あらすじ
3歳年上の彼女へのプロポーズ。人事部の若手社員として関わったハラスメント疑惑。何の変哲もなかった雨宮守の人生は、26歳で大きく動き出す。恋も仕事も理想は幻想へと変わり、目の前の現実と向き合い始める20代後半――過去からも未来からも逃れることのできない世の中で、光を求めて彷徨う者たちの物語。
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Posted by ブクログ
結婚と離婚、男と女、上司と部下、昔と今では随分と印象が変わった事柄が多い。しかし、昔の価値観で接すると現代では大きく取り上げられ標的の的になり今の生活を続けることはできなくなってしまう。昔はなぜかそれが許されていたという意味では改善されたという反面、価値観のアップデートがうまくできない人は老後の人生に不安を覚える怖さもあると感じた。無自覚の加害は誰しも大なり小なりあるはずで、今後の人生では同じ過ちをしないよう思いやりをもって生活していきたいと感じた。
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結婚って何のためにするんだろう
そう思い始めていた時に読んだ一冊。
結婚を決めた青年と、離婚を言い渡された中年男性の話。
違う立場に置かれた対比だと思いきや共通点もあってお互いの視点を交互に感じられる構成が面白かった。
結婚を軸としつつも無自覚の加害に関する話がメインで、私もどこかで未だ無自覚の加害をしているかもしれないと思うと、何とも表現し難い気持ちになった。
特に翠さんの「覚えてないの?」という一言からは、何だか苦しかった。
土方さんに対する嫌悪を持って読み進めていたこともあり、守と同じ気持ちを感じたような気がする。
長谷川さんに対するハラスメントをしていた土方さんを守が裁く一方で
守も実は無自覚のうちに翠さんにモラハラをしていて、主犯ではないと見て見ぬふりをしていた学生時代に加害していた相手は土方さんの娘だった
(そのことに守も土方さんも気づいてはいない)
「もしも病気になって、大きな手術とかが必要になったとして。そのときに夫婦じゃなかったら、僕らはただの他人で、大事な決断は、両親とかがすることになる。・・・中略・・・その人の一番大事なときにそばにいてあげられず、もしかすると、看取ることすらできないかもしれない。そんなの絶対に嫌だなあって思って。これは、この感情は、恋とはまた別のものが引き継いでいる感じがするなってずっと思ってた。それで、きっと、夫婦になるのがいい。これからもそばにいるために、そうしたいって思ったんだよ。」
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結婚の話かと思いきや、ハラスメントや価値観の押し付けをはじめとする‘無自覚の加害’が主軸の小説。
グサグサ刺さった、自分の父親に似てる気がする土方課長。翠さんの言葉、良かったなあ
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私も無自覚で誰かを傷つけてきたかもしれないし、無自覚じゃなく傷つけてしまった過去があります。被害者の傷は永遠に残る。そのことを忘れてはいけないと思う。傷つけてしまった過去は変えられないけどそれを抱えながら、未来を、今を変えていくことはできる。
過去の自分と重ね合わせて、読むことができました。
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カツセさんの本は自分に合っている!
とても読みやすく考えさせられる文章が多い。
誰かの無意識・無自覚の発言は誰かを傷つけているかもしれない。
もしくは傷つけているかもしれないとうっすら分かっていても気づかないようにしている。
昨今、日常に溢れかえったハラスメントたち。
どう向き合っていくか。
そして、過去の加害と向き合い自ら向き合っていくこと今後の人生に必要と思いました。
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カツセマサヒコさん2冊め。
タイトル的には恋愛小説かと思ってたら、人間関係(世代間)の価値観の違いを描いた物語の認識でした。
土方課長のパワハラ発言、雨宮守が婚約者・翠から指摘されたサークルメンバーへのいたずら。そして両親からの「男は働き、女は家を守る」「子どもは何人ほしいか」。
自分も社会に出た20代ころから感じた違和感があったし、むず痒さは40代の今でも感じる。
親の言う事、上司の言う事(年配世代)は正しいと植え付けられた立ち位置でもあったこともあるが、今、その考え方から変化していることは親も上司も気づいて欲しいところ。
すべての人間が同じレールにそって歩いて成功するとは限らないのに、押し付けるのは違う。そうはいかないのが年配世代の男尊女卑がまだまだくすぶってるからかなと。
各々がもつ価値観を大事にし尊重あう今の時代であり、デリケートになった。
年配世代・自分たちの世代・若い子の世代が、価値観の共有をお互いにできる時代になれたらいいなぁと思う…。
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あんまり評価よくないみたいだけど、セクハラ・パワハラ・性差差別、マイクロアグレッションなどが散りばめられていて、読み物として面白かった。さすがに今どきここまではないと信じたいけど、地方とかならあるんかな。
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無自覚の加害。
あるなぁ。悩むほど重いものじゃなくても、積み重ねで呪いのように心に存在するやつ。
考えさせる且つ話がドラマとして面白い。サクサク読めた。
“結婚も、離婚も、幸せになるためのただの選択肢”
確かにそうだな、離婚は良くないものと思い込みすぎていると思った。
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無自覚に行っていること。
たしかに、自分はそのつもりがないってだけで
人にはそれは伝わってないことを学んだ。
反省をさせられる本であり、これからの行動を意識させられる本である。
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この作者さんが綴る言葉は、いつも心をグッと掴まれる!
感情描写、情景描写が繊細かつ言葉選びが散逸で、
読んでいると、本当にその人が、その物が、その景色が、実際に存在しているんじゃないか、その世界線が続いているのかなと思ってしまう。
今回の話は、風刺っぽい鋭さを感じた。
明日は我が身。もしかしたら自分も、気付いていないだけで誰かを傷つけていて、傷ついた人は今も心に深い傷が刻まれているのかもしれない。表面的な情報に触れて、考え方を変えたつもりになることは簡単だけど、根本的な人間性を変えることってきっと難しい、、。そもそも自分のことさえ100%理解できてない、まずはもっと自分と向き合ってみようかなと思えた一冊でした。
Posted by ブクログ
土方課長が全てを失って三条に助けを求められたあたりのシーンがよかった。
全てを失ってボロボロになって、自分は誰かに認められたかったのだと、その手段が仕事だったのだと気づいて、無自覚な加害に気づき始めて、少し人として変化した(成長した)場面が特に。
“男は外で働いて女は家庭を守る”今日では時代錯誤な考えだとされ始めている中で、でもまだその考えが蔓延っているこの時代で、生活を楽しむのって簡単じゃ無いよなー。
「人間というのは他者との関係性の中で成長していく生き物」
「エプロンはつけたほうが服も汚れないし、便利ですけど、何より気合が入る。そのための装備です。」
「日々の買い出しも、義務感ではなく、探究心とか好奇心を持って生きると、なんだか生活自体が楽しく思えてくる。わかります?」
Posted by ブクログ
気付かぬうちに自分が加害者になってるのかもしれないって考えを巡らせながら読んだ。逆に、向こうは無意識なんだろうな悪気ないんだろうなって思うけど、私はすごく傷つくこともたくさんあったなぁと。関わりって難しいな。
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プロポーズをして結婚しようとしている雨宮守と
妻から離婚を言い渡されている土方剛。
この2人は部署は異なるが同じ会社で働いている。
守の婚約者である翠さんの言葉がとても刺さった。
昔の傷ついた経験はずっと残るし、
自分の言動をしっかりと見直してみようと思った。
気付かぬうちに他人を傷つけているかもしれないと思うと怖くなった。
セクハラ、モラハラ、パワハラについて
書かれていることもあり
とても現実味のあるお話で一気読みでした!
誰しも加害者になりうる。
Posted by ブクログ
1年前に購入した本。
仕事に疲弊してた当時はページが進まなかったがふと気になって再開したら止まらず嬉しい気持ちになりました。(本ってやっぱり自分のメンタリティが整ってないとちゃんと楽しめない)
離婚と結婚のコントラストを付けつつもどこか共通点のある土方課長と守。
人って被害された印象は強く残るのに、加害に対しては無頓着だなって改めて気付かされた。
今まで自分がしてきた加害は被害されたことと同じくらい心に留めないといけないと思った。
最後の翠の言葉。
結婚や離婚は幸せになるための選択肢。
はっきり物事を言って自分の言葉を正当化しがちな自分が翠と重なって少し憂鬱になりました、、
Posted by ブクログ
小説はあまり読まないから、ずっと積読してたけど、読み始めたらこの本の世界観に戻ってきたくて、どんどん読み進めてた!
無意識って怖い。分からない間はどれだけほのめかされても分からない。でも人間ってそんなものなのかも。許されない、信じてみたい、積み重ねが人間関係なんだろうと思った。離れられない場合、信じれなくなって一緒にいるのはつらいな。
立ち止まって考えることを大事にしたい。
Posted by ブクログ
価値観とは怖いなーと思った。
自分の価値観を人に押し付けるつもりはないけど、でもそれが自分を作るもので軸となるものだから、そこを責められたりすると途端に揺らぐ。
守と土方の二人の男性の価値観に焦点をあてた本作。
ブルーマリッジとはよく言ったものだな。
本作では女性が男性の古い価値観を押し付けられるけど、逆もまた然り。
日本の結婚の価値観がそもそもって話しだったんだなー
Posted by ブクログ
自分の正しさを貫いて無自覚に人の心を萎縮させてしまうことって、誰にでもあるだろう。
無自覚なのだから、自分では気づけないし誰かに言われないと分からない、傲慢なひとにはどれだけ他者から助言があれど変わろうとしない。
少なくとも、誰かが上手に掬い取って対話できる相手がいるならば気づけるし変わろうとは試みる。
対話ができる環境にあるって幸せなことだなとつくづく感じた。
Posted by ブクログ
パワハラを主軸とした「加害性」をテーマにした本。
明らかな加害。無意識な加害。
ちょうど夫がパワハラ上司と戦った後だったので、他人事とは思えなかったなー。
Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さんです。
なんの前情報もなしに読んだのですが、とても読みやすく、スルスルと読み終えることができました。
かといって、何も私の心に残らなかったわけではなく、ちゃんと考えながら読めた本です。
日常のある部分を切り取って、たまたま私はこの部分を知ることができたけど、彼らの人生はまだまだ続くし、嫌なことも大変なこともこれから起きるんだろうなぁ、その中で日々なんとかやってくんだろうなぁと感じるお話でした。
無自覚で人を傷つける人って、周りがいくら何を言ったところで、直せない、それって怖いです
かといって、周りを気にしすぎて自分を無くすのも違うし、
そういう、嫌な人間だけど、弱い人間、の良し悪しを改めて知ることができた一冊でした。
結婚って…
ある程度大人になって色々考えられるようになってからするのは、すごく難しいことだ思いました。
幸せとは、この人と生きるとは、
なんてこと考え出したら、決断なんて出来ないですよ。
結婚…他人と暮らすなんて…すごいよ
勢いが大事なんてのは、本当にそうだと思いました。
Posted by ブクログ
すごく現代的なお話だと思った。
時代とともに価値観は変わっていくし若気の至りなんかでは到底片付けられないようなこともある。
だからこそ他人に優しく誠実に生きていたいと思う。
Posted by ブクログ
実家の本棚より拝借。
雨宮と年代が近かったこと、カツセマサヒコさんの文字が読みやすかったこともあり、スルスルと読めた。
印象的な言葉は「結婚は幸せになるための選択肢」という翠のフレーズ…。独身の私にドンピシャ刺さった。結婚という形に拘りたい年頃だけど、本当の幸せを常に考えないと結婚なんて意味のないものかもしれないな。綺麗事かもしれないけど、自立しないと真の結婚の楽しさとか意味に気付けないんだろうなって感じた。
ジェンダー、ハラスメント、結婚観など、昭和と令和に挟まれた平成の私達が悩んでいることが赤裸々に書かれていると思ったのと同時に、この感想を書いている私も時代にかなり囚われていて、柔軟な考え方はなかなか難しいな…と思ったり。
人間は間違いを起こさないことなんて不可能だから、自分の犯した罪に対して、認めて向き合って、はたまた人に頼って、乗り越えていくしかないんだなと改めて痛感した物語だった。
Posted by ブクログ
印象的な一言は、
謝りたい気持ちと、
赦されたい気持ちを一緒にしてはいけない
ということ。
家族や恋人、
当たり前のような存在だからこそ、無意識に傷つけていることに気づかず、自分の一部のように思うからこそ、わがままに扱ってしまう。
守も翠も、結局自分のことは棚に上げていて、嫌気がしたけど、こんな人どこにでもいて、やりとりはどこか既視感のあって、
読みながら自分の経験を重ねてる自分に気づく。
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去年の夏、病院に行ってる間に恋人が買ってくれた本。自分用と二冊。
カツセさんが書く文章は読みやすいから、とオススメしたらすぐに読んでくれた。
知らぬ間の加害っていうのは、ものすごく恐ろしいものなんだなと。なにせ自覚がないってのが怖い。
僕も知らぬ間の加害してないだろうか。してそうで嫌かも。
態度や言葉、された側・言われた側ってのはどうしようもなく覚えているもので、した側・言った側はどうしても忘れているもの。
気をつけるって言ったってどう気をつけるのか分からないけれど、気をつけたい。
Posted by ブクログ
確かに知らぬ知らぬうちに加害者になってるかもしれない。被害妄想が激しいから、被害者ヅラしてしまってるかもしれない。でもみんなも困惑して傷付いてるかもしれない。
Posted by ブクログ
おすすめ度 ★★★☆☆
男性側の恋愛価値観が描かれてるのは珍しいと思った。
パワハラ上司には腹が立つけど
最後はいい人になってほしい、ただ男性ってずるい
過去が悪いくせにいい人なって美化されるなんておかしい
Posted by ブクログ
男性同士が心の傷をケアすることについて書かれていると聞いて手に取った。確かにこういう関係性は、いわゆる男の友情的なものと異なると感じた。
ただテーマの中心は「加害」について。人は知らないうちに加害をしていて、それに気づいた時にどう生きていくべきなのかを問われる。
Posted by ブクログ
カツセさん初読。さくさく読めた。
パワハラ上司にはムカつきすぎて気持ち悪かったけど、こうなるまで気付けなくて可哀想な人だね。でもちゃんと頼れる人が居てよかったよ。
無自覚の加害がテーマなんだと思うけど、カップルの方は特に、ちょっと取ってつけた感を感じてしまったな…。
Posted by ブクログ
結婚生活の話かと思って手に取ったら、ハラスメントについて多くを割いていた。
パワハラ、モラハラ、セクハラが主だった。世代間の意識の違い、男女間の意識の違い、そして、された側とする側の印象の違いなどなど…。
婚約者の彼女に、過去の言動をきつく戒められた主人公の男性は、自分が半ば無意識に相手を深く傷つけていたことに唖然とする。そして、彼女とのこれからの関係に悩み始める。
この二人がこの先結婚してもうまくいきっこないのになぁ…
仕事場でのハラスメントより、私は家庭内でのハラスメントが怖い。家族は距離も近いし、なかなか縁を切ることができないから。職場でのパワハラはこちらの立ち居振る舞いで、ある程度避けることができるけれど、家庭内ではなかなかそうはいかない。若くして亡くなった父はフキハラ(不機嫌ハラスメント)が酷かった。父が亡くなってやっと息がしやすくなったと思っていたら、それを受け継ぐ家族がいた。毎日のフキハラに胃が痛くなるし逃げ出したくなる。
結婚生活を長く送れる人はすごいと思う。
「もともと別の人間であるニ人の人生を一時的に重ねてみることに、大きなロマンと義務を背負わせすぎたのが、この国の結婚観の正体だ。」
と書かれていた。確かにそうだなぁ。
Posted by ブクログ
結婚=幸せ、だとまだまだ考えてしまう女なので、読んでいてしんどかった。
愛情があったら、思いやりがあったら、相手を傷つけないのか、、?
男と女の考えの違い、だけではもう終わらせられないよ〜〜〜〜
妥協も大事って言うけれど、妥協する、という選択も大きな決断すぎるよ〜〜〜
Posted by ブクログ
サクッと読めて、『無意識に加害者になっていること』について考えさせられた。
誰でも、意図せず誰かを傷つけてしまった経験も傷ついたこと経験もあるんじゃないかな。自分も、自分から離れて行った人も自分から離れた人もどちらも思い当たる。
雨宮も土方も、どちらも加害者になっていた。違ったのは、雨宮はそれを指摘してくれる恋人やパワハラの撲滅に努める新しい上司おかげでそういう自分に向き合えて、変わろうとしていった。
一方の土方は、家族や部下が何度もサインを出していたのに全く気がつかず、すべてを失ってもなお自分の何が悪いのかが分からなかった。
歳を重ねるにつれて指摘してくれる人は減っていき、黙って離れていく。
自分で自分を客観視する目と、私のためを思って指摘してくれる人を大切にして、人をなるべく傷つけないように、周りの人を大切にできる人でいたいと思った。
翠が守の加害の過去を一つひとつ挙げて責める場面。
「昔から善人でした、みたいな顔だけはしないでよ。私や誰かを、傷つけてきた過去まで消そうとしないでよ。」
加害者は忘れる。自分の過去の過ちに蓋をするんだろうけど、絶対に忘れるなと思う。変わろうとしたとして、どこかで自分にそんな最低の過去があることを一生抱えて生きて欲しいと思う。