岩井圭也のレビュー一覧
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ドラマ化もされた『最後の鑑定人』の続編・・というか、前日譚。
凄腕鑑定人・土門誠がまだ科捜研(科学捜査研究所)に在籍していた頃のお話、連作四話が収録されております。
あの土門さんの、科捜研時代のストーリーということで、第一話「罪の花」では、前作『最後の鑑定人』にもチラっと登場した科警研(科学警察研究所)の尾藤さんとの出会いが書かれているのも興味深いですね~。
勿論、各話とも抜群の安定感で、遺体や現場に残されたほんの小さな違和感も見過ごさない土門さんのストイックな仕事ぶりがカッコよく、見事に事件を解決にもっていく展開にグイグイ惹きこまれて読みました。
そんな真摯に真実を追い求める土門さん -
Posted by ブクログ
サスペンスは苦手分野。
でも、ブク友さん達のレビューを読んで
「これはきっと読むべき」と感じて手に。
皆さんも書かれているように、やはりレビューを書くのが難しい本だ。
無差別連続殺人を廻り、様々な社会問題を盛り込んだ作品。
中でも私はジャーナリズムのあり方について考えさせられた。
ジャーナリストは傷ついた人々にマイクを向け、苦しみの中からでてきた声をあらゆる手段で加工して世にだす。それはやり方次第で傷口に塩を塗るような存在になり得る。
それでも彼らは、社会のためにという使命感を持ち、誹謗中傷に堪えながらペンを握っていたのか…
ワイドショーや週刊誌を開くと芸能人や政治家のゴシップや殺人事 -
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面白くてページを捲る手が止まらなかったけれど,何となく,色々な部分,側面が,美化されている気がしたから.特にクマの心情かな.
それでも星4つなのんは,分野は違えど,同じ大学教員,研究者として,そうそう!と共感できること,そうか!とインスパイアされるところ,がたくさんあったから.
「社会のためとか何とか言っても,結局,楽しいから数学をやっているだけだ」
「今解けなくても,死ぬまでに何回もチャレンジすればいい.それに僕が解けなくても,他の誰かが解いてもいい.だからそもそも,問題を解くことに挫折はない」
「目の裏で火花が散るような感覚.同時に視界のすべてがうっすらと光りはじめる.それまでわからな -
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短編が4つ
ドラマと順番は違うけどタイトルは同じ。
天才ゆえの変人、土門先生がかっこいい♡
元妻からは「変態の所業」とまで言われてるけどね(笑)
引き受けた鑑定に対してはとことん真面目に、責任と自信をもって調べ上げる。
名言→
「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「私たちは、白でも黒でもない。どこまでもグレーな存在です」
「加害者にとっては過去かもしれない、もう終わった話かもしれない。しかしご遺族にとっては終わりなんてないんです」
嘘を見破る訓練をする助手の高倉柊子さんもいい味出してる。
全体的に面白かった。シリーズ化してるようなので他のも読んでみたいな。
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亀戸で発生した無差別殺傷事件、犯人の深瀬は「死刑になりたかった」とその動機を語る…。事件のことを深堀するのは、事件記者の安田賢太郎…深瀬と関わりのあった関係者に取材を重ねるうちに、共感する気持ちが芽生えるようになり…。
どんな過去があろうとも、犯罪によって何も関係のない人々の命が脅かされるのは、やっぱりあってはならないことです。事件記者の安田なんだけど、きっとあたたかい家庭への憧れがあったんでしょうね…。でも、そのとばっちりを受けるのは息子なんだから、ちょっとしっかりしてよ!って言いたくなりました。
タイトルの「汽水域」、初めて知りました。淡水と海水が混じり合う場所らしいですね…。こ -
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ネタバレ大学生のとき、いろいろなアルバイトをした。レストラン、水商売、弁当屋、清掃員、中元歳暮の百貨店、球場のビール売り…ただ季節季節に限り、住み込みでひと夏ひと冬で稼ぐようなアルバイトはした事が無かったなあ。海の家とかスキー場なんてのもそうかな。
この小説の舞台は、漁業の季節バイトをしに北海道に集まった七人の男女が殺人事件に巻き込まれる話だ。
ある日、リーダー格の男性が死体で発見される。当然警察へ通報する…はずが、一人を除き通報することを拒む…それは何故?
その後、それぞれの視点で順次語られる警察に通報されるのは困る事情…物語はたった一夜のことだけなのが面白い。
秘密のない人間なんて、きっとい -
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未成年者の事件の弁護を担う「付添人」の仕事をする弁護士のオボロ。
問題を抱える少年少女を担当する彼自身もまた、少年時代に複雑な事情を抱えていた。
様々な少年少女の付添人を務めるなかで、自身の過去とも向き合っていく連作短編集。
未成年者の事件は弁護人と呼ばず付添人と呼ぶことを初めて知った。
登場する少年少女の問題は様々であるが、子どもの権利や将来を第一に考え話を聞いたり環境の調整をしていて、まさに子どもの人生に「付き添うひと」なのだなと感じた。
また今作では、各短編の子どもたちだけではなくオボロ自身の過去も物語の重要な要素になっている。
子どもたちと関わるなかで自身の過去にも向き合っていくのが -
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最後の鑑定人シリーズ、2作目。
前作の前日譚。
前作を読んで一番気になっていた人物の視点から物語が始まって、テンションが上がった。
現在の土門を作り上げたのは何なのか。
彼の過去を辿ることで、見えてくるものがあったので、この順番なのは◎。
ありふれた事件だと思っていたら、わずかな痕跡から驚愕の真相が明らかになっていく様に、前作同様引き込まれた。
特に「神は殺さない」。
犯人は容易に想像できるので、そこに関しての驚きはなかったが、事件に関わる2人と犯人の心情を考えると、やるせない。
土門の苦悩と決めゼリフの重みが一番感じられる事件だった。
それまでに土門が関わってきた人たちが全員出てくる