あらすじ
脚本家を夢見て劇団に所属する岩崎凜と、居場所を失った高校生・松田英治。映像作家のトップランナーである宮部あきらと、その熱狂的なファンの富永早苗。そしてSNSから突如ブレイクしたバンド・ブルーガールと、彼らが引き金となる「ある事件」。別々の道を歩んでいたはずの人生が交差するとき、数奇な運命が動き出す――。迷い、悩み、嫉妬し、決断をしては傷つき合う、激情なる恋と世界に隠された理不尽を描いた群像劇。『明け方の若者たち』で鮮烈な小説家デビューを飾った著者の第二作。川谷絵音との文庫版対談を収録。《解説・柴 那典》
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Posted by ブクログ
カツセマサヒコさんの本はこれが一番好き。鬱になるって言われてるけどこの本にはお気に入りになれる文章がいくつかある。それを集めて私は星を作るとおもう。
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様々な視点から書かれた物語。
人間の欲、嫉妬、後悔が剥き出しで、
経験したことないのに、
どこか共感できる部分が多く、
エモさが全開だった。
自分の言動で身の回り環境が変わっていくこと、
人間関係の複雑さが滲みでていた。
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最近よく聞くindigo la Endのアルバムが元になってたの全然知らなくてびっくり
読み始めは微妙かと思ったけど、登場人物それぞれに主人公並みのストーリーがあって最終的な満足度はかなり高かった。というか主人公決まってないし
読み返したいけど、少し時間を置いてからじゃないと。
Posted by ブクログ
久しぶりにページを捲る手が止まらなかった。カツセさんの作品のなかで飛び抜けて好きな1冊。アルバムを小説化しようという発想、登場人物たちの心がきちんと回収されていくところ、ハッピーすぎない曖昧な結末、多すぎないページ数。こういう小説がもっと増えたら楽しいな、と思うほど好みだった。
・それっぽいことを、それっぽい説得力を持って述べる。人は話し方が九割。見た目が九割。第一印象が九割。新書のタイトルにありそうな情報を本気で信じているようなコメンテーターたちは、残りの一割に全く興味を示さない。
・寒い日に二人で食べるコロッケは、本当に美味しかった。雪山で食べるカレーとか、海の家で食べるラーメンとか、高速道路のサービスエリアで食べるホットドックとか、そんな風な「ふつうの特別」が、そのコロッケにはギュッと詰まっていた。食べながら涙が出そうになった。大袈裟でもなんでもなく、世界で1番好きな食べ物が、コロッケに変わった瞬間だった。
・「期待を超えてほしいけど、予想は裏切らないでほしい」
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独りだと思っていても、自分は独りじゃないのかもしれないと思った。
誰かの心に絶対残ってる!とかそういうのじゃなくて、気づかないところで誰かの人生を動かしてる、みたいな
丁寧な文章と描写ですごくのめりこんだ
たくさん本を読んだつもりなのにこんな感想しか書けなくて悔しい
読みやすい!
読みやすく、展開も面白い!
様々な人を傷つけてきた宮部が、例の写真で大炎上し自死を選ぶほど追い込まれたはずが、一人の女性を殺してしまう。
そこから、発生する断ち切れない憎しみの連鎖。
とてもリアルです。
あと、言葉選びがおしゃれ。読んで損はないと思います。
Posted by ブクログ
みんな生きるのが下手っぴだなって
自分を見てるみたいだなって思った
もっと上手に涼しい顔して生きたいよねみんな
幸せってなんなんだろって考えさせられる作品だった
Posted by ブクログ
カツセマサヒコさん著「夜行秘密」
タイトルに惹かれ購読してみることに。
自分にとって初読みの作家さん。読む前に調べてみたらバンド「ゲスの極み乙女」の音楽アルバムを小説化した作品との事。
企画としてなのか?なんか壮大なのか斬新なのかちょっと理解できなかったがこういう音楽と小説の融合的な類いの小説は30年以上前に尾崎豊さん本人がやっていたなと思い出す。尾崎豊作品を改めてまた読んでみたいと思った。
物語は音楽の方を聞いていないため面白さが半減しているのかもしれないがそれでも面白かった。ジャンルとしてはラブストーリーに分類されるのかもしれないが自分には少し文学的な感覚も残った。
愛する人の「死」が各所各所でポイントになっており物語が構成されている。登場人物達のその「死」の噛み砕き方が絶妙。
ターニングポイントとして何人かの「死」を絡ませてその後の未来を描くその描き方が面白かった。結末もやはり「死」によってもたらされ、「愛」に対して「死」を対にするような作風で終始描かれておりかなり文学的なニュアンスを強く感じた。
この小説のおおもとの「ゲスの極み乙女」の楽曲を聞いた事のある方はどういう読後感があるのだろうか?
とても興味深いのでこの後調べてみたい。
Posted by ブクログ
人物の視点が頻繁に変わるので、だんだんと人物たちのつながりや関係性が見えてきて面白かった。
最後のたたみかけた展開がとても良かった。『夜行秘密』というアルバムとリンクしているらしく、その楽曲も含めてまた読み返したい。
Posted by ブクログ
ヒリヒリと痛さを感じた。
誰が幸せなのだろうか…と考えてしまうほど、誰も幸せではない気がした。
脚本家を夢見て劇団に所属しながらバイトする岩崎凛とバンド・ブルーガールの音色がつきあいだしてから始まり、ライトな恋愛かと思っていたら…。
映像作家の宮部あきらと彼のファンの富永早苗の恋愛感情のない関係が…。
宮部あきらのマネージャーだったナツメと彼女と付き合うメイの関係。
凛が、音色に振られ、宮部あきらが何もかもを失い寄り添うのは凛。
やがて凛と居場所を失う高校生の松田英治の出会い。
全く接点のなかった者たちが、出会ったとき…
まるでこうなることを誰が予測してただろうか。
人は、こんなにも呆気なく死んでしまうのか…
こんなにも傷つけあって何が残ったのか…
思いが重いになる。
Posted by ブクログ
いくつもの後悔を抱えたまま、それでも前へ進んでいくしかない·····まさにその通りだと思った。あの時こうしていれば、人はそれぞれ色んな想いを抱え生きている·····苦しいなかにも小さな幸せが見い出せればいいけれど、誰もが、何とかもがきながら生きているんだなと。
Posted by ブクログ
誰しもが、誰かしら人に愛されて憎まれて後悔しながら生活をしているのかもな…。
楽曲とタイアップしているからか、現実的なようで非現実的な世界観が独特だった。みんなが主人公だから、一つ一つの物語が少し重たくて、さらさらとは読めなかったけど…indigoのアルバムを聴いて見たいと思ったし、文学と音楽の融合は面白いかもしれない。
Posted by ブクログ
後悔のない生き方なんて、
できるんだろうか。
なんか、いろいろ考えさせられる小説でした。SNSとか、多様性とか、主張する人間のための世界。なんか逆に生きづらい。終わってくれない連鎖。なんでそうなってしまうのか、、、読み終えたのに、まだ消化しきれていない自分がいます。
Indigo la Endのアルバム「夜行秘密」をベースに、著者が新たな解釈で書き上げた長編小説。短編集じゃなくて長編ってのがすごい。読み終えたあとに、このアルバムを聞くと小説のシーンが浮かんできます。とくに「フラれてみたんだよ」が切なすぎる。岩崎凜が見えた。
Posted by ブクログ
新鮮、でした。
群像劇なのに誰の目線にも縛られていない気がします。強いて言うなら「被害者」のストーリーというのか。。そんなの当たり前かもしれませんが、ネグレクト・DV・パワハラ、一方向の想いが相手を透過していく苦しさは、コミュニケーション不全のわが家にも当てはまる気がして寒さを感じます。
元恋人の死を知り、ひとしきり嘆く場面でひっかかるフレーズもありました。
── 本当はりんちゃんの死自体を泣きたいのに、自分のことばかりで泣きそうになるのが、またダサくて、耐えられなかった。
自分への内向きの矢印。
思春期が過ぎても内外のバランスがとれていない、自分の外側にもう一重の自分がいて、その万華鏡の中で自家中毒をおこしている自分。厨二病だか自意識過剰なんだか、欲、なんでしょうか。
歌詞と曲にして昇華できる才能が、羨ましいと思いました。