岩井圭也のレビュー一覧
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岩井圭也さん応援書店で購入した作品。
「夜更けより静かな場所」の巻末に掲載されていて、読みたくなり手に取った。
奨学金免除のため、しぶしぶ矯正医官になった是永史郎が、受刑者たちの病の奥にある”罪”に迫る医療ミステリ。
刑務所内での医療について、全然知らなかったことを知れて勉強になったし、興味深かった。
診断の前に詐病かどうかの判断が必要だなんて…矯正医官って大変な仕事だな。
もちろん刑務官たちも。
本書にはいろんな受刑者が登場するが、私は第1章に登場する受刑者がとても印象的だった。
病が罪を犯させる。
私も持病の発症タイミングによっては、彼のような人生を歩んでいたかもしれない。
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等身大の登場人物が活躍する『横浜ネイバーズシリーズ』第三弾!
百万回の「愛してる」なんかよりも
ずっとずっと大切にするものがある
俺は何も言わずに抱きしめるから
おまえは俺の腕の中で幸せな女になれ〜♪
えーっと、もうこのくだりはいりませんか
あっ、そーですか
前回は『等身大のラブソング』のレビューを書いてしまったため、二巻の内容がさっぱりでしたね┐(´д`)┌ヤレヤレ
二巻ではヒナの辛い過去の出来事がわかるという巻でしたが、今回の三巻では凪の辛い過去がわかってしまいます
けど、いいなぁ〜
ヒナも凪もいいなぁ〜
こんなに辛い過去があって悩まされていても、必死になって助けてくれる仲 -
Posted by ブクログ
等身大の登場人物に大きな共感を感じる『横浜ネイバーズシリーズ』第二弾!
本の内容とは全然関係ないですけど、等身大と聞くとこの曲が頭に流れます♪
百万回の「愛してる」なんかよりも
ずっとずっと大切にするものがある
俺は何も言わずに抱きしめるから
おまえは俺の腕の中で幸せな女になれ〜♪
(中略)
とっておきの言葉を 熱く甘い言葉を
日常の真ん中で 口に出来ないんだよ
だからせめてこうして できるだけ等身大で
いつもの喋り言葉で伝えたかったんだよ〜♪
ってドライブ中に奥様(当時はまだ結婚前)に歌ってると、
「ちっ!もー、うるさいから黙ってて。歌が聞こえない!」
って何度もキレ -
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ネタバレ人生の中での演技、擬態がテーマの作品。
幕間にて異なる人が異なる死因の考察を語り、それを亡くなった「遠野茉莉子」本人が、なんなら劇評家のようにコメントしながら見ているという構図で進んでいく物語。私たち読者は物語に没入しつつも幕間の度に俯瞰に引き戻されるのが不思議な感覚で面白かった。
遠野茉莉子と言う人間は天才的な異端の俳優のように見えるけど、城や神山の前では人間らしい一面が見えたのもおもしろい。逆に名倉の前の遠野茉莉子はずっと「俳優」で掴みどころがないように見えた。とはいえ私が「人間らしい」と感じた面すらも演技なのかもしれないとも考えてしまう。
私たちだって多かれ少なかれ、生きていて演技 -
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戦前の日本統治下のサイパン
そこにスパイとして派遣された麻田が
様々な苦労を重ねながら
事件を解決していく前半。
麻田は喘息持ちで体に不安を抱えながら
家族を養うために必死に手探りで
そして大勢に流されることなく
家族にも息子にも恥じないよう節度を持って
防諜業務を遂行する様は
本当に素晴らしいなと思う。
しかし事件自体が小さいものなので
なんとなく物足りない、解決してもスカッとしないので、ちと期待ハズレだったかと思ったが。
後半、いよいよ米国と開戦してから
怒涛の展開。
ハラハラの逃走、何がなんでも生き抜く決意
そして終章での息子への手紙。
帰りたくても帰れなかった人も
待っていたのに -
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岩井圭也さん著「永遠についての証明」
著者のデビュー作にあたる作品。
自分自身、数学にかなり疎いので理解しながら読めるのか不安だったが、今作品は数学を舞台とした青春譚であり友情譚。
知識があった方がより深く没頭できる作品なのだろうが無くても十分読み進められる作品だった。
コラッツ予想、フラクタル理論、弦理論等々初めて見る言葉が並んでいたがネットで検索してその意味自体は分かるのだが何がどうして未解決であり、何をどう証明しようとしているのか?そこが全く分からなかった。
それらに携わる人々はみな「天才」という領域にいるということしか理解できなかった。
そしてその天才という者達の人生が描かれてい -
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オタクな人に興味がある。訳のわからないワクワクに惹きつけられるから…この本をそんなつもりで読み始めた。しかし熊楠は自分の中の鬨の声を黙らせる為に採集や研究に集中していたのだ。天を焦がすような知識欲。「我は、この世のすべてを知り尽くしたい」
それがやがて自信を失い、何のためにこんな所にいるのかと言う問いが自らに襲いかかってくる。
何とも激しく紙一重の人生。
NHKの「らんまん」の牧野が手に取った熊楠の標本や描画を思い出した。熊楠もドラマ化して欲しい。
表紙は子守楠神社の大楠。アングルがいい。
楠の木が熊楠の知識欲のように天まで突き抜けている。
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「われは熊楠」は岩井圭也が描く異才・南方熊楠の生涯をたどる一冊だ。自然への畏敬、知への渇望。少年はやがて世界を旅し学問と信仰の狭間で葛藤しながらも己の道を突き進む。
混沌とした時代、常識に屈せず突き抜ける熊楠の姿は現代に生きる我々にも示唆を与える。学びとは何か、信じるとは何か。問い続けた人生こそ豊かな実りをもたらす。
一見奇人変人のようでいてその根底には人と自然をつなぐ深いまなざしがあった。調和と闘いのはざまで見出された真理は今もなお輝きを放つ。
異端は時代を動かす光にもなる。熊楠の生きざまに触れ「我もまた、我なり」と思う読後感が胸に残った。
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今までの作品にはなかったブラックな短編集。
『海の子』
ラストの1言
『僕はエスパーじゃない』
こういう人結構いる。
私はこのタイプ好きだけどな。
『捏造カンパニー』
ドキドキして自分だったらすぐバレそう
『極楽』
オチは予想つくけど不思議でリアルなワールド
『蟻の牙』
頭脳合戦に自分も参加してる気分
『堕ちる』
堕ちていく〜
6編すべてタイプが全く違う。
さすが岩井さん、引き出しが多くて楽しい。
辛い気持ちになるイヤミスではなく、どんでん返し狙いでもなく、ブラックユーモアが効いていて自分的には好きな作品ばかりだった。
『海の子』は、今まで自分の思ってた岩井さんのイメージを良