岩井圭也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とっても興味深い一冊
物語としてはとっても面白かったし
起こった事件がどういう風にキャラクター達に関係していくかとか
考えながら読んでいくのも楽しかった
ただ医療に関しることだけはどんなタイプの小説を読んだとしても難しい…
このお話もしかり…
ただ扱っている題材が人の倫理に関することだったから
現実の中に落とし込んでしまうと
ただただ物語として楽しんでいることに複雑さを感じることも…
マリクとアーロンの関係が少しづつ変わっていく様子とか
事件に関わっていくごとに上からの圧力とか自分の力だけではどうしようもないこととか
感情移入して読むというよりは第三者的な目で読んだ
私にしては珍しいお話 -
Posted by ブクログ
「永遠についての証明」の岩井圭也さんの作品。
天才的な頭脳を持ちながら、「知識欲」と「世間」との間で苦悩する南方熊楠像を描きだす。
「永遠についての証明」の主人公も同じように特性を持ちながら、「世間」との戦いに負けてしまったが、この南方熊楠は周囲に支えられてなんとかギリギリもちこたえた。
それでも大事な集会に酔っ払って殴り込むとか「なんでそんなことするの!」と松枝婦人に代わって怒りたくなる。
とにかく南方熊楠の行動が奇々怪々すぎて、丁寧に書けば書くほど現実感がなくなってしまったのが残念。
こんな人におすすめ↓
☆博物学や民俗学に興味のある人
☆和歌山県に縁のある人
☆脳の特性がある方が -
Posted by ブクログ
犯罪を犯した少年たちが、家庭裁判所で審判を受ける際に、その権利を擁護、代弁する付添人。
付添人の朧太一は、少年少女に寄り添い生活や将来へのサポートをしていく。
子どもの犯罪は奥がとても深く複雑で、一筋縄ではいかないものが多い。家庭環境や学校、職場などの人間関係を表には見えない部分まで探り出していく姿は圧巻だった。
朧自身も過去に毒親の指示で少年院へ入っていた経験を持っていることが、付添人として子どもたちを救いたい気持ちに繋がっている。
そして、子どもたちを救いの手を差し伸べることで、過去の自分自身を救ってもいるのだろう。
子どもとはいえ、犯罪を犯した罪が許される訳ではないけど -
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『パパたちの肖像』は、父親を主人公にした短編集です。育児の喜びや苦労を描いた作品集ではありますが、読んでいて強く感じたのは、「家族の幸せの形は様々、一般論では語れない」ということでした。ノウハウでは語り尽くせない生々しさに心揺さぶられます。
特に印象に残ったのは「息子の進学」です。
父親は、豊かな暮らしや便利な都会での生活に価値を見出してきました。一方で息子は、収入や効率よりも、自分が本当にやりたい研究の道を選ぼうとします。どちらが正しいという話ではありません。むしろ、親子であっても見ている世界が違うこと、そして父親が息子の価値観を理解しようとする姿に心を動かされました。
「髪を結ぶ」も -
Posted by ブクログ
ボクシングが持つ圧倒的な臨場感と、手に汗握る熱量がそのまま本の中から伝わってくるような傑作だった。ボクシング観戦が好きな自分にとっても、リング上の緊迫感や駆け引きの描写はリアルそのもので、終始引き込まれた。
物語の芯にあるのは、コミュ症気味で生きづらさを抱えていた主人公の成長譚だ。言葉でうまく自分を表現できない彼が、リングという四角いジャングルの中に自分の「確かな居場所」を見つけ、ひたすら愚直に突き進んでいく。その姿を見て、単なる身体能力だけでなく、一つのことを泥臭くやり続けられること自体が、何よりも尊い「才能」なのだと強く実感させられた。
言葉を超えて、拳と拳のぶつかり合いを通じて相手と深く -
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ボクシングは全く興味がなく、知識ゼロにも関わらず、元プロボクサーの知人が二人いる。
一人は王者のベルトを持ち、一人は早々に引退して専門職として働いている。
彼らとボクシングの話をしたことはあまりない。
けれども、ボクシングから離れた二人はとても活き活きとしているし、誰よりも他者への気遣いのできる人達だ。そして、暴力をとても嫌う。
ボクシングをはじめとした格闘技をする人達は、どんな思いで挑んでいるのか、長年疑問だった。
単に殴り合いが好きで、血氣溢れるのかと思いきや、私の知り合いの元ボクサー達はとてもそんな様子でなかったから…
本書を読んで、当たり前ではあるけれどボクサー達が様々な思いで挑ん -
Posted by ブクログ
岩井圭也さん、本当に幅広い。
そしていずれの話もその世界に引き込まれ、
没入したまま、あっという間に読み終えてしまいます。
今回は美大が舞台。
(美大の最難関、上野の森の向こうにある東京藝大と思われる。
新倉と待ち合わせしてルシアンをのんだ古民家の喫茶店はカヤバ珈琲です、きっと!)
才能ひしめく中で、そこでまた優劣がつく。
真の天才の前で、自己を保つことはなんて難しいんでしょう。
それが愛してる人ならなお辛い。
小滝とひなたの決断はとても現実的で
あれぽっちの言葉だけで通じ合って
読んでるこっちの心はカラカラに乾燥してしまいそうだよと思ったら
思わぬファンタジー要素でなんだか少し潤いま -
Posted by ブクログ
数学のことは何にもわからない。けど最後の聡美にわたしたちの感覚が投影されていたんだろう。
暸司の故郷の森が、数の世界と自然界と人間とを繋ぐとても分かりやすい比喩になっていて、本当に美しかった。
才能に恵まれていてだからこそ孤独な暸司と、努力をコツコツ積み上げていくタイプの極めて人間らしい熊沢。両者があまりに対照的で、そして、熊沢の嫉妬心など人間らしい醜い感情が理解できるから読者はより一層このストーリーにのめり込むんだろうな。アルコールに溺れる暸司のストーリーが辛くて辛くてそのぶん本当に熊沢が憎かった。暸司が重力のない星空の世界で、熊沢の発表の場を眺められていたらいいな。
見捨てたどころか自 -
Posted by ブクログ
数学の天才の話は他にもいくつか読んだことがあるが、彼らには世界がどんな風に見えているのかいつも想像がつかない。IQに差があると会話にならないという話は聞くが、本作で表現される数覚もまた同じなのだろうなと思う。おまけに瞭司はラマヌジャンを想起させる感覚派だ。以前、ビジュアルシンカーという概念を聞いた。物事について考えたり理解するのに言語より視覚やイメージに頼る人達がいるという。これは別に0か1という話では無いのだが、中には極端な人もいるのだとか。瞭司にもそうした側面がありそうだ。自分の場合はビジュアルも使うが言語の比重が高いように思う。それでも時折結論だけがイメージとして降って湧いてくることがあ
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Posted by ブクログ
科学鑑定のスペシャリスト・土門誠が関わる、4編からなる連作短編集。それぞれ独立した事件を扱いながら、鑑定を通じて“事実”に迫っていく。
「遺された痕」
2種類のDNA鑑定が、同じ事件で正反対の結果を示す。科学が示す食い違いから、土門誠が真相へ迫る。
「愚者の炎」
技能実習生たちが暮らす家で火災が発生。通報した犯人が黙秘を続ける中、鑑定が動機の奥へ踏み込んでいく。
「死人に訊け」
海中から引き揚げられた車内で白骨遺体が見つかる。DNA鑑定を起点に、停滞していた捜査が動き出す。
「風化した夜」
亡くなった娘の遺品鑑定を依頼された土門が、過去と向き合う。鑑定人としての姿勢と、その内面に迫る。