カツセマサヒコのレビュー一覧

  • あのときマカロンさえ買わなければ

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    とってもサクサク読める。
    ちょっとした後悔がカツセさんの体験とリンクして色々思い出されてしまう、、
    すごく行動力があるわけでもないわけでもなく、ある程度近い生活をしている等身大のエッセイという感じだった。
    応援したくなる人柄。

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    2026年04月06日
  • ブルーマリッジ

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    ネタバレ

    全てに自覚を持つことなんて不可能なわけで誰にでも無自覚な行動は存在するものだと思う。
    土方は部下を育てるために自分が教わってきたこと、当たり前にやってきたことを継承したかっただけなのだろう。守の両親は結婚や男女のあり方に対する価値観の押し付けをしているのではなく、彼らの中の常識を口にしていただけなのだろう。
    無自覚は誰かに指摘されるまで気づきもしないで、自分の中の当然として刻まれている。そこが恐ろしいと思った。そして周りに注意してくれる人がいることがどれだけありがたいことか再認識した。

    自分は間違っていないとすべてを正当化するのではなく、自分だけが被害者なんだではなく、自分も誰かを傷つけているかもしれない、という認識が他者と共存するためには必要なんだと思えた。

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    2026年04月06日
  • 明け方の若者たち

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    何にでもなれる気がしたし、このままでいいのかと思い悩んだ夜もあったあのモラトリアムの時間が恋しくなった。

    恋愛は全てを作るし、全てを奪う。
    その残酷さを眩しく描いた作品だった。

    持つべきものは、親友。

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    2026年03月31日
  • 明け方の若者たち

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    ネタバレ

    就活。初めての恋人。夢と現実の距離。打ち解け合える親友。いつまでも消えないあの人との美しい思い出。20代のすべてが詰まった青春譚であった。

    少し共感性を感じてしまい辛い。正直、小説を読み進めて最初の辺りで、引っ張る彼女と受け身気味な僕との関係は、僕にとっての「理想」が過ぎて、なんとなくいつか終わるだろうなと思っていた。そして彼女もずるい。なんで僕が忘れられないくらいそばにいたのだろう。別れのタイミングなんて、なんとなくわかっていいるはずだった。

    最後の解説でも少しあったが、忘れるはずだった若い頃の記憶は、失いたくない記憶になる、という言葉には救われた。私にもいつかそんなタイミングがあるといいな。

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    2026年03月25日
  • ブルーマリッジ

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    結婚と離婚、そして社内でのハラスメントとかつての加害。考えさせられることが多く少し重さを感じた作でした。

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    2026年03月20日
  • あのときマカロンさえ買わなければ

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    なんだか応援したくなる人だなあ
    共感できることが多くて安心して読めた

    電車で読むのにちょうどよすぎた

    「恥ずかしい日々は死ぬまで続く。」
    丁寧に感じたり感じなかったり、考えたり考えなかったりしながら、私も生きていくんだよな

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    2026年03月18日
  • あのときマカロンさえ買わなければ

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    カワセさんの人の良さが溢れ出ているエッセイ。タイトルにもなっている「あのときマカロンさえ買わなければ」は同じような経験をしているので、共感しかない。他の表題も読んでいると自然とどんな作品書く人なんだろうと、作者自身に興味がわく。カワセさんの作品はブルーマリッジしか読んだ事がなく他の作品も読みたくなった。

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    2026年03月17日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    「感情旅行/一穂ミチ」
    「独身の女王/麻布競馬場」
    「オレンジシャドウの憂鬱/砂村かいり」
    「さみしがりやの恐竜たち/こざわたまこ」
    「不機嫌依存症/田中兆子」
    「出会い/朝比奈あすか」
    「振りかぶって、さよなら/千加野あい」
    「となりの独り/カツセマサヒコ」

    『うまくいかない恋』をテーマにした短編集。

    好きな作家さんが勢揃い。
    どの物語も切なくてほろ苦かった。

    登場人物達の弱さや迷い、その奥にある強さが繊細に描かれていて全編良かった。

    上手くいかない恋だからこそのリアルさに胸がギュッとして、読後は彼女達にエールを送りたくなる。

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    2026年03月14日
  • あのときマカロンさえ買わなければ

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    以前から繊細だけと軽快なワードセンスが素晴らしく注目の作家さんでした。初エッセイですが、ワードセンスの良さが物語以上に出たかもしれない。

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    2026年03月13日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    田中兆子先生の「不機嫌症候群」、まさに私だなと思った。
    不機嫌って悟られたらだめなんだろうけど、みんなが優しくしてくれるからついやっちゃう。
    そんな不機嫌な人を今度は私が優しくしてあげれるようになりたい。

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    2026年03月12日
  • #ハッシュタグストーリー

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    チレンさんの作品が気になり購入。
    ハッシュタグに纏わる物語が4つあったのですが、どれも心がじんわりあたたかくなるお話でした。

    最近夜読書する事が多いんですが、そんな夜に読んで、ゆっくりしながら読める1冊でした。

    ふと過去に縋ってみたくなる時もあるけど、今の自分があるのは過去のお陰でもあるし、色んな別れもあったけど、良き思い出として捉えられるようになったのも今のおかげ。

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    2026年03月11日
  • 明け方の若者たち

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    二十代前半の恋と仕事に翻弄される主人公。主人公からの目線の彼女がとても魅力的な人だというのが伝わってくる。高円寺。くるり。RADWIMPS。本多劇場。ヴィレッジバンガードなど、固有名詞が多く、この小説を彩るスパイスになっていた。

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    2026年03月11日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    恋愛小説は、ほぼ読まない私
    三十代、うまくいかない恋に惹かれて読んでみた
    どれもおもしろかった
    どの作品も等身大の主人公に愛着がわいた
    他の作品も読んでみたくなりました

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    2026年03月10日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    30代のうまくいかない恋がテーマのアンソロジー。
    共感できるものもできないものもありましたが
    楽しく読めました。
    好みなのは一穂ミチさん、千加野あいさん。

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    2026年03月10日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    となりの独り
    カツセマサヒコを読んで

    マッチングアプリを通して人をジャッジする立場に立ってしまっていることの虚しさ、悪いことをしているような気持ち悪さについて納得した。

    30代になり、子供が産まれた友達ばかりで付き合いが変わってしまうということで孤独を感じる独身男性の気持ちが描かれていて結婚願望の強くない自分は結婚をしなくてもいいのか考えてしまった。
    →明確に子供を欲しいと思わないが結婚をすることに対しては前向きに考えたいと思った。
    先日、アプリの女性とは子供が欲しいという価値観の違いから交際するのではなく友達としての付き合いを続けることになったので、26歳になった今の恋愛では子供を作ることをゴールとした恋愛など純粋な恋愛をすることの難しさに困惑している自分がいるのが事実であるということをこの小説を読んで言語化できて良かった。

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    2026年03月01日
  • それでもまた誰かを好きになる~うまくいかない恋 アンソロジー~

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    前半のお話が特に面白かった。
    同じ30代独身として耳が痛い部分もあったし、叶わない切なさにぎゅっとなった。
    1話が短いからどのお話も読みやすかった。

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    2026年03月01日
  • #ハッシュタグストーリー

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    ちゃちゃっとライトに読める本と思っていたので、読後の刺さり方についてはそんなに期待していなかったのだが(ド失礼)、読んでみると思ったより深く、面白かった。SNSやハッシュタグにまつわる4つの短編が収録されているのだが、どの話にとってもSNSは良い意味で脇役、あくまでモチーフでしかなくて、主体はきちんと主人公に据えられているのが良かった。カツセマサヒコさんは相変わらず「理屈じゃないけどそういう気持ちになること確かにあるよね」という心情を見つけて、見つめて、言語化するのがめちゃくちゃ上手い。木爾チレンさんについてはこれを読んで初めて知った作家さんだったのだが、エモくて素敵な話を書くなあと思った。フィクション性がありつつ、それでいてどこかリアルなエモさの塩梅が素敵だった!思いがけずな良本で、感謝。

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    2026年02月25日
  • 明け方の若者たち

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    ネタバレ

    夫が海外赴任してる既婚者に恋をしてしまった主人公。自分は相手にとって1番にはなれないと分かっていても、1番を望んでしまう葛藤。別れは突然やってきて、夫が帰ってきてからは音信不通。少しでもまだ自分を愛してくれていることを願って、彼女を思い続ける主人公の人生を描いた物語。恋愛だけじゃなくて、親友との友情関係とか、人生における教訓とか、色んなものが表現されてた。
    映画も見よーって思った。

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    2026年02月20日
  • #ハッシュタグストーリー

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    タイトルとぶんちゃん( #柿原朋哉 さん)の作品が収められているということで購入!

    現代を生きるちょうど20代くらいには頷ける話ばかり!
    こんなことあったよな〜とか今もたまに懐かしく思うこととか、いっぱい描かれていたなって思いました。

    最終エピソードの中の一文、「昨日のわたしは恋のはじめ方すら知らなかったのに、今は恋の全てを知っていた。」が良かったなぁ…
    熱を帯びる感じとか、恋し始める時ってこんなだよね…!とわくわくした。
    今の中高生というよりはアラサー前後にはどストライクな一冊。

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    2026年02月15日
  • ブルーマリッジ

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    先が気になって一気読みした!物事の大きさに反比例して、人々の動きは静かで、でも静かなる力がこもるお話だった。淡々とという意味ではなく、静かに自省をさせられている感じ、というか。だんだん上手くなっている気がするな、カツセさん。今まで読んだ中で1番好きだった。最初からは予想がつかない展開だったが、タイトルにつながる部分は多くあって、とても洗練されたお話だった。

    p.82 でも、得意先もいて、会話の流れもあったし、こっちもさらっと受け流せたからそんなに不快でもないというか」
    「あ、長谷川さん」
    入谷さんが挙手するように軽く右手を持ち上げて、声を少し、尖らせた。
    「傷ついた事実は、嘘にしなくていいですよ。この場ではもう、傷自体を隠したり、軽傷に見せかけたり、しないでいいです」
    ピシャリ、という言葉が似合った。急に研ぎ澄まされた鋭い声が、部屋の中で緊張感を持って回遊した。
    「無理に笑顔を作る必要もないし、自分の発言が相手の機嫌を損ねてしまうかもとか、考えないでください。私たちは、長谷川さんが一番大事です。会社として何ができるか、最大限の支援ができるように、まずは気持ちをそばに置きたい。だから自分の悲しみや傷は大したことないものなんだとか、絶対に思わないでください」お願いします、と入谷さんが軽く頭を下げた。
    僕も、同じように頭を下げるしかなかった。テーブルを間近に見ながら、自分はハラスメント被害の相談に対する覚悟なんて全然できていなかったことを、思い知らされていた。
    長谷川さんはしばらく考え込んだような顔をして、それからゆっくりと俯いた。ポケットティッシュを取り出すと、静かに鼻をかんで、すみません、と小さく笑った。
    長谷川さんは、別に大丈夫なんかじゃなかった。

    p.90 ないです」と強く答えた。それでも、長谷川さんの顔にかかった影は溶けない。
    「わかんないです。わかんないですけど、私がこの告発をしたことで、私がただ弱いだけだったと、周りからそう言われることが、今はもう、怖いんですね」また涙が落ちて、そこで入谷さんが、何かに気付いたように背すじを伸ばした。
    「じゃあ、やめましょ!」
    今日一番、大きい声に思えた。驚いて横を見ると、例の黄色のピアスが小刻みに揺れている。
    「長谷川さんが後ろめたくなることは、一切やらないでよしですよ!第三者になんて絶対に関与させないです。それに、さっき言ったじゃないですか。今日この場は、自分なんかって思わないでいてください。耐える必要もないものを耐えてきたのは、環境のせいであって、つまり、土方さんを野放しにしてたことや、これまでの状況を放っておいた私たちのせいであって、絶対に長谷川さんのせいじゃないです。長谷川さんは、少しも悪くない。悪くないですから」
    誰かを勇気づける、でも、同情しているようには見せない、背中を押すための笑顔と言葉。
    入谷さんの言動一つひとつが、僕には到底できそうもないものばかりで、そのことが憎さを覚えるほど歯痒い。入谷さんがいなかったら、今日の僕に、一体何ができただろう。
    長谷川さんは少しだけ笑いながら頷いて、何度かそうした後、やがて顔を伏せるように、下を向いた。ありがとうございます。と言ったのだろう。その言葉は、もう僕にはうまく聞き取れなかった。

    p.131 ていた?
    「守くんはさ」
    ずっと低くなっていた声のトーンを戻すように、翠さんはゆっくりと話し始めた。
    「今も、世の中の流れそのものみたいに、ネットで仕入れた情報そのままみたいな言い方で、ペットショップは良くないとか、ハラスメントがどうとか、薄っぺらく主張してる気がして、たまにそういうの、すごく怖くなるよ。表層的なものだけ掬い取って、大切なことは何ひとつわからないまま、動いてる気がする」
    翠さんの両手で握られた空き缶が、ゆっくりと回っている。僕は、時計回りに動くその空き缶しか、見ていたくなかった。
    「そんな人が、ハラスメントの窓口になってるのも、どこまで被害者に寄り添えるんだろうって、やっぱり怖く感じるよ」
    「うん」
    「その証拠に、守くんの口から、その課長の話は出てきても、被害者の女性の話は全然聞かないもん」
    「いや」
    「いやじゃなくて、そうだよ。一番傷ついていて、一番ケアしなきゃいけない被害者のことを、きっとどこかで軽視してる。今、この瞬間も、その被害女性は、不安で仕方ないはずだよ。告発したことで、自分の未来がどうなるんだろうって、心底心配してるはずだよ。その気持ちに心から寄り添っていたなら、きっとこの場でも、その人の話は出てるはずだよ」目を閉じて、長谷川さんのことを考える。長谷川さんの心の傷は、土方課長の処分が決まったところで簡単に癒えるものじゃない。そんなことはわかっている。わかっているけれど、まずは、加害者を切り離さないと。
    僕は僕で、正しい選択をしたはずで。
    「人は変われるって私も付じたいけどさ。過去にあんなひどいことをした人が、まるで正義の象徴みたいな顔して人を裁くようなことをしてるの、私からしたら、やっぱりとんでもないって思っちゃうよ。だから、さっきの話もそうだね。その課長の言動よりも、私に向かって聖人君子みたいな顔している守くんの方が、私はよっぽど怖かった」
    どうして。どうして「そんなつもりじゃない」と、面と向かって否定できないのだろう。翠さんの言っていることが、図星だから?翠さんの言うとおり、僕は上澄みだけを掬って、流行りの音楽でも聴くように、ハラスメントを語っているだけなのか?
    「人ってそんな簡単に変われないし、変わったからといって、オセロみたいにこれまで黒かったものが白に裏返ることもないよ。だから、守くんが今、必死に変わろうと努力していることは伝わるけど」
    もう、何も聞きたくない。何も考えずに、いたかった。
    「それでも、昔から善人でした、みたいな顔だけはしないでよ。私や誰かを、傷つけてきた過去まで、消そうとしないでよ」

    p.224 「たぶんだけどさ」
    恥ずかしい。でも、頭の中の答えは、これだ、と光り続けている。
    「恋が終わったら、その先は、愛が引き継ぐんじゃないかって思う」
    熱を冷やすように風が吹いた。繋いだ手の隙間を抜けて、すぐに後方に流れていった。
    「めっちゃくさいこと言ってるのはわかってるんだけど。でも、たとえばだよ」
    翠さんは口を閉じたまま、ゆっくりと頷く。
    「翠さんや僕が、もしも病気になって、大きな手術とかが必要になったとして。そのときに夫婦じゃなかったら、僕らはただの他人で、大事な決断は、両親とかがすることになる。あの両親がだよ?僕にとって、翠さんは一番大事な人のはずなのに、その人の一番大事なときにそばにいてあげられず、もしかすると、看取ることすらできないかもしれない。そんなの、絶対に嫌だなあって思って。これは、この感情は、恋とはまた別のものが引き継いでいる感じがするなってずっと思ってた。それで、きっと、夫婦になるのがいい。これからもそばにいるために、そうしたいって思ったんだよ」「・・・・・・それで、プロポーズしたの?」
    「プロポーズしたとき、ここまできちんと考えられてたかはわかんない。でも、気持ちとしては、変わってない。だから、翠さんがまだ恋を望むなら、断るだろうなって思ったし、その先を望んでくれるなら、受けてくれると思った。そういう意味では、僕からしても、賭けではあったかも」

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    2026年02月12日