岩井圭也のレビュー一覧

  • 生者のポエトリー
    表現すること、言葉を語ることは何も特別なことではなく、生きていくことそのもの何だと感じました。
    引き込まれて一気に読んでしまいました。
    とても良い本でした。
  • 横浜ネイバーズ
    二十歳の時、将来やりたいこととか全然決まってなかったなあ。かと言って目の前にやってきたことに対して、こんな真摯に向き合っていたかも定かじゃない。でも毎日、生きてた。
    今度横浜中華街行ったら、彼らがいないかキョロっちゃいそう。
  • プリズン・ドクター
    刑務所の医師として受刑者の治療にあたる主人公が関わる様々な事件を取り上げた連作ミステリーだが、もう一つのテーマは認知症の介護。
    通り一遍ではなかなか書ききれない難しい問題と思うが、辛くて厳しい現実を暗くなりすぎずに正面から捉えていた感じがして小説としては良かったと思う。
    登場人物の関係性はちょっとご...続きを読む
  • 永遠についての証明
    数学を題材とした小説と言われてすぐに思いつくのは『博士の愛した数式』。小説もさることながら、映画での寺尾聡の演技が素晴らしく、両方とも心に残る作品となった。博士がいた数学の世界はとてもやさしく美しいもので、数学とはなんの縁もないわたしにも、そのきらきらした光が見えるような気がしたのを覚えている。
    ...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    文体は読みやすく、科学鑑定は素人でもわかる程度に抑えられ、トリックも「ははあ?」と思える。本格ミステリ好きには物足りないのだろうが、いい読書ができた。
    探偵役である土門が語り手に回らないのが、当人が最大のミステリという感じでいい。狂言回しとしては二章の刑事がいい相性に思えた。後半に犯人の(身勝手な)...続きを読む
  • 竜血の山
    昭和の水銀鉱山が舞台。ファンタジー要素がテーマに深く関わりますが、戦時中と戦後の水銀需要、水銀鉱山と水俣病など、事実も散りばめられていて不思議とリアリティのある読み心地。
    終わり方がとても美しい。好き。
    でも登場人物たちがあまり好きになれるタイプではなく星4つ。
  • 夏の陰
    加害者の家族、被害者の家族。それぞれ違うはずなのに、どちらも生きづらさを感じる。どちらも過去に囚われてしまう。
  • 生者のポエトリー
    6つの短編
    年齢もさまざまな人達
    誰もが自分の置かれた環境に悩んでいる。
    悩みもそれぞれ
    自分な心を見つめて吐き出す。
    まさに吐き出すと言う表現が相応しい。

    詩は難しいと思っていた…
    思いすぎていたかもしれないと思った。


    われわれが生きていくのに
    詩を叫ぶ以外の理由があるかい?

    「詩」に対す...続きを読む
  • 完全なる白銀
    北米最高峰のマウント·デナリ。真冬の最低気温は零下50度、体感温度は零下100度にもなり、容赦なく暴風が吹き荒れる。完全なる白銀。

    冬季デナリ単独登頂の下山中に消息を絶った親友のリタの姿を追うように、緑里とシーラもデナリに挑む。

    リタは何を思い、何を見たのか。
    私がこの本を手にしている今、デナリ...続きを読む
  • 飛べない雛 横浜ネイバーズ(2)
    シリーズ第2弾。ロンこと小柳龍一が横浜を舞台に色々なトラブルの調査をしていく連作短編。前作は人物紹介の趣があったけれど、今作はロンの幼馴染みのヒナの過去や、ロンの両親の過去などが語られていくシリーズの今後に影響しそうな展開。ルッキズムなどの今の問題を絡めつつ進むミステリーで、そこにロンの人を放ってお...続きを読む
  • 文身
    続きが気になってしょうがなかったので、ほぼ一気読みした。

    エンディングでは、弟の堅次は生きているのか死んでいるのか、もうどっちが真実なんだか訳わからない状態になってしまった。

    庸一の妻、詠子の死に方が本当に作中作「文身」の通りであるならば、詠子も庸一も堪らないだろう。 詠子の台詞。
    『〈本当の須...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    最後の鑑定人と呼ばれる土門が依頼の案件の真実を次々に解明していく様は爽快でした。
    しかしその犯罪の背景が物悲しく、複雑ななんとも言えない気持ちになってしまい、次に解決する鑑定こそ本当の悪を暴く爽快な最後であって欲しいと願います。
  • 完全なる白銀
    地球温暖化の影響で島がなくなる危機に直面している…故郷サウニケを救うために登山家となったリタ。そのリタが冬のデナリ単独登頂を達成した直後に行方不明となる。その後彼女の登頂を疑い過去の功績すら侮辱する記事が出る。写真家の緑里と幼なじみのシーラがリタの足跡を追って冬のデナリに挑む。
    登山経験のない者にと...続きを読む
  • 完全なる白銀
    地球温暖化の影響により沈みつつある故郷を救うために登山家としての名を上げることにしたリタが、冬季のデナリで消息不明になった。単独登頂を果たし、山頂で「完全なる白銀を見た」と告げたリタだが、その登頂には疑問が差しはさまれ、「詐称の女王」と呼ばれることに。リタの汚名を雪ぐため、友人である緑里とシーラはデ...続きを読む
  • 完全なる白銀
    過去に同山で友人を失った女性2人が冬の北米最高峰デナリ(マッキンリー)に挑戦する。

    「凍」のような実録ものではないが臨場感は十分。

    冬山に掛ける2人の強い思いも、各所に挿入された過去のエピソードから伝わってくる。

    本筋にジェンダーやマイノリティ、気候変動を絡めるのは昨今の流れか。
  • 横浜ネイバーズ
    横浜、中華街から名探偵誕生。二十歳のフリーター、小柳龍一(ロン)はあるきっかけから事件を解決して〈山下町の名探偵〉と仲間内から言われることに。人を探してほしいという依頼から、事件に入り込んで行ったり、危険な目に遭ったり。周りにいる仲間たちも魅力的だし、ロンの人を放っておけない部分もいい。今の空気感、...続きを読む
  • 完全なる白銀
    多ジャンルを書き分ける岩井圭也さん。本作は真っ当な山岳小説。ただそこは岩井さんらしく一筋縄ではいかない。主人公の藤谷緑里は北米最高峰のデナリへ旧友のシーラと向かう。彼女はかつてデナリに単独登頂をした後、行方不明となった友人、リタ・ウルラクの真意を探すために登る。彼女は本当に山頂までたどり着いたのか?...続きを読む
  • 永遠についての証明
    数学の才に恵まれるが故に誰からも理解されない瞭司。大学の数学科で同じく特別推薦生である熊沢と佐那に出会い、彼らと友情を築きながら感性で数学の真理を追う瞭司は、その才能から周りとの関係を歪ませていく。
    才能を持つからこそ周りの嫉妬や僻みにさらされ、次第に孤独になっていく様子が哀しいし、妬む側の気持ちの...続きを読む
  • 完全なる白銀
    藤谷緑里は高校一年生の夏、古本屋で一冊の写真集を手にしました。
    緑里の手にした写真集はサウニケ島という島を撮ったものでした。
    緑里は反対する両親を説き伏せ、写真の専門学校に入学します。
    そして、お金を貯めてニ十歳の夏、初海外旅行でサウニケ島を訪ね、十七歳のリタ・ウルラクと妹のシーラに出会います。
    ...続きを読む
  • 永遠についての証明
    面白かったし悲しかった 誰にも理解できない数学と誰からも理解してもらえない孤独と そしてなんといっても酒 数学の話も面白かったけど人物それぞれの心情、背景がしっかり書かれているので没入感があって良かった 同じ部屋でみてるような感じ 私も目の前の現実なんてどうでもいいくらい何かにハマってみたい人生だっ...続きを読む