岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ
大量殺傷事件とそれを報道するマスメディア、家庭内暴力がテーマなので、大変重い内容である。
主人公の安田は仕事ひとすじのいわゆるダメ人間だけど、その仕事への情熱は凄まじく、ダメ人間である彼に魅力さえ感じてくる。
誰もが、正しさと犯罪の狭間で揺れている。そう、私もである。
その微妙な均衡を保つ命綱は、孤独ではないことではないか。
過去の自分を省みると、確かにそう思う。孤独より辛いものはこの世にない。
★心に残った文
どうか、この子の人生が明るいものになりますように。吹き抜けた3月の風は温かみを帯びていた。
この一文で、息子への愛情に懐疑的であった安田が、最高の愛情を示す言葉で私ま -
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SNSで見掛けて気になっていた作品。
文庫化を機に手に取った。
「土門誠に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」科捜研の最後の砦、「最後の鑑定人」と呼ばれた男、土門誠。科捜研を辞職し、民間鑑定所を立ち上げた彼の元には、次々と難解な事件が持ち込まれる。
ドラマ化ということで、ドラマのキャストを思い浮かべながら読んだ。
ドラマでも使われている、土門の決めゼリフが出てきた時は痺れた…!(どこで出てくるか知りたくない方は、引用は飛ばしてください)
土門が科学の力を使って、わずかな痕跡から様々な事件の真相を明らかにしていく様、その中で明らかになってくる土門の過去に引き込まれた。
それぞれ -
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東京都江東区で通り魔により九歳の小学生女子児童を含む三人が死亡。四人が負傷するという殺人事件が起こります。
犯人は三十五歳の深瀬礼司で「死刑になりたい」と供述していました。
フリーの事件記者である安田賢太郎三十六歳は事件を追いかけて、深瀬にかかわってきた人物を取材します。
すると深瀬は中学から高校にかけて成績はかなり上位で「東大に入る」と周囲に言っていたことがわかります。
そして失踪した父親の借金を返すため高校を中退して働いていたこと。職場では正義感が強く社内の不正を指摘したことなどもわかってきます。
その後、安田の書いた記事を読んだと思われる人物による模倣犯による通り魔殺人が札幌で起こっ -
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作品毎に、全く異なるテイストの岩井圭也さん。
今回の作品は『汽水域』
●あらすじ
物語の主人公は、事件記者としてフリーで活動する
安田賢太郎 36歳。
記者として、亀戸で起きた無差別殺傷事件の容疑者
深瀬礼司の犯行動機に迫って行く。
逮捕後、「死刑になりたかった」と供述している深瀬。
彼を無差別殺傷事件に向かわせたものは、
一体何だったのか・・・
ジャーナリズムの真髄を求め、
時に同業者の裏切りや、
SNSの誹謗中傷に悩み苦しみながら、
安田が辿り着いた答えとは・・・
●レビュー
汽水域とは海水と淡水の間、つまり、両者が混ざり合った水域のこと。
言葉の意味すら知らなかったタ -
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はい、来ました!
感動のファーストシーズン堂々の完結です!
ということは、フルコーラスを歌わないといけないな( ー`дー´)キリッ
聴いてください
1Q84O1で「等身大のラブソング」です♪
百万回の「愛してる」なんかよりも
ずっとずっと大切にするものがある
俺は何も言わずに抱きしめるから
おまえは俺の腕の中で幸せな女になれ
Uh hold me tight. You make me happy shalala la la.
my honey
おまえは俺の腕を掴み
ついてこいや 俺の行く夢の中に
泣いたり笑ったりもあるだろうが
まじ 愛のない歌を俺は歌わない
今すぐに信じろ -
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ネタバレ最初の話は鑑定方法を知っていたこともあって読みやすかったが、他の話は先が読めなくて、着地がどうなるのか気になって仕方なかった。
宝石強盗殺人の話は特に。
依頼人が弁護士、判事、警察に民間人とバリエーション豊かで、事件の内容も様々で面白かった。
粗筋にある「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」という台詞にはっとさせられた。
分析データが出ても、それを最終的に解釈、判断するのは人間。
同じデータを見ても、人によって結果が変わることはざらにある。
自分も分析屋をやっているので、より上記の台詞が身に染みた。
データにも、そして依頼人にも誠意ある分析、解析をせねばと自身を律するきっか -
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未完の天才南方熊楠を描いた伝記的小説。
熊楠については以前に新書を一冊読んでおり、遍歴をだいたい把握していたのでこの作品を読むにあたっても役立った。
南方熊楠という人物は、教科書でも触れられるような大人物でありながら、何を成し遂げたかと問われると統一した答えが返ってくるのは難しいと思われる、不思議な人物である。
今作では熊楠は自身の衝動に振り回され、粘菌研究や論文執筆など多くの事柄に自らにせき立てられるように向かいながらも、人間関係の摩擦や息子に発狂にもぶち当たるという人物として描かれている。
超人的なエネルギーを感じさせながらも、抱える悩みは結構ありきたりであり、最終的に家族に看取られて -
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岩井圭也さん著「汽水域」
ここ数ヶ月で著者の作品は何冊か読んでいるが、扱うテーマや題材が多彩な上に専門的な事も多い。その割りに執筆ペースも早くどんどんと新刊が書店に並んでいく。
著者本人に興味を持ち始めている。どういう人なのだろうか?いずれトークショー等があれば話を聞いてみたいと思える作家さんの一人になっている。
今回の「汽水域」、まず書店で見た時のインパクト。緑色の表紙ってなかなか見ないなという感想。色味から訴えかけられ手に取らされた様な感覚もあった。
物語も秀逸でジャーナリズムとは?という真髄に迫る奥深さが読み取れる。
無差別通り魔事件の犯人の真の姿を追うと同時に主人公の内外にある親子 -
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はまると抜け出せないと噂の岩井圭也さん♪
5作目に手に取ったのは、『科捜研の砦』
科学鑑定に秀でた法医学専門の土門 誠。
彼は上司の加賀副所長と共に、
「科捜研の砦」と呼ばれている男。
物語は以下4つのエピソードで構成されている。
・罪の花
・路側帯の亡霊
・見えない毒
・神は殺さない
人間と違い、科学は嘘をつかない。
真実を追求する彼の生き様を描いた作品だが、優秀が故の生きづらさを感じる。
特異な能力を持つ人は、孤高の存在として描かれる。いつも着ているベージュのスーツは同じ物を7着!!こんな人に洋服を選ぶ楽しさは?
なんて愚問なんだろうなぁ。
だって、結婚記念日のことは、家庭運用につ -
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読めば読むほど面白くなっていく『横浜ネイバーズ』シリーズ第五弾!
私、気づいちゃいました!
もしかしたら、このシリーズは人と人との繋がりを大切にしているのかもしれない
いや、きっとそうだ
間違いない!
ロンをはじめとする等身大のヒーローたちが困った人の手助けをし事件を解決していく
で、助けてもらった人が今度はロンたちの力となり事件解決のための手助けをする
もー、これは絶対人と人との繋がり「縁」を大切にしていること間違いない!
って言うかシリーズ五作目にして今頃気づいたのかよ( ゚д゚ )クワッ!!
(もっと早く気づけよなって)
さあ、次の第六弾でファーストシーズンは完結みたい -
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ネタバレ
なんとなくトーンが暗いこともあり、序盤はなかなか読み進めることが出来なかったけれど、中盤くらいから物語の熱量が徐々に上がり文字をたどるスピードも増してきた。
私もよい妻であり、よいお母さんであることを演じる毎日だ。
人は大なり小なり皆『いい人』を演じようとしているのではないか。
そんな風に感じて、茉莉子が破滅へと進んでいく道に共感してしまった。
また、人から見られたり他人と関わることから逃れるために死を選択する茉莉子の気持ちもなんとなくわかってしまう。
人は何かの役割から逃れたくなる時は必ずあると思うし、それさえもうまくいかなくて苦しい時が必ずあるのではないか。
なかなか深くて、心の -
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岩井圭也さん作品を読むのは4作品目
今回はミステリーサスペンスの趣きだった。
『この夜が明ければ』
先ず目次頁の演出にドキッとする。
読後改めてデザインにも注目してみると、種明かしになっていることに気付く。
未読の方は、是非注目してみて欲しい。
物語は北海道の港町で季節バイトに参加した男女7名に巻き起こる、ある一夜の出来事が舞台。
年齢も経歴も様々で、偶然に出会った男女が、
期間限定で共に働き、寝食も共にする。
見知らぬ土地での開放感あり、
かすかな恋の予感あり、
な〜んて淡いムードは、
バイト仲間の一人の遺体が見つかったことで一変!
それぞれの知られざる顔が徐々に明らかになり・・・
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ちょっとずつ読み進めている岩井さん
気づけば11冊目です
今回は刑務所のドクターの話
刑務所にも医者がいるんですよね
主人公の史郎は奨学金免除のため刑務所で働いています。
普通の病院とは勝手が違い、使える薬や予算には制限があります
また患者はもちろん受刑者で、薬を得るために詐病は日常茶飯事
自分はここにいるべきではないという思いもある中、向き合うべきは病だという思いで患者と接していきます。
医療ミステリの連作短編となっております。
普段想像していなかった仕事だったのもあり興味深く読めました。
刑務所での病との向き合い方が新鮮でした
少しずつ熱くなっていく史郎が結構よかっ