岩井圭也のレビュー一覧
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ネタバレ女優 遠野茉莉子がゲネプロの最中に奈落に落ちて亡くなった。公演は中止となり、劇場に関係者が集まる。それを袖からそっと見ている茉莉子。茉莉子が自分の過去を語っていく。
ちょっと思っていたのと違った。ミステリーだと思っていた。
茉莉子の死が事故なのか、自殺なのか、他殺なのか、それを問題にする話かと思っていたのだけれど、そうではなかった。なのに、読ませる読ませる。ハードカバーの分厚い本なのに、一気読みしてしまった。
単にあらすじだけ書いてしまえば、「面白くない話」と私は思ってしまっていただろう。しかし読んでいると目が離せず、次を読みたくなる。茉莉子の生き方は共感を得にくいし、そりゃ病むわ、と思わ -
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ゲネプロ中に奈落に落ちて死亡した女優、遠野茉莉子。彼女がなぜ死んだのか?彼女の生い立ち、遠野茉莉子がどういう人間だったのか?を幽霊となった遠野茉莉子が、自分自身を淡々と語っていく。
たぶん淡々と語る口調が、人の怖さを感じさせる効果があるんだろうな。なんか終始怖かった。
まず彼女の生い立ち。毒母のせいで感情が欠落してしまう。高校生の時、女優になろうと決めたきっかけがあるんだけど、そこが怖い。感情が欠落してるせいなんだと思うけど、とっさにあんな行動が出来るものなのか?
女優の遠野茉莉子も怖い。役作りのためにそこまでやるのか?そこまで追い込むものなのか?役者という職業をよく知っている訳ではないの -
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舞台は太平洋戦争開戦前の1940年のサイパン。タイトルの「楽園の犬」の犬とはここではスパイのことを意味します。
スパイと聞くとドラマや映画ではなんとなくかっこいいいイメージもありますが、実際には孤独で常に危険と隣り合わせの命を賭けた任務のように思います。スパイであることにいいことは一つもないように思えてしまいますが、抜けたくても抜けられなくなってしまうのでしょうね。
日本ではスパイ活動を取り締まる法律がなく、世界からは「スパイ天国」と言われているようです。大丈夫なのかな?
第二次世界大戦のさなかに勃発した太平洋戦争では、アメリカには石油等の資源量、経済力や軍事力でも到底敵わないことをわ -
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ゲネプロの最中に不可解な死を遂げた女優・遠野茉莉子。
事故なのか、自殺なのか、『幽人』の関係者たちが彼女について語りだすのだが、ラストに幽霊になった彼女が語ったのは…。
母親の言いなりに生きて、自分の感情を露わにすることがなかった彼女が、高3の夏に母を事故で亡くしてから好きに生きようと東京へ出た。
自分以外の役柄を演じることができるなら別の誰かになれると役者の世界へ。
最初についた役の名前〈遠野茉莉子〉を芸名にし、影響を受けた劇作家・名倉敏史が信奉するメゾット演技を武器にして名だたる舞台女優となったのだが。
彼女にはしばしば母の幻影が取り憑いていたのも誰かを演じなければ自分というものが -
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ネタバレこの世の全て、そして、己を知り尽くしたいと願った南方熊楠は、何か一つの単語をもってカテゴライズすることはできない唯一無二の存在感を持っている。
膨大な記憶力を持ち、自分の興味にまっしぐらな幼少期を過ごした熊楠。青年期には家族の援助があり、アメリカやイギリスへ渡航する。そこで学問を深めるも、脳病の影響もあって周囲の人とトラブルを起こし、金銭的にも苦しくなり帰国を余儀なくされる。帰国後は、一度那智の山に籠るも、他者との関わりなくしては、己を知ることができないと下山する。その後、結婚や神社合祀計画への反対運動、昭和天皇との交流等、周囲の人との関わりが熊楠を支えていく。羽山兄弟や、息子の熊弥の存在は -
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ネタバレ初めて文庫本を3時間強で読破しました。
一文一文が短く簡潔で読み易いため、工夫の凝らされた文章を楽しむというより、展開を楽しむ本という印象です。
映像化したら面白そう。
登場人物がみな魅力的でしたが、主人公と唯ちゃんだけがずっと気味が悪かったです。
その不気味さも、心の内が知りたくて早く読み進める促進剤となりました。
独白シーンで、主人公には共感できましたが、唯ちゃんは本当に気持ち悪いと思いました。
最後は皆でお金持ってバイト飛んだという解釈で合ってるのでしょうか。
本人たちが自分の過去をそれで清算できるなら、それでよいのでしょう。
雇用者が可哀想だな、と思いましたが。