あらすじ
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――(「海の街の十二歳」) 高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――(「鯨骨」) 海の街を舞台にした著者の新境地、全7編。
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Posted by ブクログ
まるで海のように時に少し高い波が襲ってきたと思ったら、また穏やかな海に戻るそんな小説だった
皆同じ海が見える街に住んでいて、一つ一つの短編ではあるが、海という共通点で繋がっているのかもしれない
私も海風や波の音を見に行きたくなった
小説を読んでいると波音が聞こえて来そうだった
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とても綺麗でまさに海のような作品でした。
個人的にはオーシャンズが一番好みです!
なかなか海に行くという機会がないので、落ち着きたい時などに手に取りたいと思います。
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海辺の町で緩く繋がる短編集。
この町は多分私がかつて住んでいた町だ。
山育ちの私は海への憧れが強く、一度でいいからと会社を辞めて移り住んだのだが、経済的にうまく行かずその地を離れた苦い思いがある。
この小説の人びとの様にもう少し根を張れなかったかと悔やむ。
何しろ海の風景描写がいい。
そしてそこで生活をする人達の、あまりの当たり前さ。
更には綺麗に見える風景に垣間見える闇。
それでも生活は続く。
最後の『鯨骨』が本当にいい締め方をしていて、切なさが大半を占めるものの明るさも差しているのが良かった。
が、私の一番は何と言っても『渦』。
主人公の梓がそのまんま私で、何なら恥ずかしい位だった。
ママ活こそした事はないが、夫の偉そうに説教を垂れる感じ、夫からは得られない安らぎを他に求め暴走する場面は分かりすぎる程分かる。
自分が出来てない分、離婚出来てすっきりとした気持ち。
だから星5つ。
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各お話の読後感が似ていて、ふしぎだった。本当に海のように、さらりとしていながらも、髪や肌にはすこしベタつきが残る、でも気持ちはスッキリするような。切ないお話も多かったけど、梓さんと櫂くんのお話が1番好きだった。
p.260 いつだったか、二人で海岸を撮りに行った日。知らない女の人が、浜辺に座って泣いていた。潮田はその人にカメラを向けることなく、海を撮り続けながら言った。
海も涙も、しょっぱいじゃん。だからさ、実は海は、たくさんの生き物や、人間や、もしかするとこの星自体が流した涙が、流れ着いて集まった場所なのかもしれない。この星は涙でできていて、海は乾くことはない。だからみんな、海に泣きに行くのかもしれないな。
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それぞれ海の街で繰り広げる物語、ほんのわずかな気持ちの変化など、とても読んでいて切なくなった。物語が繋がっていて、どんどん読み進められた。これは売りに出さず、手離したくない1冊になった。
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「-海は、この星の涙の、行き着く先かもしれない。」
涙をたくさん流し切ったこのタイミングで出会った一冊。
カツセは全てお見通しらしい。
天アンカット、愛おしい。
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あいつも、かつて好きだった雌が、知らぬ間にほかの雄とつがいになり、子供をうみ、それを育てていく様子を、どこかで知ったりするのだろうか。
空腹で目を覚ます。外はもう暗く、携帯の液晶画面のライトだけが、この世の灯りのように見えた。
全席禁煙です、と強い口調で言われて、わかりきっているのに、寂しかった。
会うことが決まった直後から、会いたくない気持ちが強くなってきていた。
東京には、どこに居ても、妻との思い出があった。たかだか二年だが、その間に、本当にいろんな場所に行ってしまった。
俺はいつも、誰かと疲れていたかったのかもしれない。
鳴き声が下手なまま老いていくウグイスがいるなら、生きるのが下手なまま、生きていく人もきっといる。何度も失敗しながら、笑われながら、自分に疲れながら、それでも生きていく人はきっといる。
Posted by ブクログ
繊細で具体的な情景描写が印象的だった。
それぞれの短編の登場人物たちが抱える、
悩みや葛藤やコンプレックスは、
全く同じでなくても、
いつか自分も感じたことのあるもので、
すべての登場人物たちに親近感を覚えた。
終盤に近づくにつれ、
「わたしたちは、海」というタイトルが腑に落ちた。
Posted by ブクログ
短編集ですぐ読み終えられた
海より山派だけど、海もいいなあってなった
みんなそれぞれ人生があって、でもどこか繋がっててた 読んでてこんなに情景が浮かぶのすごい
もっとその後の話も知りたくなった
鯨骨で泣きすぎて恋人に心配された
Posted by ブクログ
「海は、この星の涙の、行き着く先かもしれない。」
本当にそうかもしれないと思った。
人はなんとなく海を見たいと思うことがあると思う。どんな感情でも、そんなことってあると思う。
登場人物の一人ひとりが、自分とどこか似ていた。
わかるなあ、と共感したり、私が思ってたことってこれだな、と気付いたり、あの人に会いたいな、とと今を振り返ってみたり。
どんなタイミングで読んでも、自分にぴったりの作品があるような気がする。この本があれば、心強いな、と思う。
Posted by ブクログ
完成していない浮遊感のある本
なんとなく関係が繋がっているけど繋がりきらない
小説はすべて内容が解決しがちだけど、この本は現実と似ている。理解できそうで理解できない、でもそれが良い
Posted by ブクログ
海の出てくる話を読みたくて買った本。
はじめてのカツセマサヒコさんでした
それぞれの話を読み終わると心温まり、毎回“はぁぁぁぁ(ジーン)”となっていた
久しぶりに余韻に浸れる本に出会った
・海の街の十二歳
・氷塊、溶けて流れる
・オーシャンズ
・鯨骨
か特に好き
Posted by ブクログ
海辺の町を舞台にした、爽やかな連作短編集。心温まる話もあれば、切なさが残るような話もあり、短編ごとに読後感が異なっていて面白かった。カツセさんといえば「どうしようもなく恋愛に依存していく男女の物語」を書くイメージだったので、このような物語も書けるのか! と驚いた。
Posted by ブクログ
爽やかだけど、なにか残るものがある、そんな切なさ満載の短編集。
同じ街の中で起こるそれぞれのショートストーリーが描かれていて、恋人、友人、親子、名前のつけられない関係など、誰かとの思い出やすれ違い、そして心が届いたと感じる瞬間などが描かれている。
私が今いる場所が海と近いので、潮風や波の音がリアルに感じられ、人と人とのままならなくも、でも愛おしいという繊細な気持ちに触れられたのがよかった。
話としては、短編集の中でも多いほうだけど、どの話も読後感が似ていて、話としてはスッキリしきらないところはあるのに、とても爽やかな印象が残った。
また、タイトルも素敵。
わたしたち、という言葉だけで、孤独な物語が多く語られた本書も、なんだか救われる。
一人ひとり、寄せてはかえす波のような人生を過ごしている。だからこそ、豊かな経験をすることもできる。
Posted by ブクログ
どのお話にも海が出てくる短編集。どの話も面白くて1日で読み終わった。「海の街の十二歳」女子のタイムカプセルをこっそり開けて中身を見てしまった小学生の男子の話。見てはいけないものを見てしまった時の3人の反応が優しくて温かくて1番好きだった。カツセマサヒコさんの本はこれで3作目。好きだなぁ。
Posted by ブクログ
やっぱり海っていいな
本作にはたくさんの海が出てくる。
包み込んでくれるような優しい顔をしたり、
冷たい顔をしたり…
それでも人間は海が好きだと思う。
それは海が…
「この星自体が流した涙が、流れ着いて集まった場所なのかもしれない。」
から。この帯の言葉に誘われて思わず購入した海のお話は、人間味溢れ、さらに私の心に波音を響かせるような迫ってくる1冊だった。
★引っ越した海の街でたまたま再会した元カノに戸惑う主人公を描いた「徒波」。
★クラスメイトのタイムカプセルを掘り起こした男子たちが思わず知ってしまった手紙の事実とは…「海の街の十二歳」。
★岬と珊瑚は旅行帰り、迷子を助けることに…「岬と珊瑚」。
★久々に再会した父親には、自分の子どもと同い年の子どもがいた…「氷塊、溶けて流れる」。
★雫がずっと働いていた八百屋さんが閉店する。しかし雫にそのことは伝えられておらず、さらに店主大きな秘密も抱えているようで…「オーシャンズ」
★夫の関係が破綻し、若い男を買い愛情の矛先を向ける妻を描く、「渦」。
★海に打ち上げられた鯨骨を一緒に見た高校の同級生が、久々に再会すると余命が幾ばくもなくなっていた…「鯨骨」。
特に印象的なのは「オーシャンズ」と「鯨骨」。
救済話は「海の街の十二歳」と「岬と珊瑚」。
本作は読む人によって、みえてくる海の風景が変わってくると思うし、感じ方も様々だと思う!
ぜひ多くの人に読んでほしい作品だ。
p.260 海(鯨骨)
「海も涙も、しょっぱいじゃん。だからさ、実は海は、たくさんの生き物や、人間や、もしかするとこの星自体が流した涙が、流れ着いて集まった場所なのかもしれない。この星は涙でできていて、海は乾くことはない。だからみんな、海に泣きに行くのかもしれないな。」
Posted by ブクログ
義従兄弟に薦められて読んだ。
各話の扉に小さく英語タイトルが入っており、日本語を直訳したものでないのが面白かった。
登場人物が少しずつリンクしており、読み進めるうちにある小さな海辺の街の人々の暮らしが立体的に感じられた。
Posted by ブクログ
「徒波」
「海の街の十二歳」
「岬と珊瑚」
「氷塊、溶けて流れる」
「オーシャンズ」
「渦」
「鯨骨」
海辺の街を舞台にした7話収録の短編集。
カツセさんの文章は心地いい。
海辺の街が舞台だからと言うわけではなく、どの物語も波間にゆらゆらと揺られている感覚に陥る。
時に人の弱さや愚かさも描かれているが、それすらも静かに包み込み、流れに身を委ね生を営んでいる彼等に安心感を覚える。
波の音や子ども達の声、珈琲の香りまでが漂い五感を刺激する。
透明感と静けさ、カツセさんの描く世界観が堪らなく好き。
心が浄化される切なくて愛おしい作品集。
Posted by ブクログ
海が散りばめられたような文章が多く、読み進めていく度、どこに海が出てくるか期待して読んでいた。
海の見え方や楽しみ方は人それぞれの中、いろいろな目線の海を読む事ができる一冊。
Posted by ブクログ
海辺の町に住む人、海へ行く人、それぞれ何かしらの錘を抱えて、全体的に静かな雰囲気の本。
登場人物は直接や間接的にちょい繋がりがあったけど、時間をかけて読んだのでそこはあまり気にせず、独立した短編として読んだ。
「オーシャンズ」高校生、雫と八百屋のフナさんの話は切ない。
Posted by ブクログ
海辺の街が舞台の穏やかな、ゆったりとした時間が
流れてるような………………そんな7つの連作短編。
《海》俺は夏の楽しいイメージが先行するが………………
哀しい、涙、などのイメージもあるんだよね
子供のため、と思っても、
必ずどこかに親の偏った考えが混じる。
確かに!!!!!
Posted by ブクログ
海を見に行くのに理由なんている?
理由なんていらないよ
せつないとき
かなしとき
くるしいとき
つらいとき
うれしいとき
たのしいときも海に行った
海にはいろいろな感情がある
海はいろいろな感情を受け止めてくれる
あの頃、毎日のように行った海
懐かしいあの雰囲気を思い出させてくれた
ありがとう、、、
⚠注意
・レビューと本の内容は一切関係ありません
・1Qが勝手に思いにふけているだけです
Posted by ブクログ
最近、海を見たく、その欲を満たすために読み始めました。緩やかに話がつながり、海を起点に表現が広がっていました。
波や海に関連したフレーズ以外では、「俺はいつも、誰かと疲れていたかったのかもしれない。」「もっと軽率に、心が動けばよかった。」が好きでした。
読み返したいほどではないが、読まなきゃよかったというほどでもない。海を見たい気持ちは少し満たされたような気がします。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――「海の街の十二歳」
小学校教諭の岬と保育士の珊瑚。幼なじみの二人は休日に近くの海へドライブへ行った。渋滞にはまった帰り道、二人は光るスニーカーをはいた4歳くらいの子供が一人で歩いているのを見つけ――「岬と珊瑚」
高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――「鯨骨」
海の街にたゆたう人々の生の営みを、鮮やかに描き出した傑作小説集。書き下ろし1編を含む全7編。
『僕を友人の第一位に挙げるような人生を送った人間が、この世界にはいるはずがないのだ。』
【個人的な感想】
「鯨骨」が1番好きだった。波多野のひねくれた考え方が自分と似ていた。
Posted by ブクログ
私たちは、どうしても過去を反省して、子供にそれを押し付けてしまったりする。少しでも未来を想像して、視野を広げて行動できるよう心掛けたい。
子供にとっての6年間って、想像を絶するほど、人生のすべてだからな。
Posted by ブクログ
海が見える街で暮らす人たちのそれぞれ。
7編の短編集。
どれも少し切なさや哀しさ、儚さや脆さなど弱いところを感じさせる。
生きているというのは楽しいばかりではなくて、営んでいくうちに積み上がっていく欠片を海に流してまた積み上げて…の繰り返しなのかもしれないと思えた。
徒波〜都会を離れ逃げるように移り住んだ土地で、元恋人に会った…。
海の街の十二歳〜クラスメイトのタイムカプセルを掘り起こしたら…。
岬と珊瑚〜職場からの逃亡を企てる学校教師と保育士が、迷子を見つけて…。
氷塊、溶けて流れる〜絶縁していた父に我が子と同じ歳の子どもがいたという…。
オーシャンズ〜潰れた八百屋に隠されていた七年間の秘密とは…。
渦〜若き青年との擬似恋愛に溺れる編集者…。
鯨骨〜癌になった友人と海岸に打ち上げられた鯨…
空が海で、雲が骨で鯨骨だと言ったことを思い出しながら…。
Posted by ブクログ
前から気になっていた作家さんの連作短編集。
海沿いの街が舞台になっている7つの物語。読みやすいけど、共感できるものもあれば淡々とした話でもうすでに内容を覚えてないものもある。
海なし県で育った私は、海に憧れがあり、海って言葉が出てくるだけでちょっとワクワクする。けど、この作品はなんだか終始重かったな。
海のある風景は本当に美しい。ずっと見ていられる。けど、時に残酷な風景にもなる。
Posted by ブクログ
全部のお話に海が出てくる。
「海も涙も、しょっぱいじゃん。だからさ、実は海は、たくさんの生き物や、人間や、もしかするとこの星自体が流した涙が、流れ着いて集まった場所なのかもしれない。この星は涙でできていて、海は乾くことはない。だからみんな、海に泣きにいくのかもしれないな。」
短編集だからサクッと読めていいけれど もっと読みたい、この話を詳しく読みたいって思える物語もいくつかあった。