岩井圭也のレビュー一覧
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岩井圭也さんらしい…
遺伝子操作、ウイグル問題といった日本人が無関心な問題を真正面から扱っている。
しかも、設定は2029年という近未来。
中国が舞台であることで聴き慣れない名称ばかりが続き、日本人にはまるで他人事のように感じるストーリー。
そして、近未来すぎて現実味がない故に陰謀論のようだと感じさせる。
でも、どこかの国で似たような研究が実際に行われている可能性はあると思う。
遺伝子操作もウイグル人問題も、真相はわからないことだらけだけれど、こんなディストピアな世界は近づいているはず。
そうだとして、これからどう生きて行こうかと考えさせられる。
遺伝子操作やクローン技術で生まれた人が増えた時、未組み換えやクローンでない人の生きる世界は残されない気がする。
想像しただけで震える世界だけれど、少しずつ慣らされて最後は生きられない世界になってしまうのだろうな。
物語のラストは私としては思いがけない着地点で今ひとつだったけれど、単に私が著書のメッセージを読み取れなかっただけなのか…。
数年後に読み直したら、今とは違う思いを抱くのだろうか。
機会があれば、いつか読み直したい。 -
Posted by ブクログ
古書店〈深海〉に集まった人々の人生が、読書会を通じて交わっていく、ちょっと考えさせられるような、心が温まるような、躊躇う人に踏み出す勇気を与えて背中を押してくれるような、そんなお話でした。
読書会、っていうのはSNSでも実際見かけるし、参加してみたい気持ちも無くはないけどなかなか敷居が高い。ただ、この〈深海〉で開催されるような読書会だったらとても素敵な会だと思う。
「おもしろかった、なんとなくわかる、というのも立派な感想です」「登場人物への共感は必要でしょうか?」...遠藤さんはどこまでも優しく導いてくれてるみたい。
読書の感想にも人生にも「正しい答え」は無い。
あれ?
これってとんでもなく名著かもしれない...!!
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Posted by ブクログ
面白かった。
土門の大学の同級生が出てきて、土門の家族や、土門が友人達を救ったこの、土門が社会不適合者と絶望し自殺未遂をしたことなど、色々な土門のことごわかって面白かった。
1、交換原理
殺人と遺体損壊、遺体遺棄で逮捕された女。
殺した男は全くの別物。偽装殺人。
同期の猪狩教愛授の力を借りる。
指紋からDNAが検出できるなんて初めてしった。
犯罪学者のエドモン・ロカールのロカールの交換原理。
「2つの物体が接触した時、必ず物質の交換が行われる」… 「一度他者と接触すれば、その他者は必ず心のなかに何かの痕跡を残す」
2、雑踏に消ゆ
花火大会で押し合い事故が発生。
とある男の「火事だ!」との偽の声で事故が誘発されたのでは? この声の主を探す土門達。
声の主の高校生が花火大会には行ってない、友達の家にいたとの証言を嘘を科学の力で見破る。
気温差により結露は外側に出来る。
少年の嘘を見破った。
天気予報の会社に勤める、同期の鳥飼の力を借りる。
3、見知らぬ水底
水中自死体が発見される。
合成麻薬を見抜く。
同期の麻取り窪の力を借りる
4、灰色の追憶
猪狩教授の研究室で火事が。
事故か事件か。自作自演(マッチポンプ)の疑いまででる。
間欠性一酸化炭素中毒で記憶喪失となった同期の猪狩を助ける土門。
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シリーズ第三弾。
かつては科捜研のエースとして活躍していた経歴を持つ凄腕鑑定人・土門誠の事件簿。連作四話が収録されております。
安定のクォリティ&面白さ!
土門さんの卓越した鑑定技術と知識を、この度も堪能させて頂きました。
さらに、今回は土門さんの大学時代の同期の方々が登場し、各話にちょいちょい絡んできます。
これまで過去2作を読んできて、土門さんって確かに頭はキレるし、抜群にシゴデキな人なのですけど、如何せん無愛想すぎるので(所謂、コミュ障ってやつ?)、
“この人、友達とかいなさそうだなぁ・・”なんて勝手に思っていたのですが・・
ちゃんといましたよ!土門さんにも友が!
そんなわけで、本作は各話の事件の真相追及展開と併せて土門さんの学生時代と三人の仲間たちとの絆といったエピソードを楽しめますし、それによって、土門誠というキャラクターに更なる深みを感じられる巻となっております~。
とりわけ、第四話「灰色の追憶」の胸アツ展開には引き込まれるものがありました。
火事に巻き込まれて記憶障害になってしまった、旧友・猪狩さんと彼女を気遣う仲間たちの友情。
そして、嫌疑がかかってしまった猪狩さん救いたい思いと科学的真実の追及の為、凄まじい執念を見せる土門さんの姿にグッときちゃいましたね。
「・・科学は嘘をつかない。でも、科学だって人の営みの一つだよね?科学を信じるってことは、人を信じるってことじゃないのかな。」
土門さんってば、素敵な仲間に恵まれているじゃないですか。
ということで、鑑定ミステリとしての面白さは勿論、土門さんの新たな人間的側面が垣間見えた一冊となりました。
(“ベージュのセットアップ”のきっかけも判明しましたね♪)
まだまだ続いてほしいシリーズですので、是非続巻をお待ちしております~。 -
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江東区の亀戸で無差別殺傷事件が発生。犯人は逮捕された後、「死刑になりたかった」と供述していると報道された。
フリーの事件記者・安田賢太郎は週刊誌編集部から依頼を受け、犯人として逮捕された深瀬という男について調べはじめたが……。
善悪の狭間でもがかざるを得ない人間にスポットを当て、その苦悩を描き出すヒューマンサスペンス。
◇
11月の隅田川テラス。今日は日曜日だが、晩秋の夕刻ともなると、さすがに人の姿は見当たらない。
そんな寒々とした中で、安田賢太郎は川面に垂れた釣り糸を見つめていた。
始めて3時間になるが、竿先はピクリとも動かない。それもそのはずで、シーバス釣りの時期はとっくに過ぎているのだ。
安田の横に座る海人は早々に釣りに飽きたようで、さっきからずっとスマホで動画を見ている。
今日はひとり息子の海人との面会日だ。
4年前に離婚してから定期的に海人と会っているが、どこに連れて行ってやればいいのか安田は未だにわからない。挙げ句、7歳の息子を季節外れの川釣りに連れ出して、退屈させてしまっているのだった。
釣果がないまま日没を迎え、海人と焼肉屋で夕飯を食べ終えたとき、安田はスマホに仕事のメールがいくつも来ているのに気がついた。
最新のメールは『週刊実相』の三品デスクからであると知り、慌てて開けてみると、
「ヤスケン、これ取材できる?」
とあり、その下にURLが貼り付けられている。
そのURLをタップすると飛んだ先はニュースサイトで、30分ほど前に配信された凄惨な事件についての記事だった。
そこには、
〈亀戸で通り魔 7人が死傷〉
という目を疑うような見出しが……。( 第1章 ) ※全5章。
* * * * *
無差別殺傷事件として世間を震撼させた亀戸で起きた事件。
犯人は深瀬礼司という35歳の男で、深瀬は動機について、「死刑になりたかった」と供述しているということでした。
安田は最初、フリーの事件記者としての打算で取材を引き受け、事件を調べはじめました。
けれど深瀬について調べを進めるうち、安田はなぜか事件への執着を覚えるようになります。
そして、週刊誌での連載ルポを2回で打ち切られてからも、安田は自費で取材を続けていくのでした。
「善」と「悪」の狭間でもがかざるを得なかった深瀬の人生を知るに従い、似た境遇で育った自らを省みる安田。
深瀬は罪を犯し、自分はすんでのところで踏みとどまった。しかし、そのとき立っていた場所は、善悪のどちらにも染まり得るという点で、深瀬と自分に違いはなかった。
中盤過ぎまでの安田の心情は、ざっとですが上記のような推移をたどります。
まったく、ずしりと重く心にのしかかる展開です。読んでいて、実にしんどい。
重圧に弱いいつもの私なら、少しずつ消化しようとして、恐らく何日もかけて読んだでしょう。でも今回は読むのを止められませんでした。
そして読み終えたあとは、世間や人間そのものの不条理について、柄にもなく考えてしまうなど、余韻をかなり引きずりました。
これはもう、岩井圭也さんの圧倒的な筆力のなせる業であると、しみじみ感じ入ったのでした。
また、『汽水域』という作品タイトルも秀逸だと思います。
でもやっぱり疲れました。 -
Posted by ブクログ
タイトルの
「真珠配列(パールシークェンス)」とは、
理想的な人の遺伝子情報(ヒトゲノム)のこと。
遺伝子をその配列に操作することによって
病気にかかりにくく
頭脳明晰、運動神経抜群、見た目も麗しく、完全無欠な人間になれる。
近未来の中国、北京が舞台で
極度にバイオテクノロジーが進んだ世界では、真珠配列やヒトクローンが実際にもあり得るのではないかと思わされる。
正月ボケの頭で読み始めたせいか途中何度か挫けそうになったが、結末が衝撃的でした。
そう来るか。。まさに近未来ディストピア、、
さすが岩井圭也さん!
ウィグル人の差別や問題は
今もこのようなことがあるとは。。恐ろしい。
あまり報道されないよね。