カツセマサヒコのレビュー一覧
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ネタバレ初作家さん
6ページくらいの短い1話の中に ほんのひと時だけど
人とのつながりがあって、自分の人生のワンカットが凝縮して映し出される。連作短編小説
登場人物たちが ちょっとしたかかわりの中で
少しだけ 自分だけが知っている傷口に手を当てる
*ママの機嫌を伺いながら仕事をする人気子役
学校の友達が教えてくれる「誰かの正解は、他の誰かの不正解の場合があって、みんな一緒に喜べる正解は 本当はあまりないんだって」私の正解は?
*50代の独身の男 会社を経営をしているが忙しさと責任に疲弊する毎日 タクシーの運転手の「お疲れですか?時間が許すようなら少し遠回りしましょうか」
息抜きの仕方を忘れたら -
Posted by ブクログ
爽やかだけど、なにか残るものがある、そんな切なさ満載の短編集。
同じ街の中で起こるそれぞれのショートストーリーが描かれていて、恋人、友人、親子、名前のつけられない関係など、誰かとの思い出やすれ違い、そして心が届いたと感じる瞬間などが描かれている。
私が今いる場所が海と近いので、潮風や波の音がリアルに感じられ、人と人とのままならなくも、でも愛おしいという繊細な気持ちに触れられたのがよかった。
話としては、短編集の中でも多いほうだけど、どの話も読後感が似ていて、話としてはスッキリしきらないところはあるのに、とても爽やかな印象が残った。
また、タイトルも素敵。
わたしたち、という言葉だけで、孤独 -
Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さんです。
なんの前情報もなしに読んだのですが、とても読みやすく、スルスルと読み終えることができました。
かといって、何も私の心に残らなかったわけではなく、ちゃんと考えながら読めた本です。
日常のある部分を切り取って、たまたま私はこの部分を知ることができたけど、彼らの人生はまだまだ続くし、嫌なことも大変なこともこれから起きるんだろうなぁ、その中で日々なんとかやってくんだろうなぁと感じるお話でした。
無自覚で人を傷つける人って、周りがいくら何を言ったところで、直せない、それって怖いです
かといって、周りを気にしすぎて自分を無くすのも違うし、
そういう、嫌な人間だけど、弱い人間 -
Posted by ブクログ
実家の本棚より拝借。
雨宮と年代が近かったこと、カツセマサヒコさんの文字が読みやすかったこともあり、スルスルと読めた。
印象的な言葉は「結婚は幸せになるための選択肢」という翠のフレーズ…。独身の私にドンピシャ刺さった。結婚という形に拘りたい年頃だけど、本当の幸せを常に考えないと結婚なんて意味のないものかもしれないな。綺麗事かもしれないけど、自立しないと真の結婚の楽しさとか意味に気付けないんだろうなって感じた。
ジェンダー、ハラスメント、結婚観など、昭和と令和に挟まれた平成の私達が悩んでいることが赤裸々に書かれていると思ったのと同時に、この感想を書いている私も時代にかなり囚われていて、柔軟な -
Posted by ブクログ
やっぱり海っていいな
本作にはたくさんの海が出てくる。
包み込んでくれるような優しい顔をしたり、
冷たい顔をしたり…
それでも人間は海が好きだと思う。
それは海が…
「この星自体が流した涙が、流れ着いて集まった場所なのかもしれない。」
から。この帯の言葉に誘われて思わず購入した海のお話は、人間味溢れ、さらに私の心に波音を響かせるような迫ってくる1冊だった。
★引っ越した海の街でたまたま再会した元カノに戸惑う主人公を描いた「徒波」。
★クラスメイトのタイムカプセルを掘り起こした男子たちが思わず知ってしまった手紙の事実とは…「海の街の十二歳」。
★岬と珊瑚は旅行帰り、迷子を助けることに…「岬 -
Posted by ブクログ
20代前半のなんとも言えない淡い時期をリアルに描いていて、懐かしい気持ちになった。
人としても社会的にも固定されていない、純粋に恋愛できる期間は、貴重だと思う。30代が近づくと、否が応でも現実を意識することになるから。
人生って年齢が上がるに従って、制約が増えて身動きが取れなくなるような気がする。子供の頃は、みんな個性があったのに、徐々に肩書きが増えていき、会社名がついて固定化されていく。
だけど、実は社会人になっても肩書は捨てられるし、自由に生きることはできるのではないか、と思った。
こういう気持ちをリアルに思い出させるのが小説の醍醐味で、すごく良い作品だった。
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Posted by ブクログ
カツセマサヒコさん著「夜行秘密」
タイトルに惹かれ購読してみることに。
自分にとって初読みの作家さん。読む前に調べてみたらバンド「ゲスの極み乙女」の音楽アルバムを小説化した作品との事。
企画としてなのか?なんか壮大なのか斬新なのかちょっと理解できなかったがこういう音楽と小説の融合的な類いの小説は30年以上前に尾崎豊さん本人がやっていたなと思い出す。尾崎豊作品を改めてまた読んでみたいと思った。
物語は音楽の方を聞いていないため面白さが半減しているのかもしれないがそれでも面白かった。ジャンルとしてはラブストーリーに分類されるのかもしれないが自分には少し文学的な感覚も残った。
愛する人の「死」が各 -
Posted by ブクログ
この本で出会った優しい言葉、胸をすく言葉。心を手当てしてくれる言葉。
この本は優しい。ぱらぱらぱら。言葉の雨が降る。雨傘となり守ってくれるより、もっと優しい温かい光の雨みたいだ。
“どうか、どうか。
あなただけの傷や痛み寂しさよ、誰かをまもる雨傘になれ”
“視野が狭いと、周りの幸せとか、不幸とか、そういうの、見ている余裕がないから”
“私は、子供。言い訳が下手で、不機嫌も隠せない子供。冷めたふりしているだけの子供。そう自覚した途端、なんだか少し、胸のつかえが取れて、息がしやすくなった気がした。ずっと苦しかったのだと、そこで初めて、私は気付いた。”
“でも、子供の頃に生きるのが辛かった人