【感想・ネタバレ】永遠についての証明のレビュー

あらすじ

圧倒的「数覚」に恵まれた瞭司の死後、熊沢はその遺書といえる研究ノートを入手するが――冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛!選考委員の圧倒的評価を勝ち取った、第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

数学の才能をもつ旧友が遺したノートに未解決問題の証明が見つかり、当時の思い出を振り返り葛藤するお話。感情をガシガシと揺さぶられます...!
"数覚"というシックスセンス的感覚をもった青年の生涯を反芻していく場面は、行き先が分かっているだけに読み進めるのも辛くて、孤独に堕ちていく過程はとても切なかったな。
やるせない気持ちを、森見登美彦さんの解説で、なんとか浄化させた感もあります⭐︎笑
という事で解説もぜひ読んでください( ᵕᴗᵕ )
びっくりなのは、これが岩井圭也さんのデビュー作という事。岩井先生こそ天才なのでは??と思ってしまう。

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

数学の本だー!!
って安易な気持ちで読んだら
涙が止まらなくなった。

色んなことがすれ違ったり、かけ違っていって、もどかしさもあるんだけど、
真理って何だろうなって感じたし、
なんというか、
すごい人生を見た

セオリーの語源とか
数覚という素敵な言葉にも出会えた。

0
2025年10月13日

Posted by ブクログ

最終章 見える者

誰しも見えない何かを探し求めているのかもしれない。
同級生も先輩も恩師も、魅力的でとてもイイ。
最後、田中少年の登場。読後の爽快感プラス。

0
2025年09月06日

Posted by ブクログ

濁流のような作品だった。
これがデビュー作とは思えないストーリー構築や、読みやすさ、キャラクターの強さがあって一気読みしてしまった。

書店でこの本のタイトルと裏面のあらすじを読んで、多分ミステリーなんだろうなと思い購入した。読み進めるうちにミステリーじゃないことに気づいて少しガッカリしたが、もうそんなのはどうでもよくなるくらいに引き込まれてしまっていた。

飛び抜けた才能を持つことでより孤独になること。
その才能に嫉妬して掴まれた手を振り払ってしまうこと。
どちらの感情も理解出来、あまりにも悲しく虚しく、それでもそれらを受け入れることで繋がる未来が、唯一の救いであると感じた。

才能が彼を外に連れ出したのに、その才能がまるで囚人の手足に繋がれた枷の鎖のように、彼だけをその場に縛り付けた。どんどんと変わりゆく荒波のような中で、彼が飲み込まれた孤独の暗さを思うと心が痛い。

最後の表現が、恩田陸さんの蜜蜂と遠雷のような読み心地があった。何も分からないけど、勝手に涙が溢れてくる感覚。

0
2025年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数覚に恵まれ、数の世界に生きた三ツ矢。
数との関係が深くなにつれ、周囲の人と合わなくなり、孤独になっていく。アルコールで孤独を紛らわそうとアルコール依存に陥り最期を迎える。
彼は数を足がかりに人と繋がり生きた。だが、ライフステージを重ねるにつれ、彼の理解者がひとり、またひとりと、それぞれの道を歩んだ時、彼のそばには誰もいなくなった。
そんな中でも、数は最期まで彼を魅了し続け、のちにクマによって生きた証となった。
穴があれば、それは論文ではなくアイデアだと切り捨てられた三ツ矢。アカデミアの過酷さが垣間見える。趣味を仕事にすることのリスクがある。興味関心があるものを生涯の友とし、純粋に愉しめることは幸せなのかもしれない。

才能や特性は活かすことができる。それは、周囲の理解とサポートがあってこそだ。才ある人は孤高かもしれないが、孤独にしてはならない。

0
2025年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

瞭司の結末がわかっているので、過去のパートは読んでいて苦しくなっていく。
けれど、最後の章ではなぜか涙が出てくる。
多分瞭司のことを完璧に理解できている人は、登場人物の中にいないのだろうけれど、理解しよう、近くにいたいと思ってくれる人がいることに感極まったのかもしれない。

最後の現在のパートで、学校や身近に話の合う人はいないけれど、SNSで仲間を見つけられていることに救われた。

0
2025年08月06日

Posted by ブクログ

これが、デビュー作か。すごい。
「数覚」というものをもった1人の男性が数学を通して世界の真理を追い求める。ただ自分の世界を突き詰めていくこと、それが幸せじゃないのか?同じ世界を共有できない孤独が苦しくて、でも最後には温かい光みたいなものが見えて、自然と涙が込み上げた…

岩井圭也さん、作品の幅が広い

0
2025年08月03日

Posted by ブクログ

澄んだ文章とストーリー
数学の世界
初めて触れる世界と景色を旅してわくわく、そして胸がつんとしました
登場人物一人一人がリアルで迫ってきました

0
2025年07月20日

Posted by ブクログ

岩井圭也さん2冊め。読書YouTuberさんの紹介だったかと思います。

出だしは少々読みづらかったけども、『数学上の未解決問題』を論文にまとめあげる、三ツ矢瞭司のずば抜けた才能に惹き込まれた。
こういった才能の持ち主はギフテッドと呼ばれ、そういった方の苦悩もこの物語で描かれている。それが周りの人たちとの距離感・バランスを一気に崩し、本人が堕ちていってしまう、その姿。
周りの人たちはなぜ瞭司の才能を認めながらも去っていってしまったのかという悲しみだけが残ってしまった。周りの人の気持も非常に分かる。自分が持つ才能とどうしても比べてしまう傾向は人間の悲しい性か。

遺した論文をクマがまとめあげ発表したシーン。言葉の表現が脳内にビジュアル化され、ようやく瞭司とクマとの答え合わせができたんだなと、あまりにも美しく気づけば感情が溢れ出てしまい、読後感の余韻は心を満たされた。
ひたすら良かった。これしか言えない…。

この余韻をまた噛み締めたくなる。そういった物語に出会えました。

0
2025年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天才的な数覚を持つ瞭司が同じ数学的な才能を持つ研究者や学生との出会いを通して自分の居場所を見つけるが、やがて方向性の違いから再び孤独に苛まれるという読んでいるのが辛いお話
特にアルコールに依存していくという流れがあると彼の立てている理論が本当に優れたものなのかただの妄想なのかわからないまま読み進めていくことになり、最後までハラハラした

0
2025年06月15日

Posted by ブクログ

誰も悪い人はいなくて皆んな自分の人生に真剣に向き合ってるのは分かるけど、それでも少し寄り添う事は出来なかったのだろうかと思う。瞭司の孤独が辛すぎるし悲しすぎる。けど、熊沢は最後に「誰かが解いてくれればいい」という瞭司の意思を受け取り引き継いだ事で救われたし感動でした。一気に岩井圭也さんを好きになりました。

0
2025年05月06日

Posted by ブクログ

今回は天才数学者の話。
数学は全ての科目の中で1番嫌いだったから、またもや自分の苦手な分野。

でも、岩井さん作品は自分の苦手な分野から読みたくなる。自分の知らない世界のことを知るのが楽しい。

瞭司は、幼い頃から天才的な数学の才能があることで周囲と馴染めず、数の世界だけが友達だった。
そんな瞭司が初めて自分らしくいられたのが、同じく特別推薦生で入学してきた熊沢だった。
しかし、才能があり過ぎるがゆえに熊沢や恩師たちは瞭司から離れていく。。。

瞭司と熊沢、二人の語り手で進んでいく。
心理描写が上手いとかそういう次元ではなくて、完全に自分もストーリーの中に入って瞭司と熊沢を疑似体験してしまった。
だから今回はとても辛かった。。。

数学への愛と情熱、友情、嫉妬、苦悩、孤独、劣等感、後悔………。
苦しくて心が痛くなった。
でも、辛いだけでは終わらず仲間たちとのつながりが感じられたラスト。
どの作品も終わり方が好きなんだけど、特にこの作品の最後は感動した。

数学の美しさが言葉で表現されていて、数学が嫌いな私でも数学に魅了されてしまった。

なぜこんなにも岩井さんの作品が刺さるのかと考えると、どの作品でも悩みを持つ人、繊細な人など、どんな人にも寄り添う優しさが溢れているからなのかな。
それから、面白いと思うことや、嫌だと感じることなどの感覚が自分と似ているので、読んでいても自然に物語の中に入ってしまう。

そして解説を読んで驚愕した。
このすごい作品がデビュー作だったとは!!!

この作品は、偶然にも現在ドラマ化されていてBS8Kで放送中らしい。
BSでは秋頃に放送予定とのこと。
熊沢役は、竜星涼さん。12年前に親子で大好きだった戦隊もの『キョウリュウジャー』のレッド役だった竜星涼さん、懐かしい。
最近テレビを全然観なくなったけど、これは必ず観たい!
しかし、BS8K放送が3月からで、BS放送は秋頃って時間差ひどいな。忘れないようにしなくては…

もうこの作品はぶっ刺さりましたので、今回も★10で。
まだまだ続きます。岩井圭也さんフェア。

0
2025年04月09日

購入済み

ワークライフバランスなんか

良くも悪くも、ワークライフバランスなんか知ったことかという本。こういう本は好きだが、この線でリアリティを出すには、アイデアをさらに厚くしてもらうとさらに良い。

#共感する

0
2024年12月30日

Posted by ブクログ

第9回野性時代フロンティア文学賞

瞭司のように、飛び抜けた才能をもつ人は孤独に陥りやすいのかもしれない。
自分には見えている世界を他者と共有できないのが寂しいのは想像できる。
研究室で仲間たちと数学を研究していた日々はわくわくしたけど、後半の展開は痛ましかった。
コラッツ予想やら超弦理論は全く意味不明で、なんとなくぼやっと想像しながら感覚で読んでいくしかないけど、問題なく物語に没入して楽しめるのがすごい。
そして岩井圭也さんは少なからず理解して文章を書いているのだろうから、やはり秀才なのだろう。知識の幅広さに感心する。
私には無縁な数学者の世界を垣間見れておもしろかった。
正しいとわかっていても証明ができなければアイデアにすぎないと言われて、社会には受け入れてもらえない、、、。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

数学の天才ゆえに孤独だった青年が大学で仲間を得て、数学の世界を紡ぎ、また喪失してゆく物語。

悲しいんだけど、その中にも救いがあったりしてとても読みごたえがあった。

魂を爆発させた論文発表は泣けた。

難しいなんちゃら理論なんかも抵抗なく読めた。

0
2025年11月17日

Posted by ブクログ

純粋な少年が数学に魅せられ、その才能を輝かせながらも、孤独と葛藤の中で少しずつ堕ちていく。きらめきと痛みが同じ場所にあるような、どこか切なく胸に残る物語でした。

0
2025年11月16日

Posted by ブクログ

2025.10.11〜12NHKBS 三ツ矢瞭司(杉野遥亮)が、友人である熊沢勇一(竜星涼)と斎藤佐那(関水渚)
圧倒的「数覚」に恵まれた瞭司の死後、熊沢はその遺書といえる研究ノートを入手するが――冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛!選考委員の圧倒的評価を勝ち取った、第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作!

0
2025年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

天才的な数学的才能を持つ暸司は、その才能で有名な大学の数学科へと進み飛び級卒業も認められ、助教につく。周りが彼に影響を受け、それぞれの人生を歩むため彼の目の前から去っていく中、逆に彼は孤独になり身動きが取れずアルコールにすがる生活に落ちていく。うまく生きることができない。正しさを重んじる教授と反りが合わず、精神を蝕まれていく。

クライマックスは涙が止まらない。どうして彼はこんなに不器用なんだろうかとか、みな悪意があるわけではないがすれ違い理解し合えず、生きるのが下手な彼は取り残されていく。
読むのがつらい。
熊沢が『ミツヤノート』の部分的解読の講演中、彼の精神と再会を果たす。目前に閃光が弾ける。

最後は新しい希望と始まりを感じさせる、いい終わり方でした。


0
2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

岩井先生のデビュー作であることで興味を持って読んでみた作品です!

私自身、数学はどちらかといえば得意ではなく、「数覚」とは無縁です。

それでもどのように、問題を証明するのかが気になり、最後まで問題なく読めました♪
※数式を使わずに、数学の物語を作れるのがすごい!

あの時、別の選択をしていたら、何かが変わったのだろうか…。

天才が故の三ツ谷の孤独は、計り知れない。後半は、見ているのも辛い部分も多かった。

この話から、答えの決まっている数学も美しい。
しかし、何よりも、答えのない問題に対して、仲間と共に互いに意見を出し合い、協力し、証明をしていた大学時代に3人で共同研究していた時代が1番輝いてたなぁと思う印象でした。

本作を読んで、私は、三ツ谷のように、数学しか道がないと思うよりは、佐那のように、数学は好きなものの他に道を見つけるという柔軟な考えができたら、三ツ谷も何か変わったのかなと思う。
私も、1つのことに囚われすぎず、柔軟な考えを持ちつつ、やりたいことを見つけていきたいなという考えを抱きました!

スペシャルドラマも楽しみです!

0
2025年09月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作品としては,色々考えさせられる良い作品ではあったかもしれないけど、私は読後感が良いとは言えず…暸司を取り巻く人物に対して,嫌悪感が強く残って終わった。

数学の世界の厳しさは自分にはわからないし、嫉妬や羨望の思いがあるのもわかるけど、暸司がこの後,死んでしまう事がわかって読んでいるだけに、特に熊沢が、暸司にとっていた態度が、私の中では許せなすぎた。
あなたを数学の世界に再び戻してくれたのは、暸司だったんじゃないの?今あるのは暸司のお陰じゃないの?そんな思いのままのクライマックスだったので、熊沢が最後に暸司と繋がったかに思えた描写も、いやいや、自分は理解できたと思ってるかもしれないけど、暸司は死んじゃってるし、勝手に盛り上がっちゃって…奥さんまであなたと結婚してよかったって…
ちょっと退いてしまった。
もちろん暸司の死後に抱えた熊沢の苦悩もわかるが。

だから暸司みたいな子が大学に入学してきて、それに佐那が関わってて、熊沢が彼と関わっていく春が始まる…と清々しい描写で描かれていたが、それがまた私は熊沢に対しての不信感が残ったまま終わりました。

学会で、暸司と重なった経験が、熊沢が暸司をしっかり理解したと信じたい。
その時に決意した気持ちを、何があっても忘れずに、揺るがないでいてほしい。



0
2025年09月20日

Posted by ブクログ

数学の○○理論や○○予想はわからなくても
文学的な表現になっているので
読みやすく、どんどん本の世界に引き込まれた。

数学の天才、三ツ矢暸司は
大学でようやく話が通じる、同じ数の世界に生きる熊沢や佐那という仲間を得た。
しかし一人、また一人と自分の道を他に見つけて離れていく。そこには暸司への妬みなども絡んで、皆悪いやつではなく気持ちもわかるだけに
すごく切ない。

そして大学とはいえ
教育者としてはあり得ないくらい冷たい
平賀教授に証明の穴を指摘され
最後の頼みの熊沢にも目を逸らされ
暸司はアルコール依存に。。
天才がつぶれていく様子がなんとも痛ましい。
読むのが辛かった。

熊沢が暸司の残したノートを引き継いで
「コラッツ予想」を証明する過程で
離れて行った人たちがまた少しずつ繋がっていく。
暸司が生み出した理論が生きている限り
肉体は滅びても暸司は死なないのだ。

そして現代で熊沢の前に現れた天才少年は
暸司に似てると思いきや
ネットで言葉が通じる数学仲間がおり、
そのシステムを作ったのが佐那というのが
なんだか救われた。

孤独で痛ましい話が後半多かったのに
読後のこの爽やかさはなんだろう。

岩井圭也のデビュー作。
心に残るフレーズ、心象風景を語る美しい文章。好きな作家さんと再認識しました。

0
2025年09月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数覚を持つ暸司は、新しい証明を発見するが、論文にする前になくなってしまう。大学の友人である熊沢は、圧倒的才能を見せつけられ、新しいアイディアを話そうとする暸司を冷たくあしらうようになり、留学してしまう。留学中に暸司の死の連絡を受けるが、研究が立て込んでいたこともあり、後に暸司の実家を訪れる。その際に、遺品であるアイディアを書きつけたノートを譲り受け、そこに書かれていた証明を完成させようとする。
もう一人の同級生であり、熊沢の元彼女であった佐那は、博士課程で工学部に進んだこともあり、二人と離れていっていたが、熊沢よりも暸司に何もできなかったことに心を痛めており、最後に証明のきっかけともなる人間関係をつなぐ。
話としては面白かった。暸司が落ちていく中で、熊沢が距離をとるようになるが、人間関係が不器用な二人の間に佐那がいたことで、関係が維持されており、佐那が離れていくと関係は崩壊していくのだと感じた。最後の佐那の置き土産が、彼女はずっと数学も二人のことも気にかけていたのだと感じられ、救いとだと思った。

0
2025年08月15日

Posted by ブクログ

面白くてページを捲る手が止まらなかったけれど,何となく,色々な部分,側面が,美化されている気がしたから.特にクマの心情かな.

それでも星4つなのんは,分野は違えど,同じ大学教員,研究者として,そうそう!と共感できること,そうか!とインスパイアされるところ,がたくさんあったから.

「社会のためとか何とか言っても,結局,楽しいから数学をやっているだけだ」
「今解けなくても,死ぬまでに何回もチャレンジすればいい.それに僕が解けなくても,他の誰かが解いてもいい.だからそもそも,問題を解くことに挫折はない」
「目の裏で火花が散るような感覚.同時に視界のすべてがうっすらと光りはじめる.それまでわからなかったことを理解した時にだけ得られる,あの爽快感」
「新しい理論が生まれた時,人は数学者が理論を創造したと思いこむ.しかし数学者がそこにいようが今井が,理論は厳然と存在する.創造するのではなく,見出すのだ.」
「英語で<理論>を意味する<theory>は,ラテン語で<見る>という言葉に由来する.たったひとりの天才が目撃することでしか,理論はこの世界に姿を現さない.事実を積み重ねるだけでは辿り着けない場所が,確かに存在する」

解説より:
「真理とつながることの素晴らしさと恐ろしさ」
「証明できるから信じるのではない.信じているから証明できるのだ...しかし...証明できなければアイデアにすぎない...「数学的証明」が「社会とのつながりの証明」でもあること」

0
2025年08月11日

Posted by ブクログ

天才数学者と取り巻く人々の群像劇
天才であるが故に社会とのつながりを数学のみでしか構築できない苦悩
意思を引き継ぐ熊澤、斎藤のとの関係性が光る

0
2025年07月28日

Posted by ブクログ

岩井圭也さん著「永遠についての証明」
著者のデビュー作にあたる作品。

自分自身、数学にかなり疎いので理解しながら読めるのか不安だったが、今作品は数学を舞台とした青春譚であり友情譚。
知識があった方がより深く没頭できる作品なのだろうが無くても十分読み進められる作品だった。

コラッツ予想、フラクタル理論、弦理論等々初めて見る言葉が並んでいたがネットで検索してその意味自体は分かるのだが何がどうして未解決であり、何をどう証明しようとしているのか?そこが全く分からなかった。
それらに携わる人々はみな「天才」という領域にいるということしか理解できなかった。

そしてその天才という者達の人生が描かれている。「数覚」という言葉で表されていた様にその中でも一握りの天才が持つ才覚。
数という無限のものに対して登場人物達は逆に数という凄く狭い世界へと促進している様にも感じられた。面白かった。

数学だけではないだろうが何かにつけて中に中にと没入していけば知らずのうちに周りとの温度差が生じる。この作品の様に孤独感や疎外感は理解を得られなければどんどん加速して感じることになるだろう。
天才の宿命、名誉の為の犠牲と言えば聞こえはいいが、世間や常人と比べてしまえば全てに大きな差異を感じてしまう。
情熱、競争意識、プライド、顕示欲。それらがあるからこそ本能的に駆り立てられるのであろう。

調べてみれば今もなお数学には未解決の問題がたくさんあるとのこと。日中日夜研究者達は研究に研究を重ね解決すべく努力をしているのだろう。改めて凄い世界だ。


0
2025年05月03日

Posted by ブクログ

読み始めは、あまり進まなかった
諦めず読んでよかったと思う

ギフテッドを、持つ人の周りに理解されない苦しさ
仲間ができて、純粋に嬉しかった主人公が、それぞれの道へいく仲間に、感じる、経験したことのない気持ち

主人公は、すごく辛かったと思う

身近な人にさえ、嫉妬され、哀れに思われ、突き放せれ

彼は、変わらないのに
数学者だった、だけなのに

0
2025年04月29日

Posted by ブクログ

天才達の苦悩や、数学の美しさが鮮やかに描かれていて美しかった。
難しそうな内容を真理を追い求めるという点で簡潔に表現していて読みやすかった。
天才でも凡人でも1人として見えている世界は違うのに人間が惹かれ合うのは奇跡に近く、出会えた事に感謝して忘れないようにしたい。
主人公の後半の進み方には胸が痛んだ。

0
2025年04月19日

H

ネタバレ 購入済み

読み応えあります

む〜ん 後半の暗さである瞭司の苦悩が、私には辛かった。その上で、熊沢の苦悩も辛い。一方で、平賀先生の対応が今の世界の普通の対応でないかとの思いが捨てきれず、現在の生き難さを示していると思う。その上、平賀先生本人は苦悩が無いのであろう。これも真実。
瞭司の凄さを理解すると共に瞭司二世が出てきたという、このような終わり方で良いのだろうかという、不満が心の底にある。

0
2022年10月20日

Posted by ブクログ

数学的なことは何一つ理解できなかった(知識がないので)のですが、読みやすかったです。
数学者というと遠い世界の人という印象なので最後まで読めるかな?と思いましたが、人間臭さがリアルに描かれていて、敬遠することなく読み切れました。

0
2025年10月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

学者として真理を追究するための才覚と集中力を持ち合わせながら、社会性が少し足りなかったがために、身を滅ぼす結末を迎えてしまう切ないストーリーであった。瞭司に容赦なく厳しい指導をする新教授や、自身の生活を優先せざるを得ず、旧友との距離が深まっていく熊沢の描写を見て、残酷だけれども次の展開が気になってしまい、ページをめくる手が止まらない。
結局、サラリーマンのように、才能ではなく世の中の立ち振る舞いが「生活者」としての基礎であるため、瞭司1人だけでは、社会的な成功はおろか、生きていくこともままならない現実を突きつけられた。
もし、瞭司と熊沢と佐那の3人が、共にビジネスパートナーとして新規に民間で起業するような環境であったら、全く異なる将来になったのだろうが、学問の世界で「証明し認められる」道を選んでいるので、結末に向かうにつれて辛い展開となっていく。3人の共同研究とはいえ、リーダーだけが評価される文化なので、3人とも違う人生を選ぶしかなかったのだろう。

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたし自身、大学の時に数学を専攻していた事もあって少しだけ親近感を覚えながら読んでいた。
難しい証明や理論についての概要は丸ごと飛ばされ、非常に文学的な説明に言い換えられていてその辺はちょっと物足りなさを感じた。でも多くの人に見てもらう小説なら、こういう形の方がいいのかもしれない。
岩井圭也は以前、『文身』を読んでとても感動したので、それと比べると非常にあっさりとしててシンプル過ぎる印象だけど、これがデビュー作と聞いてなるほどとも思った。
暸司が酒に溺れていく姿は本当に痛々しいし、熊沢の傲慢さも人間らしくてとても良い。

0
2025年08月17日

Posted by ブクログ

・数学的証明は社会と繋がることの証明。本当に正しいことが分かっているのなら証明は要らない。証明を必要とする社会と、証明を必要としない世界は、どちらがいいのか。前者は仲間で生きる世界。後者は一人で生きる世界。前者で生きたいのに、証明の必要性が理解できない時は、辛い世界になる。

熊沢勇一
三ツ矢瞭司
斎藤佐那

小沼 先生
田中 4年生
木下 4年生

0
2025年05月28日

「小説」ランキング