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Posted by ブクログ
空前絶後の幻魔怪奇探偵小説。
「…ブウウ―ンン――ンン…。」という時計の音で初まり、同じ音で終わる物語世界。徹頭徹尾己が誰か己の名前も分からぬ主人公(果たして彼は呉一郎なのか否か)。怪人めいた二人の大学教授。奇妙奇天烈雑多、絢爛たる様々なテクスト――『ドクラ・マグラ』の中の「ドグラ・マグラ」、精神医療現場の地獄を喝破した祭文語り、「脳髄は物を考える処にあらず」という超絶探偵小説と題する談話、系統発生を繰り返す個体発生の内に胎児の見る先祖から親に至るまでの歴史を繰り返す夢、世にも奇妙な遺書、遺書なのだか活動写真の描写なのだかなんとも奇天烈文体。心理遺伝という不可思議(本当にそんなこともあるかもしれぬと思わせられる)、殺人者の証言、精神鑑定者による荘重な文語体の報告書、古刹の縁起、事件関係者のさまざまな語り――そして現れる、自殺したはずのもう一人の怪教授。千年前に描かれたという死美人の絵巻物(しかし本当に千年前のものか?)。そして語られる二十年に及ぶ因縁ばなし。最後に見つかった絵巻物の真実(しかし真実か?)無限の入れ子構造の迷宮。一体何がどうなっているのやら、「私」は一体全体誰なのか、精神科学の学術実験にかけられたあわれな青年なのか否か、それとも第三者なのか。はたして二教授は本当に教授なのか狂人なのか、その語りが真実なのか、主人公への騙りなのか、そもそも語り手「私」の語りが理性的なものなのか狂者の妄想幻想なのか。「私」の発言(記録)は信用に価するのか。時間は円環しているのかそれとも無限の繰り返しなのか。疑い出すとキリがない。
何を読んだのか読めたのか分からない。だからこそ何度も読みたくなるのか。目眩く読書体験。恐るべし『ドグラマグラ』
Posted by ブクログ
オーディオブックだったので、上下まとめて聴きました。どこから下巻かわからなかったので、本の感想は上巻のコピーです。
日本三台奇書のひとつ。
名作なので、表紙をなんとかして欲しい。
長く、読みにくく、難解。活字をあきらめて、オーディオブックで挑戦しました。
ミステリーという器に、グロテクスさ全部乗せ!
といった印象です。
しかしながら、物語の奇抜さで読ませるのではなく、繊細な心理描写、情景描写が秀逸でのめり込みました。感じました。名作かと。
前半繰り広げられる、無意味とも思えるストーリーが、後半見事に繋がっていく所に鳥肌が立ちました。ただ、前半は読むの(聴くの)が辛い…。
この本が、50年近く前に書かれたなんて…。
本って素晴らしい。読書って素晴らしい。
以下、備忘録
呉一郎の目の光を押し返す。
死人の呼吸が聞こえるような静けさ
乾燥した喉に唾液を押しやったた。
魂から滴り落ちる、血と汗のにおいがわかる
探偵小説は、犯人と探偵の脳髄のスポーツ
脳髄は、謎のご本尊。巨大なタンパク質のスフィンクス。脳のために人体があるのか、人体のために脳があるのかわからない。人体の専制君主。
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