カツセマサヒコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
サクッと読めて、『無意識に加害者になっていること』について考えさせられた。
誰でも、意図せず誰かを傷つけてしまった経験も傷ついたこと経験もあるんじゃないかな。自分も、自分から離れて行った人も自分から離れた人もどちらも思い当たる。
雨宮も土方も、どちらも加害者になっていた。違ったのは、雨宮はそれを指摘してくれる恋人やパワハラの撲滅に努める新しい上司おかげでそういう自分に向き合えて、変わろうとしていった。
一方の土方は、家族や部下が何度もサインを出していたのに全く気がつかず、すべてを失ってもなお自分の何が悪いのかが分からなかった。
歳を重ねるにつれて指摘してくれる人は減っていき、黙って離れていく。 -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと続きが気になって一気読み
自分でも驚くほどの速さで読み終えた小説
恋は盲目とはこのことか!
私は不倫浮気大反対で小説に出てきたら一旦閉じてしまうレベルやけど、この小説ではいわゆる不倫相手の"僕"に同情してしまったな
ここまで人好きになれるのすごいよ~
もはや羨ましいまである
"彼女"悪いなあ、どれだけ魅力的なん会ってみたいわ
恋愛小説かと思いきや、それ以外の要素あり
「勝ち組」やったはずやのに、気づいたら描いてた将来とかけ離れた現在を生きてて、でも振り返ってみればあのとき楽しかったよな~って
思ってた仕事じゃないとか当たり前にある残業とか帰って -
Posted by ブクログ
新鮮、でした。
群像劇なのに誰の目線にも縛られていない気がします。強いて言うなら「被害者」のストーリーというのか。。そんなの当たり前かもしれませんが、ネグレクト・DV・パワハラ、一方向の想いが相手を透過していく苦しさは、コミュニケーション不全のわが家にも当てはまる気がして寒さを感じます。
元恋人の死を知り、ひとしきり嘆く場面でひっかかるフレーズもありました。
── 本当はりんちゃんの死自体を泣きたいのに、自分のことばかりで泣きそうになるのが、またダサくて、耐えられなかった。
自分への内向きの矢印。
思春期が過ぎても内外のバランスがとれていない、自分の外側にもう一重の自分がいて、その万華鏡の -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――「海の街の十二歳」
小学校教諭の岬と保育士の珊瑚。幼なじみの二人は休日に近くの海へドライブへ行った。渋滞にはまった帰り道、二人は光るスニーカーをはいた4歳くらいの子供が一人で歩いているのを見つけ――「岬と珊瑚」
高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――「鯨骨」
海の街にたゆたう人々の生の営みを、鮮や -
Posted by ブクログ
海が見える街で暮らす人たちのそれぞれ。
7編の短編集。
どれも少し切なさや哀しさ、儚さや脆さなど弱いところを感じさせる。
生きているというのは楽しいばかりではなくて、営んでいくうちに積み上がっていく欠片を海に流してまた積み上げて…の繰り返しなのかもしれないと思えた。
徒波〜都会を離れ逃げるように移り住んだ土地で、元恋人に会った…。
海の街の十二歳〜クラスメイトのタイムカプセルを掘り起こしたら…。
岬と珊瑚〜職場からの逃亡を企てる学校教師と保育士が、迷子を見つけて…。
氷塊、溶けて流れる〜絶縁していた父に我が子と同じ歳の子どもがいたという…。
オーシャンズ〜潰れた八百屋に隠されていた