岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ横浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」のシリーズ続編。
今回はロンの友人凪の物語。
舞台になった川崎の臨海部はわたしにとっても特に思い出深い場所。実際の地名を使ってくれているので、情景が頭の中に浮かぶし、なんならバスの車窓も臨港バスのちょっとさみしい空気も感じられて、物語に入り込めた。
何をもって普通というかはわからないけど、人と違う思考や嗜好を胸を張って言える人は少ないと思う。それが思春期の多感な年ごろならなおさらで、そのあたりの感情を丁寧に描写しているところがとてもよかった。
岩井さんの書く文章は読み手を傷つけない優しさがあるのがいい。 -
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ネタバレ横浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」の続編。
今回はロンの幼馴染妃奈子が家から出られなくなった顛末の章がメイン。
SNSの怖いところそれがなかった時代の噂話というものは「ひとのうわさもな浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」の続編。
今回はロンの幼馴染妃奈子が家から出られなくなった顛末の章がメイン。
噂話というものは「人の噂も七十五日」という感じで口の端に上ったとしても身の回りだけでそのうち忘れられていくものだったけど、SNSが一般的になったことでそれが、より広い世界に発信されるようになり、しかもその記録はずっと消えくなってしまった。
そのあたりの残酷さを淡々と描きながらも、登場人物たちの気持ちは瑞々しく伝わるのがとてもよかった。
「マザーズ・ランド」はこのシリーズでずっと追い続けるテーマで、話の行く末が楽しみ。
「チートな俺」のような箸休め的短編もはさんでくれているので一冊の中のテンポもいい。
とにかく次が読みたい。そう思わせてくれる本。 -
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「我は、この世界を知り尽くす」
1867年生まれ、型破りの研究者である南方熊楠(みなかた・くまぐす)という実在の人物を描いた小説。
読んでいる途中でも熊楠への好奇心スイッチが入りまくるので、ついググって調べたくなってしまう。
例えば、熊楠は中学時代の後輩イケメンの繁太郎と、【露は二人の肌を隈無く湿らせ、汗や唾液と入り混じった…】と、何やらあやしげな夢を見る。
「え!?そうなの!?」と調べると、熊楠は〈男色〉の文献研究を熱心に行ったことでも知られていたという。
熊楠は男色の一体どんな研究を…とまた調べたくなり、早く続きが読みたいのに横道もすごくて、なかなか作品に戻れない(^_^;)
今度は熊楠って一体どんな顔なんだろう…と気になり検索すると、若い頃はつぶらな瞳で俳優みたいだ。
作品に戻って、岩井さんがこの作品で中心に描いていたのは、「家族」と「研究」かな。
50歳を過ぎても1番下の弟にお金の援助を求め続け、それを当然のように思ってる熊楠。
はい、出たー、兄弟問題。
私自身が3人兄妹の1番下なので、弟の気持ちになってしまう。
何で兄のために弟がそこまでやらなきゃいけないんだよ!弟には弟の人生があるんだよ!!と、熊楠に無性に腹が立つ。
後に熊楠は息子のことで心身ともに疲弊することになる…。
英米留学、異常な癇癪持ち、カメラ・アイの能力がありそうな記憶力、10数カ国の言語を操る、自然保護運動の先駆け、熊楠の脳のホルマリン漬けなど、どこを切り取っても面白い。
気になって調べると、まだすごいエピソードが出てくる。とにかくエピソードが面白くて調べたくなる人物。
読み終わった後も気になったことを検索してずっと楽しい。
熊楠が気になり過ぎて、次の作品を読んでるのにずっと熊楠のことを考えてしまう。。。
恥ずかしながらこの作品で初めて南方熊楠のことを知った。岩井さん、こんなに面白いすごい人を教えてくれてありがとう!
岩井さんの作品は、テーマが興味深くて知的好奇心が刺激される。
読めば読むほど岩井さんの作品がもっと読みたくなる。
和歌山県にある〈南方熊楠記念館〉にいつか行ってみたいな。 -
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太平洋戦争勃発直前の南洋サイパンが舞台。
自分の苦手な戦争やスパイがテーマなのに今回も一気読みだった。
スパイといっても敵国の情報を取得するスパイではなくて、スパイを見つけるスパイ。
そこにミステリーと人間ドラマが入ってくるので、戦争ものでもエンタメ性があってとても読みやすい。
私のように決まったジャンルしか読めない人間にとっては、ジャンルの垣根を壊して読みやすくしてくれる岩井さんの作品は本当にありがたい。
スパイを見つけるスパイとして必死に生きる男の人生が描かれている。
そして行ったことのないサイパンなのに、今回も主人公の隣で一緒に観ているような感覚だった。
戦争がどのように始まって、戦争がいかに愚かで、どのように終わっていったのか、自分も主人公の隣で体験していた。
戦争の悲惨さを直球で伝えるのではなくて、視点を変えて、エンタメ性もあるので私でも読みやすく面白く読める。
でも読んだ後は、戦争を2度と繰り返してはいけないと、ずっしり重く心に残った。。。
これで岩井さん4作品目だけど全部面白い。
そして自分の興味を広げてくれる岩井さんに完全にハマりました。 -
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ネタバレ岩井圭也があの熊楠を描く、そりゃ期待するやろ。そしてその期待は裏切られることなく。
頭脳も行動も規格外のド迫力というのが、南方熊楠の魅力。彼を小説に書くなら、ファンタジーでもSFでも歴史偉人伝でも伝奇でもどないでも料理できるのに、岩井圭也は、人間熊楠を家族小説として料理してきた。父母や兄弟、奥さんや息子・娘との関わり。そして彼を支えてきた友人知人たちとの交流が物語のメインとなる。
奇矯な言動に、天才的頭脳とフィールドを駆け巡る肉体、天狗(てんぎゃん)の異名も大げさとは思えない熊楠が、周囲とどういう風に関わっていくのか?年齢・性別どころか生死の境すら破壊しての関わり合いは読んでいて息をつめ、文章が落ち着くごとにため息をつかざるを得ない。
昭和天皇への御進講がクライマックスになるんだろうなぁ。その場面も確かにいいが、俺は那智での研究生活シーンと高知から帰ってきた息子との交流シーン、そして最後の方の娘との交流シーンが好き。
超人であっても人間熊楠なんやな…それがとても良かった。 -
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どうして人は罪を犯してしまうのか。
その心情や背景が淡々として物語れるなかにも感情の熱さがあって、引き込まれるように一気に読んだ。
わたしは子どもが集まる施設で働いていて、子ども同士が殴った殴られたみたいな場面に毎日のように接しているんだけど、殴った子に「人を殴ってはいけません」と叱ったところで、なんの解決にもならないという事例を多く見ている。
殴った子には本人なりの理由があって、それは許されざるべきものであっても、その子にとっては正義だったりする。その気持ちを話してもらって、それについて一緒に考えていかないと、殴るという行為はやめられない。その子にとって問題解決の方法が「殴る」しかないから。殴ったほうが感情が高ぶって泣いていたりすると、この子も苦しいんだなって思う。社会の中でうまく生きていくのは難しい。
本作に出てくる主人公は「罪を犯した人」がなぜそうするに至ったかに丁寧に向き合う医師で、その工程はしみじみと心を打つ。
丁寧さというのは時に不器用に映るもので、まわりにはなかなか理解してもらえないものなんだけど、でもそれが大切なんだろうな…と、わたしも丁寧にまわりと向き合っていこうって思わせてもらえた。
そんな風に考えさせてくれるいい本でした。 -
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ネタバレわたしのまわりには登山を愛してやまない人が数人いるのだけど、その人たちはみんな趣味程度にとどまることなく、常に次を求めている。
なぜそんな気持ちになるのかな、と思っていたのだけど、この小説の引き込まれるような描写で登山を疑似体験した気になり、限界を突破することの中毒性みたいなものを感じ、少し腑に落ちた。
わたしがもし登山家なら、きっと下山をしながら、気を緩めてはいけないとわかっていながらも、すでに次のアタックのことを考えているかもしれない。
岩井圭也という人は、イマジネーションのなかにリアリティがある稀有な小説家だと思う。
さらに、物語が過去と現在を行き来していても、その手法が必然だと思わせるほどすんなり入ってくる。
ほかの作品もはやく読みたい。
(これも中毒性…) -
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第二次世界大戦中のサイパンで諜報活動に従事する1人の男の物語でした。前半は、推理小説のような展開でしたが、日米の開戦が近づくにつれて緊迫感が増してきました。最後まで生きることに執着した麻田はあの時代には異端の存在だったと思います。だからこそ、簡単に自決を選んだその他大勢の人達より比べものにならないくらいの勇気が必要だったはずです。「生き抜くことが何より美しい」というメッセージを頂いたような気がします。平和な現代でも自殺を選択してしまう人は一定数いるので…。あとは、「因果ヅラ」というセリフが印象的で、スパイという人を裏切る活動に従事していた麻田が、家族と生きて再会することは出来なかった結末は仕方なかったのかなと思いました。
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良い!
この作品良いよぉぉぉぉ〜。゚(゚´Д`゚)゚。
犯罪者、それは大人も子ども関係なく罪を犯した者が悪い!
だけど、罪を犯した者だけが悪いのだろうか?
特に少年犯罪に関しては、子どもたちを取り巻く環境や人物の影響が大きのではないだろうか?
その中でも、子どもたちにとって一番身近な存在である親の影響力はかなり大きいのではないだろうか?
子どもに全く興味を示さない親、子どもを自分の持ち物のように扱う親、子どもの心の声を聞こうとしない親…
そんな親たちが子どもたちを犯罪の道へと追いやっているかもしれない!
そうならないように「付添人」のオボロのように子どもたちに寄り添ってみよう
心を閉ざした子どもたちと向き合ってみよう
悩み、苦しみ、悲しみ、心に大きな何かを抱えているなら「付添人」の1Q84O1を頼りにしてきて!
全力で寄り添い、力になるよ!