岩井圭也のレビュー一覧

  • 付き添うひと
    少年犯罪における弁護士というのは「付添人」と言うんですね。知らなかった。
    少年少女であっても犯罪は犯罪と思っているのですが、本作の「オボロさん」のような人に関わってもらえたら、更生出来るのかもしれないなあと思いました。僕なら絶対無理な職業ですね。
  • 横浜ネイバーズ
     ハルキ文庫は書店買取らしく、小さなお店では、品揃え良く在庫するのは難しいとか。全く売れず死蔵されてしまうかもしれない、全くの賭けで書店主の嗅覚の見せ所だ。そんな厄介なハルキ文庫でも当たりはあるのだ。 

     大当たり!3作出てるネイバーズ。兎に角絶対続けて読みたくなる。急がないと小さなお店で品切れに...続きを読む
  • 付き添うひと
    「付添人」という立場の人を初めて知りました。

    最後、オボロが過去を受け止めて前に進むような形で終わったのがジーンと来ました。
    また、これまで出てきた子どもたちや親が少しずつ自分の人生を歩み始めたこともわかり、過程も含めて一つずつ取り上げれば、これはこれで長編小説になりそう。
  • 永遠についての証明
    「数学することの喜び、興奮」をあまり感じたことがないからなのか、「自然の根底にある数学的真理とのつながり」という大きなテーマ「真理」が最後まで具体的にイメージ出来ず残念。「証拠もなく疑念を抱いている相手には弁解のしようがない」「問題を解くことに挫折はない」「数覚」に恵まれていながら破滅していくのは、...続きを読む
  • 暗い引力
    面白かったです。
    全体的に暗い雰囲気のお話が多いですが、イヤミス系が好きな方とかはハマるかなと思う。

    意思を持たない男の話
    認知症のふりをしていたら認知症になってしまった人
    成り上がりたい学芸員
    夫をブラック企業に殺された妻の復讐

    バリエーション豊富で良きでした。
  • 暗い引力

    読みやすかったが

    どの話も、個人的にモヤッと終わるものが多かった印象。
  • 完全なる白銀
    まずページをめくって驚いた。紙が真っ白!
    今までの本はちょっと黄ばんでた?という位、完全なる白銀ならぬ、完全なる白!そこから気に入った。

    高山病、凍傷、氷の絶壁、クレバスの恐怖。
    何故に人はそこまでして登頂を目指すのだろうか。登山の話だからゴールは予想できたけれど、そこまでのストーリー展開は先が気...続きを読む
  • 暗い引力
    あなたも引き寄せられる… 人間の欲と醜さを、皮肉たっぷりに描いたミステリー短編集 #暗い引力

    ■きっと読みたくなるレビュー
    丁寧なプロットで綴られるミステリー短編集。どんでん返しというより、皮肉のスパイスが効いた良質イヤミスですね。

    本書のタイトルどおり、人間のダークな部分をしっかり描写されてい...続きを読む
  • 楽園の犬
    太平洋戦争開戦直前×日本統治下のサイパン×謎解き短編連作という今までにない組み合わせでした。
    サイパンでの人々の様子や心情、生活風景がとても具体的で、たくさんの資料を元に書かれているのがよく分かり、勉強にもなりました。
    軽めに書かれた1作目からどんどん内容は濃く、重くなって行きます。そのグラデーショ...続きを読む
  • 文身
    面白かった。2度のどんでん返しより、父の存在意義を見出せなかった娘が、最後父と同じ生き方を選択する、それも同じ理由である所が血は争えないというか、そういった親子の絆の描き方もあるのかと感心した。あと庸一の娘を不要と位置付けて小説では描いてこなかった賢次が、兄が亡くなった後最後の文士に明日美を選ぶこと...続きを読む
  • 暗い引力
    「海の子」
    「僕はエスパーじゃない」
    「捏造カンパニー」
    「極楽」
    「蟻の牙」
    「堕ちる」
    6話収録の短編集。

    それぞれ独立した作品だが、全編に共通して不穏な気配が漂っている。

    人は誰でも嘘をつく。
    ひとつの嘘が新たな嘘を呼び、はずみを付けながらどんどん悪い方へと転がりだす。
    まさに暗い引力に導...続きを読む
  • 暗い引力
    仄暗いお話と聞いていたけど覚悟していたほど胸糞悪く…はなかったかも。世にも奇妙な物語のような、一癖ある短編集

    ネタバレ感想です
    海の子
    ・養子の息子が実は愛人に産ませた実の子でそれを知った息子に復讐されるお話。やや胸糞。

    僕はエスパーじゃない
    ・自分の意のままに操れる優柔不断な男性と結婚したつも...続きを読む
  • 永遠についての証明
    瞭司にとって、小沼は初めて瞭司と数学の世界を共有してくれた人で、孤独から連れ出してくれた人。そこからクマと佐那の出会って、瞭司の世界はその研究室で完結し初めて満たされていた。

    多くの人が、それまでの人生で別れと出会いを繰り返し経験してきたとしても、誰とも理解しあえなかった瞭司が生まれて初めて世界を...続きを読む
  • 楽園の犬
    前回の読書会でお借りした本その1。
    岩井圭也さん作品は初めて読んだ。

    第二次世界大戦直前のサイパンが舞台で、横浜で英語教師をしていた麻田健吾が、
    海軍少佐堂本頼三のスパイとして活躍する話…、
    かと思いきや、
    戦争が勃発してからの展開に、物語への興味自体もそうだが、読んでいる私の感情があっちへこっち...続きを読む
  • 楽園の犬
    世の中が戦争に突き進もうとするとき、人はどこまで自分でいられるだろうか。

    大きな時代のうねりの中で、個々は非力で取るに足らない存在のようになってしまう。
    死んで償う事が正解のように死が美化されてしまう時代の中で、「死ぬのは嫌です」そう言い切れ、自分自身を貫く事がどれほどのことなのか。

    戦争と死に...続きを読む
  • 凪の海 横浜ネイバーズ(3)
    「山下町の名探偵」が活躍する。3冊目。調子良くなってきた。多彩なシチュエーション設定がなかなかいい。
  • 完全なる白銀
    読書YouTuberがおすすめしてたので。
    山頂で消息を絶った友人の疑惑を晴らすために、主人公と友人の妹でマッキンリーに挑む。今はデナリと言うのね。自分の小さい頃は植村直己のこと書いた本でマッキンリーを知ったくらいだったが、山の名前も時代で変わっていくのか。
    過去と現在を交えた形で、少しずつ山頂に近...続きを読む
  • 付き添うひと
    子どもだけでなく、親や、学校、社会とも関わっていく。とても難しく大変な仕事だと思う。読めて、知れてよかった。
  • 楽園の犬
    岩井圭也さんの新刊ということで読み始めた。第二次世界大戦開戦前後、サイパンでの諜報活動を行った麻田健吾のお話。歴史物や戦争小説は苦手であるが、岩井圭也さんの小説に登場する主人公の強さや信念のようなものにいつも惹かれる。この小説も麻田健吾の家族に対する深い愛情や生きることへの執着、命の尊さが描かれてい...続きを読む
  • 楽園の犬
    「みづから死を選ぶこと程愚かしいことはない。美しく見えても死は死だ。命を絶つな」
    先の戦争でそんなふうに思った人はどれほどいたのだろう。この物語は意図せずサイパンで防諜としてのスパイ(犬)となってしまった人の物語だ。