岩井圭也のレビュー一覧

  • 暗い引力
    短編だからか、展開が読みやすくキャッチーなところもあるが、さすが岩井氏とでも言うべきか、各場面を緻密に引き摺りながら人物たちが堕ちていく姿が描かれている。個人的には『楽園の犬』や『われは熊楠』のような、じっとりと汗をかき、またざわっと鳥肌がたつような作品が好きかも。
  • 横浜ネイバーズ
    横浜中華街を舞台に、フリーターのロンが活躍、というよりは右往左往して事件を解決するための努力をするお話。事件自体はわりと重めなものの、テンポが良く、さらっと読める。一巻は登場人物紹介を兼ねている感じ。次巻以降が楽しみ。
  • 横浜ネイバーズ
    まさにIWGPの横浜中華街版。
    少年達が自らの手で地域内の社会問題を解決するという構成はありきたりだけどその分とっつきやすい。
    この先どのようにオリジナリティを出せるか、もう少し続けて読んでみよう。
  • われは熊楠
    岩井圭也さんも既刊で読みたい本がまだまだあるので、さほど新刊にこだわっていないんだが、そりゃあれば借りるよ
    だって男の子だもん

    はい、生物学者であり民俗学者でもある「知の巨人」南方熊楠の生涯を描いた『われは熊楠』です

    うーん、面白かったんだけど、ちょっと消化不良
    だって南方熊楠よ?逸話が多すぎて...続きを読む
  • 永遠についての証明
    数学のことは全然分からないけど、リーマン予想は容疑者Xの献身に出てきたあれだな、とか浅い知識でうっすら理解した気になって読みました。

    天才にもいろいろあって、むしろわかり合えないことの方が多いのかもしれない。
  • この夜が明ければ
    人間のドロドロした部分をたくさん見ることが出来る本。
    6人がそれぞれちょっとずつ自分語りをしていくのが小説を色んな方向から読み解けて面白かった。
    正しいことだけを貫くのは生きづらいだろうなと思いながら読んでいたので、ラストシーンの一歩踏み出す描写は気持ちが良かった。
  • 楽園の犬
    喘息で仕事にも支障をきたしだした麻田健吾。
    療養も兼ねて家族と離れサイパンに赴任することに。太平洋戦争開戦前の話だ。
    そこで海軍の堂本少佐のスパイとして活動することになる。

    死を美化する事が普通だったこの時代の中、「死は死だ」と言い切ることがどれほど難しく勇気がいる事か。全編死についての麻田の違和...続きを読む
  • 付き添うひと
    近年ネグレクトの話が多いように感じる。自分がたまたまそういう本を選んでしまうのか、実際に増えているのか、それとも多くが明るみに出るようになったからなのかは分からないが。

    本書は、少年審判に於ける付添人側からの話。非行少年の権利を守り更生を手助けするのが付添人。その多くは弁護士が担っている。

    内容...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    ある事件をきっかけに科捜研を辞め、民間の鑑定所を開設した、変わり者の鑑定人を中心としたサイエンスミステリー。
    科学捜査で明らかなる真実はどれも残酷で、どの話もやるせない気持ちになる。
  • 夏の陰
    殺人犯の息子と その男に警察官の父を殺された息子。
    父親の虐待に苦しんできた息子と 庇護されて育った息子。
    加害者の息子として 被害者の息子として 二人はそれぞれの苦悩の中、大人になっていく。
    そして、亡くなった警察官を想い二人は剣道に打ち込んでいく。
    加害者の息子が社会で息を潜めながらも 真摯に生...続きを読む
  • 暗い引力
    岩井圭也さんが描く『世にも奇妙な物語』的な作品。
    岩井圭也さんが書くイヤミスってこういう感じか…と6編それぞれに味わって拝読しました。
    特に印象的だったのは『海の子』『蟻の牙』の入念な復讐劇、『極楽』の結末はゾッとした。
  • 暗い引力
    仄暗い不穏さが漂う短編集。
    読みやすいし、どの話も最後はゾワっとして面白いとは思うけど、個人的には胸糞悪さが足りなくて、ちょっと求めていた感じと違った。
  • 楽園の犬
    「君は米英と開戦すべきだと思うか?」

    太平洋戦争前夜のサイパンを舞台にしたサスペンス×ミステリー。
    軍部の「犬」となった男が、動乱の時代に見せた生き様に胸が熱くなる!

    1940年、南マリアナ諸島の一つサイパン島に「南洋庁サイパン支庁庶務係」として着任した麻...続きを読む
  • 人生賭博 横浜ネイバーズ(4)
    1冊目が出たときの予想とは裏腹に、巻を増すほどに人気が衰えていくシリーズとなってしまった。
    4冊目となる本書には、これまで同様〈山下町の名探偵〉の異名を取る小柳龍一(ロン)を狂言回しとした4篇が収録されている。最近影の薄かった趙松雄(マツ)がメインとなるマッチングアプリ詐欺、続く2篇目もマツ絡みの競...続きを読む
  • 永遠についての証明
    こちらも前回の読書会でお借りしてきた。岩井圭也作品は楽園の犬に続いて2作目だが、こちらはデビュー作だそう。

    物語は、6年前に早逝した天才的数覚をもつ三ツ矢暸司が残した「コラッツ予想の証明に成功した」とされるノートからはじまる。
    彼とは大学入学からの友人であり、今や30代半ばにして母校の准教授に就任...続きを読む
  • 暗い引力
    イヤミス系が読みたくて手に取った本。
    6つの短編が入ってるのですが、いやー、読んでると本当に胸糞悪くなりましたね笑

    でも、なんだかんだこういう人間の醜悪さが表現された作品にも手が伸びるのはよい傾向かなと。
  • 永遠についての証明
    初読みの作者さん。フォローしている方のレビューを読んで、数学者たちのお話というのに惹かれて買ってきた。
    数学は得意ではなかったが、今でも新聞に入試の問題が載ったりすると、ちょっと覗いてみたくはなる。

    大学の数学科に特別推薦生として同期で入学した瞭司と熊沢と佐那。主に瞭司と熊沢それぞれの視点で語られ...続きを読む
  • 暗い引力
    イヤミス的な短編集。読後感は重め。
    「僕はエスパーじゃない」「捏造カンパニー」「堕ちる」が面白かった。

    「僕はエスパーじゃない」は、子どものときから人の顔色を読むのが得意な男性が結婚し子どもが生まれ、常に妻の顔色を伺いながら妻の望むように家事育児をしていくが、突然離婚したいと妻に告げられる話。常に...続きを読む
  • 暗い引力
    6つの短編集
    表題の通り、6編すべてにこの力が働いていた。

    最後の「堕ちる」がいちばんこの表題に近い内容かと。
  • 夏の陰
    互いの人生を狂わせた忌まわしき事件から15年、加害者の息子と被害者の息子は剣を交え、対峙する―。日陰に生きてきた第一章の主人公・岳が新たな一歩を踏み出す姿に思わず胸が熱くなるし、彼を支える柴田の役回りも物語に奥行きを持たせている。しかし、第二章の主人公・和馬とその周辺人物のキャラクター造詣は前者に比...続きを読む