岩井圭也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書家必読の一冊ではないでしょうか。
一冊の本の中で行われる読書会の様子を想像しながら読むと、
【本の中で本を読んでいる】
という不思議な感覚に陥る。まずその読書体験が味わえる点ですごく面白いし楽しい本。
連作小説形式となっていて、主要な6人の登場人物の人物像やエピソードが、それぞれの読書会の課題図書6冊に絡めて綺麗に収められている。
一人ひとりの性格や価値観の違いを強く感じる。
中性的な人・激しめな人・おっとりした人・冷静な人・淡白な人・不思議な人。
そのキャラクターは読者の想像力を掻き立てるとともに、感情に揺さぶりをかけてくる。
読書の没入感を演出するに足る素晴らしい表現と設定。
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Posted by ブクログ
悪性リンパ腫ステージⅣの闘病から始まる本書。
血液内科での抗癌剤治療の壮絶さを垣間見たことのある私は、抗癌剤治療に懐疑的。
だから読み進めることが辛くて途中でやめようかと思ったものの…岩井圭也さんだからきっと読ませてくれると信じて読み進める。
治療場面は一章まででその後は起業に話が展開しグイグイと惹き込まれた。
広告代理店で勤務していた友人から、中小企業は大手の下請け孫請けで利益なんてほとんどないという話を聞いていたけれど、どこの業界でも悪しき構造は同じ。
そこをどうにかするなんて誰もできないことだと思っていたけれど、コタローのような人はきっといると思うと勇気がでる。
一度死ぬ程の思い -
Posted by ブクログ
読めてよかった。
子育てに悩むパパたちの叫びが、胸にズドンときた。
ママたちと同じくらい、パパたちもうまくできなくて泣きたくなる時があるんだ。
泣きたいのはママもパパも一緒なんだ。
子育ては、子どもと向き合うのと同時に、夫婦がお互いに向き合わないといけないチームプレーが必要なんだと、思い知らされた。
特に「俺の乳首からおっぱいは出ない」と「髪を結ぶ」は、泣ける。
乳児期に感じる焦りと、親としての自信喪失がこれでもかというくらいリアルに描かれていて、当時の記憶が蘇って、本当に泣いた。
パパにはもちろんおすすめしたいが、ママにこそ読んでほしいと思う。
パパの気持ちがわかれば、パパに対しても優 -
Posted by ブクログ
ー 資金なし、経験なし、計画性なし。
あるのは志とビジョンだけ。
・・・てさ。
がんサバイバーの起業というテーマは、それだけでも困難に満ちており、読むのが辛いと感じる方も多いのではないか。
作中では、主人公であるサバイバーたちに、作者が容赦なく難題を突きつける。状況はなかなか好転せず、読者を不安にさせる展開が続く。
しかし、主人公たちサバイバーズは少しずつ前進していく。このわずかな前進が、実は大きな意味を持つ。そして、何事も諦めないことこそが、最も重要な推進力なのだと学ばされる。
希望を見失わない彼らの強さは美しく、読者の心の奥深くに響き渡る。
この小説を読んで、元気になりましょう! -
Posted by ブクログ
大学4年で大手企業からの内定も獲得したコタローが、ステージⅣの悪性リンパ腫になったことで人生が一変する。
絶望に襲われる彼を救ったのは、『生きるための起業』という一冊の本と入院中にお見舞いに来た高校の時の同級生・ハクの「奇跡を起こすのって、コタローみたいな人間だと思うんだよね」の言葉だったように思う。
退院後、県庁を辞めたハクと二人で会社を立ち上げたものの、資金なし、経験なし、計画性なしだったが、紆余曲折しながらも仲間を増やして未熟なりに挑んでいく。
それぞれの強みを活かして協力して突き進んでいく姿は好感がもてる。
上手くいかないときこそ、絆が深まっていくのは信じあっているからだろうと思 -
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登場人物みんなが魅力的!
オボロ、浦井、原田、笹木、依頼人やその家族みーんなが、短いお話の中でとても人間味溢れた描かれ方をしている。良くも悪くも。
少年犯罪や児童虐待がテーマなのでクソみたいな大人も出てくる。その、クソっぷりが凄まじい。
これを描き切っているのがすごい。
職業柄近しい業界にいて解像度が上がっていることもあり1時間ちょいで読んでしまった。
作者さんはとても緻密に取材されたんじゃないかな、と思う。特にLDの章。
そして、オボロが付添人を勤めた子どもたちの可塑性を信じているような描き方をしているところに希望を感じた。
正直、再犯率は高いし家庭送致にしたところで親も問題を抱えているこ -
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太平洋戦争勃発間近の南洋の地を舞台にした物語。
前半は、英語教師をしていた麻田健吾が、表向きは南洋庁のサイパン支庁で庶務課として勤務する一方で、日本海軍のスパイとして秘密裏に活動していく様子が描かれる。
各章ごとに、健吾がスパイ活動をする中で直面した事件をミステリー仕立ての物語にしてある。民間人の健吾が、密命を受け、命をかけて活動するため緊張感があり、事件の真相を探っていくことに没頭して読み進めた。
後半は、幾つかの事件を通して命の尊さに思いを巡らすなかで、徐々に近づく開戦を前に、個人の思考の自由が奪われていく様が描かれる。
まさに戦争ムード一色。
日本国軍の勝利を信じて疑わない、或いは