岩井圭也のレビュー一覧

  • 楽園の犬
    謎解きの舞台を戦時中、サイパンに置き換えただけで、たいした推理もなくスパイかどうかを見極めるだけ。人物描写も浅く主人公に感情移入できない筆力ではあったが、2章目の終わりから戦時中独特な不穏な感じが入り組んで来て、無二の小説となっている。もう少し人物描写と推理に一捻りあれば星5でした。
  • 楽園の犬
    1940年、喘息に苦しむ英語教師の麻田は転地療養もかねてサイパンの南洋庁に赴任する。しかし彼に与えられた役割は、迫りくる戦争に向けての防諜だった。サイパンで起こった事件の裏に潜む真相を突き止め、それに関わる他国のスパイをあぶりだすという任務を受け、麻田は慣れないながらも持ち前の知恵と機転を駆使し奮闘...続きを読む
  • 付き添うひと
    「呪文が解けたんだな」
    『呪文?』
    「家族だから愛さないといけないっていう呪文」

    少年犯罪における弁護人の役割を担う“付添人“という仕事をするオボロ。
    私はこの本で初めて付添人という仕事を知りました。事件が起こってから、その人のおかれた環境にスポットが当たることも多いけど本当はもっと早く気づけてい...続きを読む
  • 付き添うひと
    どんな話か、だいたい題名で想像でき、どうしても実話に近いと気にかかり、目の前にいる中学生を思いながら、一気読みだ。万引き家族も重なった。豊かな日本だけど、実は貧困と闇を抱えてしまっていると思う。
  • 永遠についての証明
    数学というのは‥
    雲を、雪を、そして森までを式で表せるのか!

    そういう世界を見られるというのは、とても興奮する、きっと幸福な世界なのだろう

    ひとがその天才的な能力を持つとき、世渡りの術とか、生活力とかいう この世を生きていく力を併せ持てない事が多いのかも知れない

    その結果の孤独 嫉妬もされるだ...続きを読む
  • 夏の陰
    警察官殺しの父親をもつ岳、父親を射殺された遺児和馬。加害者の家族として、被害者の家族として、自らの責任で無い苦労を背負いこんできた二人が、剣道の道を歩み、全国大会京都予選で竹刀をまみえる。

    加害者の家族なんだから罰を受ける…そんな考えはナンセンスだと思う。そういう考え方は明らかに差別だと思うが、反...続きを読む
  • 楽園の犬
    いつまでもいつまでも南洋の地から戻れずにいる。
    灼熱の太陽の湿度の中にたたずんだまま
    歪んだ世界を眺めている。
    異常も正常も消し去ってしまう
    戦争という争いの物語。
  • 横浜ネイバーズ
    目的も持たずフリーター暮らしの中華街のロンが、相談を受けて問題を解決する短編集。常に軽いノリでサラッと躱しているけど、その内容は依頼者にもロン自身にも、なかなか過酷なもの。『山下町の名探偵』と言われるが、探偵というには素人の域。それでも頼まれると断れない性分で、仲間に助けられながらも体当たりしていく...続きを読む
  • 完全なる白銀
    若干詰め込みすぎかなぁ。山岳小説として読み応えのあるクライムシーンにもっとページを割いてほしかったし、ミステリーであればリタの登頂詐欺疑惑についての描写をもっと丁寧にしてほしかった。そのどっちもに手を出している上に、シーラやデリとの友情描写や地球温暖化問題なんかに手を出してるから、どれもこれもピント...続きを読む
  • 付き添うひと
    一昨日のこと
    「警視庁が歌舞伎町”東横キッズ”を一斉補導した
    補導されたのは13歳から18歳までの男女42人」
    というニュースを見た。

    昨日見た情報番組では補導された42人のうち40人が女子だと。
    コメンテーターのひとりは
    補導したことで終わってはいけない。
    この子たちが家庭に返された後、また同じ...続きを読む
  • 水よ踊れ
    舞台は中国回帰直前の1996年の香港

    主人公は幼少期に過ごした香港に留学を機に再度訪れる大学生の男の子
    目的は、かつて香港で交際していた少女の死の真相を探るため
    ただ、そこには様々な障壁がある
    移民と貧困問題、裏社会や政治に蔓延る社会主義の闇、共産党と民主派の対立、日本への敵視
    様々な問題、、
    ...続きを読む
  • 楽園の犬
    2023年度、個人的に最も部屋に飾りたい表紙NO.1にランクインしていた本作、貴志祐介さんの帯の文言も相まって飛び付きました。
    表紙の木は鳳凰木、日本人には南洋桜と呼ばれる燃えるような木ですが読み終えた後で見返すと一際感慨深くなります。

    スパイもの×ミステリー×戦史が絶妙に絡み合った最高の胸熱作品...続きを読む
  • 楽園の犬
    犬が好きなので借りたら全く別の犬だった。犬をそういう意味では使うけどいつまで経っても慣れないな。思いの外最後まで面白かった。この作家さん他も読んでみたいな。
  • 永遠についての証明
    この作家さんは初めて読みました。たぶん、タイトルに惹かれたのとたまたまダブルカバーで存在していたので手にして積読していたのですが…読み始めるとなんで手を付けていなかつたんだろう?って後悔するくらいに惹き込まれた作品でした。数学を題材にしていて、数学詳しくなくても、たぶん苦手でもある意味二人の主人公を...続きを読む
  • 楽園の犬
    昭和15年、麻田健吾は南洋庁サイパン支庁庶務係の職を得てサイパンに来島した。表向きは閑職、裏の顔は海軍のスパイとして上官の指示に従い己の頭脳を駆使し仕事をこなしていく。

    戦争という現在からすると非日常の中で紋切り型のヒーロー、ヒロインのような人物ではなく、ただ能力ある普通の人々が己の信条によっての...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    元科捜研の土門誠は現在民間の鑑定会社を営むスゴ腕の鑑定人。ドラマ科捜研の女(実は見たことない)の流行りに乗ったか?と思いチョットベタさを危惧したが…

    ベタ展開と言えばそうなんだが、決して悪くはない出来。その辺が岩井圭也の腕かなぁ。伏線の重層さとか圧倒的感動とかそういうのではないが、ミステリー短編と...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
     これはミステリではない。岩井圭也の作品なのだから。そう思いながら読むと、良さがしみじみと感じられる。人は、どんな屈託を抱えながら生きていくのか。どこまで抱えながら生きていけるのか。それを噛みしめ、測っていく。それが岩井圭也の世界なのだろう。罪への視線。彼の多くの作品を通して感じる。
  • 横浜ネイバーズ
    たまたまサイン本が本屋に売っていて、なんとなく気になり購入しました。
    主人公ロンが行動的で、いろんなことに関わり、危うい場面も乗り越えながら事件を解決していくのがとても面白く、あっという間に読み終えました。
    続きが気になる終わり方でした。
  • 横浜ネイバーズ
    初の岩井圭也先生の作品を読んだが読みやすくて2作目が気になる終わり。でも気になる終わりじゃなくても2作目は読みたくなる位面白い。ただ横浜中華街の事を知ってたらより面白い作品です。
  • 永遠についての証明
    圧倒的な才能を持つがゆえの栄光と孤独、そして天才の周りの人間が抱える憧れと嫉妬を、様々な側面から描いた青春小説でした。これらを余すことなく描くことで、才能の異質さや残酷さも浮き彫りにされます。

    物語は現在のパートと過去のパートが並行して進んでいきます。現在パートでは、亡くなった数学の天才、瞭司の遺...続きを読む