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水銀、この美しい毒に囚われた二人の青年の数奇な運命――
昭和13年、鉱山技師の那須野寿一は、北海道東部の山奥で、巨大な水銀鉱床と地図にない集落を発見する。〈フレシラ〉という名のその集落には、ある秘密を抱えた一族が暮らしていた――。
フレシラの鉱夫となった一族の青年アシヤ。寿一の息子で、水銀に魅せられた源一。太平洋戦争、朝鮮戦争特需、水俣病の公害問題……昭和の動乱に翻弄された二人の青年の、数奇で壮絶な生き様を描く!
【目次】
第一章 赤い岩 ―昭和13年
第二章 水飲みたち ―昭和17年
第三章 不死身の鉱夫 ―昭和18年
第四章 冷たい山 ―昭和24年
第五章 ある母子 ―昭和26年
第六章 人間の血 ―昭和34年
第七章 湖底 ―昭和38年
第八章 飛ばない鳥 ―昭和39年
第九章 きらめく水のほとり ―昭和43年
Posted by ブクログ 2023年06月04日
水銀にまつわる村の少年の成長の話
芦弥の下の緩さは嫌い、妻も妾も子も誰1人幸せにならない
性描写も少なからずあったしきもい…
結局自分の事しか考えてなかった
それは集落という閉塞的な空間で育ったから仕方ないのかな
「また会えてよかった」と芦弥が忠樹に言った一言が刺さった!
読んでて色々思う事があ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年06月09日
昭和13年、北海道東部の山奥で、自然水銀の湧く巨大鉱山が発見された。
那須野寿一は、鉱山技師として調査に入った山奥で、ひとりの少年・榊アシヤと出会う。
その集落には、〈水飲み〉と呼ばれる水銀への耐性という特殊な体質を持つ者たちが住んでいた。
フレシラ鉱山に住む〈水飲み〉の一族と鉱業所で働く者たちの...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年05月24日
ガツンと重い作品でした。
面白かったです。
時は1959年から。
北海道のフレシラ鉱山で働く鉱夫たちの中に<水飲み>と呼ばれる、水銀に耐性を持つ血筋の者たちがいました。
その者たちは<水飲み>故に、水銀中毒を起こす心配がなく、フレシア鉱山で優遇されて働いていました。
その中の一人榊芦弥(さかきあ...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月15日
北海道の巨大な水銀鉱床。水銀に耐性をもつ「水のみ」と呼ばれる山中集落の人々。戦争、特需、水俣病、差別。昭和の動乱のなか、炭鉱の町で水銀と共に生きる人々の壮大な物語。
水のみ、というファンタジー要素がありながらも、史実になぞらえた設定とリアルな描写でのめり込まずにはいられなかった。アシヤが人として出来...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年01月23日
タイトルだけ見て、ついに岩井さんがファンタジーを書いたのかと狂喜したが、北海道に実在した水銀鉱山をモデルにした歴史大作だった。
昭和13年、北海道東部の町・辺気沼近くの山麓で、辰砂(硫化水銀の塊)が発見される。派遣された調査班は、山中にひっそりと暮らす部族と出会う。彼らは先天的に水銀に対する耐性を持...続きを読む
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