岩井圭也のレビュー一覧

  • 水よ踊れ

    Posted by ブクログ

    瀬戸は日本の大学から香港の大学へ建築を学ぶためやってきた交換留学生。しかし建築だけが理由ではなかった。もっと前、13歳から17歳まで香港にいた。それは香港が中国に返還される激動の時期だった。そしてその時に最愛の女性が死んでいて、その謎を解くために再度やって来たのだった。

    登場人物に感情移入させられるだけでなく、香港を含むアジアの近現代史を考えさせられる傑作。

    建築をストーリーに絡めるのはやや強引な感じがしたが、それもまたOK。

    0
    2021年08月12日
  • 水よ踊れ

    Posted by ブクログ

    1997年香港が中国に回帰する直前。日本人の和志がそこで見たもの、感じたもの。貧しさのなかで暮らす恋人との出会いとささやかな日々。その終わり。その当時の香港の政治、市民の声。方向性はそれぞれでもその熱量は大きい。中国の一部になることの恐れ、怒り、諦め。舞台は97年だけれど今の物語のよう。今を、未来を変えようとする強い思い、志(ウィル)が後半になるにつれ大きく膨らんでいく。一人の人間としてどう生きていくのか、どう生きたいのかを問われているような小説。岩井さんの作品は初めて読んだけれど他の作品も必ず読もうと思う。

    0
    2021年07月17日
  • プリズン・ドクター

    Posted by ブクログ

    短編の連続で面白かった。刑務所内ミステリー。主人公が矯正医官で、プライベートも大変で気持ちを寄せやすい。父親と、恋人とこれからどうなるのか、続編が楽しみ。90

    0
    2021年04月24日
  • 夜更けより静かな場所

    Posted by ブクログ

    本好きにはたまらない話ではないだろうか。古本屋「深海」(名前が素敵)で行われる深夜の読書会。読書会に訪れる5人と店長の話が章ごとに綴られる。じっくりと味わうように読んだ。

    5人ともに、何かしらの悩みを抱えている。それぞれの人生で感じてきたことが異なるように、一冊の本の読み方、感想もだいぶ異なるのが面白い。読書会に参加したことはないけれど、こんなふうに感想を共有できるのは刺激があって楽しそう。

    0
    2026年01月22日
  • 永遠についての証明

    Posted by ブクログ

    数学が本当に苦手で、どう勉強しても何時間勉強しても赤点すれすれを生きてきた自分の半生があったので、自分自身も瞭司に憧れながら、才能を妬みながら読んだ。
    数学の才能がすかんぴんなわたしがこれだけ羨ましいのだから、熊沢や小沼の羨望と嫉妬は相当なものだろうと思う。
    どうしても瞭司を主人公だと思って読んでしまうのでずっとしんどいし苦しかったけれど、同時に「これしかなかった」とも思える。
    読み返したくはないが、記憶をなくしたらもう1回読みたい作品。

    0
    2026年01月22日
  • 追憶の鑑定人

    Posted by ブクログ

    シリーズ第三弾。

    かつては科捜研のエースとして活躍していた経歴を持つ凄腕鑑定人・土門誠の事件簿。連作四話が収録されております。

    安定のクォリティ&面白さ!
    土門さんの卓越した鑑定技術と知識を、この度も堪能させて頂きました。

    さらに、今回は土門さんの大学時代の同期の方々が登場し、各話にちょいちょい絡んできます。
    これまで過去2作を読んできて、土門さんって確かに頭はキレるし、抜群にシゴデキな人なのですけど、如何せん無愛想すぎるので(所謂、コミュ障ってやつ?)、
    “この人、友達とかいなさそうだなぁ・・”なんて勝手に思っていたのですが・・
    ちゃんといましたよ!土門さんにも友が!

    そんなわけで、

    0
    2026年01月21日
  • 汽水域

    Posted by ブクログ

     江東区の亀戸で無差別殺傷事件が発生。犯人は逮捕された後、「死刑になりたかった」と供述していると報道された。
     フリーの事件記者・安田賢太郎は週刊誌編集部から依頼を受け、犯人として逮捕された深瀬という男について調べはじめたが……。

     善悪の狭間でもがかざるを得ない人間にスポットを当て、その苦悩を描き出すヒューマンサスペンス。
              ◇
    11月の隅田川テラス。日曜日だが晩秋の夕刻は寒々としていて、人の姿は見当たらない。
     その中で、安田賢太郎は川面に垂れた釣り糸を見つめていた。
     
     始めて3時間になるが、竿先はピクリとも動かない。それもそのはずで、シーバス釣りの時期はと

    0
    2026年01月19日
  • 真珠配列

    Posted by ブクログ

    個人的にこういうバイオテクノロジーSFが大好きで、この作品も漏れなく面白かった。
    ハラハラする展開だったり、心がぎゅっとなるような切ない気持ちになったりと、終始惹き込まれる。
    ラストは斜め上の展開で、そうきたか〜という感じ。

    舞台が中国なので、人名や土地が馴染みのないものなので多少読みにくい部分があるものの、この先の未来に起こり得るかもしれない話の内容でとても面白かった。

    0
    2026年01月18日
  • 舞台には誰もいない

    Posted by ブクログ

    岩井さんにはどれだけの引き出しがあるのでしょう。
    この作品の世界に圧倒されました。

    初めに刺さったのは
    卒業後の進路を自分で決めていいと父に言われた時
    「十八年間も敷いたレールの上を走らせておいて、
    今さら好きに進めと言われても、
    どこをどう走ればいいのかわからない。」
    自己形成することが出来ないまま
    親が作った型の通りに生きてきてしまったのか…

    私という人間の演技を続けてきた主人公が
    女優となりメソッド演技を究極まで追求していく。
    そして…

    すごい作品だったからこそ、読み終えた時に
    疲労感も一入でした。

    0
    2026年01月12日
  • 生者のポエトリー

    Posted by ブクログ

    最近気に入っている岩井圭也さん
    こんな作品もあったなんて…驚きです。

    個人的には、短編集はあまり読まないのですが、
    こちらはとても良かったです。
    社会を呪うような詩が
    お堅い高齢男性の心を動かしたり、
    その人が生きている証のような詩が
    別の誰かの人生に影響を与えていくのが良い感じ。

    最後の「街角の歌」が、またどこかへと繋がっていき
    苦しさと希望が入り混じったような
    それでも温かい読後感でした。

    0
    2026年01月12日
  • 夜更けより静かな場所

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    東京で一人暮らしをする大学生・遠藤吉乃が、

    都内にあると知っていたけれど訪問していなかった叔父さんの古書店に行ってみた。

    そこから始まる読書会。

    毎月ぐらいのペースで、同じ6人で。

    それぞれの章が、

    読書会の選書を担当した人の語りで書かれている。

    5回目はちょっと特別、6回目はかなり特別だけれども。

    何気ない登場人物。

    現実的なそれぞれの境遇にちょっとぐっとくる。

    人生うまくいかないこと、その中でどうやって生きていくのかをなんだか考えさせられる。

    思った通りに行くことが成功ならばたいていの人にとってこの世は残酷だけれども、

    うまくいかないことの中にいろんな出会いや思っても

    0
    2026年01月12日
  • パパたちの肖像

    Posted by ブクログ

    「ダディトラック/外山薫」
    「俺の乳首からおっぱいは出ない/行成薫」
    「連絡帳の父/岩井圭也」
    「世界で一番ありふれた消失/似鳥鶏」
    「息子の進学/石持浅海」
    「髪を結ぶ/河邉徹」
    「そういう家族がそこにある/カツセマサヒコ」
    7人のパパ作家が令和の家族の形を描いた短編集。

    どの物語もパパの切なる想いが感じられてとても良かった。

    家族の形は千差万別で同じ家族は一つとして存在しない。

    相手はこども。
    思う様に行かず自分の不甲斐なさに落ち込んだりするパパもいるだろう。

    子育てに正解なんてない。
    そこに愛があればみんな違ってみんないい。

    0
    2026年01月07日
  • 夜更けより静かな場所

    Posted by ブクログ

    読書が好きな人達の静かな物語。気持ちよく読めた。読書会、楽しそう。でも、いざ対面で集まったら自分は話せるだろうかとも思ってしまう。ある意味このアプリでみなさんの感想を読んだり、自分の感想をあげるのが自分の中で小さな読書会かも。

    0
    2026年01月07日
  • 楽園の犬

    Posted by ブクログ

    有隣堂の書籍バイヤー芝さんが熱烈に推していたので買った。
    防諜という題材が珍しく、途中まではとても面白かった。
    作品のメッセージ性ゆえに、クライマックスはやや尻すぼみになった印象を受けた。

    0
    2026年01月07日
  • 中華街の子どもたち 横浜ネイバーズ(6)

    Posted by ブクログ

    シリーズ完結!
    読み終わりました。

    とりあえず全ての問題が解決して良かった。
    これからロンが目指していく未来が続編で読めるといいなぁと思いました。

    それにしても、こんな仲間、いたら良いなぁ…

    ドラマ化されるようで、楽しみです。

    0
    2026年01月07日
  • 真珠配列

    Posted by ブクログ

    タイトルの
    「真珠配列(パールシークェンス)」とは、
    理想的な人の遺伝子情報(ヒトゲノム)のこと。

    遺伝子をその配列に操作することによって
    病気にかかりにくく
    頭脳明晰、運動神経抜群、見た目も麗しく、完全無欠な人間になれる。

    近未来の中国、北京が舞台で
    極度にバイオテクノロジーが進んだ世界では、真珠配列やヒトクローンが実際にもあり得るのではないかと思わされる。

    正月ボケの頭で読み始めたせいか途中何度か挫けそうになったが、結末が衝撃的でした。

    そう来るか。。まさに近未来ディストピア、、
    さすが岩井圭哉さん!

    ウィグル人の差別や問題は
    今もこのようなことがあるとは。。恐ろしい。
    あまり報

    0
    2026年01月07日
  • 真珠配列

    Posted by ブクログ

    実際、あり得る話だけに…。「完全無欠な仮想のゲノム配列を真珠配列と呼ぶらしい。全国民にゲノム編集を施せば世界最強の国民集団が完成する」勝手に他国を襲撃して最高指導者拉致して正義を行なったと嘯く民主主義の旗手。こんな時代ならなんでもアリだろうな。2026年に暗雲が。

    0
    2026年01月04日
  • 真珠配列

    Posted by ブクログ

    遺伝子テクノロジーが発達した近未来、人間の卑しい欲望を描いたディストピアSF×ミステリ #真珠配列

    ■あらすじ
    近未来の中国、高速で進行する癌によって亡くなる人たちが居た。その中に有力者の息子も含まれており、何らかの事件の可能性を懸念した公安局では捜査を開始。刑事アーロンは、遺伝子の専門家であるマリクに捜査協力を依頼するも、けんもほろろに扱われ…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    物語は近未来の中国が舞台、テーマは遺伝子テクノロジー、ゲノム編集ってやつですね。

    ひと昔前に、遺伝子組み換えの大豆、クローン牛なんてのをよく報道されてました。技術の進歩は素晴らしいんですが、アンタッチャブルな神の領

    0
    2025年12月29日
  • 夏の陰

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    犯罪者の息子岳と被害者の息子和馬。
    理不尽な暴力に耐えながら、身勝手な父親に殺されそうになる岳。
    父親の起こした立て籠り事件の最中、岳のうでを掴んで助けた警察官の和馬の父は命を失った。
    犯人の岳の父親はその場で自殺。
    やり場の無い憎しみを犯人の息子である岳に向け続ける和馬。
    剣道を通じて繋がってしまう二人。
    初めてであり最後の試合で対峙する岳と和馬。緊迫感とスピード感そして痛みまで伝わるような描写に引き込まれてしまった。
    「俺は浅寄の人生をいきてるんやない。俺は、俺の人生を生きてるんや」はぐっときてしまった。
    「文身」ほどの衝撃は無いもののエピローグでの伏線回収は切なくなった。
    私の大嫌いなあ

    0
    2025年12月26日
  • 楽園の犬

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一章ごとに短編ミステリーのようになっているけれど、全編を通して読むと、戦争についてや、命について考えさせられる内容となっていた。
    最後の終章は、電車の中で泣きそうになった。
    戦時中であっても、生きることへの考え方を変えなかった麻田は本当に強い人だと思った。
    悲しい結末ではあったけれど、今この時期に読んでよかったと思った。

    作者の人は、てっきり理系ミステリーの人だと思っていたけれど、歴史ものもすごく良かった。

    0
    2025年12月26日