岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ舞台は太平洋戦争も秒読みとされた時代のサイパン。生きるために海軍の犬(スパイ)として動くことになる主人公の麻田。日本では英語教師として働いていた彼は、アメリカの情勢にもある程度詳しく、日米は開戦してはいけないと考えている。
喘息持ちで体が弱く、日本に残してきた妻と一人息子のために、なんとしても生きて祖国の地を踏むことだけを目的とし、そのために任務を全うしようとする麻田。
言ってみれば戦時中は『生きることへの執着』は醜いとされた時代です。作戦の責任をとって自決することが賞賛され、捕虜となることは恥とされ、捕まるぐらいなら民間人でも崖から飛び降りることを率先して選ぶ、そんな世の流れです。
人 -
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汽水域とは、淡水と海水が混じり合う所
〝水中を漂うミズクラゲが、安田の目には人間と重なって見えた。
誰もが常に、善悪の汽水域を漂っている〟
うわぁ~
すごく良かった
良かったよぉ゚゚\(´O`/)°゜゚
岩井さんの作品の中でもかなり好きなやつ
無差別殺傷事件を引き起こした犯人は「死刑になりたい」と供述している。
その事件を追う記者・安田が主人公で、別れた妻との間に七歳の息子がいるのだが、まぁ本当に父親としてはダメダメだと思う。
家族にはまるで興味なくて、子供のことは全て妻任せ。
そんな父と息子の関係。
また、安田の子供時代における父親との関係。
そこに犯人の過去がリンクしてい -
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自分は世界の一部である。世界の全てを知れば自分を知ることができる。なぜ知識の深淵を目指したのかを明かす南方熊楠の一代記。
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知の巨人であり変人であり変態(褒め言葉)でもある南方熊楠は、一部の熱狂的な人々にとってはいろんな意味でヒーローであろう。伝え聞くその生き方や、南方曼荼羅に代表される著作は人を惹きつけてやまない。そんな熊楠を捉え直すのが本作。
非常に丹念に熊楠という人物を掘り下げたのだと思うし、そのイメージは僕が想像する熊楠像とぴったり重なるので、とても読みやすく、人物描写にも共感できたのがよかった。最後に目指した学問をものにできたのか、家族の問題はど -
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レビューを拝読し、読みたくなった作品。
ちょうどいいタイミングで文庫化したので手に取った。
1940年、横浜で英語教師として勤務していた麻田健吾は友人の勧めで、太平洋戦争直前のサイパンに赴任することに。表向きは南洋庁サイパン支庁庶務係、裏では日本海軍のスパイという密命を帯びていた。
他国のスパイを摘発するスパイとなった麻田が、様々な”謎”を追って情報収集する様にワクワクしたり、その過程で窮地に陥り、手に汗握るほどハラハラしたりと楽しめた。
サイパンの風景描写にも心が踊った。
私も椰子の水を飲んでみたいし、鳳凰木も見てみたい。
終盤、物語が急展開を見せ、あるテーマが浮かび上がってく -
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ネタバレ第二次世界大戦開戦前のサイパンか舞台。
世の中の大きな流れの中で、自分の価値観を貫くことができるか。何が正しいか、自分で決めることができるだろうか。
問題提起される作品でした。
横浜で英語教師をしていた麻田健吾。持病の喘息のため東大卒でありながら職に苦労した彼は、喘息の悪化で教職さえもできなくなる。これでは家族を養えない、と彼はサイパン南洋庁の仕事を引き受ける。
南洋庁に赴任した彼の真の仕事は、海軍、堂本頼三少佐のもとでのスパイ活動。
いくら頭がいいとはいえ、普通の教師だった人にスパイなんてできるの?という心配をよそに、麻田は苦労しながらも見事にスパイの仕事を遂行していきます。
赴任したての麻 -
Posted by ブクログ
面白かった。戦時中のスパイものだけれど、体の弱いインテリがスパイっていうのも珍しく楽しめた。
最近、読みたいものを読む読書を控えていた。生活や人生における焦りで、何か身になる物を読まなければと、読みたい本ではなく読んだ方がいいだろう本を続けて読んでいた。社会問題、地政学、教育の本など…すると、気分はより沈み、どんどん闇が深くなってしまっていた。
久しぶりに読みたい物を読もうと手に取ったこの本。本の世界に入り込めて、現実逃避にもなり、純粋に楽しめた。
金原ひとみさんがある番組で言っていた。「どこにも居場所がなかったけれど、本の中にだけは居場所がある気がした」と。まさにそんな感覚だった。
この本の