夢野久作のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ夢野久作先生らしい、「人」の持っている恐怖を扱った作品集だと思った。また、人によって解釈の方法があるのも夢野先生らしいと感じた。先生が考える背景を理解できなかったので、様々な人の解説記事を読んでみたけれど、実に様々な解釈があって面白かった。特に『瓶詰地獄』は面白かった。
『死後の恋』はよくわからなかった。『悪魔祈祷書』は、店主の嘘(?)をずっと独白するということかな。『支那米の袋』は、とってもよくできていると思った。人間の残虐性や非情さがもっともわかりやすく著している作品だった。
『難船小僧』は、よくわからなかった。とりあえず、迷信を恐れないでやったから良かったということかな。
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Posted by ブクログ
夢野久作氏の代表作を3つ網羅したが・・・
普通の本屋で他の作品って売ってるのかな。
いいよね。あの明治あたりのハイカラ文化の雰囲気。
豪傑な九州男児の悶着は、ちょっと雰囲気違うけど、文体の心地よさは健在。すき。
子どもが主人公の作品は、映像での作品化は難しいのではないかと思う。
「子どもは子どもにしかなり得ない。」
複雑な感情の機微を演技に置き換えていくにはきっと経験値が足りなくて、客観的にしかとらえられないからじゃないかと思う。
それをあえて映像に挑戦するなんて野暮なことはしないで、
だからこそ、小説を、漫画を読む意味を考え、味わいたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ探偵小説に分類される本作は、序盤に大きな謎を提示する点で探偵小説的な形式をとっているだけで、独白小説と言い表したほうが近しいと思う。
作中では、唯物論的アプローチを批判する文書がいくつか登場するが、ひどく簡単に換言すれば、「正常」な精神を備えた人間など存在しない、ということなのではなかろうか。そのことについて、これまで考えたこともなかった深度で考えさせられた。
また、その文書で触れられた視点が、後半で本筋の物語へと回帰する際に、読者に解釈の可能性を与えてくれていた。
とはいえ、何だかよくわからないという印象は変わらない。しかし、主人公である語り部の思念が、読者が物語展開から受け取る印象と -
Posted by ブクログ
表題作『人間腸詰』:夢野久作らしい語り口とおかしみと血生臭さのある作品。かみんかみん。
『木魂』:優しくて繊細な数学教師の父と、賢くて素直な幼い息子、二人の家族の悲劇。悲しいのに神秘的で美しい。
『悪魔祈祷書』:店主がいわく付きの商品について客に語るのは同作者の『白くれない』もそうだったと思うけど、ぞっとさせるだけさせて真相は拍子抜けするくらい単純なものというオチも似ていた。でもその“ぞっとさせる”部分が凝りに凝ってて好きだし面白いから、もっと頂戴という気持ちになる。
『戦場』:情景描写が凄まじく、戦地となっているフランスの夜の極寒が読んできて身に染み渡る。
この辺りの作品が好き。 -
Posted by ブクログ
物語の全体像がほとんど見えないまま進んでいく、不安と混乱に満ちた作品。
記憶を失った主人公の視点を通して、こちらもまた状況を理解できないまま放り込まれ、現実と妄想の境界が次第に曖昧になっていく。
特に、断片的な資料や学説、意味深な会話が次々と提示されるが、それらが明確につながることはなく、常に疑念を抱えながら読み進めることになる。
この「分からなさ」そのものが不気味さを生み、精神がじわじわと侵食されていくような感覚を覚えた。
物語の核心にはまだ触れられていないものの、上巻だけでも十分に狂気と異常性が伝わってくる。
理解しようとするほど不安が増していく感覚は強烈で、下巻で何が明かされるのかを -
Posted by ブクログ
まず装画が怪しげで綺麗!いわゆるジャケ買い
あとタイトル『疵の迷楼』別世界へと誘い込まれるような魅惑的な感じに加え、名だたる文豪たちの作品に興味を引かれてしまう。
まだ、このとき耽美という言葉の意味を理解していなかった。ただ「美しい」くらいにしかとらえていなかったので読んでみたら本当の意味を思い知らされ、常軌を逸した世界への入り口だった。
なかなか普通の感覚では理解、共感し難い作品ばかり。どの作品も何かに心を奪われていたり、病的にのめり込んでいたりと現実からかけ離れていて危うい空気が漂っている。
抗いがたい好奇心や欲望、まるで[パンドラの箱]を開けてしまったようなそんな感じだ。
収録されて