夢野久作のレビュー一覧

  • 瓶詰の地獄

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    ネタバレ

    『瓶詰地獄』
    文章を美しく飾る為に信仰を使用していると思いました。美しさを追求するために倫理を捨てて手段を選ばない夢野久作は、耽美・幻想文学者のあるべき姿な気がします。


    『死後の恋』
    寶石が好きなので大変興味を唆られました。
    お話のインスピレーションは、当時世間を騒がせていたロマノフ王朝アナスタシヤ様生存説からだと思われます。ロマノフ王朝の宝石は富と権力の象徴として大変有名です。
    実際の歴史では、1918年7月、エカテリンブルクのイパチェフ館の地下室でニコライ2世一家が銃殺された際、皇女たち(オリガ、タチアナ、マリア、アナスタシア)は銃撃を受けても即死しませんでした。コルセットや下着の裏地に大量のダイヤモンドや宝石を縫い込んでおり、それが防弾チョッキの役割を果たしていたからです。
    しかし夢野久作は、彼女を守った宝石でアナスタシアを殺しました。本当に恐ろしい人です。

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    2026年10月02日
  • 少女地獄

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    ネタバレ

    姫草ユリ子がとにかく良かった。彼女のいわんとしたいことが痛いほどわかります。自分の想像が現実になったらどれほど良いか。それを現実にもってきてしまったが故に、虚構が生まれてしまった。
    でもそれも含め彼女の人生なんだ、彼女は虚構に殺されたんだ。全てが良かったです。

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    2026年09月25日
  • 瓶詰の地獄

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    夢野久作の作品を読みやすいとは思わないが、読後の胸糞悪さを求めて読んでいる。特に「死後の恋」は重すぎてしばらく頭にこびりついていた。
    「鉄槌」「冗談に殺す」、他作品収録だが「少女地獄」「けむりを吐かぬ煙突」「女坑主」といい、夢野久作の書く魔性の女がとても好き。

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    2026年08月30日
  • 少女地獄

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    ネタバレ

    しっとりとした、つややかな印象を受ける文体だった。「……」の使い方がうまいのだろうか。

    『女坑主』の「眉香子(みかこ)」さんというお名前が素敵でした。

    どの作品もファム・ファタール的な女性が出てくる印象でしたね! よい……!

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    2026年08月29日
  • ドグラ・マグラ(下)

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    終わり方の納得感と驚きと、感情をひたすらドラム式洗濯機みたく掻き乱される。
    奇書と言われているが、読む価値のある作品。

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    2026年08月21日
  • 少女地獄

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    どの話も女性がとても強い印象だった。
    明治時代に女性が男性を狂わせて行く姿を描く作品は、現代の似通った作品とはまた違った、女性の麗しくもあり、悪知恵のある行動が読んでいてとても面白かった。
    夢野久作初読だったため、少女地獄は2回読み返さないと、流れを掴むのが難しかったが、以降は慣れた。
    こういう作品をもっと読んで、知らない漢字や表現をもっと学びたい。

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    2026年08月14日
  • 犬神博士 アニメカバー版

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    今までの夢野久作のイメージや小説の概念を大きく覆す一冊だった。
    探偵小説でも無ければ怪奇小説でもない。夢野久作らしくないような話ではあるが、夢野久作ワールドが豊かに繰り広げられている。
    チイが大風の中、両親を一生懸命になって追いかけるが、なかなか追いつけない場面の描写が実にリアルで情景がありありと目の前に浮かぶようで、たまらなく好きだった。

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    2026年07月08日
  • ドグラ・マグラ(上)

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    唯脳論、胎児の夢、等のフロイトやラカンの精神分析論の影響受けた奇抜な理論と、怪しいマッドサイエンティストによる独白が続く。確かに奇書である。

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    2026年07月03日
  • 縊死体 乙女の本棚作品集

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    まだ乙女の本棚シリーズでの作品を一冊も読んでいないけれど、これから読むのが楽しみになった(^^)♪原作を読んでいる時はもっとオドロオドロしいイメージだったものも、どれも美しく脳内変換された(*^^*)さすが乙女の本棚

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    2026年06月21日
  • 犬神博士 アニメカバー版

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    夢野久作が描く人間は全員ほんとうに魅力的で大好き!とくに、チイの達観してる部分と少年らしい部分のバランスが絶妙でよかった!ただ、米倉斉加年氏の装丁で登録したかった(T_T)

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    2026年06月09日
  • 死後の恋(乙女の本棚)

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    猟奇的な作風だが猟奇そのものを描きたいのではなく、あくまで猟奇はカモフラージュで深部の不条理や不条理に依って生み出された悲哀を描きたいのかな、と思った。面白かった。
    美麗な絵が主張しすぎず、わかりやすく載っていて、絵本としても読みやすかった。夢野久作はあんまり読んだ事が無かったのだけれど色々読んでみたくなった。

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    2026年05月26日
  • 探偵小説漫想 夢野久作随筆選

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    夢野久作の人柄が知れて面白かった。作風からは想像できないようなコミカルな語り口で、夢野久作がもっと好きになった!

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    2026年05月26日
  • ドグラ・マグラ(上)

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    ネタバレ

    かなり久しぶりに本でも読もうと思って、
    手始めに青空文庫にあるもので面白そうなもの…と思って選択したものですが、とんでもなく難解でした…。
    たぶん半分も理解していないと思われますが、
    精神がおかしい人の手記的なスタートで、
    少しずつ繋がっていく部分があるものの、
    途中で差し込まれる謎の話だったり、
    本気すぎる論文のようなものだったりがより複雑さを上げていると思った。
    また少し他の本読んで読書耐性ができたら真剣に読み込んでみようと思っています。
    読書を続けたくなるような推測や前後関係の把握を常に考えさせるような内容で読書スタートには自分的にはオススメでした。

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    2026年05月10日
  • ドグラ・マグラ(上)

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    一言感想「ドグラ・マグラってミステリだったんだ」
    「読んだ者の精神に異常をきたす?面白いじゃないかかかってこい!!!」という些か不純な動機から読み始めた本著だが、今のところ私の精神に異常は感じられない。いや、私が異常を異常と捉えていないだけかもしれないが。
    さて感想であるが、ミステリとしてとても面白い。奇書とよばれる程のものであるから、説明の過程が省かれている様な突拍子もない奇怪な内容が続くのかと思いきや、説明がとても丁寧でそこまで理解に苦しむポイントはなかった。
    本当に面白くてページを捲る手が止まらなかった。
    下巻にて全ての謎が詳らかになるのが楽しみである。
    ただ個人的な問題にはなるが、最近文字の滑りが激しいため読み落としがあるのは否めない。
    下巻も読み終わってから是非とももう一度読みたい。

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    2026年04月20日
  • 少女地獄

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    ボカロの「少女ふぜゐ」を聴いて
    「何でも無い」が一番人気かもしれないけど、個人的には「火星の女」が一番好きだった
    夢野久作の中でも読みやすい短篇集じゃないかな

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    2026年03月24日
  • ドグラ・マグラ(下)

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    まず、この本を読み切った自分を褒めたい。
    何度読破を挫折したことか。

    なんなんだこの本は。

    今まで読んできた本の中で一番濃かったことはわかる。

    何かが分かったようで何も分かっていない。

    終始夢の中にいるような感覚。

    これが混沌。

    現代人からすると非常に読みにくい本だが、最後の100ページは鳥肌が止まらなかった。

    読み切れたと言う達成感も霧散するほどの内容。

    生きてるうちに出会えてよかったとは思う。

    きっとこの本を理解する日はこないのだろう。

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    2026年03月02日
  • ドグラ・マグラ(下)

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    下巻に入ってから物語は急速に進み出す。
    難解だった上巻の正木博士による論文部分が、ここにきてちゃんと繋がる。

    終盤に差しかかるにつれ、スピード感も文体も一気に変わり怒涛の如く何もかもが暴かれていく。
    このクライマックスの鳥肌モノの恐ろしさに、ここまで読み進めてきた時間と労力が報われる。

    そして物語は唐突に冒頭の「ブゥゥーン」に戻り、ループ構造なのかと思うが、はたしてそれは本当に冒頭と同じ「ブゥゥーン」なのか?と頭がグルグルする。

    この作品、何度か読み返したが結局わかるようでわからない。

    わからないままでいいのかもしれない。

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    2026年02月24日
  • 少女地獄

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    ネタバレ

    女性特有のねちっこい執着心や虚言癖、足の引っ張り合い、全部見たことあるなあと思いながら読んだ
    その根底にあるのは、やっぱり女性って男性から「選ばれる性」であるから、「選ばれたい、特別でありたい」っていう気持ちなのかなって

    でも本作に出てくる「少女」は大抵美少女で、そんな傲慢さも美しさで許されてしまうんだよね
    そういう耽美主義なところもまた女性らしさだし、本人にも周囲にとっても「地獄」であるのかなと感じた

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    2026年02月02日
  • ルルとミミ(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    シリーズ二冊目。イラストと装丁がとっても素敵。

    夢野久作だと聞いてきっと幸せな終わり方ではないのだろうと思ったけれども。
    でも本当にルルとミミは可哀想だった?どうして語り手はそう言ったの。こんなにも幸せそうなのに、現世で生きることが全てではないでしょうに、と思わせられた。

    鐘を作るという象徴的なお仕事を大人になる前から兄妹でひたむきに取り組むその姿勢が、父の死とか背負う悲しみはあれど、とても美しかった。

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    2026年02月01日
  • あやかしの鼓 夢野久作怪奇幻想傑作選

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    「あやかしの鼓」

    夢野久作は、読者を物語の外から眺めさせる作家ではなく、
    思考と感受性そのものを実験台に乗せてくる作家だと改めて感じた。

    本作で描かれている「あやかし」は、妖怪や呪いではなく、
    感受性が強すぎる人間が“分かってしまうこと”そのものだと思う。

    鼓の音色に触れた人々は皆、
    ・他者の感情
    ・過去の無念
    ・罪悪感
    ・愛の重さ
    を自分のものとして引き受けてしまい、自他の境界を失っていく。
    それは怪異に取り憑かれたのではなく、
    共感しすぎてしまった結果、心が耐えられなかっただけなのだ。

    特に印象的だったのは、
    誰一人として「悪」として断罪されていない点。
    未亡人も、綾姫も、せいじろうも、きゅうやも、老先生も、
    皆それぞれの背景と理由を抱え、
    壊れるしかなかった構造の中にいた。

    夢野久作は善悪で世界を切り分けず、
    「理解してしまう人間が生きづらい世界の構造」を
    極めて冷静に、しかし深い愛情をもって描いている。

    この作品は、
    感受性が高い人への警告であり、遺書であり、同時に救いだと思った。
    「武装せずに共感しすぎると、人は壊れる」
    「だからこそ、自分を守る境界が必要なのだ」と。

    読む側の感受性や思考力によって、
    見える層がまったく変わる作品。
    読み終えた後、
    「自分はどこまで踏み込んでいいのか」を
    静かに問い返される、残酷で美しい短編だった。



    『悪魔祈祷書』

    夢野久作は、やはり文学作家の皮を被った研究者だと思う。
    この短編は物語という形式を借りた多重構造の思考実験であり、読者参加型のブレーンストーミングそのものだった。

    表層では「悪魔」「祈祷」「宗教」「オカルト」を扱っているが、実際に描かれているのは
    国家=宗教=支配構造、そして
    **心理学と科学が結びついたときに生じる“搾取のメカニズム”**だ。

    特に秀逸なのは、「悪魔」「神」という単語が
    •搾取する側
    •搾取される側
    •その構造を理解して俯瞰する側

    という複数の視点で同時に機能する記号として使われている点。
    読む側の思考階層によって、まったく別の作品として立ち上がる。

    古本屋の主人の立ち位置がまた恐ろしい。
    彼は反宗教・反搾取を語っているようで、実際にはその構造を完全に理解した「神側」に回っている。
    丁寧で雑談的な語り口で相手を油断させ、徐々に具体例を重ね、
    最終的に行動によって相手に自白させる——
    人間の感情と行動の非対称性を突く、極めて狡猾な心理操作だ。

    面白いのは、夢野久作自身もこの古本屋と同じ構造に立っていること。
    この作品自体が、
    •理解できない層には怪談・奇談として
    •半端に理解できる層には不安と違和感として
    •深く理解できる層には警鐘と知的快楽として

    それぞれ異なる報酬を与える設計になっている。

    善悪の断定は一切なく、肯定も否定もしない。
    ただ構造だけを提示し、あとは読者の知覚と倫理に委ねる。
    だからこそ、読み解けてしまった側には強烈な余韻と快感が残る。

    これは短編でありながら、
    夢野久作主催の秘密研究会に参加させられる作品だった。



    『瓶詰地獄』

    タイトルの回収があまりにも残酷で、だからこそ完成度が高い作品だった。
    これは禁忌や罪を描いた物語ではなく、外界との接続を失った人間が、静かに自我を崩していく過程そのものを描いた話だと思う。

    瓶という閉鎖空間、たった二人、そして十年という長い時間。
    社会から断絶されることで、善悪の判断基準も、正気かどうかを照合する視点も失われていく。
    倫理を守ろうとする最後の自我すら、対話が成立しない環境では保ちきれなくなる。

    特に印象的なのは、瓶の時系列が 3 → 2 → 1 で進む構造。
    時間が逆行しているようで、実際には理性が後退していく順番になっている。
    読者は記録を読んでいるつもりで、気づけば崩壊の直前に立たされる。

    近親相姦はテーマではない。
    罪や罰でもない。
    「閉じた関係の中で、誰にも裁かれず、誰にも救われない状態」そのものが地獄なのだと突きつけられる。

    悲しく切なく、でもどこか気持ち悪いほど気持ちいい読後感。
    人が生きるために、社会との接続がいかに不可欠かを、これ以上ない形で示した一編だった。

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    2026年01月07日