【感想・ネタバレ】付き添うひとのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大人(小説の中では親)の都合や無理解に振り回されたり搾取されたりして、傷ついて心閉ざした非行少年や不良行為少年、助けを求めてきた少年たち。ホームレスへの暴行疑惑、虐待からの避難、家出、SNSでの誹謗中傷など。そんな少年たちに寄り添い真摯に向き合う付添人のお話し。少年の利益が最大になるよう動くことが信条で、少年たちが口を開くまで急かさない・決めつけない、事実を確認する、意志を聞く姿勢や、理不尽な親に立ち向かう姿が印象的。

重たいテーマを扱っているけれど、5編構成なので話が追いやすく、読みやすい文章で、人物の心情が伝わってきて、心揺さぶられました。
あと付添人の仕組みや子どもシェルターなど、勉強にもなります。

「先生。結局、ぼくはどうしたらいいんですか」
最後、少年に聞かれ
「自分を大事にすればいい」
読み進めて最後のこのくだり、特に胸に響きました。

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2024年01月09日

Posted by ブクログ

多くのブク友さんのレビューで気になり読みたい本リストに入れていました。
少年審判における手続きや処遇の決定が適切に行われるよう支援する弁護士、付添人の具体的な役割と大変さを描いている。オボロ先生の決して器用ではない中に、関わる少年とその家族へ真摯な態度で自らの出自とも対峙している。絡まりあった紐を丁寧にほどくように展開していく物語。大人に搾取され利用され力でねじ伏せられ、子どもの非力さが際立つ。他人に頼るのが苦手で、困った人はほうっておけず自ら面倒な道を選ぶ笹木さんとの時間、互いの領域へ不用意に踏み込まない関係。支援する側も安心できる場所が必要。
「ぼくはあなたの付添人だから。これまでも、これからも」
主要参考資料
川村百合 『弁護人・付添人のための少年事件実務の手引き』
野仲厚治 『少年事件、付添人奮戦記』
福岡県弁護士会子どもの権利委員会編 少年事件付添人マニュアル第3版少年のパートナーとして』

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

少年犯罪における弁護人の役割を担うのが『付添人』
この小説で始めて知りました。
傷つき、心を閉ざした子供たち
そんな彼らと真正面から向き合い、辛抱強く温かく、寄り添っていく付添人のオボロ(朧太一)
とても魅力的な主人公です。


しかし、その描写は……
「男のスーツは、見るからにくたびれていた。」
「四十がらみの男の顔には微笑が浮かんでいる。」
え〜っっ!
冴えないよぉ~!

でも読んでいくうちに、オボロの人間味あふれる愛情の深さ、自らの過去と向き合い葛藤する姿に、いつの間にか魅了されています。


登場人物たちに派手さはなく、物語全体は地味なイメージだけど、子供たちの声にならない叫びやSOSを丁寧に掬い上げていて、胸にグッときます。

「自分を大事にしてほしい。
 生きてさえいればまた歩き出せる」

そうですね
シンプルだけど、とても大切なこと。
私も大人として、自分自身の心に刻み、子供たちにもしっかり伝えるべき言葉だと思いました。

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2023年08月16日

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 それにしても、岩井圭也の犯罪というテーマへのこだわりの強さには、心揺らされる。
 中山七里さんの御子柴とは正反対の朧さん。これでもかというくらいに、現実を受けとめようとする。ただ、それだけにもしかすると登場人物達がリアルさを欠くと感じさせる嫌いがあるのかもしれない。
 でも、また、朧さんの小説に会いたいと思ってしまう。

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2023年07月18日

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〈付添人〉家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるよう裁判所に協力する人


面白かったです。
短編5つの300ページ程の作品ですが、なかなか心に沁みる内容でした。

どの話も凶悪な犯罪を犯した少年達ではなく、家出を繰り返す少女や、ネットで誹謗中傷をして訴えられる引きこもり少年…そんな内容です。
わたしちょっと勘違いしてました。
少年達の犯罪に弁護士として関わる話だと思ってました(*_*)
彼らのこの先を考え奔走する…そんな話です。
弁護士のオボロが彼らに付き添う姿は本当に救われますしエールを送りたい!
それぞれ登場する親達は最悪ですが何よりオボロの過去、その親達に腹が立ちました(T-T)

もっと読んでみたい…続編出ないかなぁ。



ゴールデンウィークで家庭内が賑やかしい!
なかなか読書できない環境に若干イラッとしてます笑

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2023年05月04日

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テーマが重たかったが、
読みやすく一気に読んでしまいました
今までこういう仕事があると知らなかったが
知れてよかった

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2023年04月11日

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偏見のない世の中になればいいな。
過去に何をしたか
そんなことより、今の自分を評価してくれる世の中になればいいな。

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2023年02月10日

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ラジオでこの本の紹介をしていて、すごく面白そうだったので手にしました。
その通り、とても良かったです。

少年少女であっても犯罪者であることには変わりなく、少年だからと言って温かく見守ってあげられるかと言うとそれは難しい。
その疎外感が彼らをさらに頑なにさせるのだろうけど、自分の中の犯罪者への排他性は変わらないだろう。

でもオボロのような人が必要だとは思う。自分にできるのはオボロのような人を応援することだけだと思う。

オボロと笹木のようにお互いの痛みが分かち合える相手との出会いが、できるだけ多くの人に有ることを祈ります。

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2022年11月01日

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想像以上の良書。派手さもサプライズも全くないけれど完成度は高くじわりと感動を呼ぶ。「付添人」と言われる子どもの弁護を専門とする弁護士オボロ。オボロは非常に苦労人で脛に傷を持つ過去がある。その過去の経験から彼は問題を抱える子どもに寄り添うことにこだわり、真摯に弁護活動に取り組む。5話のケースで構成されており、全体を通してオボロの繊細さ・誠実さが滲み出ていて何度もグッときた。はじめは題名にも装丁にもさほど惹かれるものはなかったが、間違いなく読んで良かった。これからも追いたい作家さんだ。

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2022年10月22日

Posted by ブクログ

弁護士というと完璧な人を想像してしまうけど、
オボロはあやうい。
過去に捉われて感情を爆発させたり
人に頼れなくて失敗したり。
でも子供の未来を最善のものにするために
誰よりも悩んでいる。
いろんな事件と向き合うなかで
オボロ自身も救われていくのがよかったです。

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2022年10月16日

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未成年には付添人
弁護人じゃないんだ、知らなかったというのが読み始めての感想

思った以上に良い本でした

子どもは、いつも大人に振り回されるんですよね…
自分ではどうにもならないことが多すぎて
向き合ってくれる人がいる、それを実感することで救われること、何も子どもだけじゃない
自分も自身と向き合っていかなきゃ、そう思える本です

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2024年04月26日

Posted by ブクログ

少年犯罪における弁護士というのは「付添人」と言うんですね。知らなかった。
少年少女であっても犯罪は犯罪と思っているのですが、本作の「オボロさん」のような人に関わってもらえたら、更生出来るのかもしれないなあと思いました。僕なら絶対無理な職業ですね。

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2024年03月11日

Posted by ブクログ

「付添人」という立場の人を初めて知りました。

最後、オボロが過去を受け止めて前に進むような形で終わったのがジーンと来ました。
また、これまで出てきた子どもたちや親が少しずつ自分の人生を歩み始めたこともわかり、過程も含めて一つずつ取り上げれば、これはこれで長編小説になりそう。

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2024年02月21日

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子どもだけでなく、親や、学校、社会とも関わっていく。とても難しく大変な仕事だと思う。読めて、知れてよかった。

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2023年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「呪文が解けたんだな」
『呪文?』
「家族だから愛さないといけないっていう呪文」

少年犯罪における弁護人の役割を担う“付添人“という仕事をするオボロ。
私はこの本で初めて付添人という仕事を知りました。事件が起こってから、その人のおかれた環境にスポットが当たることも多いけど本当はもっと早く気づけていれば変わっていたのかもしれないなと思いました。
もちろん結果論にしか過ぎないし、起きたことは変えられないけど、異変に気づける人でありたいなと思いました。

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2023年11月17日

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どんな話か、だいたい題名で想像でき、どうしても実話に近いと気にかかり、目の前にいる中学生を思いながら、一気読みだ。万引き家族も重なった。豊かな日本だけど、実は貧困と闇を抱えてしまっていると思う。

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2023年11月14日

Posted by ブクログ

一昨日のこと
「警視庁が歌舞伎町”東横キッズ”を一斉補導した
補導されたのは13歳から18歳までの男女42人」
というニュースを見た。

昨日見た情報番組では補導された42人のうち40人が女子だと。
コメンテーターのひとりは
補導したことで終わってはいけない。
この子たちが家庭に返された後、また同じことになる。
というような内容のことを言われていた。

ちょうど読んでいた本が
子どもたちの心の叫びに寄り添う弁護士を描いた小説だったこともあり
このニュースにとても心が痛んだ。

その本が「付き添うひと」
この本を読むきっかけは日経新聞の書評だった。
”読んでみたい本リスト”に入れたのは1年ぐらい前で
ようやく手にする機会がやってきた。

弁護士のオボロこと朧太一(おぼろたいち)は付添人(少年犯罪に置いて弁護人の役割を担う人)の仕事につく。
オボロが担当する少年たちは、心の叫びを胸に押し込めて生き延びていた。
そして、オボロもまたそんなひとりだった。
少年たちと向き合うとき、オボロは決して飾らずにありのままの姿を見せ、
正直であろうとする。
その姿勢は少年たちに対してだけではなく、その家族だったり、関係者だったり。
オボロが彼らの問題が彼ら自身だけのもではなく
「家族」「家庭」が切り離して考えられないと知っているからだ。
まさに「東横キッズを補導するだけでは問題は解決しない」という
コメンテーターの言葉通り。

オボロ自身が抱えてきた問題は、
私の想像をはるかに超えてくるもので…
少年たちのこと、オボロのことを読みながら、心が動く。
ラストでは涙ぐんでいた。
良い本だった。

岩井圭也さんは初読みの作家さん。
他の作品もちょっと読んでみようかな~と調べていたら
岩井さんのサイトで
「今、私の作品が書店さんが主催する賞の候補になっておりまして。しかも2つ」
と、書かれていた。
ノミネートされたのは
勝木書店グループ主催 KaBoSコレクション2024に『分身』
啓文堂書店文庫大賞に『プリズン・ドクター』
それぞれ対象期間中の売り上げ1位が金賞あるいは大賞に選ばれる。
発表は来月のようだ。

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2023年10月17日

Posted by ブクログ

40ドラマチックな出来事は起きないけど、小さな震える心に寄り添う気持ちが暖かくて、こう言うしんどさを知っている人の言葉に耳を傾けていける社会になったらいいなあ、と思わせるお話し。続編あるのかな

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

経験者が付き添うって
本人はしんどいこともあるだろうけど
少年たちにはありがたいことなんだろうな~

少年たちの気持ちのわかる
大人がもっと増えるといいな。

こういう仕事があるということ
もっと知られてもいいと思う。大事な仕事。

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2023年03月09日

Posted by ブクログ

「味方だよ」

オボロが発するこの一言が、どれほど少年達の力になり救いとなった事だろう。

親の無関心や無理解、暴力、犯罪の強要。
血が繋がった親子とは思えない壮絶な家族関係に打ちのめされる。

主人公は少年犯罪において弁護人の役割を担う付添人の朧太一。
誰に頼る事も出来ず居場所のない彼等に優しく寄り添い、固く閉ざされた心の扉を少しずつ開いていくオボロの真摯さに胸が一杯になる。

親だからといって許す必要も、許せない自分を責める必要もない。

子供達の声なき声に耳を澄ませ信じて受け入れる。
切なさの中に深い愛情を感じる救いの物語。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

日経夕刊で紹介されていた本。
少年犯罪の付添人として働く弁護士の話。自らの生い立ちが武器にもなれば偏見の元にもなっている。
家族の絆や家族愛は当たり前のことのように考えられるが、必ずしもそうではないと気づかされる。だから冷たいとか薄情だということではなく、その前にまず「自分を大事にする」ことの大切さが説かれていると感じた。

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2022年11月11日

Posted by ブクログ

オボロ(朧)が少年事件に付添人として真摯に取り組める理由が読み進むうちに理解できる作りになっている。

物語は静かに進み、沁み入るような読後感がある。オボロと彼を支えることになる笹木の人物造形が本作品の肝であると思う。とても地味な作品。

少年事件における付添人の制度についてもう少し丁寧に説明すべきだと感じた(国選の仕組みや当番弁護士の仕組み等々、他の方の感想にもあるように『付添人』について知識のある人は私も含めてほとんどいないと思うので)。

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2022年11月05日

Posted by ブクログ

付添人(少年犯罪において弁護人の役割を担う人)という存在を初めて知った。

過去をもった彼オボロ、苦悩の中に問題を抱えた少年に寄り添う姿、静かな感動だ。

まだまだこれからの活躍を期待したい!

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2022年10月16日

Posted by ブクログ

近年ネグレクトの話が多いように感じる。自分がたまたまそういう本を選んでしまうのか、実際に増えているのか、それとも多くが明るみに出るようになったからなのかは分からないが。

本書は、少年審判に於ける付添人側からの話。非行少年の権利を守り更生を手助けするのが付添人。その多くは弁護士が担っている。

内容は比較的ライトでスルスルと読めるが、個人的には第四話、SNSでの名誉棄損問題が興味深かった。ディスレクシアという病気や、周りと違うことに薄々気付いていても認めたくないがために向き合えない現実。
ディスレクシアについては、耳にしたことはあったが、今回初めて内容を知るきっかけになった。これは辛いだろうなと思う。自分には目が回りそうな難病に思えた。
また、薄々気付いていても向き合いたくない事は病気だけでなく、日常生活でも多く存在しているだろう。言語化されると耳が痛かった。

自分の辛い過去に向き合いながら、またその経験を生かし、広い視野で少年少女たちの背景を想像出来る弁護士オボロの今後も追ってみたい。

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「あなたにとって、あなたは誰よりも大事な存在だ。あなたの心も身体も、あなただけのものだ。辛ければ休んでも逃げてもいい。もしも親や他人との関係で苦しんだとしても、自分を大事にしてほしい。生きてさえいればまた歩き出せる」


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2023年01月26日

Posted by ブクログ

少年犯罪における弁護人(=付添人)をテーマとして、犯罪少年・虞犯少年達と向き合う弁護士オボロの奮闘を描いたお話。少年たちの権利を守り、彼らの「未来」を見ながら、自らの過去とも向き合う。

家庭裁判所調査官をテーマとした書籍はいくつか見たことがあるものの「付添人」を取り上げたものは私は初めてでした。

オボロさんとのやりとりを通して、相手を信頼し固く閉ざした心を開いていく少年たちの変化には、心動かされるものがありました。
以前書籍で読んだ『心の扉の取っ手は内側にしかついていない』という言葉を思い出しました。

繊細で複雑な少年たちの心情がとても丁寧に表現されているので、そこに至る背景や動機の部分がもう少し詳しく描かれていたら尚リアルで読み応えがあっただろうなと感じました。

犯罪少年・虞犯少年たちが、スティグマに打ち勝つ強い絆を見つけ、信頼できる大人のもとで愛され、認められながら暮らしていける当たり前の幸せに満たされますように。

『自分を大切にしてほしい。生きてさえいればまた歩き出せる』なかなか含蓄のある言葉です。

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2022年11月29日

Posted by ブクログ

自分が周りの大人とかを信じられない時にオボロみたいに付き添ってくれる人がいたらなって思った。
自分がまだ子どもだからこそ変わろうと自分で動き出す少年少女たちに心を動かされる。1度は諦めてしまった親子の関係もまた向き合おうと努力するお母さんたちも素晴らしいなと思った。なによりオボロが有能すぎた。笹木さんと幸せになってね。

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2022年10月12日

Posted by ブクログ

付添人(家庭裁判所で審判を受ける少年の権利を擁護・代弁し、少年審判の手続きや処遇の決定が適正に行われるよう裁判所に協力する人)を専門とする弁護士・朧太一を主人公とした連作短篇集。5篇が収録されている。
朧はある事件のため2年間少年院に入っていた経歴の持ち主で、付添人を志したのもその背景に理由がある。かっこいいとはとても言えず、扱う案件も地味なものばかりだが、子供のために尽くす姿には胸を打たれた。
だが、前作『最後の鑑定人』と似たようなテイストで、ぼくが読みたいのはこれじゃない感が強かった。おもしろかったけど。

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2022年09月25日

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