岩井圭也のレビュー一覧

  • 文身

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    文身だと刺青という意味にもなるが本作はそれとは少し違う。分身、とでも言うべきなのだろうがそれともまた違う。ではやはり文身なのか、と延々にループする。
    ロクでもない男たちの物語ではある。救いようがない。
    ただ、そのロクでもない人物たちから生み出されたものが面白いのだから仕方がない。
    本作の展開が見事だった。次第に虚構と現実が混ざり合ってその境界線が見えなくなってくるのだ。凶悪さとも違う、本当にどうしようもない人間たちの虚無的視点とも言えばいいのか。それに射抜かれるようだった。

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    2025年09月15日
  • いつも駅からだった

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    沿線に馴染みのある人が読めば没入感もひとしお。謎解きも難しすぎずあくまでも小説として楽しめる。まだまだ未登場の駅があるので是非とも続編をお願いしたい。小田急線でも。

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    2025年09月07日
  • 楽園の犬

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    太平洋戦争勃発間近の南洋の地を舞台にした物語。

    前半は、英語教師をしていた麻田健吾が、表向きは南洋庁のサイパン支庁で庶務課として勤務する一方で、日本海軍のスパイとして秘密裏に活動していく様子が描かれる。

    各章ごとに、健吾がスパイ活動をする中で直面した事件をミステリー仕立ての物語にしてある。民間人の健吾が、密命を受け、命をかけて活動するため緊張感があり、事件の真相を探っていくことに没頭して読み進めた。

    後半は、幾つかの事件を通して命の尊さに思いを巡らすなかで、徐々に近づく開戦を前に、個人の思考の自由が奪われていく様が描かれる。
    まさに戦争ムード一色。
    日本国軍の勝利を信じて疑わない、或いは

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    2025年08月29日
  • 最後の鑑定人

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    次作の「科捜研の砦」を先に読んでしまっていたので、ようやく読めました。
    さすが土門さん。
    ぶれない様子がとてもいいです。なんだかんだみんな信者になっていく。科学は嘘をつかないを信条に突き進んでいく様がかっこいいです。

    そして元妻!むしろそっちにびっくり!次作のエピソード0にあたる出会いを読んだからなおさら!

    鑑定人シリーズとしてどんどん続いて欲しいです。

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    2025年08月28日
  • 付き添うひと 子ども担当弁護士・朧太一

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    岩井圭也さんの作品 3冊目のこちら

    主人公朧太一が、弁護士として色んな事情を抱えた子どもたちを助ける物語

    朧自身も過去の自分と向き合いながら、
    子どもたちのために日々奮闘している姿に
    めちゃくちゃ感動しました

    子どもの弁護士をする人を付き添い人と呼ぶことを
    初めて知りました‪‪‪‪‪

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    2025年08月26日
  • パパたちの肖像

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    ネタバレ

    自分は乳幼児の母という立場なんですが、共感する!、耳が痛い!と交互に思いながら拝読しました。
    どんなに自分がしんどくても、「だって俺は親だから」と疲れや苛立ちを抑えて子供に対応する場面は共感したし、妻からなんでこんな簡単なことができないんだ、という表情をされて、夫が自分は子育てに向いてないわぁと落ち込む場面は、耳が痛かった・・
    当時わたしも似たようなことをしてました・すいません・・

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    2025年08月24日
  • 楽園の犬

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    プロローグ

    灼熱のアスファルトから立ち昇る蜃気楼は、
    自身の影をゆらゆらと揺らしている
    太陽からは容赦無く熱波が放射され、
    己からは汗が吹き出している 
    纏わりつく湿気も実に不快だ
    我が国はいつから亜熱帯気候になってしまったのか

    80余年前の彼の地、サイパンも
    昨今の日本のように灼熱だったに違いない


    本章
    『楽園の犬』★5 mariさんの本棚から
    主に第二次世界大戦前夜のスパイ小説で
    まことに稀有なサイパンが舞台だ!

    スパイにならざるおえなかった主人公、麻田
    その雇い主である海軍の堂本
    2人の人生が、大戦前後の動乱によって
    大きく変化していく様を克明に描いた
    感動のスパイ小説である

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    2025年08月24日
  • 汽水域

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    物語の中身ではなく、外側について。
    岩井さんの小説は、セリフと物語が、いかにもなセリフや物語としての書き言葉ではなく、本当に口から紡がれたかのような切り方、それも長い時も短い時もある。それが臨場感や焦燥感など、空気を作り出しているように思う。
    また、キャラクターが「立っていない」。だから、本当にいそうで、本当にそう考えそうで、「ふつうに考えた範囲では、ふつうそうなるよな」と思えて、「いやそうはならんやろ」とあまり思わない(一部作品にはあるが)。
    そうしたことが没入感をつくり出していると考えた。では人物に共感するか?というと、そういうことではない。ましてや今回の物語は共感してはいけない。そもそも

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    2025年08月22日
  • 楽園の犬

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    1940年、太平洋戦争勃発直前のサイパンの地に降り立った元女学校英語教師の麻田健吾。表向きは南洋庁サイパン支庁庶務係としての赴任だが、その実態は日本海軍のスパイという任務を帯びていた。

    島内を跋扈するあらゆる種類のスパイたち。海軍vs陸軍、アメリカ人vs島民、内地vs沖縄、あらゆる対立構造が生み出す緊張感。
    ごく普通の教師だった麻田が飲み込まれていく闇が深すぎる。それでも真っ当な感覚を最後まで持ち続けた彼の姿がどこまでも爽やかで印象的。

    日米開戦を回避するべく奔走した堂本海軍少佐と、思いを同じくする麻田の間にある信頼関係。戦争中、非国民の誹りを受けながら、なんとしても生き抜く努力をするこ

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    2025年08月22日
  • 楽園の犬

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    岩井圭也さん「楽園の犬」
    著者の作品は「汽水域」以来5作品目。
    80年前の終戦に合わせて結構前からこの「楽園の犬」を本年の8月の一冊にしようと決めていた。

    まず表紙。「鳳凰木」という樹木、全く知らなかったのだがサイパンでは「南洋桜」というらしい。
    現在もだが、日本人にとって戦中は特に「桜」とはある意味で生と死を象徴する樹木であり、満開に咲いて散っていくその儚さを表象しているようと思慕し偲んできた。
    この表紙の満開の真っ赤な桜に当時サイパンにいた日本人はきっと色んな想いを馳せたに違いない。
    祖国を想い、家族を想い…
    この桜には先人の御霊が宿っている様に感じられる。

    自分は20年位前に一度サイ

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    2025年08月17日
  • この夜が明ければ

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    ネタバレ



    面白かった。
    最後まで予想がつかなかったのと、登場人物達の壮絶な過去に同情したり、もし自分だったらどうするか一緒に苦悩した。
    自分以外の人間に支配される生活は辛く苦しいだろう。
    逃げたくなるのも当然だと思う。

    ラストは清々しく、私的には「よかったじゃん!」という感じだったけど、もしかしたら賛否両論あるのかもしれない。

    アルバイトメンバー達の幸せを祈っています!

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    2025年08月12日
  • 最後の鑑定人

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    ドラマが面白いので、原作も。
    うん、原作もとっても面白い。
    ドラマで扱う事件は、おおむね原作通りでうまく映像化してくれているし。
    土門の藤木直人、うまいなぁ。弁護士の迫田さん、元妻とのやりとりもいい。
    ただ、土門の過去に関わるあの事件の扱いがちょっと違ってるね。はっきり決着をつけるのがTV的ということか。

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    2025年08月01日
  • 楽園の犬

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    ネタバレ

    舞台は太平洋戦争も秒読みとされた時代のサイパン。生きるために海軍の犬(スパイ)として動くことになる主人公の麻田。日本では英語教師として働いていた彼は、アメリカの情勢にもある程度詳しく、日米は開戦してはいけないと考えている。

    喘息持ちで体が弱く、日本に残してきた妻と一人息子のために、なんとしても生きて祖国の地を踏むことだけを目的とし、そのために任務を全うしようとする麻田。

    言ってみれば戦時中は『生きることへの執着』は醜いとされた時代です。作戦の責任をとって自決することが賞賛され、捕虜となることは恥とされ、捕まるぐらいなら民間人でも崖から飛び降りることを率先して選ぶ、そんな世の流れです。

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    2025年08月01日
  • 文身

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    いやいやいや…ちょっと待って…
    こんな読後感、初めてかも。

    「夜更けより静かな場所」で、岩井圭也さんを知り、他の作品も読んでみたいと思い、こちらを手に取りました。また全然違う作風。

    読んでくうちに内容に飲み込まれていました。
    今も飲み込まれたままです。

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    2025年07月31日
  • 暗い引力

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    粒揃いの短篇6作品。真綿で首を絞められるが如く、頁を捲るごとに息苦しくなるが、読まずにはいられない。超リーダビリティ。人間の醜悪な業を明らかにし、闇へと誘う著者の筆力に終始圧倒された。

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    2025年07月28日
  • 楽園の犬

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    圧巻。途中まで、この短編ミステリーのような話が最後まで続くのだろうか?と読む手が止まりかけた自分に教えてあげたいです。

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    2025年07月14日
  • 完全なる白銀

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    2023年発表。北米大陸最高峰デナリ(マッキンリー)冬季登頂に挑んだ三人の女性の物語。登山が題材なのですが山岳小説というよりは、夢を追うということが実際にどのくらいの痛いのかということについて、静かに丁寧に書かれている小説なのだと思いました。栗城史多さんの『デスノート』を思い出したりしましたが、巻末の参考文献に出ていました。

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    2025年07月12日
  • 付き添うひと

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    すごくよかった。特に第4話と5話がよかった。涙が出ました。自分も辛い過去を持ちながら、子供たちの付き添い人として、根気よく温かく関わる姿が素敵でした。辛い過去は消せないし、人に言いたくない。でも、子供たちの明るい未来のためにさらけ出す勇気が素晴らしい。岩井圭也さんの本、また読みたい。

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    2025年07月10日
  • 最後の鑑定人

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    ネタバレ

    ①ドラマが本日からスタートするとのことでその前に読んでみたかった作品。
    結果、面白かったので、本日から始まるドラマも必ず視聴します!
    前日譚の「科捜研の砦」も読みたいと思った。

    ②「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」というセリフが印象的だった。
    科捜研の話は初めて読んだが、なかなか面白い。
    分析方法について分かりやすい説明もありとても読みやすかった。

    ③助手の高倉が出すハーブ水、どんな味なのか気になる。
    なので、1度味わってみたいなと思った。

    是非、オススメの作品です!

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    2025年07月09日
  • われは熊楠

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    自分は世界の一部である。世界の全てを知れば自分を知ることができる。なぜ知識の深淵を目指したのかを明かす南方熊楠の一代記。
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    知の巨人であり変人であり変態(褒め言葉)でもある南方熊楠は、一部の熱狂的な人々にとってはいろんな意味でヒーローであろう。伝え聞くその生き方や、南方曼荼羅に代表される著作は人を惹きつけてやまない。そんな熊楠を捉え直すのが本作。
    非常に丹念に熊楠という人物を掘り下げたのだと思うし、そのイメージは僕が想像する熊楠像とぴったり重なるので、とても読みやすく、人物描写にも共感できたのがよかった。最後に目指した学問をものにできたのか、家族の問題はど

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    2025年07月06日