夢野久作のレビュー一覧
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〇瓶詰めの地獄
浜辺に流れ着いた3つのビール瓶。中に手紙が入っており、第1の瓶の内容、第2の瓶の内容、第3の瓶の内容とを題字に、内容が書かれている。
短編で何度でも見返し安いので、久作ワールドを解き明かしたい人にはもってこいかも。
再再再読したい。
〇人の顔
奇妙な子と言われているチエ子と母と父との話。
チエコが不気味な事を言う。
チエコが不気味な事を媒体にしてとんでもねぇ事を暴露する。
チエコは寂しかったんやと思う。寂しくて伝えたくて奇妙やったんやと思う。可哀想。
〇死後の恋
再読する。
〇支那米の袋
読んでいる途中で大事を見つめて、「袋」と書いてあることにゾッとした。そのままゾッとする展開になった。
人の心を懐柔しカリスマ性があり都合が悪くなると人命も厭わず捨てる様はまさにサイコパス。夢野久作はサイコパスに散々な目に合わされたのではないかと思う1作だった。居たので見てたのか。
誘拐気分を味わえる。明らかに殺されるが逃げられないあの恐怖を味わえる。味わいたくない。
時代も時代だしそこそこ有りそうな感じで今まで読んだ久作の中でいちばん怖いかも。寝れない。
〇金槌
心の悪魔の成長の話。本物の悪魔は自覚がない、この一文がポイント。
他人事が悪魔なんだと思う。
父はまともで、叔父と子が悪魔で気があった。超雑だけど大体こんな動き。子の物ともしない所か見物として叔父を見ている感じが見どころ。
〇一足お先に
ドグラ・マグラの...
ファントムペイン。実際のものと幻想と認知の脳髄の....この感じ...構造か設定か、は大体ドグラと一緒だった。
何がどうでどっちがなんなのか狂わせてくる。嘘かホントか、真かウソかといったような感じ。
これを解き明かせたら、昔のバイトの店長の謎も解き明かせる気がする。暗示とは恐ろしい物だし、潜在意識にあたえる影響は自分の意思ではどうにもならない。
現実と幻想の境界線なんて無いんだよと教えてくれるような話だった。脳が溶けるというか、体が溶けて形を保てないような感覚になった。さすが日本三大奇書のジョブと言ったところ。夢の夢返し!
紅梅焼
〇冗談に殺す
オレダヨーーーオーーー
人はやっぱり犯した罪を隠し通すのが無理だと分かる -
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ネタバレ本作は全8作品からなる短編集である。(”いなか、の、じけん”と”怪夢”はショートショート集であり、さらに細かく作品数は分かれる)
本当は他の本を買う予定で本屋に行ったのだが、残念ながら目当の本が無かった。ぼんやりと小説コーナーをうろついていた時、ふと目に留まった。
久しぶりに作者の独特な世界観にヒタルのも悪くないと思い、購入し読むことにした。
全8作品のすべての感想を記載してもいいかもしれないが、冗長的になるし、読んでいてこの作品すごい!と思えるものと、正直少し俺とは合わないかなと思う作品があってイチイチ書くのもつまらない。
ここでは、表題作の「空を飛ぶパラソル」の感想だけしるして、あとはザっと記載にして終わりとしたい。
「空を飛ぶパラソル」
本作はある新聞記者が新聞のネタを狙うあまり、その対象の事を配慮せず、対象者を死なせてしまった結果、自己の良心の呵責に悩まされるという話だ。
元々、新聞記者をしていたという作者らしく、新聞記者の心理描写が鮮明に描かれているのも特長だ。
現在でも、マスコミ関係の過度な取材や捜索がその被害者の精神面や肉体面に大きな負担を強いることが問題視されることが多々ある。本作の主人公の新聞記者も、過度な取材や暴かなくてもよい事実を暴いてしまったために、第三者を自殺に追い込むなどしてしまうう。いつの時代もそうなのだが、被害者やその関係者の心理というものは一番に考えるべき点であるのに、なぜかその部分が軽視されている。今では、少しは改善されてきたようにも思えるが、マスコミ以外でもSNS等を通じて情報が垂れ流される結果、被害者心理の軽視というものはなかなか改善を見ないように思える。本当に必要なこと以外は被害者はそっとしておかなければならないはずだ。
しかし、マスコミ関係者である新聞記者も食べていかなければならない。記事が書けないとその記者が今度は生きていけないことになるかもしれない。そう考えると非常に難しい。特種を書き食べていくことが大切か、被害者感情を配慮することが大切なのか。この問いは人によって答えは変わると思う。
仮に、職業的に記事を書かなければならない事情があったとしても、列車に飛び込む女性を見殺しにするのは論外である。この点は職業意識云々というよりも、人としてどうなの?という話になる。人にはそれぞれの倫理観や価値観があるが、絶対に人を見殺しにするような行動は慎むべきだ。
この報道の姿勢という事に関して、作者はこの新聞記者に二重の罰を与えて話を締めくくってりる。この罰は強烈であり、作者が何を主張しているのか明白だと思う。
ここまで書いてきて、主張性が強い作品で夢Qらしくない気がするような感想になってしまったが、もちろん本作はきちんと作者の幻想的な世界観にはヒタルことができる。轢死した瞬間のパラソルの動きや、色の落ちたこいのぼりが飾られている墓場、祖母の死にざまなどは、夢Qらしい感じがした。
その他の作品においても、「復讐」の女が夜そっと起きるシーンや、「怪夢」のそれぞれの話のオチ、「白菊」の子供の話など、そのほかにも挙げればキリがないが、夢Qは幻想・怪奇的な世界へと俺を連れて行ってくれた。面白かった。 -
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ネタバレデビュー作「あやかしの鼓」含む10編からなる短編集。
短編ではあるが、しっかりと夢野久作ワールドを楽しめる。
夢野久作を読んでみたい!と思ったけど、長編はちょっと…という人にぴったり。
あと、ドグラ・マグラとか少女地獄とかで挫折した人にもよいと思う。
いなか、の、じけんはちゃんとオチが付いているし(まぁ結構アレだけど)、個人的にはちょっと笑える。
表題作の死後の恋は、短いけど"これぞ夢野久作ワールド"みたいな感じだし、あやかしの鼓は言うことなしだし…
再読だが、ページを捲る手が止まらなかった。
この短編集のいいところは、ちょっと夢野久作読みたいって時にさっくり読めるところだと思う。 -
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未知への恐怖。わからない、理解を拒絶するものといふのは、途方もない恐怖を生む。そして、さういふものといふのは、いつもひとの日常と隣り合はせに潛んでゐるものだ。
ひとはいつでも、自分の成してゐることは、自分の力で成しえたと思ふものである。けれど、自分といふ存在は自分ではないものが在るからこそ保証されてゐるに過ぎないのだ。
正常であらうとすればするほど、逆説的に狂気に陷つてしまふ。正常とは、正常と狂気が存在することを知りながら、あえて正常あらうとする意志のことだ。
彼は、ひとのもつさういふ二面性を巧みに拾ひあげる。巧妙なtrickや激しい動機といつたものがなくても、グロテスクといふ形で、あるひは、不可解なひとの行動や意図の介さない偶然性を用いて。さういふ神秘や謎を解き明かしていくところに彼のmysteryがあるのだ。一方で、そんなmysteryはどこまでいつても、ひとである自分には恐ろしくて解けないといふことも彼は知つてゐる。
正常だと信じてやまない世界は、いとも簡単に溶けてしまふ。狂気は唐突にひとを呑み込む。未知といふものはそれくらい、当たり前なものなのだ。それでも多くのひとは、呑み込まれず生きてゐる。もしかすると、彼は、そんな世界に決していけないといふことを知つていたから、ひたすらに考へ求め続けたのかもしれない。 -
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独白や語りは、語りの方向次第で物語の現実を構成できるといふところにあると思ふ。語る人間のことばが直接物語世界となる。他人にとつて、実際にあつたことかどうか決してわからないが、それを知る術はない。しかも、他人の解釈をはさむことのできない現実であることがほとんどである。ミステリアスやグロテスクといふのは、彼の作品で、他人の語りを斥け、ともすれば狭くなりがちな独白世界の解釈可能性を拡げる働きをしてゐるのではないか。
独白といふものは、世界事象を一方向からだけしか語れない。語り手以上の世界は望めない。だが、強烈すぎる神秘や猟奇といふものは、語り尽くされることを拒絶するものであるから、語り手のことばでは決して尽くされない。語れば語るほど、その強烈な印象は遠のいてゆく。世界の深度が増すのである。
さらに、この独白世界に、時間や次元の効果を取り入れれば、より一層独白世界が複雑化する。狂気や夢といふものは、彼の独白世界の中にあつて、独白世界の多重性を保障する。他人の解釈や語りを拒絶しながらも、狂気や夢といふものは、語られる世界が一変するほどの力をもつてゐる。『キチガイ地獄』『狂人は笑ふ』はそうした世界の転変が物語世界の多重性を際立たせ、独特の神秘性・猟奇性の語り得ぬ印象を生み出してゐると思ふ。
精神や観念に対する畏敬と考へる力を持ち合はせてゐるからこそ、語り得ぬものに辿り着くことや夢と狂気の狭間にあつて神秘と猟奇の本質を描き出せることができる。『眼を開く』の語りは、彼のさうした一面を見せてくれる。 -
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夢野久作傑作選。ちくま文庫の全集から来た短編集。
死後の恋、瓶詰地獄(「瓶詰の地獄」改題)、人の顔、支那米の袋、あやかしの鼓、は以前、角川文庫で読んだが、強烈な印象のあった瓶詰地獄以外はすっかり忘れていた。読んでいくうちに思い出したのが、支那米の袋とあやかしの鼓。女性の語り口調が特有だが、昭和初期のこの時代だからだろうか。
どれも独特の不気味さ、後味の良くないもの、それでも癖になるようなじわじわくる話ばかりだが、少し違った印象を受けたのが「いなか、の、じけん」。はじめは、如何にも田舎で起きるような、しょうもない事件を集めたものか、というのが多かった。だが次第に、笑えない事件も出てくる。不気味な話、隠微な話、不吉な話…。
全体で言うとやっぱり怖い。怖いけど読みたい。夢野久作、中毒性があるのかもしれない。 -
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数年振り、夢野久作ワールドを堪能(?)いたしました。
『氷の涯』『押絵の奇蹟』『あやかしの鼓』全3編。
全て、遺書(『押絵の奇蹟』は微妙ではあるが)の体をした書簡体。論文、記事等引用形式もあり、後の『ドグラマグラ』の片鱗も見え隠れするのも…。
個人的に気に入った順に、簡単に触れます。
イヤミス的な読後感の『押絵の奇蹟』。でも、弱ってる時ほど、とりとめのない話しに没頭したり、誰かにしたくなったりする、っていうのはわからないでもない。
ミステリー、ホラー、あやしさ(←あえて、平仮名で)、様々な要素二転三転する『あやかしの鼓』。解説にあるように、オーラス前が少し急ぎ足の感は確かに…。『瓶詰の地獄』を漫画化した、丸尾末広先生にコレも漫画化していただきたい。
『氷の涯』は仕掛け自体は面白い。ただ、舞台が第一次対戦後の旧満州ということで、自分には、ちょっと映像喚起しにくい部分もあった。ラストは「そんな〇〇あり?」的な…。
そして、同時期に文庫本の整理をしていたら、夢野久作作品は『少女地獄』しか手元になく、ガックリと肩を落とす自分がいた。