あらすじ
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――(「海の街の十二歳」) 高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――(「鯨骨」) 海の街を舞台にした著者の新境地、全7編。
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Posted by ブクログ
あいつも、かつて好きだった雌が、知らぬ間にほかの雄とつがいになり、子供をうみ、それを育てていく様子を、どこかで知ったりするのだろうか。
空腹で目を覚ます。外はもう暗く、携帯の液晶画面のライトだけが、この世の灯りのように見えた。
全席禁煙です、と強い口調で言われて、わかりきっているのに、寂しかった。
会うことが決まった直後から、会いたくない気持ちが強くなってきていた。
東京には、どこに居ても、妻との思い出があった。たかだか二年だが、その間に、本当にいろんな場所に行ってしまった。
俺はいつも、誰かと疲れていたかったのかもしれない。
鳴き声が下手なまま老いていくウグイスがいるなら、生きるのが下手なまま、生きていく人もきっといる。何度も失敗しながら、笑われながら、自分に疲れながら、それでも生きていく人はきっといる。
Posted by ブクログ
繊細で具体的な情景描写が印象的だった。
それぞれの短編の登場人物たちが抱える、
悩みや葛藤やコンプレックスは、
全く同じでなくても、
いつか自分も感じたことのあるもので、
すべての登場人物たちに親近感を覚えた。
終盤に近づくにつれ、
「わたしたちは、海」というタイトルが腑に落ちた。
Posted by ブクログ
最近、海を見たく、その欲を満たすために読み始めました。緩やかに話がつながり、海を起点に表現が広がっていました。
波や海に関連したフレーズ以外では、「俺はいつも、誰かと疲れていたかったのかもしれない。」「もっと軽率に、心が動けばよかった。」が好きでした。
読み返したいほどではないが、読まなきゃよかったというほどでもない。海を見たい気持ちは少し満たされたような気がします。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにした――「海の街の十二歳」
小学校教諭の岬と保育士の珊瑚。幼なじみの二人は休日に近くの海へドライブへ行った。渋滞にはまった帰り道、二人は光るスニーカーをはいた4歳くらいの子供が一人で歩いているのを見つけ――「岬と珊瑚」
高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われ――「鯨骨」
海の街にたゆたう人々の生の営みを、鮮やかに描き出した傑作小説集。書き下ろし1編を含む全7編。
『僕を友人の第一位に挙げるような人生を送った人間が、この世界にはいるはずがないのだ。』
【個人的な感想】
「鯨骨」が1番好きだった。波多野のひねくれた考え方が自分と似ていた。