岩井圭也のレビュー一覧

  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    ヒューマンドラマに科学が結びついた内容で、読みやすくすらすらと読破できる。
    科学と言ってもその内容は深くないので誰でも大丈夫。科学用語は出てくるが事件解決には直接関係しない。
    気楽に読む本。
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    元科捜研の民間「鑑定人」を題材にした連作。「矯正医官」「数学者」「建築を学ぶ学生」などに次いで題材の選択肢が面白いなと思いました。
    作中の「嘘をつくのは、いつだって人間です。」がとても印象に残りました。DNA鑑定の反証は興味深かったです。

    実習生問題。酷い受け入れ企業もあれば良い受け入れ企業もある...続きを読む
  • 竜血の山
    久しぶりに寝る間を惜しんで読み切った程、引き込まれた。ただ、もう読み返すことはない。
    話の内容はぐいぐい引き込まれる凄ぶる良質な作品ではあるのだけれど、内容が暗くて再読したくない。
    主人公の性格が嫌だ。なんだよ妾って。絶対許すまじだわ。
    誰も幸せになっていないし…困ったもんだ…
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    ドラマ「科捜研の女」のようだけれど、それとは別種の面白さ。
    4編の事件に纏わるそれぞれの立場での人物描写が興味深い。
    そして、「最後の鑑定人」の人間らしさが少しずつ現れてきて、だんだん興味が湧いてくる。

    また、新たな人間像を加えたシリーズ化を!
  • 水よ踊れ
    乗ってくるまでが長かった。
    香港語、香港情勢、建築の知識などが多く書かれており、読むことに体力が要った。

    「周りは自分の意思に従って、リスクがあったとしても行動を起こしているが、自分は全然大した行動ができていない」というような主人公目線の描写があったが、彼は十分すぎるほど勇敢で、自分の正義に従った...続きを読む
  • 文身
    前半から中盤までは「ほぉー」って感じで進んで同じテンポで退屈さえ感じるのに、終盤の怒涛の展開で鳥肌止まらない。
    これはマジで良かった。
    タイトルと、序章の読み易さに惹かれてなんとなく読んでたけど、最後までちゃんと読んで良かったと思える作品。危なく途中放棄するとこだった。
    虚構と現実。とにかくこれが読...続きを読む
  • 文身
    なんとも表現し難い作品でした。
    あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。

    昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分...続きを読む
  • 夏の陰
    父親を殺害された和真とその犯人の息子の岳。犯人とその家族に憎しみを抱く和真。剣道にその憎しみをぶつけるように生きている和真と生きている資格がないと思いながら剣道をする岳。何のために剣道をするのか、生きているのか。この思いを抱えた先にあるのは何か。二人の思いは違えど抱えてる痛みや苦しみはどこか似ていて...続きを読む
  • 生者のポエトリー
    「きっとよくあることだと思うんすよね。自分の読んだ詩が誰かの耳に届いて、その人を勇気づけられるってことか。読んでいる本人が気づかないうちに、言葉が駆け巡って、この世界を少しだけ良くしている。そんなことがあると思わないすか」
    「あるよ。あるに決まっている」(p125)
    まさしくこの会話通りのささやかな...続きを読む
  • 竜血の山
    岩井圭也の小説を初体験。なるほど評判のとおり読ませる小説を書く作家さんだというのが第一の感想。

    体質的に水銀中毒にならない耐性をもつ「水のみ」という人々を主人公格においているので、もっと土着ファンタジーかと思ったが、意外にも公害問題と産業基盤の変遷に踊らされる鉱山労働者の労働問題に主眼を置いた大河...続きを読む
  • 夏の陰
    3年前に刊行された単行本に加筆修正した文庫版。単行本は未読なので詳細は不明だ。
    殺人者の父親を持つ岳と、父親を殺された和馬。加害者の家族と被害者の家族という違いはあるが、2人には共通点があった。その象徴として剣道がある。
    本書は父親を失った家族の物語、少年の成長譚、贖罪の行方など様々な読み方ができる...続きを読む
  • 竜血の山
    アイデアだけで成り立つ小説かなという気はするが、何か西村健の炭鉱物のような荒々しさがある。
     それにしても、この作家さんの抽斗の独創的なところには感心する。
  • 竜血の山
    北海道の巨大な水銀鉱床。水銀に耐性をもつ「水のみ」と呼ばれる山中集落の人々。戦争、特需、水俣病、差別。昭和の動乱のなか、炭鉱の町で水銀と共に生きる人々の壮大な物語。
    水のみ、というファンタジー要素がありながらも、史実になぞらえた設定とリアルな描写でのめり込まずにはいられなかった。アシヤが人として出来...続きを読む
  • この夜が明ければ
    北海道の短期バイトで働く男女7人。年齢はバラバラだが、1つの宿舎に過ごすだけあって、仲は良い方だと思う。しかし、リーダーの様な存在だった、仲野大地が街まで遊ぼに行ってから帰って来ず、探しに行くと、死体で見つかった。
    工藤秀吾は警察に連絡しようとするが、一緒に探しに来ていた佐藤真里に携帯を奪わ...続きを読む
  • 水よ踊れ
    1996年の香港。
    13歳から17歳まで香港で暮らしていた和志は、その時に知り合った彼女の死が忘れられず、大学での交換留学生として香港へ。
    そこで、彼女の死の真相を調べる。

    これは、政治が絡んだ事件だった。
    すべて政治で決まる。
    殺人事件をなかったことにするのも…。

    とても複雑な流れではあったが...続きを読む
  • 水よ踊れ
    いつも個性的な設定で、悩める主人公を登場させる。
     返還前の香港で、過去を問い直す交換留学生(建築学)か。
  • 竜血の山
    タイトルだけ見て、ついに岩井さんがファンタジーを書いたのかと狂喜したが、北海道に実在した水銀鉱山をモデルにした歴史大作だった。
    昭和13年、北海道東部の町・辺気沼近くの山麓で、辰砂(硫化水銀の塊)が発見される。派遣された調査班は、山中にひっそりと暮らす部族と出会う。彼らは先天的に水銀に対する耐性を持...続きを読む
  • 水よ踊れ
    めちゃくちゃ良い/ 97年の、まだアナログだった時代の猥雑な香港の感じとか学生たちの生活感とか、空気が懐かしくてのめり込んでしまう/ 少年時代の恋人の死の真相を探ろうという大学生の主人公が普通の子で良い/ スーパーマンじゃないし、頭が抜群に切れるわけでもない/ 作品内のあらゆる事象に丁寧な振りがあっ...続きを読む
  • 文身
    初めて読む作家と思っていたら、2冊読んでいてこれが3冊目でした。
    他の作品もなかなかの重さを持った作品でしたが、こちらもやはりかなりの重さを持っていました。
    文学に身を捧げるという今ではあまり聞かない種類の人間をテーマにしています。文学がとても力を持っていた時代、無頼な純文学者が沢山いたと思われます...続きを読む
  • この夜が明ければ
    面白かった!

    北海道の加工水産業の期間アルバイトに集まった7人。
    そのうち、リーダー格が不審な死をとげる。
    発見者の一人は警察に通報しようとするが、もう一人の発見者はその携帯を奪って阻止、
    宿舎に戻るも警察に通報するのはやめようとするものが多数。なぜ、彼ら彼女らは警察に通報しようとしないのか?
    ...続きを読む