岩井圭也のレビュー一覧

  • 横浜ネイバーズ
    岩井さんの新作は、横浜中華街を舞台にした痛快活劇だった。
    主人公のロンこと小柳龍一は、〈山下町の名探偵〉の異名をとる20歳の若者だ。彼のもとに持ち込まれた相談事を、友人である柔術使いのマツ、引きこもりのパソコン少女ヒナ、神奈川県警捜査1課の欽太らと共に解決していく。
    本書には4話が収録されており、5...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    面白かった!でも物足りない!
    何故ならもっと読みたかったから〜♪

    〈土門鑑定所〉民間の鑑定人・土門誠は元警視庁の科捜研にいた技術者。その技術は誰もが認めるものだった。
    土門に鑑定できない証拠物なら誰にも鑑定できない…科捜研最後の砦「最後の鑑定人」だと。

    短編4作の依頼人は弁護士、刑事、判事でそれ...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    民間の鑑定人の土門の鑑定に基づく推理が凄い。どんでん返し起こしたりや迷宮入りを解決したりするのだが、あくまで科学が証明することがすべてと言い切る。そうだよなあ、綿密で正確な鑑定があってのことなのだから。無表情で感情を表さないのだが、助手の高倉や関わる弁護士、刑事がその土門の姿を描き出していくのが面白...続きを読む
  • 永遠についての証明
    数学者、数字を羅列するだけで1日はおろか気付いたら何日も…なんて話には聞くもファンタジーかと思っていた世界がここにあった。
    それだけで世界が何層も広がった気がしている。読んで良かった。

    ただ好き、を追求するのには暸司くんは天才すぎたのか。生き方って誰にも決められないはずなのにね。
    アル中の辛い描写...続きを読む
  • 付き添うひと
    40ドラマチックな出来事は起きないけど、小さな震える心に寄り添う気持ちが暖かくて、こう言うしんどさを知っている人の言葉に耳を傾けていける社会になったらいいなあ、と思わせるお話し。続編あるのかな
  • 付き添うひと
    経験者が付き添うって
    本人はしんどいこともあるだろうけど
    少年たちにはありがたいことなんだろうな~

    少年たちの気持ちのわかる
    大人がもっと増えるといいな。

    こういう仕事があるということ
    もっと知られてもいいと思う。大事な仕事。
  • 付き添うひと
    「味方だよ」

    オボロが発するこの一言が、どれほど少年達の力になり救いとなった事だろう。

    親の無関心や無理解、暴力、犯罪の強要。
    血が繋がった親子とは思えない壮絶な家族関係に打ちのめされる。

    主人公は少年犯罪において弁護人の役割を担う付添人の朧太一。
    誰に頼る事も出来ず居場所のない彼等に優しく寄...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    『科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です』
    こう言い切るのは元科捜研の異端児・土門誠。

    科捜研を辞めた後、民間の鑑定所を開設し様々な依頼を科学の力で解決していく。

    人呼んで『最後の鑑定人』。

    「遺された痕」「愚者の炎」「死人に訊け」「風化した夜」収録された4編の物語には、いくつも...続きを読む
  • この夜が明ければ
    パンドラの箱を開けてしまったかの様な後ろめたさを伴う読書時間だった。

    北海道の港町、季節バイトに集まった七人の男女は其々に大きな秘密を抱え皆一様に何かから逃げている。

    仲間の一人が不審死した事によって、六人の秘密が順に明かされて行く場面は公開裁判さながらで息が苦しくなる。
    人間の暗部を抉り白日の...続きを読む
  • 文身
    途轍もなく趣味が悪く陰鬱な内容に嫌気が差しながらも、この物語の結末が気になり読み続けた。

    自伝や私小説は先にその人の歩んだ人生や経験ありきで描かれるが本作で描かれる私小説はその逆を行く。

    小説で書いた内容をなぞる様に、酒好きで暴力癖のある男を演じる須賀庸一。
    その裏には兄弟間の秘密が隠されている...続きを読む
  • 永遠についての証明
    よかった。
    瞭司は数学を追究するだけでなく、数学を通じて熊沢、佐那とつながりたかったのだろう。
    けど、瞭司がアル中になるのはよくなかった。

    自分は数学者に少し憧れがあるか。
    特に純粋に数学を追究する瞭司のような人には。
    その瞭司がアル中から命を落とすのはちょっと。
    数学に入り込みすぎて別の世界に行...続きを読む
  • 生者のポエトリー
    『詩』をテーマにした6編からなる連作短編集。自分の意思を伝えるのが苦手な人達が、心からあふれる思いを詩という方法で表現する。それは生きた言葉だ。
    無性に詩集が読みたくなり、詩を書いてみたくなった。
  • 竜血の山
    01月-08。4.0点。
    戦前から戦後の水銀鉱山の物語。北海道の鉱山に暮らす、水銀中毒にならない人達の集落、主人公は集落の子供。

    主人公と水銀鉱山の関係者たちの物語、面白い。物語の熱量、人間模様の描写が非常に優れている。この作家、将来的に直木賞獲りそうだな。
  • 竜血の山
    ある水銀鉱山鉱夫の一生、
    著者の岩井さんは、どうして、こういう本を書きたいと思ったのか、知りたいと思いました。
    執筆の動機に興味あります。
  • 生者のポエトリー
    言葉の大切さを改めて実感する物語。ある街を舞台に「詩」を紡ぐ人たちを描いた短編集。ラストは1つに収束していくため連作短編とも言える。特に後半以降の「幻の月」「あしたになったら」あたりは「詩」を読むシーンでこらえられない思いがあふれてきた。「詩」というテーマが中々に秀逸で文章よりも短いため伝えたい感情...続きを読む
  • 付き添うひと
    日経夕刊で紹介されていた本。
    少年犯罪の付添人として働く弁護士の話。自らの生い立ちが武器にもなれば偏見の元にもなっている。
    家族の絆や家族愛は当たり前のことのように考えられるが、必ずしもそうではないと気づかされる。だから冷たいとか薄情だということではなく、その前にまず「自分を大事にする」ことの大切さ...続きを読む
  • 付き添うひと
    オボロ(朧)が少年事件に付添人として真摯に取り組める理由が読み進むうちに理解できる作りになっている。

    物語は静かに進み、沁み入るような読後感がある。オボロと彼を支えることになる笹木の人物造形が本作品の肝であると思う。とても地味な作品。

    少年事件における付添人の制度についてもう少し丁寧に説明すべき...続きを読む
  • 永遠についての証明

    読み応えあります

    む〜ん 後半の暗さである瞭司の苦悩が、私には辛かった。その上で、熊沢の苦悩も辛い。一方で、平賀先生の対応が今の世界の普通の対応でないかとの思いが捨てきれず、現在の生き難さを示していると思う。その上、平賀先生本人は苦悩が無いのであろう。これも真実。
    瞭司の凄さを理解すると共に瞭司二世が出てきたという...続きを読む
  • 付き添うひと
    付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)という存在を初めて知った。

    過去をもった彼オボロ、苦悩の中に問題を抱えた少年に寄り添う姿、静かな感動だ。

    まだまだこれからの活躍を期待したい!
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    何かの書評で褒めていたので手に取った。TVドラマ『科捜研の女』ってこんな感じなのかな〜と思いながら読んだ(同番組は見たことなし)。

    主人公土門とその助手である技官の高倉の造形が良く、四話読み終わると土門の「科学は嘘をつかない。嘘をつくのはいつだって人間です」の台詞が胸に刺さる。

    謎の提示、鑑定の...続きを読む