岩井圭也のレビュー一覧

  • 最後の鑑定人

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    ドラマが面白いので、原作も。
    うん、原作もとっても面白い。
    ドラマで扱う事件は、おおむね原作通りでうまく映像化してくれているし。
    土門の藤木直人、うまいなぁ。弁護士の迫田さん、元妻とのやりとりもいい。
    ただ、土門の過去に関わるあの事件の扱いがちょっと違ってるね。はっきり決着をつけるのがTV的ということか。

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    2025年08月01日
  • 楽園の犬

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    ネタバレ

    舞台は太平洋戦争も秒読みとされた時代のサイパン。生きるために海軍の犬(スパイ)として動くことになる主人公の麻田。日本では英語教師として働いていた彼は、アメリカの情勢にもある程度詳しく、日米は開戦してはいけないと考えている。

    喘息持ちで体が弱く、日本に残してきた妻と一人息子のために、なんとしても生きて祖国の地を踏むことだけを目的とし、そのために任務を全うしようとする麻田。

    言ってみれば戦時中は『生きることへの執着』は醜いとされた時代です。作戦の責任をとって自決することが賞賛され、捕虜となることは恥とされ、捕まるぐらいなら民間人でも崖から飛び降りることを率先して選ぶ、そんな世の流れです。

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    2025年08月01日
  • 文身

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    いやいやいや…ちょっと待って…
    こんな読後感、初めてかも。

    「夜更けより静かな場所」で、岩井圭也さんを知り、他の作品も読んでみたいと思い、こちらを手に取りました。また全然違う作風。

    読んでくうちに内容に飲み込まれていました。
    今も飲み込まれたままです。

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    2025年07月31日
  • 暗い引力

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    粒揃いの短篇6作品。真綿で首を絞められるが如く、頁を捲るごとに息苦しくなるが、読まずにはいられない。超リーダビリティ。人間の醜悪な業を明らかにし、闇へと誘う著者の筆力に終始圧倒された。

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    2025年07月28日
  • 永遠についての証明

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    澄んだ文章とストーリー
    数学の世界
    初めて触れる世界と景色を旅してわくわく、そして胸がつんとしました
    登場人物一人一人がリアルで迫ってきました

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    2025年07月20日
  • 楽園の犬

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    圧巻。途中まで、この短編ミステリーのような話が最後まで続くのだろうか?と読む手が止まりかけた自分に教えてあげたいです。

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    2025年07月14日
  • 完全なる白銀

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    2023年発表。北米大陸最高峰デナリ(マッキンリー)冬季登頂に挑んだ三人の女性の物語。登山が題材なのですが山岳小説というよりは、夢を追うということが実際にどのくらいの痛いのかということについて、静かに丁寧に書かれている小説なのだと思いました。栗城史多さんの『デスノート』を思い出したりしましたが、巻末の参考文献に出ていました。

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    2025年07月12日
  • 付き添うひと

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    すごくよかった。特に第4話と5話がよかった。涙が出ました。自分も辛い過去を持ちながら、子供たちの付き添い人として、根気よく温かく関わる姿が素敵でした。辛い過去は消せないし、人に言いたくない。でも、子供たちの明るい未来のためにさらけ出す勇気が素晴らしい。岩井圭也さんの本、また読みたい。

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    2025年07月10日
  • 最後の鑑定人

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    ネタバレ

    ①ドラマが本日からスタートするとのことでその前に読んでみたかった作品。
    結果、面白かったので、本日から始まるドラマも必ず視聴します!
    前日譚の「科捜研の砦」も読みたいと思った。

    ②「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」というセリフが印象的だった。
    科捜研の話は初めて読んだが、なかなか面白い。
    分析方法について分かりやすい説明もありとても読みやすかった。

    ③助手の高倉が出すハーブ水、どんな味なのか気になる。
    なので、1度味わってみたいなと思った。

    是非、オススメの作品です!

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    2025年07月09日
  • 汽水域

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    淡々と読んでいたのがいつのまにか没頭していた。はじめは主人公のあまりの薄情さに冷たい視線を送っていたが、彼の仕事ぶりと生い立ちを追っていくと次第に胸が熱くなっていった。主人公の安田はフリーの事件記者。「死刑になりたかった」と供述している無差別殺傷事件の犯人、深瀬を取材しているうちに、深瀬と自分との共通点を見出す。取材が進むほど苦境に立たされても他人事とは思えない安田は事件を深堀りしていく。安田と深瀬の「父親が憎い」という共通点、その危うさに思わず共感してしまった。それでも安田の心の葛藤と成長に救われた。

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    2025年07月07日
  • 汽水域

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    汽水域とは、淡水と海水が混じり合う所


    〝水中を漂うミズクラゲが、安田の目には人間と重なって見えた。
    誰もが常に、善悪の汽水域を漂っている〟


    うわぁ~
    すごく良かった
    良かったよぉ゚゚\(´O`/)°゜゚ 
    岩井さんの作品の中でもかなり好きなやつ



    無差別殺傷事件を引き起こした犯人は「死刑になりたい」と供述している。
    その事件を追う記者・安田が主人公で、別れた妻との間に七歳の息子がいるのだが、まぁ本当に父親としてはダメダメだと思う。
    家族にはまるで興味なくて、子供のことは全て妻任せ。

    そんな父と息子の関係。
    また、安田の子供時代における父親との関係。
    そこに犯人の過去がリンクしてい

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    2025年07月06日
  • われは熊楠

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    自分は世界の一部である。世界の全てを知れば自分を知ることができる。なぜ知識の深淵を目指したのかを明かす南方熊楠の一代記。
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    知の巨人であり変人であり変態(褒め言葉)でもある南方熊楠は、一部の熱狂的な人々にとってはいろんな意味でヒーローであろう。伝え聞くその生き方や、南方曼荼羅に代表される著作は人を惹きつけてやまない。そんな熊楠を捉え直すのが本作。
    非常に丹念に熊楠という人物を掘り下げたのだと思うし、そのイメージは僕が想像する熊楠像とぴったり重なるので、とても読みやすく、人物描写にも共感できたのがよかった。最後に目指した学問をものにできたのか、家族の問題はど

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    2025年07月06日
  • この夜が明ければ

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    季節バイトの北海道にてバイトリーダーが謎の死を遂げた後に各々の秘密がどんどん明かされていく構成。どの人物にも感情移入できるし没入感もすごい。
    今年上半期1かも。

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    2025年06月30日
  • 永遠についての証明

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    岩井圭也さん2冊め。読書YouTuberさんの紹介だったかと思います。

    出だしは少々読みづらかったけども、『数学上の未解決問題』を論文にまとめあげる、三ツ矢瞭司のずば抜けた才能に惹き込まれた。
    こういった才能の持ち主はギフテッドと呼ばれ、そういった方の苦悩もこの物語で描かれている。それが周りの人たちとの距離感・バランスを一気に崩し、本人が堕ちていってしまう、その姿。
    周りの人たちはなぜ瞭司の才能を認めながらも去っていってしまったのかという悲しみだけが残ってしまった。周りの人の気持も非常に分かる。自分が持つ才能とどうしても比べてしまう傾向は人間の悲しい性か。

    遺した論文をクマがまとめあげ発表

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    2025年06月30日
  • 汽水域

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    幼少期の家庭環境に左右され、自分の努力では思い通りにならない世の中に嫌気がさして無差別殺人を起こした犯人。
    その犯人の真の動機を追うフリーのライターもまた幼少期に父から暴力を振るわれ、金銭的な苦労もし、一歩間違えば自分もそのような犯罪を犯していたのではないかと考える。
    そこから、犯人に決して共感するわけではないが、安易な結論ではなく、真因に近づくべく徹底的にリサーチし、ジャーナリズムの使命として同じような事件を起こさないことに繋げようと考える。

    本作では、ジャーナリズムの使命とその長短、正義感とその危険性、ビジネスは貸し借りで成り立つこと等、話の展開の中で様々な点にも焦点が当てられている。

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    2025年06月22日
  • 永遠についての証明

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    ネタバレ

    天才的な数覚を持つ瞭司が同じ数学的な才能を持つ研究者や学生との出会いを通して自分の居場所を見つけるが、やがて方向性の違いから再び孤独に苛まれるという読んでいるのが辛いお話
    特にアルコールに依存していくという流れがあると彼の立てている理論が本当に優れたものなのかただの妄想なのかわからないまま読み進めていくことになり、最後までハラハラした

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    2025年06月15日
  • 楽園の犬

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    戦時下、麻田は喘息の持病を抱え、単身サイパンへ。スパイ活動を余儀なくされるのだが…重厚、且つ鋭い機微を活写する筆勢は圧巻。世界で戦争が勃発している今こそ、読んでほしい一冊。戦争を戒め、反戦を促す良書だ。

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    2025年06月15日
  • 付き添うひと

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    ネタバレ

    読んでいると、何故か自分もオボロ先生に癒されていた。「自分を大事にすればいい」が、胸に響いた。
    オボロ先生は、私の付添人であるかのよう。

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    2025年06月14日
  • 楽園の犬

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    レビューを拝読し、読みたくなった作品。
    ちょうどいいタイミングで文庫化したので手に取った。

    1940年、横浜で英語教師として勤務していた麻田健吾は友人の勧めで、太平洋戦争直前のサイパンに赴任することに。表向きは南洋庁サイパン支庁庶務係、裏では日本海軍のスパイという密命を帯びていた。

    他国のスパイを摘発するスパイとなった麻田が、様々な‪”‬‪謎”‬を追って情報収集する様にワクワクしたり、その過程で窮地に陥り、手に汗握るほどハラハラしたりと楽しめた。
    サイパンの風景描写にも心が踊った。
    私も椰子の水を飲んでみたいし、鳳凰木も見てみたい。

    終盤、物語が急展開を見せ、あるテーマが浮かび上がってく

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    2025年05月29日
  • 楽園の犬

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    ネタバレ

    第二次世界大戦開戦前のサイパンか舞台。
    世の中の大きな流れの中で、自分の価値観を貫くことができるか。何が正しいか、自分で決めることができるだろうか。
    問題提起される作品でした。
    横浜で英語教師をしていた麻田健吾。持病の喘息のため東大卒でありながら職に苦労した彼は、喘息の悪化で教職さえもできなくなる。これでは家族を養えない、と彼はサイパン南洋庁の仕事を引き受ける。
    南洋庁に赴任した彼の真の仕事は、海軍、堂本頼三少佐のもとでのスパイ活動。
    いくら頭がいいとはいえ、普通の教師だった人にスパイなんてできるの?という心配をよそに、麻田は苦労しながらも見事にスパイの仕事を遂行していきます。
    赴任したての麻

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    2025年05月19日