の7歳の美少年。しかし普段は女装しおかっぱ頭で猥褻な“アネサン待ち待ち”踊りを踊って客からおひねりを頂戴する役目。両親は彼の本当の親ではなく旅芸人の道すがら盗人を働いたりして、チイをどこからかさらって子どもをだしにして稼いでいるいうならばとんでもない親です。
チイは見た目はきっと女の子そのものなんだろうと思います・・途中で彼を女の子と思いこんで貰い受けたいというアネサンもいたりしますから・・・。しかしこの小説では犬神博士のあだ名を持つ主人公が自分の子供時代のことを(=チイのお話)吾輩という一人称を使い語っているので、どうも人物が二人いるような感覚を覚えました。
それにしても、奇想天外と言ってよい小説です。同時に胸がすくような思いや喝采する場面が多く登場します。何といってもどう見ても不幸な生い立ちと境遇という常識に囚われないチイの言動が周りの大人を圧倒します。そして数々の人間離れした能力でイカサマな賭博師をやっつけたり政治家にまで目をかけられたりするのです。
お話は途中で終わっていますが、さてチイはこれからどこへ行くのでしょう・・ -
Posted by ブクログ
夢Qにしては信じられないくらいポップ。
おカッパ頭の少女のなりをした踊りの名手、大道芸人の美少年チイは、風俗壊乱踊りを踊ってワイセツ罪でつかまるが、超能力ぶりを発揮して当局者をケムにまく。つづいていかさま賭博を見破ったり、右翼玄洋社の壮士と炭坑労働者とのケンカを押さえるなど八面六臂の大活躍。大衆芸能を抑圧しようとする体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを、北九州を舞台に、緻密で躍動的な文体で描き出す、夢野文学傑作の一つ。 -作品紹介
ポップやけど、世間や「大人」に対する違和感や憤りが見え隠れするので、「夢Qらしさ」はあると思う。
未完なのが惜しい。いろいろ想像するのも楽しいが、やっぱり著者がこの後どう書くかが気になる。
あとどうしても犬神博士=チイとは思えない。。 -
Posted by ブクログ
この手の話はネタバレすると途端に面白みが半減するのでかなり注意しましょう。そしてネタバレします。
うん、読むと気が狂う話って言うからどんなものかと思ったらエンドレスでしかも誰も幸せになれない話だった。確かにこれは読後感が悪い。でもよく作りこんであるからそんなに嫌いな話ではないかな。そしてマンガにしてもこれだけ面白いのだから原作はさぞやリアリティがあることだろう。この作者はいつもミステリー系を書いてるんだったっけ。やっぱりどこかジャンルの書き方みたいなものをマンガからでも感じるなあ。
原作ではないので、内容よりも主にマンガの描き方について触れておきたい。一読してからもう一度読み返してみると主人公と若林教授の反応の仕方がそれぞれ非常に頷ける。ちなみに一ページ目を見たときからそれが分かる。冒頭に入る火と女の首と鍬の描写。そして「次こそこの事件を解決する」と意気込む若林教授。内容だけ追っていくマンガならばこれで十分に雰囲気が伝わってくるし、もう一度読み返したときに伏線が非常に上手く盛り込まれていることに気づく。これが原作でどう書かれているのかが気になるところである…が、私は遅読なので、読みきれるがどうかは分からない。