岩井圭也のレビュー一覧

  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    2022年刊。本のタイトルの意味、何なんだろう?と思っていたが、それは直ぐに書かれていた。ミステリー4編で、相互に事件的な関連は無いが、中心人物の背景が明らかになっていく構成。読み応えあり。軽過ぎも、重すぎもしない。読後感も良い。
  • 完全なる白銀
    北米最高峰デナリに登攀する感動するお話

    親友のリタ・ウルラクがデナリ単独登頂後下山時に行方不明になる。ジャーナリストにその登頂を疑われ冬の女王という名誉から詐称の女王"クイーンオブブリテンダー"と汚名を着せられる事に…
    リタの汚名を晴らそうと緑里とシーナがデナリを登攀するがマイナス40℃に達する凍...続きを読む
  • 水よ踊れ
    観光客の目にはとまらない香港の素顔を垣間見ることができた。都市計画という視点で香港を捉え、ミステリーに仕立てた著者の手腕に舌を巻いた。面白かったです。
  • 付き添うひと
    〈付添人〉家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるよう裁判所に協力する人


    面白かったです。
    短編5つの300ページ程の作品ですが、なかなか心に沁みる内容でした。

    どの話も凶悪な犯罪を犯した少年達ではなく、家出を繰り返す少女や、ネットで誹謗中...続きを読む
  • 横浜ネイバーズ
    横浜市の中華街に住む少年の探偵小説。

    僕自身たまたま横浜(しかも中区)で育ったので、登場した地名から雰囲気がイメージ出来てとても楽しく読めました。

    主人公が高校時代にとある事件を解決したという事から始まり、各章の依頼者から過去の実績を出され、不本意ながらその依頼を受けるという導入が毎回面白かった...続きを読む
  • 文身
    うわぁ〜と叫びたい‼︎
    完全に弄ばれた感が。゚(゚´ω`゚)゚。

    高校生の庸一と中学生の堅次
    頭脳明晰な弟と弟に着いていくだけの兄
    「弟を信じていれば間違いはない」
    この二人が弟の擬装自殺という計画を立て故郷を捨て東京に出るまでの第一章。
    昭和30年代頃かな?ノスタルジックな文体に引き込まれていき...続きを読む
  • 永遠についての証明
    電車で読んで失敗した。涙が…
    数学は数学者だけのものじゃないし、数学者にもいろんなスタイルがあっていいんだなって思わせてくれる。
    でも、多様であればあるからこそ、自分にとっての何かを見つける苦労や苦悩は深くなるんだろうな。

    子孫を残すというかたちじゃなくても、
    偉業を成し遂げるというかたちじゃなく...続きを読む
  • 付き添うひと
    テーマが重たかったが、
    読みやすく一気に読んでしまいました
    今までこういう仕事があると知らなかったが
    知れてよかった
  • 完全なる白銀
    舞台は標高6190メートルの北米最高峰デナリ。
    主人公の親友リタは冬季デナリの頂上から〈 完全なる白銀 〉を見たという言葉を残して消息を絶ちました。
    主人公藤谷緑里は親友を追って冬季デナリの頂上〈 完全なる白銀 〉を目指します。

    美しく荘厳で人を寄せ付けない冷酷さを持つ北米最高峰デナリ。登山知識の...続きを読む
  • 文身
    凄い作品に出会った。
    作品自体がその時代背景があるからなのか、昔好きで読んでいた昭和の文豪の小説を読んでいるような不思議な感覚を感じる。

    まずタイトルが「分身」ではなく「文身」。読後考えてみて「分身」でも違和感なくストーリーと共和する気がするが、さらに彫っての「文身」なのだろうと推測。

    「現実と...続きを読む
  • 永遠についての証明
    間違いなく今年のベスト5に入る小説に出合った。最後はもう涙が止まらなかった。美しくて愚かで、純粋で、この物語に出合えたことを幸せに思う。
  • 完全なる白銀
    主な舞台となるのはアラスカ、そこに聳える北米最高峰のデナリ山頂を目指すのは、日本人カメラマンの藤谷緑里だ。岩井さんの小説では初の女性主人公である。
    アタックは2023年の冬に、現地の友人でレンジャーのシーラと2人で行われる。途中で2008年から始まるこの物語のいくつかのシーンがカットバックで挿入され...続きを読む
  • 完全なる白銀
    ある目的のため北米最高峰の冬のデナリの単独登頂を目指しそこで消えたリタ。そしてリタの登頂を疑う記事。その疑いを晴らすために親友の緑里とシーラが冬のデナリを目指す。リタとの出会いと失ってからの日々とデナリへの挑戦。それぞれに物語があってその想いたちが溢れてくるデナリへのアタックには圧倒されてしまう。凍...続きを読む
  • 生者のポエトリー
    詩を詠むという事を題材にした連作短編6話。短編だけど、どれもとてもじんわりと心に沁みる。それぞれの話の主人公たちが、日頃から胸に留めていた想いを詩に託して、何らかのキッカケで外に発信する瞬間が清々しくて良かった。老若男女、不器用だったり、愚かだったり、頑張り屋だったり、みんな普通の人たちで、その詩も...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    「科学は嘘をつかない」。へぇほぉなるほど。私立探偵の本は世の中に腐るほどあるが、私立科捜研が題材とは新しい。警察庁の科捜研を退社後独立し、民間の鑑定所を設立している土門。能面の様に無表情で取っつきにくい土門だが、仕事への熱意・鑑定結果から推理する力は一流。そんなスゴ腕鑑定士の彼の元へは様々な事例が舞...続きを読む
  • 永遠についての証明
    数学を居場所とし、孤独から仲間といることを覚えた後にまた孤独を感じていく。それぞれが成長したが故の寂しさが切なかった。

    どれだけアルコールに溺れても、仲間がそれぞれの道を進んでも数学が好きで、数学を続けていたがその根底にある思いが数学を続けて論文を書けばあの頃みたいに仲間と議論を交わせるという思い...続きを読む
  • 文身
    久しぶりに寝る時間を忘れて読みふけりました。
    知り合いに紹介されて「そんな面白いのー?」と疑心暗鬼でしたが、謝ります。
    どんでん返し、や、ちょっと変わった設定が好きな人にオススメです
  • 生者のポエトリー
    詩を作る、朗読する。普通に生きていると恥ずかしくてそんな事出来ないと思ってしまいます。でも誰でも言葉を連ねる事で作れるのが詩です。巧拙もテクニックも気にせず心の赴くまま言葉を連ねる。それが自分表現になるし、人の心を打ったりします。
    そしてなんらかの形で人前で朗読をする、いわゆるポエトリーリーディング...続きを読む
  • 生者のポエトリー
    「水よ踊れ」の岩井圭也だから期待しない手はない、そしてやっぱり傑作の連作短編小説。

    詩を書き、詩を詠むことで人生を生き抜く人たちの物語。短編6つはそれぞれ薄くつながっていて、その構成は小説で良くあるパターンなのだが、独特なのは詩をつないでいくパタンだということ。小説のつながりには必ず詩を読むOR聞...続きを読む
  • 付き添うひと
    ラジオでこの本の紹介をしていて、すごく面白そうだったので手にしました。
    その通り、とても良かったです。

    少年少女であっても犯罪者であることには変わりなく、少年だからと言って温かく見守ってあげられるかと言うとそれは難しい。
    その疎外感が彼らをさらに頑なにさせるのだろうけど、自分の中の犯罪者への排他性...続きを読む