夢野久作のレビュー一覧
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夢野久作氏による童話『ルルとミミ』。
水晶のような水がいっぱいにきらめく美しい湖のほとりに存在する、とある小さな村。
この村で鐘造りの名人であったルルとミミの父親は、寺のあたらしい鐘を造ることに失敗し、それを恥ずかしがって湖に身投げしてしまう。
成長した兄のルルは、父の跡を受け継いで、お寺の鐘をいよいよ完成させたのだが——
という話。その村には、「湖が真っ黒に濁るとよくないことが起こる」という恐ろしい言い伝えがある。
兄を救うために湖に飛び込んだミミの大冒険と、ゴシック調のダークファンタジーな雰囲気、その対比は大人の童話という感じがした。
ルルとミミの兄妹愛が尊い。メリーバッドエンドという感 -
Posted by ブクログ
夢野久作お得意の独白体の物語。
独白体故、事実か嘘か読者に決定は出来ない。
だが、誇張の入った面白い話は全てこうしたパラドックスを含んでいるものだ。
アメリカが遥かなる国であった時代。
遥かなる国は、想像の国でもある。
想像には羽根がつくので、想像力はドンドン飛翔していく。
ましてや、この語りを確かめることはだれにも出来ないのだ。
語り手が調子に乗って、あることあること、あることないこと、そしてないことないことをいくら喋っても、それは違うとは誰も言えないのだ
物語に登場するアル•カポネのようなギャングが「カント•ディック」と命名されているのが笑ってしまう。
アメリカに行った語り手の主人公が -
Posted by ブクログ
ネタバレ①小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』と並んで、日本探偵小説三大奇書と言われる「ドグラ・マグラ」の作者、夢野久作作品。
②過日読み終えた「おちくぼ姫」同様に人気てぬぐい店「かまわぬ」とのコラボ和柄Specialカバーである。
上記2点が本書を購入した理由、「ドグラ・マグラ」の難解さを思い出す度に手にとることを躊躇い、積読となっていましたが、何故か今回はすんなりと手に取ることが出来ました。
初版は昭和51年1月30日に初版発行された本書、私が所持しているのは平成25年5月25日の70版発行分。
初版から約37年半で70版、いかに多くの読者が手にして来たかがわかります。
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Posted by ブクログ
『少女地獄』は、「何んでもない」、「殺人リレー」、「火星の女」三編を収める、何れも書簡体小説。
「何んでもない」では病的虚言症の少女、姫草ユリ子が嘘を嘘で塗り固め、周辺の人を振り回して、次第に後戻り出来なくなり、ついに自殺してしまう話。読んでいくうちに姫草に愛着が湧いてしまう。キャラクターの描写がイキイキして素晴らしい。
「殺人リレー」「火星の女」などもサスペンスっぽさがあり面白かった。
『煙を吐かぬ煙突』グロテスク、かつミステリアス。エロとグロと恐怖と。読んでいて頭がぐわんぐわんする感じ(?)。『ドグラマグラ』でも感じた不思議な感覚。これぞ夢野久作マジックw
『女鉱主』では、したたかで意志の