岩井圭也のレビュー一覧

  • 科捜研の砦

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    土門真の過去が、周囲の人間の目線から語られる。
    まだ、科捜研にいた時代の土門。
    尾藤との出会いから結婚生活の一端も知ることができて楽しかった。加賀副所長も好きだ。それだけに、その後の展開が、、、
    菅野のパートは、苦さもあるけれど、あのままにならなくて本当によかった。
    続きが気になるので、3作目が手元にあってよかった。

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    2025年09月15日
  • 夜更けより静かな場所

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    1冊読んだだけなのに計7冊分の物語を一気に堪能した。

    この作品のためにあと6つの物語を用意するなんてなんて贅沢な才能の使い方なのだろう。
    こんなにたくさんの話が交錯しているのに、内容がごちゃごちゃにならずに静かに物語が進んでいくのが本当に素晴らしい。

    「夜更けより静かな場所」は全編読んでみたい。
    きっとそのうち発表してくれるのではないかと少し期待している。

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    2025年09月15日
  • 文身

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    文身だと刺青という意味にもなるが本作はそれとは少し違う。分身、とでも言うべきなのだろうがそれともまた違う。ではやはり文身なのか、と延々にループする。
    ロクでもない男たちの物語ではある。救いようがない。
    ただ、そのロクでもない人物たちから生み出されたものが面白いのだから仕方がない。
    本作の展開が見事だった。次第に虚構と現実が混ざり合ってその境界線が見えなくなってくるのだ。凶悪さとも違う、本当にどうしようもない人間たちの虚無的視点とも言えばいいのか。それに射抜かれるようだった。

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    2025年09月15日
  • 夜更けより静かな場所

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    あんまり、期待してなかったが、意外と良作でした。
    俺自身にちょっと刺さった部分がありましたね。

    本好きながら読書会なんて一度も行ったことがないから、こんな読書会なら参加してみたいです。

    トランスルーセントみたいな読書会があってもいい。
    ラストは予想できなかった。
    25/09/09 37作目

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    2025年09月09日
  • いつも駅からだった

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    沿線に馴染みのある人が読めば没入感もひとしお。謎解きも難しすぎずあくまでも小説として楽しめる。まだまだ未登場の駅があるので是非とも続編をお願いしたい。小田急線でも。

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    2025年09月07日
  • 永遠についての証明

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    最終章 見える者

    誰しも見えない何かを探し求めているのかもしれない。
    同級生も先輩も恩師も、魅力的でとてもイイ。
    最後、田中少年の登場。読後の爽快感プラス。

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    2025年09月06日
  • サバイブ!

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    まだ引き出しあんのかい!っていうね
    岩井圭也さんまだ違う引き出しあんのかいっていうね

    庄屋さんの一人娘の嫁入り道具か!桐のやつか!一番下の段におばあちゃんの形見の晴れ着が入ってるやつか!
    いや例え分かりづらいわ!

    はい、と言うわけで、岩井圭也さん今回はお仕事小説✕青春小説だそうです
    お仕事小説好きのわいにはよだれしか出ないやつです

    それにしてもだよ
    キャラとか設定とかがどーにも、どっかで見たことあるようなんを継ぎ接ぎしたような感じなんよな〜

    そういうのってやっぱちょっとあれやん?最高やん?

    いや、わい無類のベタ好きやからね
    予想通りの展開って安心して読めるから好きなのよ
    岩井圭也さん

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    2025年09月04日
  • 楽園の犬

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    太平洋戦争勃発間近の南洋の地を舞台にした物語。

    前半は、英語教師をしていた麻田健吾が、表向きは南洋庁のサイパン支庁で庶務課として勤務する一方で、日本海軍のスパイとして秘密裏に活動していく様子が描かれる。

    各章ごとに、健吾がスパイ活動をする中で直面した事件をミステリー仕立ての物語にしてある。民間人の健吾が、密命を受け、命をかけて活動するため緊張感があり、事件の真相を探っていくことに没頭して読み進めた。

    後半は、幾つかの事件を通して命の尊さに思いを巡らすなかで、徐々に近づく開戦を前に、個人の思考の自由が奪われていく様が描かれる。
    まさに戦争ムード一色。
    日本国軍の勝利を信じて疑わない、或いは

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    2025年08月29日
  • 最後の鑑定人

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    次作の「科捜研の砦」を先に読んでしまっていたので、ようやく読めました。
    さすが土門さん。
    ぶれない様子がとてもいいです。なんだかんだみんな信者になっていく。科学は嘘をつかないを信条に突き進んでいく様がかっこいいです。

    そして元妻!むしろそっちにびっくり!次作のエピソード0にあたる出会いを読んだからなおさら!

    鑑定人シリーズとしてどんどん続いて欲しいです。

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    2025年08月28日
  • 付き添うひと 子ども担当弁護士・朧太一

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    岩井圭也さんの作品 3冊目のこちら

    主人公朧太一が、弁護士として色んな事情を抱えた子どもたちを助ける物語

    朧自身も過去の自分と向き合いながら、
    子どもたちのために日々奮闘している姿に
    めちゃくちゃ感動しました

    子どもの弁護士をする人を付き添い人と呼ぶことを
    初めて知りました‪‪‪‪‪

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    2025年08月26日
  • パパたちの肖像

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    ネタバレ

    自分は乳幼児の母という立場なんですが、共感する!、耳が痛い!と交互に思いながら拝読しました。
    どんなに自分がしんどくても、「だって俺は親だから」と疲れや苛立ちを抑えて子供に対応する場面は共感したし、妻からなんでこんな簡単なことができないんだ、という表情をされて、夫が自分は子育てに向いてないわぁと落ち込む場面は、耳が痛かった・・
    当時わたしも似たようなことをしてました・すいません・・

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    2025年08月24日
  • 楽園の犬

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    プロローグ

    灼熱のアスファルトから立ち昇る蜃気楼は、
    自身の影をゆらゆらと揺らしている
    太陽からは容赦無く熱波が放射され、
    己からは汗が吹き出している 
    纏わりつく湿気も実に不快だ
    我が国はいつから亜熱帯気候になってしまったのか

    80余年前の彼の地、サイパンも
    昨今の日本のように灼熱だったに違いない


    本章
    『楽園の犬』★5 mariさんの本棚から
    主に第二次世界大戦前夜のスパイ小説で
    まことに稀有なサイパンが舞台だ!

    スパイにならざるおえなかった主人公、麻田
    その雇い主である海軍の堂本
    2人の人生が、大戦前後の動乱によって
    大きく変化していく様を克明に描いた
    感動のスパイ小説である

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    2025年08月24日
  • 汽水域

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    物語の中身ではなく、外側について。
    岩井さんの小説は、セリフと物語が、いかにもなセリフや物語としての書き言葉ではなく、本当に口から紡がれたかのような切り方、それも長い時も短い時もある。それが臨場感や焦燥感など、空気を作り出しているように思う。
    また、キャラクターが「立っていない」。だから、本当にいそうで、本当にそう考えそうで、「ふつうに考えた範囲では、ふつうそうなるよな」と思えて、「いやそうはならんやろ」とあまり思わない(一部作品にはあるが)。
    そうしたことが没入感をつくり出していると考えた。では人物に共感するか?というと、そういうことではない。ましてや今回の物語は共感してはいけない。そもそも

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    2025年08月22日
  • 楽園の犬

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    1940年、太平洋戦争勃発直前のサイパンの地に降り立った元女学校英語教師の麻田健吾。表向きは南洋庁サイパン支庁庶務係としての赴任だが、その実態は日本海軍のスパイという任務を帯びていた。

    島内を跋扈するあらゆる種類のスパイたち。海軍vs陸軍、アメリカ人vs島民、内地vs沖縄、あらゆる対立構造が生み出す緊張感。
    ごく普通の教師だった麻田が飲み込まれていく闇が深すぎる。それでも真っ当な感覚を最後まで持ち続けた彼の姿がどこまでも爽やかで印象的。

    日米開戦を回避するべく奔走した堂本海軍少佐と、思いを同じくする麻田の間にある信頼関係。戦争中、非国民の誹りを受けながら、なんとしても生き抜く努力をするこ

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    2025年08月22日
  • 楽園の犬

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    岩井圭也さん「楽園の犬」
    著者の作品は「汽水域」以来5作品目。
    80年前の終戦に合わせて結構前からこの「楽園の犬」を本年の8月の一冊にしようと決めていた。

    まず表紙。「鳳凰木」という樹木、全く知らなかったのだがサイパンでは「南洋桜」というらしい。
    現在もだが、日本人にとって戦中は特に「桜」とはある意味で生と死を象徴する樹木であり、満開に咲いて散っていくその儚さを表象しているようと思慕し偲んできた。
    この表紙の満開の真っ赤な桜に当時サイパンにいた日本人はきっと色んな想いを馳せたに違いない。
    祖国を想い、家族を想い…
    この桜には先人の御霊が宿っている様に感じられる。

    自分は20年位前に一度サイ

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    2025年08月17日
  • この夜が明ければ

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    ネタバレ



    面白かった。
    最後まで予想がつかなかったのと、登場人物達の壮絶な過去に同情したり、もし自分だったらどうするか一緒に苦悩した。
    自分以外の人間に支配される生活は辛く苦しいだろう。
    逃げたくなるのも当然だと思う。

    ラストは清々しく、私的には「よかったじゃん!」という感じだったけど、もしかしたら賛否両論あるのかもしれない。

    アルバイトメンバー達の幸せを祈っています!

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    2025年08月12日
  • 永遠についての証明

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    濁流のような作品だった。
    これがデビュー作とは思えないストーリー構築や、読みやすさ、キャラクターの強さがあって一気読みしてしまった。

    書店でこの本のタイトルと裏面のあらすじを読んで、多分ミステリーなんだろうなと思い購入した。読み進めるうちにミステリーじゃないことに気づいて少しガッカリしたが、もうそんなのはどうでもよくなるくらいに引き込まれてしまっていた。

    飛び抜けた才能を持つことでより孤独になること。
    その才能に嫉妬して掴まれた手を振り払ってしまうこと。
    どちらの感情も理解出来、あまりにも悲しく虚しく、それでもそれらを受け入れることで繋がる未来が、唯一の救いであると感じた。

    才能が彼を外

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    2025年08月10日
  • 永遠についての証明

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    ネタバレ

    数覚に恵まれ、数の世界に生きた三ツ矢。
    数との関係が深くなにつれ、周囲の人と合わなくなり、孤独になっていく。アルコールで孤独を紛らわそうとアルコール依存に陥り最期を迎える。
    彼は数を足がかりに人と繋がり生きた。だが、ライフステージを重ねるにつれ、彼の理解者がひとり、またひとりと、それぞれの道を歩んだ時、彼のそばには誰もいなくなった。
    そんな中でも、数は最期まで彼を魅了し続け、のちにクマによって生きた証となった。
    穴があれば、それは論文ではなくアイデアだと切り捨てられた三ツ矢。アカデミアの過酷さが垣間見える。趣味を仕事にすることのリスクがある。興味関心があるものを生涯の友とし、純粋に愉しめること

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    2025年08月08日
  • 永遠についての証明

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    ネタバレ

    瞭司の結末がわかっているので、過去のパートは読んでいて苦しくなっていく。
    けれど、最後の章ではなぜか涙が出てくる。
    多分瞭司のことを完璧に理解できている人は、登場人物の中にいないのだろうけれど、理解しよう、近くにいたいと思ってくれる人がいることに感極まったのかもしれない。

    最後の現在のパートで、学校や身近に話の合う人はいないけれど、SNSで仲間を見つけられていることに救われた。

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    2025年08月06日
  • 永遠についての証明

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    これが、デビュー作か。すごい。
    「数覚」というものをもった1人の男性が数学を通して世界の真理を追い求める。ただ自分の世界を突き詰めていくこと、それが幸せじゃないのか?同じ世界を共有できない孤独が苦しくて、でも最後には温かい光みたいなものが見えて、自然と涙が込み上げた…

    岩井圭也さん、作品の幅が広い!

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    2025年08月03日