岩井圭也のレビュー一覧
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参加型ミステリー? う〜ん、躊躇するなあ。京王電鉄5駅も街も知らないので面白さが半減しない? それに、現地で謎解きとか追体験とか、都心在住の岩井ファン向け?と、ひねくれとひがみ根性も出てきて…。そんな時、迷える仔羊(誰が!)は「ぐだぐだ言わず読め!」と天啓を受けたのでした。ハイ、購入!
感想はというと、う〜ん、どうでしょう…。私にとってはビミョウな印象でした。唐突に出てくる場所に関する謎解き、幻の制服駅員の導き…、各短編の物語の中で必然性が薄く、展開に無理が生じている気がして…、まぁ最後に辻褄合わせになりますが…。
現地に赴き、物語とリアルを実感できない読み手にとっては、やはり高揚感や -
Posted by ブクログ
気がつけば岩井圭也作品3冊目。
舞台は太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。
喘息持ちの元教師の男は、日本に残した最愛の妻と一人息子を養うため、日本海軍のスパイとなることを選んだ。
ん~。
外国の包囲網でどんよりと追い詰められ、神州日本が負ける訳はないという無知蒙昧と傲岸不遜により、いっそ開戦を望むという当時の空気感は伝わった。
嫌だな~。
嫌な話だな~。
おもしろくなくはないが、嫌な話だ。
実際、三分の二まで読んだ感想はつまらない、だった。
しかし、そこまでは前フリのようなもの。
そこから物語が激しく動き始める。
著者は……、きっと嫌だったんだろうな。
サイパンで行われた通称バンザイア -
Posted by ブクログ
北海道東部の港町で、季節バイトに集まった男女7人の、一晩に凝縮された心理サスペンスです。
岩井圭也さん12冊目で、これまで重厚な人間ドラマ中心に魅せられてきましたが、本作は、少し毛色の違う印象を受けました。
水産加工場でカラフトマスを捌く仕事で、いわゆる闇バイトではありません。ところが、バイト仲間の一人の男が、砂浜でまさかの遺体で発見され、さらに、警察への通報を6人中4人がまさかの反対をします。
さらにさらに、互いに疑心暗鬼の中、各々がまさかのヤバイ事情・秘密をカミングアウトしていく、妙に既視感のある展開となっています。
自分の言動への疑いを晴らすように、視点が次々と変わり、重く -
Posted by ブクログ
一度は読むのを諦めたんです…。あまりにも難しくて、私の頭ではついていけない気がして…よくわからない地名と、全く把握していなかった香港情勢…そして登場人物の名前も読みにくくってお手上げかな…とぉ…でも、岩井圭也さんの作品ですよぉ!と、いうことで、無理やり読んだら…読み切れました!
中国返還前の香港…10代の頃に4年間を香港で過ごし帰国直前に恋人の不審な死に直面した和志。その死の真相を知りたいと、建築を学ぶ交換留学生として再び香港の地を踏むことになった…。そこで出会うことになった人たちが、結果的に和志を成長させていくことになる…。
この作品、エンディングに向かうにつれて読む手が止まらなく -
Posted by ブクログ
皮肉な味のするの6編の短編集。
以下印象的だった作品。
「海の子」
養子として迎えた息子の出生の秘密。同情的な気持ちで見ていた人物が一転して醜悪な人物に。そういうオチになるとは思ってなくて驚いた。自業自得だけど、残酷なラスト。
「極楽」
借金から逃げるために認知症を装って特別養護老人ホームに潜り込む女の話。認知症の診断にはMRIとか専門的な検査をするだろうし、そう簡単にはいかんやろ…とは思うのですが、皮肉な結末が面白かった。
「蟻の牙」
過労死で夫を失い、企業に過失を認めさせるために戦う妻。妻がWEB上で公開した証拠資料としてメールや手紙のやり取り、記事の抜粋、議事録などで構成されている