岩井圭也のレビュー一覧
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遺伝子テクノロジーが発達した近未来、人間の卑しい欲望を描いたディストピアSF×ミステリ #真珠配列
■あらすじ
近未来の中国、高速で進行する癌によって亡くなる人たちが居た。その中に有力者の息子も含まれており、何らかの事件の可能性を懸念した公安局では捜査を開始。刑事アーロンは、遺伝子の専門家であるマリクに捜査協力を依頼するも、けんもほろろに扱われ…
■きっと読みたくなるレビュー
物語は近未来の中国が舞台、テーマは遺伝子テクノロジー、ゲノム編集ってやつですね。
ひと昔前に、遺伝子組み換えの大豆、クローン牛なんてのをよく報道されてました。技術の進歩は素晴らしいんですが、アンタッチャブルな神の領域の研究などと、異を唱えられてしまうこともあったんだと思います。
このゲノム編集、反発を受けることなく大きな進化を遂げていたらどうなっていたのか… 人類は幸せになるのか、不幸になるのか、そんな想像を駆り立てられる作品になっています。
本作のメインキャラはふたり、刑事のアーロンとウイグル人の遺伝子エンジニアのマリク。手を取り合って捜査を進めなきゃいけないんだけど… ふたりとも我が強くって、そりゃもう仲が悪いという。ちなみに個人的にはどちらも友達になりたくないね、うんうん。
ただ彼らの思惑、駆け引き、背景みたいなところが一番の読みどころ。ふたりの距離感どう変化していくか、そして読者としても、徐々に見え方が変わってくるんですよね。
そして本作で熱く語られる遺伝子テクノロジーですよ。真珠配列って、なんなのでしょう…
フィクションとは言え、この物語を読んでいると人間ってのは欲望の限りがないことを痛感する。結局は自分が幸せになるためなら、他人が不幸になってもいいという考え方なんすよね。一体どこまで、むさぼり尽くせば気が済むのでしょうか。
でもこんなディストピアな世界になると、どういうことが起こるのかってのがよーくわかります。世界中で我意を通している人たちに、ぜひ読ませてあげたい一冊でした。
さて本作、かなり重めのテーマではありますが、構成もシンプルだし、文章も読みやすくわかりやすい。さすがの安定感の岩井圭也先生ですね、面白かった!
■ぜっさん推しポイント
本作でもうひとつ語られる重要なテーマ、ウイグル人、新疆ウイグル自治区、ウイグル人権問題。日本のメディアでは、ほとんど報道もされない。
21世紀も4分の1が終わろうとしているのに、まだこんな人種差別が現実にあるかと思うと悲しくてやりきれない。私も聞いたことはあったという程度で、現実を全く知りませんでした。知らない人も多いと思うので、ぜひ調べてみて下さい。 -
Posted by ブクログ
仕事帰りに立ち寄る書店の新刊コーナーで。
著者の作品は好きだけど、テーマで手にとらないものもありまして。
本作の裏のあらすじ読んでテーマを確認して
読めるかなあ…と思いましたが。
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「著者の隠れた才能が、
ついに解き放たれた」
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という今村翔吾さんの帯コメントを見て
購入を決めました!
昭和、水銀鉱床、戦争、公害。
静かに暮らしていたアシヤたちの生活は一変する。
水銀の毒に耐性があるアシヤたち。
それらを利用しようとする人たち。
テーマは重たかったですが、
岩井さんの文章はそれを感じさせず
ぐいぐい物語を進めてくれます。
自然が人間の手で不自然に壊されていくのは、
胸が痛みました。
また人間の欲や乱暴な部分も目立ち、
それは昭和だから許されてたのかと思うと、
時代に抗えないと言うか。
一つの産業が大きく発展して急落していく様と、
そこで振り回される人間と、
削り取られた山がリンクして、
なんとも言えない気持ちになりました。
年末のちょっと気持ち的に余裕のあるタイミングでよかったです。
普通に仕事が忙しかったら手に取れず、積読になってたかもしれないので。苦笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ犯罪者の息子岳と被害者の息子和馬。
理不尽な暴力に耐えながら、身勝手な父親に殺されそうになる岳。
父親の起こした立て籠り事件の最中、岳のうでを掴んで助けた警察官の和馬の父は命を失った。
犯人の岳の父親はその場で自殺。
やり場の無い憎しみを犯人の息子である岳に向け続ける和馬。
剣道を通じて繋がってしまう二人。
初めてであり最後の試合で対峙する岳と和馬。緊迫感とスピード感そして痛みまで伝わるような描写に引き込まれてしまった。
「俺は浅寄の人生をいきてるんやない。俺は、俺の人生を生きてるんや」はぐっときてしまった。
「文身」ほどの衝撃は無いもののエピローグでの伏線回収は切なくなった。
私の大嫌いなあの人にも許せないあの人にも憎らしいあの人にも、他人の私があれこれ口出せる事の出来ない経験や事情があるのかも知れない・・・でも嫌いだけど。
成長したいなぁ、人として。
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横浜ネイバーズ シリーズ第3巻
タイトル通り凪メインとなる巻です。表紙見て、あれ?川崎?と思ったら、川崎に住んでいた頃、凪に何かあったという筋立て。
1 ゴッド・イズ・バック
FPSの天才プレイヤーチップは、とある事情でプレイヤーを止めようかと思っている。それを何とかしたい彼女はロンの知り合いで大元の悩みを解決してほしいと依頼にくるのだが。
いや、これ、ムリでしょっていう壮大な依頼を達成したかどうかは読んでのお楽しみ。いつも気になるけど、依頼料貰ってないよね?そして蟹王スゴすぎ。
2 推しの代行者
ライブ会場限定販売のグッズを転売していた石森は特殊詐欺事件で関わった富沢昂輝の紹介で自分を襲ったヤツを捕まえて欲しいとロンのところに来る。それは警察の領域だし、そもそも転売自体が嫌なロンが躊躇しているとグッズの盗難まで起こって…。
「わざわざって、どこから?」
「磯子です。」
「◯◯◯……………。」
このセリフの応酬に吹き出せる人は距離感知ってる人だよね。いや、この章の面白さは見事に犯人をあぶり出す運のよさと度胸の良さの方です。
3 盗人のルール
競馬に入れ込んで首が回らない借金をしてしまった吉川は闇バイトに手を出すが、いきなり強盗案件が回ってきた。そこは関内と石川町の間にあるアパートで…。
4 凪の海
所属するラップグループ、グッド・ネイバーズがついにメジャーデビューする目前で、凪は楽屋で夫を殺した癖に、と女性に襲われる。凪は話さず連絡にも応じないので、ロンたちは凪の過去を調べ始める。 -
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横浜ネイバーズ、シリーズ第2巻。
タイトル通りヒナメインでお話が短編仕立てで進行します。1巻ではロンは、探偵なのか、実力なのか、ただの勢いなのかっていう印象あったのですが、2巻では、結構探偵らしくなってます。閃きで解くのではなく、刑事っぽい泥臭さと、運と、いざというときの切り込みが良い。
1 そして、女神は消えた
雛が好きな美容系インフルエンサーが突然配信を止め、消えた。雛の依頼で事情を知ってそうな人に話を聞きに行くロン。雛がインフルエンサーに聞きたかったことは…?
2 飛べない雛
「菊地妃奈子は犯罪者である」という一文がツイッターの捨てアカで投稿され、ご丁寧に同じ高校の出身者をツイートしまくった。高校を中退し、引きこもってしまったヒナに起こったことはなんだったのか?
3 チートな俺
QRコード決済の上にシールを貼って自分に振り込ませる詐欺の旨さを覚えた俺は次に中華街をターゲットに選んだ。
4 マザーズ・ランド
地面師に騙される詐欺案件で浮上した女の顔は南条不二子に、そっくりだった。岩清水欽太は動く。そして、ロンも決意を固める。
本当は地元中学生に手にとって欲しいけど、割りとありがちな犯罪で重めの汚いもの多くて、読みやすいけど高校くらいからかな~ってラインです。ま、エログロはそうでもないから、中学校ならギリセーフかな。 -
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どんぐりさんのレビューで発売を知りました。
どんぐりさんありがとうございます!
近未来ディストピア小説だそうです。
時は2029年、二月下旬。
北京市公安局庁舎。
警察官のアーロン・ハオ、23歳が主人公です。
連続した不審死が起こります。
被害者は四名でいずれも謎の進行がんで亡くなっています。
被害者のうち一命胃がバイ・ムーアンという政治局の父を持つものだったため事件性があるとみなされ、アーロンが捜査に当たります。
四名のがんは人為的に引き起こされたがんとみなされますが…。
前半部分はその他、1989年に中国でヒトクローンが
初めて作成されたこと。
そしてアーロンの生い立ち。アーロンの兄は14歳で亡くなっていますが、なぜ警察官になったのか。
などが描かれていますが、いまひとつ盛り上がりに欠けるストーリー展開で、星3つかなとか考えながら読んでいました。
でも後半部分には大どんでん返しが待っていました!
これは面白いと思い、みるみるうちに伏線回収されてゆき最後は前半とは全く違うストーリー展開で面白かったです。
主役はやっぱりアーロンでした。
アーロンの物語でした。
それ以上はネタバレなので言えませんが。 -
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
今作では土門の内面にだいぶ触れられた気がします。
土門の大学時代の友人3人が語る言葉から土門の過去が窺われ、土門の輪郭がしっかりと伝わってきて読み応えがありました。
でも、それ以上に心を打たれたのが、土門が自分自身を価値のない人間だと思って生きてきたこと。その土門の苦しみが伝わってきて、読んでいるこちらも苦しくなってしまいました。
でも、そんな土門を救ったのが3人の友。土門が彼らに出逢えて本当に良かったと思えました。彼らの絆は、これからもずっと続いていくんだろうな。
今作は事件よりも、能面のような土門の顔の内側を知れたことが何よりも収穫!喜怒哀楽を感じられない土門の、誰よりも人間臭い一面を見せてもらった!