夢野久作のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、ねこ助さんの「ビルディング 乙女の本棚作品集」です。収録されてるのは、新見南吉『赤とんぼ』、中島敦『山月記』、太宰治『魚服記』、堀辰雄『鼠』、夢野久作『ルルとミミ』のイラストの中から、ねこ助さん自身が選んだ作品です。このほかに描き下ろしとして、夢野久作『ビルディング』が新たに収録されています。
これまでの「乙女の本棚作品集」(しきみさん、ホノジロトヲジさん)と同様、『ビルディング』以外の作品については本編を読むことはできません。イラストを眺めながら、あぁ…そうそう、こんなストーリーだったなぁ…と、思い出す感じですので、本編を読まれてからこの作品週を手にしたほうがよいかと感じました。または、この作品集から入って気になるものを本編で読まれるとかもいいですね!
『ビルディング』は巻末から読めるようになっており、そのイラストはねこ助さんらしい繊細なタッチで可愛さと、あとこの作品ならではの怖さを感じることができます。夜中に目が覚めると…みたいな感じ!エンディングにぞわっとしました。
これで作品集は3作品入手しました!リアルの本棚に並べて飾ろうと思ってます(^-^) -
Posted by ブクログ
表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。
文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。
太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。
梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公も病気。よく作品を作り続けたと思うし、結核患者を描かせたらリアリティがピカイチだよね。
中島の「李陵」 平時に読むと、また中国の故事みたいな話を書いてるな。言葉遣いも難しいし、タネがあるんだろうなくらいしか思わないが。
今回少し仕事で辛い時に読んだので、祖国を離れ、善戦したのに家族を皆殺しにされた李陵の苦しみと比べれば、私の悩みなんて大したことないではないかと励まされた。
泉鏡花 「縷紅新草」 ちょうど泉鏡花題材の朗読劇を観た直後に読んだ。その作品も男性(泉鏡花)と若い女性の会話劇だったので全力で演者だった櫻井孝宏さんの声を思い出しながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
皆さん挫折する、『キチガイ地獄外道祭文』の部分の方がむしろ一番読みやすかったw テキ屋の口上みたいに音読出来てとても面白かった。あ、ここ『人間腸詰』っぽい。あ、ここ『犬神博士』か?とセルフオマージュというか内容入れ込みにも感じるところが多々あってとても楽しいwただまぁやっぱ長いっすよね、かったるい、飽きる飽きるwそれは仕方がないと思うw
私としては寧ろここより小説部分の方が逆に読み進めにくいなぁと感じたw
『たのしいプロパガンダ』って本があったけど…下手したらこういうノリなんだろうなと…怖くはなりました…w
てか、解放治療って要は『シャッターアイランド』の世界だよねw
あ-―-ア
ところで…私は気が触れてません。
私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。私は気が触れてません。ところで...ところで…ところで...スカラカ、チャカポコ、スチャラカ、チャカポコ…。 -
Posted by ブクログ
太宰治と夢野久作は、同じ「少女」を題材にしていますが、まったく異なる鏡の中に彼女たちを映し出しています。
『女生徒』(太宰治)
これはまさに、少女の「内面の純度」を丁寧にすくい上げた作品です。羞恥、憧れ、自己嫌悪、ささやかな虚栄心、死と生の間を漂うような感受性が見事に描き出されています。
一見、何気ない日常を綴った一人称日記風の語りが続きますが、その中には「少女」であることのもろさと、同時にどこか気丈で背筋の伸びた誇りのようなものが垣間見えます。太宰自身がこの「女生徒」の語り口を模倣しながら、どこまでも真摯に「少女になりきる」ことで、ある種の理想化された少女像を創り出しているとも言えます。
『少女地獄』(夢野久作)
対してこちらは、「少女」という存在に潜む、欺瞞・執着・欲望・混乱を容赦なく暴き出していきます。三つの短編からなる本作では、少女たちは皆どこかずる賢く、哀れで、滑稽で、破滅的です。特に「何んでも無い」では、自己愛と虚栄に取り憑かれた少女が自滅していく様がグロテスクなまでに描かれます。
夢野は、少女の「無垢さ」を信じていません。むしろ、「純粋さ」そのものが狂気の温床になりうると見ています。太宰が「少女=内面の繊細さと可憐さ」をすくい取ろうとしたのに対し、夢野は「少女=醜悪な社会的欲望の写し鏡」として描いているとも言えます。
太宰の少女は、「なることができたかもしれない少女像」であり、夢野の少女は、「なってしまうかもしれない少女像」。
両者はまるで、光と影の補完関係のようです。太宰が「少女の尊さ」を描くことで昇華しようとしたものを、夢野は「少女の醜さ」を描くことで暴こうとしました。どちらも「少女」という仮面の内側にある、人間のどうしようもなさや愛しさを突いているからこそ、今も読まれ続けるんだと思います。
-
Posted by ブクログ
姫草ユリ子が自殺した。臼杵先生は、彼女の出会いからついた虚構まで、同じく翻弄された白鷹先生に手紙で語ってゆく。可憐で、美しく、誰からも好かれる姫草ユリ子。彼女の「何でも無い」人生の物語である。「何でも無い」の他に、「殺人リレー」「火星の女」の計3篇が収録。
「ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んでいったのです。彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。ただそれだけです」
「何でも無い」というタイトルが秀逸。自分にとっては大変に重大で特別なことも、誰かにとっては何でも無いことなのかもしれない。
個人的には「火星の女」がゴシック文学・幻想文学っぽくてかなり好みです。決して麗しい少女ではない甘川だからこその物語。 -
Posted by ブクログ
夢野久作の『瓶詰地獄』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第6巻です。
とある役場から海洋研究所に宛てて3つのボトルメールが打ちあがった旨の手紙が送られます。
手紙の内容はそれぞれ遺書、神への懺悔、両親宛ての助けを乞うもの、でした。
この手紙を出した太郎とアヤ子、二人は大海原を漂流した末にたどり着いた島で長く暮らすことになる兄妹です。
食料や資源などの豊富な島であったので兄妹は特に不自由なく生活をすることができましたが、長い年月により成長したお互いの肉体を異性として意識するようになっていきます。
男と女の関係となってしまったものは兄妹には戻れず、それは社会的にも認められないものでした。
彼らは救われても許されない十字架を背負うことになり…。
美しい純文学を美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良書です。 -
購入済み
登場人物が皆若いのに驚く
表題作の「少女地獄」が何と言っても読み応えがある。人はみな自分をよく見せたいという願望を持っているものだが、その願望がいびつに膨らんだ女を、90年も前の作品とは思えない、わかりやすい筆で描ききっている。この作品に限らず「人生50年」の時代だったせいか、登場人物が皆若いのに驚いてしまう。
-
購入済み
進路を誤らせた
この作品の登場人物が皆 作者夢野久作に関わりのある人物と知って大変に驚いた。昭和初期の右翼の巨頭「杉山茂丸」が父親だなんて。ドグラ・マグラに代表される作者の作風からは全く想像できない生い立ちだったんだな。その右翼たちの言動は「快男児」と言えるのだろうが、大日本帝國の進路を誤らせた と言えると思う。
-
Posted by ブクログ
空前絶後の幻魔怪奇探偵小説。
「…ブウウ―ンン――ンン…。」という時計の音で初まり、同じ音で終わる物語世界。徹頭徹尾己が誰か己の名前も分からぬ主人公(果たして彼は呉一郎なのか否か)。怪人めいた二人の大学教授。奇妙奇天烈雑多、絢爛たる様々なテクスト――『ドクラ・マグラ』の中の「ドグラ・マグラ」、精神医療現場の地獄を喝破した祭文語り、「脳髄は物を考える処にあらず」という超絶探偵小説と題する談話、系統発生を繰り返す個体発生の内に胎児の見る先祖から親に至るまでの歴史を繰り返す夢、世にも奇妙な遺書、遺書なのだか活動写真の描写なのだかなんとも奇天烈文体。心理遺伝という不可思議(本当にそんなこともあるかもしれぬと思わせられる)、殺人者の証言、精神鑑定者による荘重な文語体の報告書、古刹の縁起、事件関係者のさまざまな語り――そして現れる、自殺したはずのもう一人の怪教授。千年前に描かれたという死美人の絵巻物(しかし本当に千年前のものか?)。そして語られる二十年に及ぶ因縁ばなし。最後に見つかった絵巻物の真実(しかし真実か?)無限の入れ子構造の迷宮。一体何がどうなっているのやら、「私」は一体全体誰なのか、精神科学の学術実験にかけられたあわれな青年なのか否か、それとも第三者なのか。はたして二教授は本当に教授なのか狂人なのか、その語りが真実なのか、主人公への騙りなのか、そもそも語り手「私」の語りが理性的なものなのか狂者の妄想幻想なのか。「私」の発言(記録)は信用に価するのか。時間は円環しているのかそれとも無限の繰り返しなのか。疑い出すとキリがない。
何を読んだのか読めたのか分からない。だからこそ何度も読みたくなるのか。目眩く読書体験。恐るべし『ドグラマグラ』