岩井圭也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
悪性リンパ腫ステージⅣの闘病から始まる本書。
血液内科での抗癌剤治療の壮絶さを垣間見たことのある私は、抗癌剤治療に懐疑的。
だから読み進めることが辛くて途中でやめようかと思ったものの…岩井圭也さんだからきっと読ませてくれると信じて読み進める。
治療場面は一章まででその後は起業に話が展開しグイグイと惹き込まれた。
広告代理店で勤務していた友人から、中小企業は大手の下請け孫請けで利益なんてほとんどないという話を聞いていたけれど、どこの業界でも悪しき構造は同じ。
そこをどうにかするなんて誰もできないことだと思っていたけれど、コタローのような人はきっといると思うと勇気がでる。
一度死ぬ程の思い -
Posted by ブクログ
読めてよかった。
子育てに悩むパパたちの叫びが、胸にズドンときた。
ママたちと同じくらい、パパたちもうまくできなくて泣きたくなる時があるんだ。
泣きたいのはママもパパも一緒なんだ。
子育ては、子どもと向き合うのと同時に、夫婦がお互いに向き合わないといけないチームプレーが必要なんだと、思い知らされた。
特に「俺の乳首からおっぱいは出ない」と「髪を結ぶ」は、泣ける。
乳児期に感じる焦りと、親としての自信喪失がこれでもかというくらいリアルに描かれていて、当時の記憶が蘇って、本当に泣いた。
パパにはもちろんおすすめしたいが、ママにこそ読んでほしいと思う。
パパの気持ちがわかれば、パパに対しても優 -
Posted by ブクログ
〈深海〉という名の古書店で開催される深夜の読書会。そこで出会う1冊の本を通して、登場人物たちが自分の生き方を見つめ直していく。それは小さな一歩かもしれない。けれど“自分で決める”というのは大きな覚悟が必要で、だからこそ決別できたり後悔したり、前を向くことができる。
心に寄り添っている大切な本がわたしにもある。これからも読書をする中で、そんな本たちとの出会いがあると思うと楽しみだ。
読書会というものにわたしは参加したことがないけれど、“共感だけが読書の感想じゃない”というのが良かった。物語の登場人物に共感ができなくたって、その物語がおもしろいということはあるし、感想は読む人の数だけあっていいん -
Posted by ブクログ
ー 資金なし、経験なし、計画性なし。
あるのは志とビジョンだけ。
・・・てさ。
がんサバイバーの起業というテーマは、それだけでも困難に満ちており、読むのが辛いと感じる方も多いのではないか。
作中では、主人公であるサバイバーたちに、作者が容赦なく難題を突きつける。状況はなかなか好転せず、読者を不安にさせる展開が続く。
しかし、主人公たちサバイバーズは少しずつ前進していく。このわずかな前進が、実は大きな意味を持つ。そして、何事も諦めないことこそが、最も重要な推進力なのだと学ばされる。
希望を見失わない彼らの強さは美しく、読者の心の奥深くに響き渡る。
この小説を読んで、元気になりましょう! -
Posted by ブクログ
大学4年で大手企業からの内定も獲得したコタローが、ステージⅣの悪性リンパ腫になったことで人生が一変する。
絶望に襲われる彼を救ったのは、『生きるための起業』という一冊の本と入院中にお見舞いに来た高校の時の同級生・ハクの「奇跡を起こすのって、コタローみたいな人間だと思うんだよね」の言葉だったように思う。
退院後、県庁を辞めたハクと二人で会社を立ち上げたものの、資金なし、経験なし、計画性なしだったが、紆余曲折しながらも仲間を増やして未熟なりに挑んでいく。
それぞれの強みを活かして協力して突き進んでいく姿は好感がもてる。
上手くいかないときこそ、絆が深まっていくのは信じあっているからだろうと思 -
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登場人物みんなが魅力的!
オボロ、浦井、原田、笹木、依頼人やその家族みーんなが、短いお話の中でとても人間味溢れた描かれ方をしている。良くも悪くも。
少年犯罪や児童虐待がテーマなのでクソみたいな大人も出てくる。その、クソっぷりが凄まじい。
これを描き切っているのがすごい。
職業柄近しい業界にいて解像度が上がっていることもあり1時間ちょいで読んでしまった。
作者さんはとても緻密に取材されたんじゃないかな、と思う。特にLDの章。
そして、オボロが付添人を勤めた子どもたちの可塑性を信じているような描き方をしているところに希望を感じた。
正直、再犯率は高いし家庭送致にしたところで親も問題を抱えているこ -
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まだ途中ですが、「隠花」の「血縁」という詩について語り合うところで、詩を聴いて涙が止まらなかった
鬱気味の夫をもつ自分と重ね、あぁ、ほんとうにそんなことができたらいいのになって
夫の親戚にも鬱の人がいるため家系だからと定めのように受け入れており、メンタルが落ちているときは私には分からないと完全に切り離されることもある
よしのちゃんが言うように、夫婦は血の繋がりがないので家族と言えど結局は他人
ゾンビになったら職業や見た目の違いや偏見に悩むこともなくなるし、わたしのポジティブな考え方も少しは分け与えられるかもしれない
人間として生きることに疲れている夫はきっとゾンビになることを望むだろう -
Posted by ブクログ
古書店「深海」で深夜に開催される6人の読書会。読書家ならとっても気になりますよね。
私は読書会というものに興味はあるけれど一度も参加した事がありません。
でもこれを読んだら参加してみたくなりました。
同じ本を読んでも感想は人それぞれ。どれが正解なんてない。読む時の年齢や抱えている物が異なれば同じ人間でもその本から感じる物は変わっていく。
年齢も性別も異なる6人が毎回1冊の本を通して自分の思う事をぶつけて行く様子は羨ましい。
また、皆に是非読んで欲しいと思える本に出会える事はとても幸せな事だと思う。例え自分と同じように感動してもらえなくても、自分では気付かなかった事を教えてもらえるなんて