カツセマサヒコのレビュー一覧
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最近読んだ小説で1番おもしろかった。
YouTubeの積読チャンネルで『屁理屈と哲学』が紹介されていたとき、「小説は心の延べ床面積を増やすために存在している」という内容があり、飯田さんが「小説は人生の予習」と言ってたのだけど、自分的にこの本はまさにそれを体現するものに感じた。
登場人物に自分と近い境遇の人はいないんだけど、似たような感情や場面に遭遇したことはあって、そのリアルさから登場人物たちの決断すべてが自分事に感じる感覚がある。
indigoのアルバムを本にしたものってことは買った後に知ったけど、単純に小説として楽しめた。
アルバム聴いてみよ
「嘔吐」が繰り返し出てきて、この描写好きなんだなーって思った(笑)
見るのも嫌な字だから1回にしてほしいし、別に嘔吐って表現じゃなくてもいいだろって思っちゃった -
Posted by ブクログ
お話の主要な場面に「猫」が登場するアンソロジー。
内容はミステリーだったり、エッセイだったり。。
どれも秀逸で、面白く読むことができました。
最初の作家さんの、親の影響で猫を飼っていて、仕事の中で余命いくばくの猫に遭遇して・・のお話も良かったし、ミステリー好きとしては、ロックの仲間割れを招いた猫の話、離婚話で持ち上がったある疑惑から、猫が切欠で現実味が帯びる話はゾクッとするものがありました。
その中でも、一番好きなのは、野良ちゃんを見守るご家族のエピソードが詰まった、感動&笑いのお話。とても良かったし、私がポチっとしたこの電子書籍代も、猫ちゃんの治療の還元に役立てば大変うれしいです笑 -
Posted by ブクログ
子育て中のパパさんに、ぜひオススメしたい。7人の作家さんによる「現代人としての」父の姿。不器用ながらも懸命に子育てしているパパたちが勢ぞろいした短編集。どの話もどうってことのない日常ではあるんだけど、本としてまとまってくると「みなさん色々抱えてますよね…」と言いたくなる。めちゃくちゃ秀逸な1冊。
どの話にも共感しかない…と思って読んだ。特に子どもが小さい、という話は苦しいくらいに我が家の話。7つのうち6つが共働き夫婦の話なのも、私にとっては共感につながった。
岩井圭也『連絡帳の父』と、河邉徹『髪を結ぶ』は泣いた。
7人の作家さんのうち、6人が1980年代生まれなのだそうだ。私と同世代だ。全員パパさんだというから、「父になったからこそ書けました」という作品なんだな、としみじみ思う。
今の世の中、パパさんの役割ってめっちゃ多いんじゃないかと思う。仕事に加えて子育ても男女平等。男性の家事時間はまだまだ女性に比べて少ない、というけど、やってる人はやってる。きっと。
作家さんは、基本的に会社員よりも時間の制約が少なそうなイメージがある。家事や育児は融通がきくほうがやる、というと、それなりに多くの時間を担っているんじゃないかと想像する。
それでいて、仕事の成果も求められる。
キッツー。
これ、みんなどうしてるの?と聞きたい。
我が家も、夫は私と同等、いやそれ以上に家事と育児に多くの時間を割いている。私は融通がきかない昭和的な職場で働いていて、夫はかなりフレキシブルな職場なので、ついついお願いしてしまう。
「なんでオレばっかり!」と怒られてしまう。言いたい気持ちはよくわかる。
「パパ友になれそうな人がいっぱい出てくるよ」と言って、夫にオススメした。
「装画のクロッキー画が素敵だから、それだけパラパラ見るだけでも」と言っておいたら、その装画を見て、気になった話だけ読んだ、と言う。
そう。装画が素敵なのよ。
読み終わってから見返すと、ストーリーの中で印象的な場面が描かれていて「あー、なるほど」と思う。
夫は全部を読んでいないとは言うものの、外山薫の『ダディトラック』を読んでかなり共感した様子だった。
この本は、雑誌VERY2026.2月号『VERY的誌上読書会』のコーナーで、カツセマサヒコという作家のオススメに載っていた。
ご自身も、7つのストーリーの最後に入っている。この話だけが専業主婦の話だ。共働きだったが「もう無理」と、妻自身が専業主婦になることを選んだ。共働きであることが珍しくもなんともない現代において、「あえての専業主婦」という視点。
[もうさ、みんな大変って話をしようよ、こうなったら。飲もうぜ、飲もう。それしかないだろうが、幹事!]
と言い放つ夫の友人に、「カンパーイ!」とジョッキを合わせたくなった。
世の中にはいろんな家庭がある。
それぞれの家庭に、それぞれの事情がある。「ウチはこうやってます」という他のご家庭が参考にできる場合もあるけど、私の家庭で使えるワザとは限らない。
私も夫も、ひとり暮らしをそれなりの期間やってから結婚した。得意というほどではないけど、やっていて苦にならない家事はある。お互いに「これなら自分がやってもいい」という家事をそれぞれがこなしている。
片付けは、2人とも苦手だ。だからいつまでも部屋はぐちゃぐちゃ…。
育児も、2人とも苦手。なにをどう扱ったらいいか、まるでわからない。
そっか。
だから、この本に出てくる不器用なパパたちに共感するんだな。
子どもがいなかったら良かったのに、と時々夫が言う。
そうかなぁ?そうでもなくない?と、最近になって私は思う。
[たしかに大変だけれど、ラクであることと幸せであることは意味が違う]
『連絡帳の父』の中で、岩井圭也がそう書いている。そのとおりだと思う。
[もし親としての適正検査があるのなら、きっと面接を受ける前に落とされる。だけど向いてないと知ったからといって、辞めることのできないのが子育てだ]
『髪を結ぶ』の中で、河邉徹がそう書いている。これも、そのとおりだと思う。
ひと月ほど前に読み終わって、夫も読んだら感想を書こうと思って塩漬けにしていた。
共感できる本があって、共感してくれる人がいて。
みんなそれぞれの生活があって、家族の数だけ物語があって。
なんか、それでいいんだよな、と思う。
いろんな家庭の事情があって当たり前。
社会がもっとフレキシブルになったらいいのにな、と思う。生き方も、考え方も。 -
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ビッグになろうって意気込んでたわけじゃないけど、人よりはいい人生を歩めるんじゃないかと漠然と感じていたあの頃。同時に抱いていたえもしれぬ不安。社会人になってこんなはずじゃなかったと感じたあの日の帰り道。この作品を読みながら、記憶の底に沈澱していた、当時感じていた様々な感情や目にした情景がグワっと掘り起こされた感覚。
他の人の感想を読んでいると、これは自分のことなのではと感じている人が多い様子。かくいう僕もその1人。
不倫ではないけど、似たような、綺麗とは言えない恋にのめり込んだこともあったし、その当時の彼女から知った音楽は今でもよく聴いていたり。
現実に打ちのめされては立ち上がりを繰り返して気づけば20代後半。
振り返って何を得てきたのかわからないけど、「僕」のように、ちょっとずつ打席に立とうか葛藤しながら、着実に生きていきたい。 -
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ネタバレ今まで読んだ小説の中でもトップクラスに自分に刺さる物語だった。学生から社会人になろうとする分岐点に立つ自分にとって、大学生特有のありきたりな考えと、謎の自信が溢れてくる感じに痛いほど共感できてしまった。全てが楽しく、どうにでもなれと思っている大学生前半戦とは異なり、後半戦は自分は何者なのか、何者になりたいのかと必ずといってもいいほどもがき苦しむものであると思う。他人からの評価、世間の目、そういったものを指標にして自分の行動指針にしてしまう人がほとんどであると思うし、実際僕もそうだ。だが、この小説に出てくる彼女のような人も一定数いるわけで、私自身もそういった人に強く惹かれたことがあるし、自分の軸を持った人というのは本当に魅力に溢れていると再認識させられた。
この小説を読んで、数年付き合った本当に好きだった人のことを思い出してしまった。「引き返すことのできない、彼女のいる世界が始まった瞬間だった。」という文がとにかく美しいと感じたし、何故だか自然と涙と笑みが溢れてしまった。別れを告げられた時、全てが灰色に写り、朝起きても泣き、寝る前も泣いていた当時の感情を思い出した。どうしようも無い無力感、自分への絶望、不甲斐なさ、情けなさ、後悔、でも、それを乗り越えたからこそ今の幸せがある。新たな友人や先輩、また新しい恋人との出会いがあり、人生って何事も意味のない事じゃなく、それがあったからこそ繋がっていくものがたしかにあるんだなと感じさせてくれる経験だったし、この物語でもそうなんだなと思わされた。時間が解決してくれるというのは悔しいけどやっぱり本当だ。美しくも儚い、この小説の情景の描写や感情の描き方が本当に好きで、この人の作品をもっと読みたいと思った。 -
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自覚のない加害と対人関係(特に大切な人との関係)の不可逆性
翠にとっての雨宮はこれからの彼に賭けてみようと思える存在だったけど、美貴子にとっての土方はもう取り返しのつかないところまで絶望されていたのかな
加害した過去は消えないけど、相手が自分の今後の生き方に希望を持てるのかどうかという違いだと思った
彼氏や旦那が家事を"してくれる"、生理で辛いときにご飯を"作ってくれる"
そこに愛とか幸せを感じるのは悪いことではないはずだけど
それらが嬉しい背景には、家事や料理は女性の仕事という価値観があるのかもしれなくて
そうすると現代の女性側だってまだまだ古代魚みたいな考え方が根っこには残っているのかもしれない
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カツセマサヒコさんの文章が好きで、意外にも初エッセイ集とのこと。面白くないわけがない。
くすっと笑わせてくれるのに、本質を突いていて、まさに涙あり、笑いありの一冊。
文章が柔らかくて、包んでくれる、優しい一冊。
"私は、ずっと待っていたのだと思った。
蜘蛛の糸のように、地獄から救ってくれる手が自分に伸びてくることを、待っていた。待つことは、自ら飛び込む勇気のない人間にできる、唯一の行動だった。"
"そうやって、全部、何かのせいにして、自分を棚に上げてみてほしいと思った。その棚も、できれば、かんたんには手が届かないくらい、とびきり高い棚を用意してあげてほしい。それで、あるとき、その棚に登って周りを見回したとき、想像していたよりも世界は悪くなかったと気付いたりしたらいい。"
"インターネットに書けないことがあるから、人は会う。エッセイにすら書けないことがあるから、人は飲む。"
"「好き」は「楽しい」とか「嬉しい」に近いと思う。そして「楽しい」や「嬉しい」は、生きる意味を考える隙間をなくさせるくらい、心を満たしてくれる。" -
Posted by ブクログ
小説の最後の部分、なぜ結婚したいと思ったのか。
これからもずっと一緒にいられる方法を考えた時それが結婚だった。結婚をしないと大事な時に一緒にいられない時がある。大きな怪我をした、病気をした。そんなとき。その時恋人は遠い他人でしかない。そこでそばにいられる方法が結婚だった。結婚しなくても幸せは得られて結婚しない選択も増えている中、所詮他人である恋人が制度としてそばにいられるようになるのが結婚。血縁関係でいうとお葬式の時一番遠い存在が夫、妻。だけれどお互い一番大切な存在で、繋がっていたい、大事な時にそばにいてほしいと願う人と結婚したいと思ったし、その決断を経て当たり前かのように結婚している世の中の人たちってすごいなぁ