感情タグBEST3
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夢野久作先生らしい、「人」の持っている恐怖を扱った作品集だと思った。また、人によって解釈の方法があるのも夢野先生らしいと感じた。先生が考える背景を理解できなかったので、様々な人の解説記事を読んでみたけれど、実に様々な解釈があって面白かった。特に『瓶詰地獄』は面白かった。
『死後の恋』はよくわからなかった。『悪魔祈祷書』は、店主の嘘(?)をずっと独白するということかな。『支那米の袋』は、とってもよくできていると思った。人間の残虐性や非情さがもっともわかりやすく著している作品だった。
『難船小僧』は、よくわからなかった。とりあえず、迷信を恐れないでやったから良かったということかな。
ほかの収録作品は、『幽霊と推進機』・『怪夢』・『白菊』・『いなか、の、じけん』・『木魂』・『あやかしの鼓』だった。
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「死後の恋」
兵隊。宝石。没落貴族。木にくくりつけられた死体。アナスタシヤ。
「瓶詰め地獄」
「悪魔祈禱書」
古本。教授。
「支那米の袋」
美しいロシア娘。船の男たち。騙された女たちの発狂。
「難船小僧」
船を沈めるSOSボーイ。
「幽霊と推進機」
「怪夢」
「白菊」
逃亡中の強盗。人形の並んだ月夜の部屋。西洋少女。
「いなか、の、じけん」
「木魂」
数学者。鉄道線路。死んだ妻と息子。
「あやかしの鼓」
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未知への恐怖。わからない、理解を拒絶するものといふのは、途方もない恐怖を生む。そして、さういふものといふのは、いつもひとの日常と隣り合はせに潛んでゐるものだ。
ひとはいつでも、自分の成してゐることは、自分の力で成しえたと思ふものである。けれど、自分といふ存在は自分ではないものが在るからこそ保証されてゐるに過ぎないのだ。
正常であらうとすればするほど、逆説的に狂気に陷つてしまふ。正常とは、正常と狂気が存在することを知りながら、あえて正常あらうとする意志のことだ。
彼は、ひとのもつさういふ二面性を巧みに拾ひあげる。巧妙なtrickや激しい動機といつたものがなくても、グロテスクといふ形で、あるひは、不可解なひとの行動や意図の介さない偶然性を用いて。さういふ神秘や謎を解き明かしていくところに彼のmysteryがあるのだ。一方で、そんなmysteryはどこまでいつても、ひとである自分には恐ろしくて解けないといふことも彼は知つてゐる。
正常だと信じてやまない世界は、いとも簡単に溶けてしまふ。狂気は唐突にひとを呑み込む。未知といふものはそれくらい、当たり前なものなのだ。それでも多くのひとは、呑み込まれず生きてゐる。もしかすると、彼は、そんな世界に決していけないといふことを知つていたから、ひたすらに考へ求め続けたのかもしれない。
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「あやかしの鼓」のみ再読。このぞわっとするような空気がたまらない。
鼓に限らず、人が丹精こめて作ったものには、良くも悪くも何かが宿っていると思う。
それが何人もの人に受け継がれていくものならなおさらだ。
Posted by ブクログ
だいぶ文体にも慣れてきたけれど、よくわからない...
一度読んだだけではなかなか理解できないが嫌いではないし他の作品も読みたいとは思うけれど個人的に読後感はあまり良くはない。
そしてやっぱりこの本を読んでいる間は夢見が悪かった(笑)
Posted by ブクログ
夢野久作の得意な怪奇、倒錯した性、ミステリーが凝縮された短編集。
なかでも表題作「あやかしの鼓」は主人公の独白で語られるが、心理描写はリアルで、90年近く前に書かれたものとは思えないほど主人公の息遣いを近くに感じることができる。
またストーリーにもたくさんの仕掛けがあり、糸がほぐれるように少しずつ謎が明らかになる感覚は非常に心地よい。
Posted by ブクログ
癖のある文体、気味の悪い表現。
苦手な人は受け付けない要素だが、一度ハマルとどっぷり。
夢野久作にはそんな中毒性がある。
死語の恋と缶詰地獄が好き。
Posted by ブクログ
鼓作りの男が、想い焦がれた女性へ贈った鼓の陰気な、けれども静かな美しい音が…。表題作をはじめ夢と現実が不思議に交錯する華麗妖美な世界があなたを誘う。夢野文学の入門書とも言える決定版の一冊。
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話の切り口がなるほどと思いながらも、ほの暗い印象も含めて重くそれでいて手を打つような見事さがありました。
初めて読んだけど他の作品も読もうかなって思えるものでした!
Posted by ブクログ
あやかしの鼓―夢野久作怪奇幻想傑作選
(和書)2009年05月27日 18:02
1998 角川書店 夢野 久作
随分前に「ドグラ・マグラ」を読んで凄く面白いなって思った作家だった。今回は、短篇集と言うことで「少女地獄」以来だった。しかしどれを読んでも「ドグラ・マグラ」に見劣りしてしまうように感じた。
もう一回「ドグラ・マグラ」を読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
綾皮の樫で出来た宝尽くしの鼓、あやかしの鼓の物語。
人を気狂いにさせる鼓を持つ美しい綾姫一族と、天性の鼓打ち音丸一族の因縁。
どうやら、絵面のコントラストと艶やかさ、織りが細かく、心の深淵を這うような物語運びが、夢野久作の特色であるらしい。
無意味な、壮絶な暗さの無いところが良い。
Posted by ブクログ
「ドグラ・マグラ」へのウォーミングアップのために。
有名な「瓶詰地獄」が入っていたので。
これの解釈が気になる。
「悪魔祈祷書」は乱歩の「人間椅子」みたいでイイ。