岩井圭也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
- 嘘も百回言えば、真実になる。
「厄介なのは、本人にも噓をついている自覚がない場合だ。噓も百回言えば、真実になるんだよ。少なくとも当人にとってはな。」
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テレビ局の下請け制作会社で主に報道系を担当する三田紗矢子。入社七年目にして 人気ドキュメンタリー番組『十一時の肖像』に自分の企画書が通る。
三田が追うのは 母親が乳がんを患った時に見つけた、気鋭のがん研究者・嘉山宗弘教授。人間の老化を止め、がんの進行も抑制するとされる「不老因子」を発見し 脚光を浴びる嘉山教授の存在を広く知ってもらいたいと意気込む三田。
しかし、密着取材を続けるうちに 教授の言葉に違和感を覚え始める。
やがて、三田は「不老因子」の研究不正という噂にたどりつき…。
不正が事実であれば 番組は放送できない。はじめは嘉山教授の疑惑を払拭しようと動き始めた三田だったが、 不正の信憑性が増すにつれ 三田の作る「作品」は姿を変えていく。
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岩井さんもインタビューで仰られていたように、「不老因子」は「STAP細胞はあります!」の事件が根底にあるそうです。
誰が嘘をついている?
それともみな真実を語っている?
やばい!面白い!
研究の不正を暴くストーリーのようにみえて
次第に 三田の様子がおかしいことが気になり始めます…。
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「わたしは嘉山教授の不正の証拠を必ず見つける。だって、それが使命なのだから。」
「そこに至るルートが多少ねじ曲がっていても、ゴールさえ正しければ、悪を絶すことができる。」
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はぁぁ〜ずっと心臓がヒリヒリ ビリビリする読書でした。
人が誤った方向に進んでいく様子を読んでいくってさ、ヒリヒリよね。 そしてバクバクでもあるよね。その過程が すごく丁寧に描かれていてね。流石です! どんどん読み進めちゃいます。
で、タイトルの『風車と巨人』とは
セルバンテスの古典名作『ドン・キホーテ』の有名な一節に由来しています。
自分を正義の騎士だと思い込み、風車を巨人と勘違いして突撃していくドン・キホーテの姿は嘉山なのか、それとも…
(Google AIより)
あとね やっぱりね 人が判断を誤る時って その時の精神状態だな〜って改めて思った!
過度なプレッシャーと睡眠不足。そう!睡眠不足!これ本当そう。初めての出産で全然眠れなくなっちゃった時に本気で我が子をどこかに預けようって旦那さんに相談してたこと思い出した。今では不可解な考え! ちゃんと食べてちゃんと寝ろ!!
ってことを客観的に見てくれていた吉沢(突然の)。良い奴だったな。
そしてそして、肝心のラストですが
めっちゃ予想の斜め上!!
これを面白いと捉えるかは あなた次第!!(あたりまえ)
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Posted by ブクログ
数学は美しい。集中してると楽しい。
准教授就任の挨拶を兼ねて、恩師の小沼に熊沢は会いに行く。6年前に亡くなった三ツ矢の研究ノートが出てきたのだ。ノートにはコラッツ予想の証明が書いてある、と書いてあるが判別不能だ。
三ツ矢は特別推薦生として大学の理学部数学科に来た。熊沢もそうだ。もう一人特別推薦生に佐那がいた。三ツ矢は入学早々研究室に通い詰めるがみんな、バイトだとか部活動でやってこないが、そのうち研究室に集まり始める。
2ヶ月経ったがノートは全然解読できていない。三ツ矢の造語が至る所に転がっていて、調べてもわからないことが多い。
三ツ矢は大学2年で論文2本。飛び級卒業と学長賞、大学院入学を持ちかけられる。みなが嫉妬する中、三ツ矢はただ戸惑う。
小沼研究室夏の合宿にでかける。熊沢はここで小沼とは関係ない弦理論を発表する。
佐那から連絡があり、三ツ矢のノートを見せて欲しいという。実はネットに公開したのだ。
小沼が国立数理科学研究所に去って、新任の平賀が来る。ひらめき型の小沼や三ツ矢と違って、平賀はコツコツ正確さを積み重ねるタイプでまったくあわない。
三ツ矢は授業もろくに行わない。アルコール依存症になっている。 -
Posted by ブクログ
フリーライターのなぜ書くかみたいな作品。
読み応えあった。
安田は息子の海斗を連れて釣りに来ていた。4年前に離婚した妻の子だ。
安田はフリーライターだ。3人を殺して4人を負傷させた深瀬礼司容疑者の事件を調べることになった。事件は亀戸駅の歩行者天国で起こったようだ。犯人は取り押さえられて、死刑になりたいと言っていたようだ。
車の中に海斗を残して行ったのだが、車に戻るといなかった。血の気が引いた。コンビニにいるというので迎えに行く。
大阪まで来て、約束していた元同級生に取材を断られるが、SNSで一緒に死なないかと言ってきた人間が犯人だったというアリサに会って取材できた。遠足のしおりみたいな自殺のタイムスケジュールを送ってきたので、つい会ってみる気になったという。だが話しているうちに勢いがなくなった。
シリーズで任せたいと言われて安田は喜ぶ。犯人は高校を中退していて、父のギャンブルによる借金と出奔が原因で働かなきゃいけないという。その頃淀川には通り魔がよく出ていた。
元恋人だという佐田清夏に連絡を取る。高校中退後の足取りがつかめて、工場で一緒に働いていた人と連絡をとる。 -
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表紙から、ちょっとダークかな?と思われる部分を感じていたが、全く!!
明日への希望!が、岩井さんの暖かい言葉と表現で伝わっていく!
最後、一瞬ファンタジーがはいるが、それでも、
あした への肖像(自分自身)と向き合える、向き合えた主人公によかった と思えた。
最初から最後まで主人公が軸となって物語が進むので読みやすい!
美大に通う男子学生が主人公で、彼の作品はすべて
自画像である、
たんに書けば良いのではない、自分を知る
そんな、彼に教授からバイトの話が入る。学内で亡くなられた女性生徒の保護者より彼女の自画像をかいてほしいとのこと。
彼は、彼女を知るために、色んな人と出会い、いろんな話をする。感情があらわになったり、激しくなったり、怒りが声に出たりと、人間味が増え出すような、血が通い出してきたような、、そんな姿さえ感じ取れる。
彼が、最後まで、かけた時、私自身も喜んだ。そして、彼の作品をこの目でみたいと思った。
機会があれば、芸大の子だちの有志の展覧会があれば見に行きたい!魂を感じたい!!
岩井圭也さんの小説は心が喜ぶ。 -
Posted by ブクログ
不老因子の発見者・嘉山宗弘のドキュメンタリー制作をする三田紗矢子が彼の研究不正について追いかける話
自分だけが知っている真実が誰にも信じてもらえなかったとして
それは妄想と何が違うんだろう
主人公が手に取ったのは振るうほど嘘つきになる諸刃の剣
私たちは普段
画面の向こうで起きる炎上や告発
悪意や暴走を
誰が正しくて誰が嘘をついているのか
分かりやすい物語にしてエンタメとして消費している
その向こう側に本人にしか見えていない真実があるかもしれないのに
真実のためについた嘘は真実そのものまで嘘にしてしまうんだろうか
「あれは風車だ」と笑う人間の目には見えない巨人が
本当はそこにいるのかもしれないのに
多分この感想はドン・キホーテ側に寄りすぎている -
Posted by ブクログ
ネタバレすばらしい作品だった。天才が(特に数学のような、理解者が少なく、現実との接点が持ちにくい世界の)生きていく上でのつながりを失って、孤独になっていくということは、よくある物語の一つではあるのだけれど、彼らが感じている世界像を、数学を特に知らない私たちにも、説得力を持って描いてやろうという作者の野心には大変恐れ入ったし、よく成功していると思う。
トップダウン的な感覚派の天才と、小さな理屈を積み重ねるボトムアップの秀才を対比させるというのも、よくある構図なのだろうけれど、感覚派が自滅するというのではなく、ボトムアップ派に追いつめられて梯子をはずされるけれど、再び救い上げられる・・・という流れはなかなか見事な構造だった。
岩井さんの、全く異なる「大きな政治闘争にまきこまれた、一大学生が、少ない手持ちの武器で何とか戦う」という話(『水よ踊れ』)を読んだばかりで、デビュー作でこんなものを書いていたんだと圧倒されると同時に、「弱いものが大きなものに挑み、一度大きく負けながら、そこから挽回する」という共通点を感じた。
恋愛が主軸にならず、「人間の営み」の一つというような位置づけになっているのも、全然違う話なのに、似たような印象を与える。
まだ二作しか読んでいないから、この共通点は単なる偶然なのかもしれない。他の作品も今から楽しみ。一つ一つ順番に読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
子育て中のパパさんに、ぜひオススメしたい。7人の作家さんによる「現代人としての」父の姿。不器用ながらも懸命に子育てしているパパたちが勢ぞろいした短編集。どの話もどうってことのない日常ではあるんだけど、本としてまとまってくると「みなさん色々抱えてますよね…」と言いたくなる。めちゃくちゃ秀逸な1冊。
どの話にも共感しかない…と思って読んだ。特に子どもが小さい、という話は苦しいくらいに我が家の話。7つのうち6つが共働き夫婦の話なのも、私にとっては共感につながった。
岩井圭也『連絡帳の父』と、河邉徹『髪を結ぶ』は泣いた。
7人の作家さんのうち、6人が1980年代生まれなのだそうだ。私と同世代だ。全員パパさんだというから、「父になったからこそ書けました」という作品なんだな、としみじみ思う。
今の世の中、パパさんの役割ってめっちゃ多いんじゃないかと思う。仕事に加えて子育ても男女平等。男性の家事時間はまだまだ女性に比べて少ない、というけど、やってる人はやってる。きっと。
作家さんは、基本的に会社員よりも時間の制約が少なそうなイメージがある。家事や育児は融通がきくほうがやる、というと、それなりに多くの時間を担っているんじゃないかと想像する。
それでいて、仕事の成果も求められる。
キッツー。
これ、みんなどうしてるの?と聞きたい。
我が家も、夫は私と同等、いやそれ以上に家事と育児に多くの時間を割いている。私は融通がきかない昭和的な職場で働いていて、夫はかなりフレキシブルな職場なので、ついついお願いしてしまう。
「なんでオレばっかり!」と怒られてしまう。言いたい気持ちはよくわかる。
「パパ友になれそうな人がいっぱい出てくるよ」と言って、夫にオススメした。
「装画のクロッキー画が素敵だから、それだけパラパラ見るだけでも」と言っておいたら、その装画を見て、気になった話だけ読んだ、と言う。
そう。装画が素敵なのよ。
読み終わってから見返すと、ストーリーの中で印象的な場面が描かれていて「あー、なるほど」と思う。
夫は全部を読んでいないとは言うものの、外山薫の『ダディトラック』を読んでかなり共感した様子だった。
この本は、雑誌VERY2026.2月号『VERY的誌上読書会』のコーナーで、カツセマサヒコという作家のオススメに載っていた。
ご自身も、7つのストーリーの最後に入っている。この話だけが専業主婦の話だ。共働きだったが「もう無理」と、妻自身が専業主婦になることを選んだ。共働きであることが珍しくもなんともない現代において、「あえての専業主婦」という視点。
[もうさ、みんな大変って話をしようよ、こうなったら。飲もうぜ、飲もう。それしかないだろうが、幹事!]
と言い放つ夫の友人に、「カンパーイ!」とジョッキを合わせたくなった。
世の中にはいろんな家庭がある。
それぞれの家庭に、それぞれの事情がある。「ウチはこうやってます」という他のご家庭が参考にできる場合もあるけど、私の家庭で使えるワザとは限らない。
私も夫も、ひとり暮らしをそれなりの期間やってから結婚した。得意というほどではないけど、やっていて苦にならない家事はある。お互いに「これなら自分がやってもいい」という家事をそれぞれがこなしている。
片付けは、2人とも苦手だ。だからいつまでも部屋はぐちゃぐちゃ…。
育児も、2人とも苦手。なにをどう扱ったらいいか、まるでわからない。
そっか。
だから、この本に出てくる不器用なパパたちに共感するんだな。
子どもがいなかったら良かったのに、と時々夫が言う。
そうかなぁ?そうでもなくない?と、最近になって私は思う。
[たしかに大変だけれど、ラクであることと幸せであることは意味が違う]
『連絡帳の父』の中で、岩井圭也がそう書いている。そのとおりだと思う。
[もし親としての適正検査があるのなら、きっと面接を受ける前に落とされる。だけど向いてないと知ったからといって、辞めることのできないのが子育てだ]
『髪を結ぶ』の中で、河邉徹がそう書いている。これも、そのとおりだと思う。
ひと月ほど前に読み終わって、夫も読んだら感想を書こうと思って塩漬けにしていた。
共感できる本があって、共感してくれる人がいて。
みんなそれぞれの生活があって、家族の数だけ物語があって。
なんか、それでいいんだよな、と思う。
いろんな家庭の事情があって当たり前。
社会がもっとフレキシブルになったらいいのにな、と思う。生き方も、考え方も。