岩井圭也のレビュー一覧
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オタクな人に興味がある。訳のわからないワクワクに惹きつけられるから…この本をそんなつもりで読み始めた。しかし熊楠は自分の中の鬨の声を黙らせる為に採集や研究に集中していたのだ。天を焦がすような知識欲。「我は、この世のすべてを知り尽くしたい」
それがやがて自信を失い、何のためにこんな所にいるのかと言う問いが自らに襲いかかってくる。
何とも激しく紙一重の人生。
NHKの「らんまん」の牧野が手に取った熊楠の標本や描画を思い出した。熊楠もドラマ化して欲しい。
表紙は子守楠神社の大楠。アングルがいい。
楠の木が熊楠の知識欲のように天まで突き抜けている。
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Posted by ブクログ
「われは熊楠」は岩井圭也が描く異才・南方熊楠の生涯をたどる一冊だ。自然への畏敬、知への渇望。少年はやがて世界を旅し学問と信仰の狭間で葛藤しながらも己の道を突き進む。
混沌とした時代、常識に屈せず突き抜ける熊楠の姿は現代に生きる我々にも示唆を与える。学びとは何か、信じるとは何か。問い続けた人生こそ豊かな実りをもたらす。
一見奇人変人のようでいてその根底には人と自然をつなぐ深いまなざしがあった。調和と闘いのはざまで見出された真理は今もなお輝きを放つ。
異端は時代を動かす光にもなる。熊楠の生きざまに触れ「我もまた、我なり」と思う読後感が胸に残った。
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今までの作品にはなかったブラックな短編集。
『海の子』
ラストの1言
『僕はエスパーじゃない』
こういう人結構いる。
私はこのタイプ好きだけどな。
『捏造カンパニー』
ドキドキして自分だったらすぐバレそう
『極楽』
オチは予想つくけど不思議でリアルなワールド
『蟻の牙』
頭脳合戦に自分も参加してる気分
『堕ちる』
堕ちていく〜
6編すべてタイプが全く違う。
さすが岩井さん、引き出しが多くて楽しい。
辛い気持ちになるイヤミスではなく、どんでん返し狙いでもなく、ブラックユーモアが効いていて自分的には好きな作品ばかりだった。
『海の子』は、今まで自分の思ってた岩井さんのイメージを良 -
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政治や香港情勢に疎い自分でも、最後まで読ませる岩井さんは本当にすごい。
彼女はなぜ亡くなったのか?真相を追究していくうちに、中国本土からの密入境者やベトナム難民など、様々な出会いを通じて主人公の考え方が次第に変わっていく…
読んでいくうちに香港返還についてもっと詳しく知りたくなって、ChatGPTに聞きながら読み進めた。
ChatGPTが「とても鋭い質問だね!」と池上彰さんのように褒めながらわかりやすく教えてくれるので、調子に乗っていろいろ聞いて勉強になった。
返還前の1992年に家族で香港に旅行したことがあったので、何となく香港の雰囲気はイメージできる。
道路までせり出した大きくてギラ -
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ネタバレ一時期、新田次郎や夢枕獏、笹本稜平にハマっていて、しばらくぶりに山岳小説を手にとる。
山のみならずセクシャリティ、写真の本髄などの要素が絡まって、一気読み。驚くことに登山経験がないのに、その描写は澱みなく、リアル。
一つ気になるのは、女性の感情が男から見たものに思えること。非常にわかりやすいが、女性作家の表現や感情の流れを思いおこすと、実際の性別は超えらず仕方ないか。女性と思しきみなさんの評価ではそれほど違和感を感じていないようです。気にし過ぎかな。
初読ですが、幅広いジャンルを手掛けているみたいですね。
印象的なフレーズもいくつか。
人間の目とカメラの違い。人間は物を見る時前後の出来事 -
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レビューで、ゴッホと弟テオの関係に似ているという指摘をいくつか見かけ、確かにと思った。
熊楠は家族や弟子に支えられてきたけど、特に弟の常楠の支えはとてつもなく大きい。
知の巨人として知られる熊楠の奇才っぷりもすごいけど、私は兄を天狗(てんぎゃん)と尊敬し金銭的に支え続けた弟に驚いた。
よくそこまで、と思うけど、周囲を顧みない天才だからこそ、その才能を確信している身近な人が支えていく構図になるんだなと感じた。
昭和天皇に講義をする場面はじーんときたけど、常楠と喜びを分かち合えないことが悲しかった。
何か恩を返せないものか、熊楠が所帯をもつのは間違えだったのかの二点がモヤるところ。
でも家族を多少 -
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ネタバレ加害者の息子と被害者の息子。
どちらもその一瞬の出来事で一生の足枷を嵌められてしまうのがつらい。その感情の機微を緻密ながらも強い熱量で綴られた物語に引き込まれた。
法的に裁かれる罪を償ったとて、倫理的な罪は償いきれず、それを家族までもが背負わざるを得なくなってしまうのが犯罪を犯してしてはいけない理由のひとつなのではないかなと思ったりした。だれも幸せにならない。
終盤で一馬が剣道を自分の私的な制裁のために使ってしまったことが残念でならないのだけど、そうせざるを得ないほど追い詰められていたととると、どれだけ心に闇を抱えてきてしまったかがわかる気がする。
エピローグはとってつけたようなものでは -
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ネタバレ
幼少期に、辛いという言葉では表現できないくらいのことを経験したオボロ。
その時の記憶はきっと生涯忘れることは出来ないだろうけど、その事実と向き合いながら、真摯に『付き添い人』の仕事に没頭する。
親と子の関係について、これでもかというほど考えさせられました。
正解はあるのかな。
親も人間。
間違いも、親であることの苦しみもある。
だけど、子供が幸せになることへの望みだけは忘れてはならない。
どのケースも明るい展望が感じられ、オボロの活躍が身を結んだのが嬉しかったです。
また、笹木さんという理解者が現れたのも嬉しい。
戸惑いや不安もわかるけれど、そこは勇気を出して踏み込んで欲しい。 -
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ネタバレ人がもし事件を起こしたら、その人に弁護士がつくだろうということは分かっていたが、子供が事件を起こした場合、子供の弁護をするために付添人という人がつくことをこの小説で初めて知った。
一筋縄でいかない世の中だからこそ、それぞれの人間模様があり、また、子供だから、自分の意思ではないのに巻き込まれることに、なんだか歯痒い気持ちにもなった。
最後の言葉がとてもよかったので、すべての子どもに贈りたい気持ちになった。
「あなたにとって、あなたは誰よりも大切な存在だ。あなたの心も身体も、あなただけのものだ。辛ければ休んでも逃げてもいい。
もしも親や他人との関係で苦しんだとしても、自分を大切にしてほしい。
生