岩井圭也のレビュー一覧
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スタートアップ企業に派遣で赴いてる自分とってタイムリーな話だと思い、手にした小説でした。
「たとえ百敗しようが、一勝できればおれたちの勝ちだ」
このコタローの言葉。スタートアップ企業は特に資金調達が目まぐるしくあり、それは開発・人材と拡張していってるなかで、自分たちのサービスに的を得てくれるクライアントを待つのではなく自ら行動を起こすが、必ず当たるとは限らない。それを物語ってるように感じる。
コタローは、がんサバイバーだったし親の下請け・孫請の問題を見てきた人生。
その中で感じたことをアウトプットしたツール。
『不合理』や『理不尽』なことを改善し、世の中が人が回れるように働き方の理想的な形 -
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ネタバレ岩井先生のデビュー作であることで興味を持って読んでみた作品です!
私自身、数学はどちらかといえば得意ではなく、「数覚」とは無縁です。
それでもどのように、問題を証明するのかが気になり、最後まで問題なく読めました♪
※数式を使わずに、数学の物語を作れるのがすごい!
あの時、別の選択をしていたら、何かが変わったのだろうか…。
天才が故の三ツ谷の孤独は、計り知れない。後半は、見ているのも辛い部分も多かった。
この話から、答えの決まっている数学も美しい。
しかし、何よりも、答えのない問題に対して、仲間と共に互いに意見を出し合い、協力し、証明をしていた大学時代に3人で共同研究していた時代が1番 -
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ネタバレ作品としては,色々考えさせられる良い作品ではあったかもしれないけど、私は読後感が良いとは言えず…暸司を取り巻く人物に対して,嫌悪感が強く残って終わった。
数学の世界の厳しさは自分にはわからないし、嫉妬や羨望の思いがあるのもわかるけど、暸司がこの後,死んでしまう事がわかって読んでいるだけに、特に熊沢が、暸司にとっていた態度が、私の中では許せなすぎた。
あなたを数学の世界に再び戻してくれたのは、暸司だったんじゃないの?今あるのは暸司のお陰じゃないの?そんな思いのままのクライマックスだったので、熊沢が最後に暸司と繋がったかに思えた描写も、いやいや、自分は理解できたと思ってるかもしれないけど、暸司は -
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大学4年の黒川虎太郎は、大手企業の内定を獲得していたが、悪性リンパ腫のステージⅣと診断される。治療のため長期入院中にある本を読み、虎太郎は絶望の中から希望の光を感じ始める。
岩井さんって、苦手なジャンルとかないのかね?って言うくらい、前作とは180度異なるストーリーだった。
爽やか青春お仕事もの。1本の映画かドラマを見ているかのようだった。
どんなに辛い治療でも、生きる目標があれば乗り越えられる。そんな気がした。
「サバイバーズ」はちょっと無謀なベンチャー企業で、現実あり得ないよ的な感じもしたけど、読んでて嫌な感じがしなかった。
どんな大企業でも、最初は「サバイバーズ」のようなベンチャ -
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何と言う幸せな読書会の記録なのだろう。
私には読書会の経験はないけれども、観た映画の感想を語り合うサークルの経験はある。約15年間毎月ほぼ欠かさず隣の市まで約三時間の語り合いのためだけに出かけた。コロナ禍からはリモートに切り替わり、今自然消滅の危機に瀕している。
映画サークルと読書会は共通点が幾つもあった。私たちは課題作品を3つ決めていたけど、その作品を観る(読む)事に関してのみ、私たちは繋がっていた。たとえ、3,4言で言葉が詰まっても、20分間延々語っても、私たちは相手を否定しない、尊重するという点で同じ所に立っていた。
メンバーは職業も年齢も性別も違う。共通点は映画を観る(本を読む)とい -
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昔、自分も起業をしたことがある。
ただ、その時の思いとしては、
志 ではなく、 私利私欲 といったイメージだった。
お金がほしい、自由に楽しく働きたい、
そんなもんだった。
とはいうものの、この 私利私欲 を実現するために、
リスクを取って、勇気を出して踏み出した経験は、
今、とても活きている。
この本で「100回負けても、1回勝てばいい」という言葉を見た時、まさに自分の人生もこの通りだと思った。
今の会社の代表は友達だが、独立した時に色々相談していて、それこそ中学からの仲。
2年で畳んだ私の事業のこと、資格とか、専門性と皆無だった私をよく知っている。
けど、彼は私を採用 -
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横浜中華街の名店「翠玉楼」を営む祖父に育てられたロンこと小柳龍一は高校のときに起こった事件を解決したことで〈山下町の名探偵〉というふたつ名を持つ(本人はダサくて嫌)。真面目に働くのが嫌で店を手伝いながら二十歳すぎまでブラブラしていたのだが、時代の流れで儲からなくなり、祖父が廃業を決め、将来のことを考えて始める。そんな時、高校の同級生の妹が、横浜駅西口のヨコ西というエリアで事故死。警察ももう追わない事件の真相を知る男を探して欲しいと人伝に頼みが来て…
といったふうに、身近なのに、結構ハードな事件を望まずに解いていくロン。「洋洋飯店」息子でロンと同じくフリーターの趙松雄、あることがきっかけ(ここが -
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これは水銀鉱山と生きた者たち、そして水銀に翻弄された者たちの物語である
ブク友さんにも〈酒飲み〉は多いと思います
例えば、カエルのアイコンさんとか
私は〈酒飲み〉ではありません
お酒は嫌いです
けど、〈水飲み〉です
仕事柄水はよく読みます
だけど、飲む水はウォーターの方です
なので、本物の〈水飲み〉ではありません
本物の〈水飲み〉は水銀を飲む者のことです
水銀は猛毒です
蒸気を吸い込めば立ちどころに病んでしまう
だが、本物の〈水飲み〉は生まれながらに水銀への耐性をもっているので問題ない
本物の〈水飲み〉に憧れて、私も試しに水銀を飲んでみました
だって、水銀ってちょっと美しいでし -
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数学の○○理論や○○予想はわからなくても
文学的な表現になっているので
読みやすく、どんどん本の世界に引き込まれた。
数学の天才、三ツ矢暸司は
大学でようやく話が通じる、同じ数の世界に生きる熊沢や佐那という仲間を得た。
しかし一人、また一人と自分の道を他に見つけて離れていく。そこには暸司への妬みなども絡んで、皆悪いやつではなく気持ちもわかるだけに
すごく切ない。
そして大学とはいえ
教育者としてはあり得ないくらい冷たい
平賀教授に証明の穴を指摘され
最後の頼みの熊沢にも目を逸らされ
暸司はアルコール依存に。。
天才がつぶれていく様子がなんとも痛ましい。
読むのが辛かった。
熊沢が暸司の残 -
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いままで読んできた戦争を題材にした小説は大抵読後に「戦争はよくない」と考えさせられるような、ある意味説教臭く重いものだったけど、この小説は登場人物の心象がリアルでやりとりのテンポもよく、たまたま時代背景が戦時中であったヒューマンドラマであるところがよかった。
いろんな立場の人にそれぞれの正義があって、そこから争いがおこるのはいつの時代どこでもそうなんだろうけど、それを戦禍の中で信じて貫こうとすることは命がけの覚悟が必要なんだろうなと考えたりした。
それでも生き続けようとすることの大事さを問いていたりするのに、その反面不条理なまでにあっさり命を落とす場面もあったり、これが戦争か…とも思ったり -
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ネタバレ数覚を持つ暸司は、新しい証明を発見するが、論文にする前になくなってしまう。大学の友人である熊沢は、圧倒的才能を見せつけられ、新しいアイディアを話そうとする暸司を冷たくあしらうようになり、留学してしまう。留学中に暸司の死の連絡を受けるが、研究が立て込んでいたこともあり、後に暸司の実家を訪れる。その際に、遺品であるアイディアを書きつけたノートを譲り受け、そこに書かれていた証明を完成させようとする。
もう一人の同級生であり、熊沢の元彼女であった佐那は、博士課程で工学部に進んだこともあり、二人と離れていっていたが、熊沢よりも暸司に何もできなかったことに心を痛めており、最後に証明のきっかけともなる人間関