カツセマサヒコのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレあのころはたしかに「こうなりたい」「このままでいいのかな」「私ってなんだろう」って悩んではお酒飲んでまあきっと大丈夫だよー!と紛らわせていた、あのころも一生懸命に生きていたんだよね、って後ろを振り返るのも悪くないんだよ、と肯定してもらった話でした。
どん底に落ちきって終わっちゃうんじゃないかって心配になる主人公がゆっくりと上空飛行へ飛び出して最後は朗らかな光に向かって進み出している様子が良かった。
落ちきったときの描写は繊細にリアルで、ほんとに壊れてしまうんじゃないかと苦しい表現だったけど、辛い記憶と幸せだった記憶は過ごすと薄れていくにつれて心もちょっとずる凪になるのが現実的だった。
生活の大半の仕事に余計な思考を使わなくていいから、悲しいことを考えなくともいいのが、良いことなのかもね。とかぼんやりと感じたり。
会社で出会った悪友のような途切れない存在は大人になってからはほんとうに貴重で、自分のダサい姿も丸ごと愛して貰えるような親友と一緒にいたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ多分、この本を読んだタイミングがドンピシャだった。そんな事あんまりない。
自分は他の人とは違う、特別だと言う感覚だけがずっとあって(それは皆んな持ってて)、大学をそれなりに意識高く過ごし、なのに会社選びでは結局箱に入り、その箱を飛び出して自分の好きなことをやってるものだけが声高にSNSに投稿するもんだから、比べて自分は何をやってるんだろう、「こんなはずじゃなかったのに」と友人や恋人と遅くまで語る。渦中にいる時、それは悶々とした苦しい時間だったかもしれない。
でも後から家族なんかを持ったりして、もっと忙しくていっぱいいっぱいになったとき、振り返って、あれはあれで人生のとても楽しい青く自由な時間だったと懐かしむのかもしれない。その時の思い出はいつも深夜や夜明けだから(体力のある20代しかできん)、タイトルがこうなのも納得だ。
キラキラしてるだろう人が実際そうでもなかったところを見てガッカリする、人にこんなはずだった、たいう幻想を勝手に期待して残念がるものなのかもしれない、という文章がめちゃくちゃ共感できた。
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2025/09/02再読
ー承認欲求や自己顕示欲、経済的な見栄に左右されず、自分の世界をしなやかに生きてられる人ではなければ、いつまでも自分の人生の主役になれず、モヤモヤし続ける。SNSが僕らにもたらした未来は、なかなか残酷なものだと思う。
ーこんなハズじゃなかったって、いっぱい言ってきたじゃん?ーでも、23,4あたりって、今思えば人生のマジックアワーだったと思うのよね。
お金もそこそこあり、時間と体力はたっぷりある。こんなハズじゃなかった!って深夜までダラダラ飲んでたあの時間こそ、実は人生のマジックアワーだったんじゃないか?ほんとそれな!!
なんとなくまた読みたくなった。会社に入ってから海外に行くまでの、20代のあのこんなハズじゃなかった5年を、思い出しながらそれでも悩んでたことを愛おしく思いながら、読んだ。
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Posted by ブクログ
『パパたちの肖像』は、父親を主人公にした短編集です。育児の喜びや苦労を描いた作品集ではありますが、読んでいて強く感じたのは、「家族の幸せの形は様々、一般論では語れない」ということでした。ノウハウでは語り尽くせない生々しさに心揺さぶられます。
特に印象に残ったのは「息子の進学」です。
父親は、豊かな暮らしや便利な都会での生活に価値を見出してきました。一方で息子は、収入や効率よりも、自分が本当にやりたい研究の道を選ぼうとします。どちらが正しいという話ではありません。むしろ、親子であっても見ている世界が違うこと、そして父親が息子の価値観を理解しようとする姿に心を動かされました。
「髪を結ぶ」も忘れられません。不器用な父親が子育てに悪戦苦闘し、自分は父親に向いていないのではないかと悩みます。しかし子どもは、完璧な父親ではなく、一生懸命向き合ってくれる父親をちゃんと見ている。長所だけでなく弱さも含めて受け入れていることに心打たれます。
そして「そういう家族がそこにある」。共働きから専業主婦という選択をした家族が描かれますが、本作が教えてくれるのは「一般論では人の幸せは測れない」ということです。外から見ればリスクに見える選択でも、その家族にはその家族なりの理由と幸せがあります。
読んでいて何度も感じたのは、家族であっても相手の気持ちは完全にはわからないということです。それでも理解しようとすることはできる。価値観の違いに戸惑いながらも、対話を重ねていく姿がとても温かく描かれています。
パパの育児小説の目線から、家族という小さな共同体の中で、人がどう成長し、どう相手を受け入れていくかを描いた物語集でした。
子育て中の人はもちろん、親との関係や夫婦関係について考えるすべての人におすすめしたい一冊です。