岩井圭也のレビュー一覧

  • あしたの肖像

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    『ぼくにとって絵を描くことは、呼吸と同じだった。人は呼吸しなければ、生きていけない』


    冒頭の一文
    つまり、描けなくなったら生きる理由がない。

    そんな美大生の小滝英哉は、教授からあるアルバイトを依頼される。

    「肖像画を描いてほしい」

    モデルは学内の事故で亡くなった学生で、彼女の両親から学校に依頼があったという。

    小滝は彼女を知るために友人や実家を訪ね歩く。それと同時に、突然姿を消した恋人の宇野ひなたの行方も追う。

    その過程で小滝は自分自身と向き合い、己を知ろうと、もがき苦しむ…




    私は美大生のように特別な才能もないし、平凡な人生を送ってきたと思う。
    だけど一応青春時代を経験してきたから、分かることもある。
    嫉妬心や焦り、自分自身を認められない未熟さ…
    でもね、苦しい日々が続いても、きっと出口があるのよ。



    ある日、小滝の前に現れる謎の青年・ツブキリュウ。
    彼は一体何者なの?
    しかしこのリュウが、小滝を出口に導く重要な存在なの。

    そして私のお気に入りのシーンは、小滝とひなたの思い出のドライブ。
    糸魚川の海岸でヒスイを探す場面なんだけど、ここだけは優しい光を放っていて、やわらかい気持ちになる。


    あぁ、私は岩井圭也さんの書く小説が好きだなぁ。
    と、改めて思う一冊だった。

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    2026年06月22日
  • 永遠についての証明

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    ネタバレ

    ネガティブ・ケイパビリティについて知ってからこの本を読みました。
    恐らく、この本は以前にも読んでいましたが
    今回、人との関わりについてすごく考えさせられました。

    後半はどこの職場でもありそうな部下と上司の関係が描かれている感覚でした。
    誰が悪いとか、責められる点はないとしても、無自覚が一番たちが悪い。
    「正解」「正論」を伝える時に、相手の背景を何も見ようとせずに責めるような言葉を使うことがどれだけ相手を追い詰めるのか。
    今までの自分が恥ずかしく思う時間でした。

    好きだなと感じたのは、瞭司のことを思う人が暖かい人ばかりだったということ。
    「一緒に数学を楽しみたい」その思いで一緒にいられた。
    でも大人になるとそればかりではいられないのは、現実も一緒。
    だから余計に平賀教授の言葉は冷たく刺さりました。
    でも、瞭司の思いは大好きな友人によって成就された。
    最後は暖かく、そして心に何かを残す作品でした。

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    2026年06月21日
  • 永遠についての証明

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    親友の遺した数学理論の証明を試みる話

    ヤバい!良すぎる!!妬みとプライド、後悔と希望。すべてが絶妙。証明と共に生き方も浮き彫りになる。苦しさとともにくる清々しさが本当に最高。これがデビュー作って絶句。岩井さんの文章は優しいな。読むしかない

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    2026年06月20日
  • 最後の鑑定人

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    ネタバレ



    ずっと気になっていた鑑定人シリーズ。ようやく読めました。連作短編の形になっていますが、各章とても読みごたえがあって楽しかったです。土門誠のどこまでも冷静沈着で淡々としていてクールなキャラにハマります。受付の高倉さんのキャラも絶妙で良い。短編ではありますが、縦軸の大きな謎というか、土門の過去がずっと気になっていく感じで、続編を読むのがまた楽しみになりました。

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    2026年06月13日
  • 文身

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    言葉の表現力が乏しい私は、何を言っていいかわからないが、この本はすごい。
    世の中にはたくさんの本がある、ミステリーやエッセイや作家さんがこんな世界にしたいなとか、そういう思いが見える本を客観的に感じたり、しながら読む本もある。
    この本は作者岩井さんと言う存在が見えない。その凄さがこの本の中にたくさん詰まっている。
    本を読んでいると、私はどの世界にいるのかわからなくなる。
    現実世界で家事をしていると、不意に私今どこにいたんだっけと思う。そうそう堅次が書いている小説を庸一と共に読んでいるんだとなる。いやいやいや違うじゃん。岩井さんが書いている本を読んでたんだとなる。
    それほど岩井さんと言う作者が見えない。書き手の見えない小説の物語に、のめり込む、のめり込ませてくれるこの本がすごい。人にこの本を進めるにあたって、どう説明したら良いのか、ミステリーではない。面白かったよとは簡単には言えない。
    どんなふうに面白かったかとも伝えられない面白さがある。
    この本の面白さをのめり込んで読んでもらいたいからこそ、ネタバレや帯を見ず、ただ表紙だけで手に取って読んで欲しい。本当に素晴らしい。
    こんなにのめり込んでどの世界にいるかわからなくなる文章力は本当にすごい。
    深海の巣から涙が止まらず、嗚咽すらでる。
    何枚ティッシュに鼻を噛んで涙を拭ったか。
    本当に面白かった。

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    2026年06月10日
  • パパたちの肖像

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    ほっこり
    この本に出てくるパパは
    みんな繊細で優しい
    世の中のパパたちが
    みんなこうならいいのになぁ

    色々リアルで切なかった
    子供が小さい間の大変さって
    今となっては
    そんなに悩まなくていいことに
    悩んだり辛くなってたなぁと思いだした

    「息子の進学」は、記憶が新しいから
    余計に響いた

    しかしパパを題材に、いろんな作家さんが
    作るこの本、発案者、天才やん

    逆に「ママたちの肖像」も
    読んでみたいなぁ

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    2026年06月06日
  • 永遠についての証明

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    数学の天才少年が、特別推薦枠で大学へ進んだ。
    彼の進む道は…?

    オススメしたい方↓
    ☆数学大好きな方
    ☆理系大学へ進学を考えている方
    ☆依存症気質の方、またはそのご家族

    岩井圭也さんのデビュー作ですが、
    デビュー作とは思えない完成度。
    数学と真摯に向き合う青年たちが、その数学への愛ゆえに惹かれて、傷つき、離れていく。

    「もし自分が死んでも、数学の証明が受け継がれていくのなら、永遠に生きるということなんだ」

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    2026年06月05日
  • 永遠についての証明

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     生まれついての天才的な数覚(数学的感覚)に恵まれた瞭司。
    協和大学に特推生として入学し、
    狂気的ともいえるストイックさで研究に没頭する姿が印象的だった。
     研究に行き詰まったあげく、もともと好きでもなかったお酒に溺れてしまい、それが結局瞭司の命を奪う原因になってしまったことが何とも切なくて胸が締め付けられた。
     また熊沢の、瞭司に対する友情と嫉妬で揺れ動く心情も切なかった。

     コラッツ予想もリーマン予想もムーンシャインもさっぱりな私だが、瞭司の語るプルビスの魅力は分かるような気がした。

     ラストで現れた瞭司2世(?)に数学の果てしない世界に想いを馳せてしまった。

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    2026年06月05日
  • 横浜ネイバーズ

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    横浜を舞台に、中華街のフリーターのロンが仲間たちと知恵を合わせてさまざまな事件に立ち向かっていく群像劇。

    そう書くと「池袋ウエスト…」みたいだけど、
    横浜の街の古いところと新しいところ、
    ホワイトカラーとブルーカラーが混じり合う地域で、推し活にはまるエリートサラリーマンなど、
    現代人が抱える課題を浮き彫りにしていくところが新しい。

    これは「永遠についての証明」や「北極星をえがく」などの理系学生を描いてきた岩井圭也さんならでは。


    これからもこのシリーズ続くみたいで、楽しみです!

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    2026年05月26日
  • 追憶の鑑定人

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    土門誠の大学時代の友人たちとの思い出を振り返れる1冊。
    より土門の人間味を感じられて嬉しい!と同時に読み終わってしまったのが悲しい…。

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    2026年05月24日
  • 科捜研の砦

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    最後の鑑定人の土門誠が科捜研に在籍した頃の話。
    元妻との馴れ初めややり取りもあり、土門誠の人となりも垣間見え、ファンとしては嬉しい一冊!

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    2026年05月24日
  • 夜更けより静かな場所

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    古書店で開かれる真夜中の読書会。
    店主が選んだ年齢も職業もバラバラの6人で開かれる。1人が毎回課題図書を決めてみんな読み、その感想を言い合う。
    感想は人それぞれで正解はない。人の感想を聞いて新しい発見があってまたおもしろい。
    良く本の感想を言い合うけど、こんな読書会開きたいなぁ。

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    2026年05月19日
  • 夜更けより静かな場所

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    誰もが選択と偶然の中で生きている。惰性のままに過ごしていた主人公がそんな思いに至る。掴みどころはない古本屋の店主と道標のように輝く一冊の本。そして読書会と出会い遠藤吉乃は成長する。読書会のメンバーもそれぞれ見て見ぬふりをしていた問題を抱えるも、一冊の本とメンバーの語りによって救われて行く。とても気持ちが良く、少しハラハラさせられ、最後にしんみり、だけど明るくなる。そんな本でした。導入に引き込まれて、完全に没入してしまい、気づいたら読み終わってしまった。フォローワーさんの検索で見つけた本でとても面白かった。大好き度❤️❤️❤️❤️❤️

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    2026年05月13日
  • 拳の声が聞こえるか

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    ボクシングを知らない、興味がない…そんな醒めた気持ちで読み始めたが、何時しか《須郷ボクシングジム》の一員に。仲間に恵まれ、成長してゆく遼馬に安堵しながらも、著者の人間味溢れる筆力に、首尾惹き込まれた。胸が熱くなる一冊。

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    2026年05月11日
  • サバイブ!

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    がんを患ってから起業するストーリーだけど、期待以上の内容だった。起業するつもりはないけど、起業できそうな気がしたしある意味で勉強になった。序盤から最後までずっと気になる展開で飽きさせない。コタローには共感できない部分もあるけど、人柄がすごく好き。読みやすくてオススメできる一冊。

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    2026年05月10日
  • 汽水域

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    最も嫌いなタイプの主人公。自己中心的で仕事に託けて周囲の人を全く考えない。その仕事も政治家に次ぐ最低最悪。野次馬根性丸出しで人の嫌がることに口を挟み、興味本位の文章を並べて得意げに騒ぎ立てるだけのもの。社会への問題提起や知られていない悪事の暴露ならまだしも、後追いの3面記事などただのゴミです。それがジャーナリズムとか笑わせます。という設定なのにさすが岩井さん、すっかり話に引き込まれてしまいました。主人公の安田さん、そこまで自分を悪者にしないで、色々考えている真っ当な社会人だと思いますから、ご自分のお子さんにも逃げずにちゃんと向き合ってください。

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    2026年05月10日
  • 永遠についての証明

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    刹那的な生き方をしたいわけではない。願いは現世界では見える人の世界が永遠に続くことは難しいだろうか。難しいから小説になったとしたらやはり寂しい。時間に濃淡があるとしたら、何歳と数える生きた時間では測れないということか。
    魅せられた世界が果てしなく広がる、それを解く人たちがいることで私の生活もより良くなっている。なぜ人が人なのか、芯のある生き方、数学はできないけれど、一つ持ちたいと思う

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    2026年05月06日
  • 拳の声が聞こえるか

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    感動した!!
    凄いよかった!
    読み終わって・・・ボーっとしている。
    今年読んだもので一番かも・・・・?
    ボクシング・・・・
    週末には、井上尚弥VS中谷潤人・・・
    華やかな試合もいいが、
    血気盛んな若者のデビュー戦とか、
    負ければ引退、といった、
    必死な戦いを会場で観戦したい・・・と思う。
    ゴチソウサマでした。

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    2026年04月28日
  • 檻を出ろ!横浜ネイバーズSP

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    ロンは、あいかわらず持ち掛けられた依頼を断れないのね。そこがいいところでもあるんだけど、無鉄砲に突っ走るんだから、ヒナちゃんにとってはたまったものじゃない。欽ちゃんも、心配で気が気じゃないよね。のほほんとした清田先生は、本心が読みにくいけどw
    海外で監禁状態で犯罪行為をさせられている翔真。脱走を持ち掛ける健士郎のことが、どうも信用しきれないでいた。
    いや、冨尾もどうなんだ?
    終盤は、やっぱり欽ちゃんの大活躍が見られて嬉しい。
    欽ちゃんの新しいパートナー浅香がなんともいい味で面白い。次作でもコンビなのかな。そうだといいな。
    アルファとの戦いはまだまだ続く。

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    2026年04月25日
  • あしたの肖像

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    藝大の油画と言えば、日本の最高峰…
    そこで学ぶ学生達の苦悩というと、想像以上なのだろうと思ってはいた。

    我が息子やその友人達も美術を志し、厳しい予備校時代や浪人時代を経験した。
    だからこそ彼らの苦悩を少しでもわかりたいと思いながらの読書。
    正直とても辛く、未だその余韻でやや思考停止気味…

    美術でも音楽でも、芸術を志す者たちにとっては、常にスランプや嫉妬との闘いであり、天才と呼ばれる者たち程プレッシャーとの闘いでもある。

    藝大に入れなかった者にしてみれば、藝大に入れたのだから、才能はお墨付きではないかと思う。
    でも、それは全くの逆で、藝大生だからこそ、最高の卒制を生み出すことのプレッシャーは想像できない程なのだと思う。

    才能とは、なんなのか…
    「兄には絵を描く才能があったからいい!俺には何の才能もない。」
    と泣きながら叫んだ我が家の次男に、
    「才能があってもなくても同じように努力しないとなんににもなれないんだよ!」
    と泣きながら話したことを思い出す。

    才能があったとしても、それを活かせるかは自分次第なのだ。

    ひなたも小滝も、樺沢穂香も、自分自身を知るために制作し、自分の思いを作品に込められることを願う。
    芸術とは、自分自身を探り続ける作業なのだ。

    自分自身の明日の肖像画を描くことほど難しいことはない。でも、それをやり遂げる力はどれだけ自分を知り、自分を信じられるようになるかなのだろうな…

    自分自身を知ろうとする作業は、芸術を志すものだけでなく、すべての人に与えられた使命なのかもしれない。

    我が子だけでなくすべての若者達が、学生のうちに、たくさんの挫折を味わいながら自分を探すことができますように。

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    2026年04月23日