【感想・ネタバレ】永遠についての証明のレビュー

あらすじ

圧倒的「数覚」に恵まれた瞭司の死後、熊沢はその遺書といえる研究ノートを入手するが――冲方丁、辻村深月、森見登美彦絶賛!選考委員の圧倒的評価を勝ち取った、第9回野性時代フロンティア文学賞受賞作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すばらしい作品だった。天才が(特に数学のような、理解者が少なく、現実との接点が持ちにくい世界の)生きていく上でのつながりを失って、孤独になっていくということは、よくある物語の一つではあるのだけれど、彼らが感じている世界像を、数学を特に知らない私たちにも、説得力を持って描いてやろうという作者の野心には大変恐れ入ったし、よく成功していると思う。

トップダウン的な感覚派の天才と、小さな理屈を積み重ねるボトムアップの秀才を対比させるというのも、よくある構図なのだろうけれど、感覚派が自滅するというのではなく、ボトムアップ派に追いつめられて梯子をはずされるけれど、再び救い上げられる・・・という流れはなかなか見事な構造だった。

岩井さんの、全く異なる「大きな政治闘争にまきこまれた、一大学生が、少ない手持ちの武器で何とか戦う」という話(『水よ踊れ』)を読んだばかりで、デビュー作でこんなものを書いていたんだと圧倒されると同時に、「弱いものが大きなものに挑み、一度大きく負けながら、そこから挽回する」という共通点を感じた。
恋愛が主軸にならず、「人間の営み」の一つというような位置づけになっているのも、全然違う話なのに、似たような印象を与える。

まだ二作しか読んでいないから、この共通点は単なる偶然なのかもしれない。他の作品も今から楽しみ。一つ一つ順番に読んでいきたい。

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2026年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ネガティブ・ケイパビリティについて知ってからこの本を読みました。
恐らく、この本は以前にも読んでいましたが
今回、人との関わりについてすごく考えさせられました。

後半はどこの職場でもありそうな部下と上司の関係が描かれている感覚でした。
誰が悪いとか、責められる点はないとしても、無自覚が一番たちが悪い。
「正解」「正論」を伝える時に、相手の背景を何も見ようとせずに責めるような言葉を使うことがどれだけ相手を追い詰めるのか。
今までの自分が恥ずかしく思う時間でした。

好きだなと感じたのは、瞭司のことを思う人が暖かい人ばかりだったということ。
「一緒に数学を楽しみたい」その思いで一緒にいられた。
でも大人になるとそればかりではいられないのは、現実も一緒。
だから余計に平賀教授の言葉は冷たく刺さりました。
でも、瞭司の思いは大好きな友人によって成就された。
最後は暖かく、そして心に何かを残す作品でした。

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2026年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数学は全くの苦手、どころか算数でも怪しいレベル。
当然軸となるフラッツ予想も初耳で、そんな自分でも大丈夫なのかな…と心配しながら読み始めたけど、全く問題なく読めました!

最初は居場所を見つけた瞭司をほほえましく見ていただけに、壊れていく様を読むのは本当に辛かった。

亡くなる(しかもあまりよくない形で)ことは熊沢のターンで分かっていたから、せめて少しでも早く楽になってほしいと思ってしまった。
もっと上手く生き抜いてほしかったよー。
きっと熊沢くんも同じ気持ちで、一時帰国のときに、連絡先も分からないのにわざわざ尋ねたんだと思いたい。
でも瞭司は数学でしか生きられなかった。結果的に瞭司は亡くなってしまったけど、誰も悪くない…から辛い。

でも、瞭司の「今解けなくても、死ぬまでに解ければいい。自分に解けなければ、他の誰かが解けばいい。だから問題を解くことに挫折はない」というセリフ。
最後はこれに繋がるようなラストでよかった。

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2026年04月21日

H

ネタバレ 購入済み

読み応えあります

む〜ん 後半の暗さである瞭司の苦悩が、私には辛かった。その上で、熊沢の苦悩も辛い。一方で、平賀先生の対応が今の世界の普通の対応でないかとの思いが捨てきれず、現在の生き難さを示していると思う。その上、平賀先生本人は苦悩が無いのであろう。これも真実。
瞭司の凄さを理解すると共に瞭司二世が出てきたという、このような終わり方で良いのだろうかという、不満が心の底にある。

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2022年10月20日

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