岩井圭也のレビュー一覧
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博物学者、南方熊楠の一代記。アメリカに留学後、イギリスの大英博物館で勤務。だが癇癪を起こして他人に殴りかかり、出禁になり帰国。
ずっと弟の常楠の送金に頼り切った生活をし、研究機関などにも勤めず、標本を採取し、記録し、在野で研究を積み重ねる。Wikipediaによれば「生涯で『ネイチャー』誌に51本の論文が掲載されており、これは現在に至るまで単著での掲載本数の歴代最高記録となっている。」とのことで、これはすごい。
昭和天皇も南方と同じく粘菌の研究をなさっていたため、和歌山に御幸が会った際に進講をする。
本書の南方熊楠は頑固でヒトの言うことを聞かない。読んでいてイライラしてくるくらいである。息 -
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北米最高峰、厳冬期のデナリ。
読み終えた後、思わず、ふぅと息を吐く。自分も極限のアタックを体験したような錯覚を感じてしまうくらい、登攀シーンの臨場感と息遣いに圧倒された。
物語は、主人公の緑里とシーラが冬のデナリ登頂に挑む登頂のシーンと、そこに至るまでの過去が交互に展開されている。
二人が何を背負い、どんな覚悟でこの白銀に挑んでいるのか。そのプロセスが丁寧に描かれているので、一歩一歩の重みが伝わってくる。
二人の共通の友人であるリタの存在が、ドラマに奥行きを与えている。二人がデナリにアタックする前に登頂し、下山中に消息不明となったリタは、果たして冬の単独登頂で頂上まで辿りついたのか、という -
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ネタバレ最後の展開が非常に衝撃的で、主人公アーロンの抱える闇の深さというものを突きつけられる形になりました。
なんで岩井圭也さんの小説に惹かれるんだろうなーって考えながら読んでたんですけど、この方の『信頼』の描き方が好きなんだというところに落ち着きました。
立場も考え方もまるっきり異なるアーロンとマリクですが、捜査の一貫とは言え嫌々ながらも協力するうちに互いに抱える育ちの背景に共通のものを感じはじめます。
もちろん互いの願望を果たすための、歪んだ『信頼』だったかもしれませんが、相手が異なれば決して芽生えることのなかった信頼関係があったように思います。
マリクは命を、そしてアーロンは夢に描いてい -
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土門さんと年越し♪
2年連続 ଘ(੭*ˊᵕˋ)੭*
シリーズ三作目
土門誠は〝最後の鑑定人〟と呼ばれる民間の科学鑑定人で、能力は高いが愛想は一切なく、気難しい孤高の鑑定人といった雰囲気。
でも今回は〝モンちゃん〟と呼ばせてもらいたい
今作品では学生時代の友人が次々に登場し、土門さんってこんなに親しい友人がいたんだ!
と思わず驚いてしまった。
その友人の一人で理学部教授の猪狩愛が「モンちゃん♡」と呼んでいる。
えっ?そんな可愛いキャラだっけ?
と思うけど、妙にしっくりくるんだな。
四編からなる連作短編集で、途中までは正直ちょっと物足りないなぁ、と思っていた。
でもでも!
最後の【灰色 -
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素晴らしい小説でした。戦争直前のサイパンでの諜報活動に巻き込まれた主人公。何とか生き延びて欲しいとの願いも、ただのエンディングではない余韻ある素晴らしい終章で潰えました。戦争をさせない、そう思っていた個人もいたのでしょう。開戦後も早く戦争を終わらせようと思っていた人は間違いなくいたはずです。彼等の言葉を封じたのは近衛文麿や東条英機ではなくその辺にいる普通の国民たちでした。あんぱんののぶちゃんもそのひとりです。堂本少佐や麻田さんがいない今のこの国は、間違いなく当時と同じ様に同じ道を歩み始めていると思います。
ひとつだけ、タイトルはもう少し考えられなかったかなぁ。