藤谷緑里は高校一年生の夏、古本屋で一冊の写真集を手にしました。
緑里の手にした写真集はサウニケ島という島を撮ったものでした。
緑里は反対する両親を説き伏せ、写真の専門学校に入学します。
そして、お金を貯めてニ十歳の夏、初海外旅行でサウニケ島を訪ね、十七歳のリタ・ウルラクと妹のシーラに出会います。
そ
...続きを読むして、デナリ国立公園でリタと緑里は約束をします。
リタは世界的な登山家になり、緑里は一流の写真家になるという。
緑里は商業写真家になり、自分の写真が撮れずにいましたが、リタは続々と冬山を単独登頂することに成功していました。
しかし、リタは心無い者たちに「単独登頂なら山頂に立っていなくても嘘がつける」と疑われます。
リタは「私は冬の女王だ」と名乗りますが、世間は「本当は詐称の女王だ」と言い出します。
リタは二十五歳で、マウント・デナリで遭難しますが、遺体は見つかりませんでした。最期の言葉は「完全なる白銀」。
2023年冬、緑里はリタの妹のシーラに誘われてリタの見たのと同じ景色を見てリタの潔白と「完全なる白銀」を撮るためにデナリへ登ることになりますが。
果たして緑里は登頂できるのか…?
以下ネタバレ含む感想ですのでこれから読まれる方はお気をつけください。
リタと緑里の友情を交えた山岳小説だと思いますが、リタの行方がわからなくなっていたのが、山頂で緑里が見たリタは感動的でした。
「緑里の人生を変えたと言える相手はただ一人。リタ・ウルラクだけだ」心に残る一行でした。