夢野久作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夢野久作の中編三篇を収録した作品集。彼の作品の特徴を為す主題が描かれている。
「氷の涯」 (1933)
疾走というのは、いつも desperate であって、行く宛先の無いものだ。男女二人の終末の後ろ姿には、そうした何処か乾いた美しさがある。
「押絵の奇蹟」 (1929)
夢野久作らしい、伝奇的にしてロマンティシズム漂う凄絶な恋物語。夢野はしばしば、人間の精神と肉体の拠って来たる所を闡明せんとする近代の技術的学知たる精神医学と遺伝学が却って垣間見せるところの、人間存在の否応無き深淵の底知れなさを剔抉する。 「・・・、場合によりては男女間に於ける精神的の貞操の有無をも、形而下 -
Posted by ブクログ
夢野久作の「人間レコード」を原作としたSFスパイ小説という感じでしょうか。
話がかなり壮大なので、つかみ所が無い感じがしました。
舞台は今とは違うニホン。
携帯電話(作中では懐中電話)はあれど、CDは無くレコードになっている。
とまぁ、そんな感じの昭和に考えられていたちょっと未来な世界が舞台です。
脳Rと呼ばれる、正体不明の相手に、こちらも秘密捜査隊みたいな機密局が動いて戦います。
帯やら紹介やらで期待していた描写は無かったものの、スピード感はそこそこあります。
時々急ブレーキがかかるような感じがあるのが、ちょっと難点といえば難点。
面白いのか面白くないのか微妙なポイントです。
この巻では脳R -
Posted by ブクログ
大衆芸能を抑圧しようとする体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを、北九州を舞台に、緻密で躍動的な文体で描き出す、夢野文学傑作の一つ。(裏表紙より引用)
読み終えて、「まさか、未完?」と思い、調べました。
犬神博士は昭和6年9月から昭和7年1月まで、福岡日々新聞(現在の西日本新聞)に連載されたそうです。
ドグラ・マグラの発刊が昭和10年、亡くなったのが昭和11年・・・。
連載途中で亡くなったわけではないし、書き下ろしのドグラ・マグラが発刊されているわけだから、病床に臥していたわけでもなさそう。
そこまで考えて、「これで終わりだったんだ!」と思いました笑。
それくらい、唐突に終わっ -
Posted by ブクログ
2009/
2009/
読みたいです。
アジアのスラムでは、子供はどんどん増える。子供が労働力だからである。子供が労働力だからである。この国では、子供は減る一方である。人口問題とは、他方では、子供問題であろう。
子供問題は、奇妙なことに、まず人口問題として意識され、次に教育問題となり。経済問題となる。子供問題にはならないのである。子供問題を考えても、そのうち相手は大人になってしまう。
なぜ、子供問題に興味をもつか私の場合は、仕事の上で、死体を扱うからである。死体は、社会から排除される。しかし、社会から「正当に」排除される、もう一つの人間的存在がある。それは子供である。死体の場合と同じように -
購入済み
どうにもしっくりとしない
肝心の話の内容は、様々な危うい夫婦関係を描き出しているがその内容に共感を覚えたり、逆に反発したりするような気になかなかならない。どうにもしっくりとしない作品である。
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購入済み
ごくごく短い作品
ごくごく短い作品である。単なる教訓ものとして読むことができるが、自然の恵みを利用しなからそれを使って金儲けをしている人々を非難しているという、世相批判的な見方もできる。