カツセマサヒコのレビュー一覧
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あまりにも切なく、共感だらけの恋物語だった…
恋って本当に苦くて、キラキラしていなくて…リアルな世界観と言葉たちが胸にズキズキ刺さった。
『感情旅行』 一穂ミチ
ご近所さんで、早逝した蒔生。彼と結婚する可能性のあった主人公の華は、訳あって彼の息子千歳から旅行をお願いされ同行することに… 華の心の葛藤と、千歳の秘められた想いを、出雲の穏やかな大地が彩っているような作品だった。ラストシーンは一穂さんっぽい甘酸っぱく爽やかな感じで好きだな
『独身の女王』 麻布競馬場
ミドサー独身の私は「独身のカリスマ」を「教祖様」とあがめていたが、そのカリスマが結婚した。そんなカリスマや友人の影響を受け、私はマッチングアプリをすることに…そこで出会った彼は大学時代憧れていた人だった。自分の人生や想いを、大切に紡いでいきたいと思えた作品だった。
『オレンジシャドウの憂鬱』 砂村かいり
あずみの元カレが友人の礼奈と付き合い始めたらしい…そこから礼奈はあずみに対してSNSで罵言を投稿していく。あずみの上手くいかない恋愛模様が繊細に描かれ、切ない気持ちが溢れた作品。
『さみしがりやの恐竜たち』 こざわたまこ
バツイチ同士の治癒的恋愛の話かと思いきや、ラストは思わぬ方向に話が進んでいく。ひとりの寂しさがぶっ飛んだラストに繋がっていった本作だが、共感するところもややあって…苦しいけどクセになる作品。
『不機嫌依存性』 田中兆子
不機嫌な人の心理を知れて興味深かった作品。主人公のカリンは、結婚するであろうタカヒロにいつも不機嫌な態度をとってしまう。それが仇となり、彼から別れを告げられるのだが…。今まで不機嫌な人を前に嫌悪感が否めなかったが、本作を読んで可哀想な人なのだと考え方が変わった。不機嫌であることは構わないが、やはり不機嫌であることで大切なものを失ってしまうのは悲しい…ならば自分の気持ちに素直になって、自分で自分の機嫌をとって生きていく方が楽であり、ステキな生き方であると改めて感じた作品。
『出会い』 朝比奈あすか
夢に見ていたアパレルブランドの店長になった美咲。そして勤務先の近くのカフェにいる歳下店員に恋心を抱き、ときめきを隠せない日々を送る。しかし月日が経ち、その店員がいなくなってしまう…落ち込みながらも、美咲が前を向いて歩いていく姿が印象的なラストが清々しい作品。
『振りかぶって、さよなら』 千加野あい
会社の部下平に恋心を抱く燈子。それと同時に同僚に勧められていたマッチングアプリの相手野々宮とも食事を重ねていた燈子だが、野々宮に共感のようなものを抱くものの、やはり平のことを忘れられない。純粋な恋心と年相応の現実の恋のどちらを燈子が選ぶのかー、恋ってやはり難しいなと唸ってしまった作品だった。
『となりの独り』 カツセマサヒコ
主人公のヨイチは、定期的に集まる友人グループで唯一の未婚者。彼はグループのみんなに「USJに行こう」と提案するものの、皆家族がいて難色を示す。そのこともあり彼はマッチングアプリで友人をつくるべく出会った女性に、思い切った行動を取るが…。
『結婚をすると
USJに行く対象や目的が変わってくるー。』
この言葉は直截的で、首肯が止まらなかったな。
1番好きな話は、『感情旅行』だった。
どんなにうまくいかない恋でも、自分の成長のためには必要なもので、それを乗り越える強さをこのアンソロジーから教えてもらった気がした。
うまくいかない恋も悪くないなと思わせてくれた作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ町田文学館で借りた本。
かつて町田に住んでいた、という話がありおお、と思う。
エッセイは読みながら、過去の自分の小さな思い出と急にリンクすることがあるから面白い。
シングルライダーズ・ハイ
・相手と自分の温度感の差。一緒にディズニーに行って、別々に乗るという選択肢もあるのか
*絶対的な笑顔、というものがこの世にはある。
肉食獣のアパレル店員
*ユニクロ感謝祭に全身ユニクロで入店した。
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*もしかしたら私たちは、ハンバーグでなく時間を食べているのかもしれない。
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*雨や雪のせいにして「会いたい」と言ったことがあった。
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Posted by ブクログ
うまくいかない恋 アンソロジーなので
どの短編も単純なハッピーエンドではない。
けれど8人の作家さん其々に、30代ならではの主人公たちの個性的な恋模様が描かれていて面白かった。
収録作は以下の8作品
「感情旅行」・一穂ミチ
「独身の女王」・麻布競馬場
「オレンジシャドウの憂齢」・砂村かいり
「さみしがりやの恐竜たち」・こざわたまこ
「不機嫌依存症」・田中兆子
「出会い」・朝比奈あすか
「振りかぶって、さよなら」・千加野あい
「となりの独り」・カツセマサヒコ
私は「出会い」と「となりの独り」が好みだった。
「出会い」は一歩踏み出せない片想いのお話。
スタートすらしなかった恋もまた、生活に彩りを与えてくれるから素敵だと思う。
「となりの独り」は男女の考え方の違いが如実に出ている作品。経験を積んできてる筈なのに、お酒が入ると油断しちゃうのか、勇み足になるのか、なんとも愛おしい。
今回は、初めての作家さんも読めて新鮮だった。
人の恋愛だと、客観的に見られて冷静に考えられる。
人の恋だからこそ、いいも悪いも含めて羨ましい。
サクサク読める短編で軽めの内容なので、恋愛小説を読まない方にも、気晴らしにオススメしたい。
雑誌CLASSYに掲載されていたようなので、人生の転換期が多いこの辺りのターゲット層に一番響く内容だと思う。
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Posted by ブクログ
カツセマサヒコさんの本は感情のまま言葉にしてることが多く、印象に残る本というイメージがある。
今私が「結婚」についてよく考えているから、この物語の結婚観について気になり読み始めた。
会社のパワハラ、離婚、結婚前の関係。
私が未だ経験した事ない人の感情を感じることができた。
無自覚の加害。無自覚の傷。
人の言葉や行動ひとつで人は簡単に壊れてしまうし、関係も崩れてしまう。自覚して言葉を、行動を常に選択しなければいけないなと思った。
結婚の前は絶対に不安がまとわりついて、離婚の前は感謝が絶えない。
大きなロマンと義務を背負わせすぎたのものがこの国の結婚観だ。という言葉に本当にそうだと思った。
他人である二人が一つになるのだ、そんな難しいことが簡単にできる世界で不具合が生じないわけがないのだ。お互いの思っていることをちゃんと伝えて、感謝を忘れないでいることが、義務であり、ロマンだろうなと。
夫婦でいれば何かあった時、その人のそばにいれる。
結婚のメリットは何か、それはその人のそばに居続けることが出来ることだろう。
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相手の真意を理解する。
相手との性格の違いや、人生観の違いを許容する。
そこにリスペクト出来ないのであれば、好きだのなんだのは、ただの戯言だと思う。
相手の身勝手を頭ごなしに否定するのではなく、その前段階にどんなロジックがあるのか探し出すもの。
無数の恋愛模様がある中で、相手を否定して自分を正当化する事がどれだけ無意味な事か。
少なからずある失敗を元に、それでもまた誰かを好きになるという事が美しいと思える小説。
「恋は中央線」という言葉があった。
中央線は、阪急京都線のように河原町を出て梅田に到着する、ゴールのある線。
でも僕は、環状線みたいなものだと思う。
同じ駅に何回着いたとしても新鮮を味わおうとする努力だと思う。
「好き」と言われることを馴染ませないようにする心持ちを持つ。
僕はそんな電車に乗りたい。 -
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仕事だけでも大変なのに、当たり前のように家事・育児との両立が求められる令和のパパ。大変でないはずがない。
女性活躍の必要性が叫ばれるようになり、日本型雇用慣行のもとで、女性が育児と両立しながら働き続けることの難しさは、広く認識されるようになってきた。だからこそ、女性が働き続けるためには男性の育児参画が不可欠だという流れは、ある意味で自然なものだと思う。
一方で、男性にとっては前例のない大きな負荷が課されているにもかかわらず、それが「当然のこと」として求められている側面もある。(かくいう私自身も、夫にそれを求めている一人だ。)
こうした本を通じて、「パパも大変なんだ」「それでも頑張っているんだ」という認識が、もう少し広がっていくといいと思う。
あえて言うなら、長時間働いて疲れ切っている中で、家庭でも責められ、「自分だって頑張っている」と感じているパパ像が描かれたらもう少し共感が得られるのでは、とも思った。 -
Posted by ブクログ
ほぼどんな人にも悩みや苦しみがあるし、
ほぼどんな人も一度は地獄を見たことがある。
当たり前のことなんだけど忘れがちで、私ばっかり苦しいと思いがち。
この本では、何かしらの繋がりがある34人の苦しみを少し軽くしてくれるような言葉が章ごとに出てくる、34篇の短編集。
私の心の中のいくつかある重石に直接当てはまるお話はなかったけど、それでも読み終わりは、雨の中で確かに私に差し出してもらった雨傘のようなものを感じました。
天気を晴れにすることは人にはできないけど、傘を差し出すことと、傘を受け取ることはできる。びしょ濡れにはならずに歩けるだけで、人は救われるよなぁ、と思いました。
そうやって改めて考えると、そういえば今朝も、私はある人から直接傘を差し出してもらったかもしれないです。
朝、最寄り駅からいつも一緒に出勤している職場の人(先輩ママ)に、姉妹喧嘩にほとほと疲れるという話を聞いてもらっていた時、「それは大きくなった時に喧嘩しないようになるための準備期間なんだよ」と言ってもらえ、本当に心が救われました。
今朝も喧嘩が始まりそうな予感があったので、いつものように彼女たちを夫に託し、さっさと家を出て出勤した私。仕事後が私のターンなので。
地味に、仕事に出ることがリフレッシュだと思えるほど、家の姉妹喧嘩がストレスなんです。(職場が超絶ホワイトなのももちろんありますが。)
職場の人が言っていたことは、当たっていないかもしれない。大きくなっても喧嘩ばっかりの姉妹かもしれない。
でもとりあえず、今の私が現状を乗り切るための助けになる言葉だったし、そう思えばしばらくは耐えれそう!!
こんな悩み、大したことないのかもしれないけど、私の日常のストレスファクターであることは確かだし、そこにそっと欲しい言葉をかけてくれた彼女には感謝しかない。
この本の根本になるけれど、
やはり人は、傷を、悩みを、苦しみを、ストレスを、誰かに吐き出さないといけない。
そうしないと雨傘は差し出されないと痛感しました。
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Posted by ブクログ
麻布競馬場さん、柿原朋哉さん、カセツマサヒコさん、木爾チレンさんの短編小説4集。
ハッシュタグというものが市民権を得てどれぐらいがたっただろう。
元々は、SNSで特定の言葉を目立たせたり、検索しやすくするものだったかも知れないが、時に真正面から見せると気恥ずかしい言葉も、ハッシュタグを添えるとその言葉が突然誰にも聞こえる独り言のように、意味を持つようになった。
この4編はそんなSNS世代と呼ばれる人たちや、テーマを扱った作品である。
いずれの作品も短編なので、もう少し読んでみたいな、この設定は少し爪が甘いなと感じることはあれど、気楽に読めるのでおすすめ。