岩井圭也のレビュー一覧

  • われは熊楠

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    南方熊楠についてまるで知らずに読んだ。
    天才的な能力。自由すぎる行動。脳の病気に悩まされていたけど、常人にはないひらめきはある意味彼の武器とも言える。
    周りの人たちも相当なもの。
    家族に反対されながらも長年金銭面で支えた弟。妻と娘の献身もすごい。

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    2025年05月06日
  • 楽園の犬

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    戦前のサイパンを舞台にした防諜系スパイもの。いわゆるスパイものとは雰囲気が違って、普通な感じのエリートがっていうのが面白い。岩井圭也、こういうのも書くんだ。それにしてもサイパン、気になる……。

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    2025年04月29日
  • われは熊楠

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    audible 。南方熊楠の生涯を描いた大作である。とにかく長い。
    一つひとつのできごとの記述が微に入り細に入る。心理描写も含めて作者の並々ならない熱意を感じる。この人は熊楠の熱さを身に引き受けて自らも熱く熱くなり、正座でもして書いたように思えた。

    先日読んだ「ボタニカ」の牧野富太郎もそうだが、昔の人はすごい。家族や肩書きまで振り捨てて自らの研究に邁進するのは、今どき考えられないのではなかろうか。
    その熱をを書き表すのは作家にも楽しいのだろう。

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    2025年04月29日
  • 文身

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    ネタバレ

    『文身』という言葉を初めて知りました。
    刺青のことだそうですね。

    虚構が現実になる、というよりも、自分の手で現実にしてしまう。という表現の方が近いように、兄の人生は優秀である弟の手中にある。

    しかし、それすらも兄自身が望んだことだとしたら、本当に虚構を生きていたのは弟の方だったのかもしれません。

    終盤は読者である私も『どちらが虚構でどちらが現実なの?』といった具合に境目がわからなくなってしまいました。これも作者の狙い通りなんだろうな。

    わたしたちの身の回りにもきっと、現実だと思ってた中に虚構が含まれているんだろうと思います。気づかないまま一生を終えることもあるでしょうけど。

    おもしろ

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    2025年04月27日
  • この夜が明ければ

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    ネタバレ

    岩井圭也さんを読むのはこれで二冊目。
    北海道東端にある港町で、マスを捌く季節バイトに集った7人。
    ある日、そのうちの1人が崖から落ちて無くなっているのを発見するが、なんと6人中4人が警察に通報するのに反対するという展開に。
    正義感の強い青年の「シュウ」は、人が死んでいるのであれば必ず通報するべきだと主張するが…
    「騙された末の不法滞在」「決して自分を認めない毒親からの脱出」「家族に介護殺人という濡れ衣を着せられ逃走」「離婚を認めないモラハラDV夫からの呪縛」等、警察に通報できない事情を4人はそれぞれかかえています。
    4人が通報を反対し、自身の問題から逃げる事が正解ではないかもしれません。
    しか

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    2025年04月26日
  • 中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ(6)

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    「横浜ネイバーズ」シリーズの第1シーズン完結巻。
    ここまで語られてきたエピソードがすべて伏線になっているのがほんとにすごい。
    6巻まで一気読みするのをおススメしたい。

    1巻からずっと続いていたロンの両親に関わる事件についての顛末。
    終盤で母親に対する気の持ちようが変わっていく様に、ロンの成長を感じて「大人になるってこういうことなんだ」って思った。子どもは親が育てるものではなく、環境の見守りの中で育つものなんだろうな。

    作中で凪が闇バイトに応募するのはお金や人とのつながりや立ち直る気力のない弱い人で、そういう弱い人を叱責するような真似はできないって言ってて、この感覚はすごく強くて優しいなって

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    2025年04月22日
  • ディテクティブ・ハイ 横浜ネイバーズ(5)

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    ネタバレ

    横浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」のシリーズ続編。

    そもそもこのシリーズを知ったのは欽ちゃんが表紙のこの本をSNSで見て「おもしろそうだな」って思ったのがきっかけで、その時はシリーズ1冊目から5冊大人買いして、しばらく空き時間をすべてこの物語を読むことに費やしていたぐらいドはまりしてた。

    物語もどうやら終盤らしく、ここまで解決しなかった話が核心に近づいてきているので「はやく続きを…」となっている。

    このシリーズはホントに人に薦めたいんだけど、全部出揃ってから薦めた方が親切だろうなって思う。

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    2025年04月20日
  • 人生賭博 横浜ネイバーズ(4)

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    ネタバレ

    横浜・中華街を舞台にして「横浜ネイバーズ」のシリーズ続編。

    今回はロンの幼馴染マツの回。

    シリーズも4作目で、登場人物たちがもはや自分にとっても「ネイバーズ」で、「ロンだったらこういうだろうな」とか「マツはこういうところがマツだよな」とか思えてしまう。

    実在する地名を使っているのがとても物語のイメージを鮮明にしていて、人物もモデルになってる人がいるんじゃないかって本気で思えるほどのキャラクターの描き方が秀逸。

    間髪入れずに次を読み続けたくなる。

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    2025年04月20日
  • 凪の海 横浜ネイバーズ(3)

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    ネタバレ

    横浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」のシリーズ続編。

    今回はロンの友人凪の物語。

    舞台になった川崎の臨海部はわたしにとっても特に思い出深い場所。実際の地名を使ってくれているので、情景が頭の中に浮かぶし、なんならバスの車窓も臨港バスのちょっとさみしい空気も感じられて、物語に入り込めた。

    何をもって普通というかはわからないけど、人と違う思考や嗜好を胸を張って言える人は少ないと思う。それが思春期の多感な年ごろならなおさらで、そのあたりの感情を丁寧に描写しているところがとてもよかった。

    岩井さんの書く文章は読み手を傷つけない優しさがあるのがいい。

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    2025年04月20日
  • 飛べない雛 横浜ネイバーズ(2)

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    ネタバレ

    横浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」の続編。
    今回はロンの幼馴染妃奈子が家から出られなくなった顛末の章がメイン。

    SNSの怖いところそれがなかった時代の噂話というものは「ひとのうわさもな浜・中華街を舞台にした「横浜ネイバーズ」の続編。
    今回はロンの幼馴染妃奈子が家から出られなくなった顛末の章がメイン。

    噂話というものは「人の噂も七十五日」という感じで口の端に上ったとしても身の回りだけでそのうち忘れられていくものだったけど、SNSが一般的になったことでそれが、より広い世界に発信されるようになり、しかもその記録はずっと消えくなってしまった。

    そのあたりの残酷さを淡々と描きながらも、登場

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    2025年04月20日
  • 付き添うひと 子ども担当弁護士・朧太一

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    子ども担当弁護士、コタン。
    成人には弁護士が付くが、未成年には...?
    未成年の担当弁護士、通称コタンは、あらゆる背景を持つ子供達と向き合い、荒れた子供達のその後の人生が良くなるよう伴走していく。

    過去に学び、これからをどう生きるかを考えさせる役割を担う。成果や結果を求められる社会において、地道に人と向き合うことが価値とされる仕事。AIにはできない仕事だと思った。

    適切な理解者、そしてサポートがあれば、更生はできる。そう思わせてくれた一冊。

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    2025年04月18日
  • われは熊楠

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    「我は、この世界を知り尽くす」
    1867年生まれ、型破りの研究者である南方熊楠(みなかた・くまぐす)という実在の人物を描いた小説。

    読んでいる途中でも熊楠への好奇心スイッチが入りまくるので、ついググって調べたくなってしまう。

    例えば、熊楠は中学時代の後輩イケメンの繁太郎と、【露は二人の肌を隈無く湿らせ、汗や唾液と入り混じった…】と、何やらあやしげな夢を見る。
    「え!?そうなの!?」と調べると、熊楠は〈男色〉の文献研究を熱心に行ったことでも知られていたという。
    熊楠は男色の一体どんな研究を…とまた調べたくなり、早く続きが読みたいのに横道もすごくて、なかなか作品に戻れない(^_^;)

    今度は

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    2025年04月14日
  • 横浜ネイバーズ

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    ネタバレ

    地元横浜が舞台の小説ということでなんとなく読み始めたこのシリーズなんだけど、文字なのに情景がはっきりイメージできて、読んでいてすごく気持ちがいい。

    とくに3番目の「ベアードマンの亡霊」は描写も秀逸ながらも緊迫感や息遣いさえも感じられて、可能な限り他の雑事を後回しして一気に読み耽ってしまった。

    登場人物のキャラもしっかりたっていて、登場人物が多いわりにごっちゃにならずストレスなく読み進められる。

    誰が読んでも面白い本だと思う。
    著者の岩井さんは私の最近の一押し作家さんです。

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    2025年04月14日
  • 楽園の犬

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    太平洋戦争勃発直前の南洋サイパンが舞台。
    自分の苦手な戦争やスパイがテーマなのに今回も一気読みだった。

    スパイといっても敵国の情報を取得するスパイではなくて、スパイを見つけるスパイ。
    そこにミステリーと人間ドラマが入ってくるので、戦争ものでもエンタメ性があってとても読みやすい。

    私のように決まったジャンルしか読めない人間にとっては、ジャンルの垣根を壊して読みやすくしてくれる岩井さんの作品は本当にありがたい。

    スパイを見つけるスパイとして必死に生きる男の人生が描かれている。
    そして行ったことのないサイパンなのに、今回も主人公の隣で一緒に観ているような感覚だった。
    戦争がどのように始まって、

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    2025年04月08日
  • 舞台には誰もいない

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    すごく面白かった!!
    読むことを止めることができず、ひさびさに一気読み!!
    映像化できそうだけど、映像化すると、薄っぺらくなりそう…(笑)
    主人公である遠野茉莉子は、演じるなら
    河合優実さんがピタッとハマった私でした

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    2025年03月22日
  • われは熊楠

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    ネタバレ

    岩井圭也があの熊楠を描く、そりゃ期待するやろ。そしてその期待は裏切られることなく。

    頭脳も行動も規格外のド迫力というのが、南方熊楠の魅力。彼を小説に書くなら、ファンタジーでもSFでも歴史偉人伝でも伝奇でもどないでも料理できるのに、岩井圭也は、人間熊楠を家族小説として料理してきた。父母や兄弟、奥さんや息子・娘との関わり。そして彼を支えてきた友人知人たちとの交流が物語のメインとなる。

    奇矯な言動に、天才的頭脳とフィールドを駆け巡る肉体、天狗(てんぎゃん)の異名も大げさとは思えない熊楠が、周囲とどういう風に関わっていくのか?年齢・性別どころか生死の境すら破壊しての関わり合いは読んでいて息をつめ、

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    2025年03月09日
  • プリズン・ドクター

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    どうして人は罪を犯してしまうのか。
    その心情や背景が淡々として物語れるなかにも感情の熱さがあって、引き込まれるように一気に読んだ。

    わたしは子どもが集まる施設で働いていて、子ども同士が殴った殴られたみたいな場面に毎日のように接しているんだけど、殴った子に「人を殴ってはいけません」と叱ったところで、なんの解決にもならないという事例を多く見ている。
    殴った子には本人なりの理由があって、それは許されざるべきものであっても、その子にとっては正義だったりする。その気持ちを話してもらって、それについて一緒に考えていかないと、殴るという行為はやめられない。その子にとって問題解決の方法が「殴る」しかないから

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    2025年03月08日
  • 完全なる白銀

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    ネタバレ

    わたしのまわりには登山を愛してやまない人が数人いるのだけど、その人たちはみんな趣味程度にとどまることなく、常に次を求めている。
    なぜそんな気持ちになるのかな、と思っていたのだけど、この小説の引き込まれるような描写で登山を疑似体験した気になり、限界を突破することの中毒性みたいなものを感じ、少し腑に落ちた。
    わたしがもし登山家なら、きっと下山をしながら、気を緩めてはいけないとわかっていながらも、すでに次のアタックのことを考えているかもしれない。

    岩井圭也という人は、イマジネーションのなかにリアリティがある稀有な小説家だと思う。
    さらに、物語が過去と現在を行き来していても、その手法が必然だと思わせ

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    2025年03月03日
  • 楽園の犬

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    第二次世界大戦中のサイパンで諜報活動に従事する1人の男の物語でした。前半は、推理小説のような展開でしたが、日米の開戦が近づくにつれて緊迫感が増してきました。最後まで生きることに執着した麻田はあの時代には異端の存在だったと思います。だからこそ、簡単に自決を選んだその他大勢の人達より比べものにならないくらいの勇気が必要だったはずです。「生き抜くことが何より美しい」というメッセージを頂いたような気がします。平和な現代でも自殺を選択してしまう人は一定数いるので…。あとは、「因果ヅラ」というセリフが印象的で、スパイという人を裏切る活動に従事していた麻田が、家族と生きて再会することは出来なかった結末は仕方

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    2025年03月02日
  • 付き添うひと

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    少年犯罪の弁護人を「付添人」と言うそうで。
    付添人の主人公オボロさんも辛い過去があり、そこを超えて弁護士として子どもたちに寄り添っている。

    本当にどうにもならない子どももいるのだろうけど、少ないかもしれないけれどもオボロさんに救われた子は絶対いるし、こういった人は凄いと思う。

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    2025年02月15日