岩井圭也のレビュー一覧
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最近読んだ「真珠配列」と打って変わって、清々しい青春小説で夢に向かって悩む主人公を応援せざるを得ない、素敵な作品でした。
本作の主人公は自身の肖像画を描くアートスタイルの美大生。肖像画制作を通し自身の内面を見つめていた主人公は、ある日教授の推薦で、事故で亡くなった先輩の肖像画を描くことになる。その先輩は、どうして亡くなったのかを探る中で、美大生としてのあり方を見つめ直すというお話。
本作は、①肖像画の完成、②音信不通の恋人との和解という2軸で進むのですが、その2つの主軸どちらにおいてもクリエイターゆえの葛藤が描写されます。この葛藤を経ることによって、恋人への理解と亡くなった方への理解が深ま -
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自分を知るために自画像にこだわり続ける美大三年の小滝英哉は、学内の事故で亡くなった彫刻科の樺沢の肖像画を描くというアルバイトを教授から頼まれる。
故人を描くという難題に先ずは、彼女について知ろうと動くのだが…
小滝には天才と呼ばれていた同級生であり、恋人の宇野ひなたの行方不明も気になっていた。
突然、現れたリュウとは…
芸術というものを知れば知るほど才能の有無に悩まされ、自分の存在も見失なうということを若いうちから経験する…苦しくも自分でどうにかするしかないというのはとてもしんどいことだと感じた。
決断することの辛さや苦しさもありながら成長していく姿を見ることができたのはよかったと思う。 -
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博物学者、南方熊楠の一代記。アメリカに留学後、イギリスの大英博物館で勤務。だが癇癪を起こして他人に殴りかかり、出禁になり帰国。
ずっと弟の常楠の送金に頼り切った生活をし、研究機関などにも勤めず、標本を採取し、記録し、在野で研究を積み重ねる。Wikipediaによれば「生涯で『ネイチャー』誌に51本の論文が掲載されており、これは現在に至るまで単著での掲載本数の歴代最高記録となっている。」とのことで、これはすごい。
昭和天皇も南方と同じく粘菌の研究をなさっていたため、和歌山に御幸が会った際に進講をする。
本書の南方熊楠は頑固でヒトの言うことを聞かない。読んでいてイライラしてくるくらいである。息 -
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北米最高峰、厳冬期のデナリ。
読み終えた後、思わず、ふぅと息を吐く。自分も極限のアタックを体験したような錯覚を感じてしまうくらい、登攀シーンの臨場感と息遣いに圧倒された。
物語は、主人公の緑里とシーラが冬のデナリ登頂に挑む登頂のシーンと、そこに至るまでの過去が交互に展開されている。
二人が何を背負い、どんな覚悟でこの白銀に挑んでいるのか。そのプロセスが丁寧に描かれているので、一歩一歩の重みが伝わってくる。
二人の共通の友人であるリタの存在が、ドラマに奥行きを与えている。二人がデナリにアタックする前に登頂し、下山中に消息不明となったリタは、果たして冬の単独登頂で頂上まで辿りついたのか、という