あらすじ
ハハハ。イヨイヨ人間レコードを使いおったわい――。昭和×年、下関に寄港した連絡船から、老人が降り立った。骨と皮ばかりに痩せ衰えた老人が口を開くと、語られたのは耳を疑いたくなるような言葉だった。老人には諜報活動を成功させようとする強国によって、前代未聞の人体実験が施されていたのだ。表題作「人間レコード」ほか、人間心理を根底から揺るがす白眉5作を厳選。読む者を異世界へと誘う禁断の怪奇・暗黒小説集。
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Posted by ブクログ
独特な文体は相変わらずですが、ご近所トラブル集と思えなくもない。
■笑う啞女
若い医師と才媛の婚礼の宴席に、頭のおかしい女が現れる。女の笑い声の執拗な描写が怖い。「エベエベ、ケケケ、アワアワ」
■人間レコード
東亜の戦時中が舞台。人体そのものを暗号情報に仕立てられた老人の末路。
本当の共産主義は「他人の物は我が物、我が物は他人の物」、志那の共産主義は「他人の物は我が物、我が物は我がの物」というジャイアン思想の一説が印象的。
■衝突心理
川崎でのトラック衝突事故。対向車がいるときのハイビーム問題。ラストでチョイドンデン返し。飲酒運転は危ない。
Posted by ブクログ
一番最初の「笑う啞女」が特に夢野久作って感じがした。
絶対に言えない秘密を抱えながら、その秘密を唯一知っている(というか当事者の)啞女に付き纏われた挙句のラスト。怖い。