岩井圭也のレビュー一覧

  • この夜が明ければ

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    岩井圭也さん、11作目となりました

    北海道東端の港町
    水産加工の夏季アルバイトに集まった男女7人

    ある晩リーダー格だった男性の遺体が見つかる
    文庫の帯には、
    「お願いだから、警察は呼ばないで」
    残された6人のうちほとんどが警察への通報を拒否します
    彼らはなぜ通報を拒否するのか
    それぞれが抱えた過去
    逃避しなければならない理由が
    本人の言葉で明らかにされていきます
    ルールを守る正しさの証明の危うさを感じます

    一体の遺体をめぐる推理戦であり
    揺れる六人の心理戦であり
    緊迫した一夜の物語です

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    2024年12月02日
  • 舞台には誰もいない

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    俳優とはこの本のような仕事なのか?
    演じるということはこんなにも大変なのか?
    でもこの本を読むことで演じるということの理解が深まったきがする。
    素晴らしくもあり、恐ろしくもある。

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    2024年12月01日
  • いつも駅からだった

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     参加型ミステリー? う〜ん、躊躇するなあ。京王電鉄5駅も街も知らないので面白さが半減しない? それに、現地で謎解きとか追体験とか、都心在住の岩井ファン向け?と、ひねくれとひがみ根性も出てきて…。そんな時、迷える仔羊(誰が!)は「ぐだぐだ言わず読め!」と天啓を受けたのでした。ハイ、購入!

     感想はというと、う〜ん、どうでしょう…。私にとってはビミョウな印象でした。唐突に出てくる場所に関する謎解き、幻の制服駅員の導き…、各短編の物語の中で必然性が薄く、展開に無理が生じている気がして…、まぁ最後に辻褄合わせになりますが…。
     現地に赴き、物語とリアルを実感できない読み手にとっては、やはり高揚感や

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    2024年11月25日
  • 舞台には誰もいない

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    ネタバレ

    岩井さんも幅広い。幽霊になったわたしが舞台で繰り広げられる私の死の動機推理して楽しむ?とんでもない虚構。演技しなくても生きていける他人の視線も気にならない図太い人間、いるよなぁ…

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    2024年11月21日
  • 楽園の犬

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     死について、考え方は人それぞれあるが、時代の流れのなかでの死生観をどう捉えるか。
     自決ということが、ある意味美しく語られた時代に、生きていくこと、生き続けることはどういうことだったのか。
     ぼんやりと生きている自分には、南洋桜の鮮烈な赤は、美しいと言うより恐ろしい。

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    2024年11月21日
  • 舞台には誰もいない

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    舞台女優の死をめぐって4人がそれぞれ真相と思うことを語り合う。でも本当のことは死んで幽霊になった本人にしかわからない。
    周りの人達の視線が恐い。そのために本当の自分を隠して周りに擬態して生きてきた主人公。舞台女優にならずにもっと早く神経科に行けば良かったのにね。
    劇中劇の様に紹介される4つのお芝居が面白そうだった

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    2024年11月18日
  • 舞台には誰もいない

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    舞台のリハーサル中、奈落に落ち亡くなった女優
    茉莉子
    事故か、自殺か、あるいはー

    誰も居ない舞台を前に
    亡くなった女優の人生が語られていく

    演劇を知らなかった18歳の少女が
    メソッド演技を習得し
    役に憑依していく姿は
    共演者をも魅了して高い評価を受け始める

    幾つかの作中劇が挿入され
    女優としてのステップアップと
    憑依型俳優の精神的な不安定さを
    共存させる

    地方の女子高生が徐々に女優となっていく
    危うさと緊張感を読ませていただきました
    ただなんとなくですね〜
    小説の序幕の期待の高まりは、
    別の方向だったような気もするんです

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    2024年11月18日
  • 暗い引力

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    暗さに引っ張られていく感じがすごい。
    読み進めるうちにどの話も好転しないんだなと分かっているのに、何かしら明るい兆しを探して、でもやっぱり暗い引力に負ける。
    極楽で認知症のふりが一番ありそうで怖かった。

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    2024年11月16日
  • 舞台には誰もいない

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    自分が経験してきた感情を糧に
    見事に役をこなしてきた舞台女優。
    果たしてこの人の人生に『本当の自分』はあったのか。
    読み終えた瞬間、頭に重いものがのしかかってきた。

    私もどれが本当の自分かわからなくなるときがある。
    母親役、妻役、子役、ママ友役、職場での役。
    どれも自分だしどれも自分じゃないような感覚。
    自分に課せられた数々の役を演じている人が読んだら
    幽霊になることを選んでしまうかもしれない...
    私はマイナスに捉えてしまった。

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    2024年11月11日
  • 楽園の犬

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    気がつけば岩井圭也作品3冊目。

    舞台は太平洋戦争勃発直前の南洋サイパン。
    喘息持ちの元教師の男は、日本に残した最愛の妻と一人息子を養うため、日本海軍のスパイとなることを選んだ。

    ん~。
    外国の包囲網でどんよりと追い詰められ、神州日本が負ける訳はないという無知蒙昧と傲岸不遜により、いっそ開戦を望むという当時の空気感は伝わった。

    嫌だな~。
    嫌な話だな~。
    おもしろくなくはないが、嫌な話だ。

    実際、三分の二まで読んだ感想はつまらない、だった。
    しかし、そこまでは前フリのようなもの。
    そこから物語が激しく動き始める。

    著者は……、きっと嫌だったんだろうな。
    サイパンで行われた通称バンザイア

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    2024年11月10日
  • 舞台には誰もいない

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    何とも辛気臭い話だ。岩井さんは注目している作家さんで好きな作品も多々あるが、これは個人的には微妙だ。『文身』に系統が似ている気がするのであの作品が好きな人には合うのかもしれない。演劇界では有名な女優が本番直前に舞台から転落して死んだ。彼女は演じることでしか生きられない生粋の女優で、そのこだわりは異常ともいえる。彼女は何故死んだのだろうか。この作品にオチがどうこう言うのも野暮かもしれないが、特にサプライズもなく「そうか...」で終了。そもそも主人公の女優が魅力的に思えなかったのであまり入り込めず。

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    2024年11月08日
  • この夜が明ければ

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     北海道東部の港町で、季節バイトに集まった男女7人の、一晩に凝縮された心理サスペンスです。
     岩井圭也さん12冊目で、これまで重厚な人間ドラマ中心に魅せられてきましたが、本作は、少し毛色の違う印象を受けました。

     水産加工場でカラフトマスを捌く仕事で、いわゆる闇バイトではありません。ところが、バイト仲間の一人の男が、砂浜でまさかの遺体で発見され、さらに、警察への通報を6人中4人がまさかの反対をします。
     さらにさらに、互いに疑心暗鬼の中、各々がまさかのヤバイ事情・秘密をカミングアウトしていく、妙に既視感のある展開となっています。

     自分の言動への疑いを晴らすように、視点が次々と変わり、重く

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    2024年10月30日
  • この夜が明ければ

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    ネタバレ

    途中まではあんまり考えずにミステリ感覚で読んでたけど、この作者にはこの作品を通して伝えたいことがあるんだなぁと思って、そう思うといい話だなと思った。

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    2024年10月30日
  • 科捜研の砦

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    「最後の鑑定人」の続編

    時系列としては、科捜研時代の話。
    元妻との出会いや、なぜ科捜研を辞めたのかも描かれている。

    「人間は嘘をつくが、科学は嘘をつかない。この信念が響く内容であった。
    「神は殺さない」での犯人の思いはわかるが、そこまでに至るプロセスも少し欲しかった。

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    2024年10月17日
  • 水よ踊れ

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     一度は読むのを諦めたんです…。あまりにも難しくて、私の頭ではついていけない気がして…よくわからない地名と、全く把握していなかった香港情勢…そして登場人物の名前も読みにくくってお手上げかな…とぉ…でも、岩井圭也さんの作品ですよぉ!と、いうことで、無理やり読んだら…読み切れました!

     中国返還前の香港…10代の頃に4年間を香港で過ごし帰国直前に恋人の不審な死に直面した和志。その死の真相を知りたいと、建築を学ぶ交換留学生として再び香港の地を踏むことになった…。そこで出会うことになった人たちが、結果的に和志を成長させていくことになる…。

     この作品、エンディングに向かうにつれて読む手が止まらなく

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    2024年10月17日
  • 横浜ネイバーズ

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    悪く言えば盛り上がりがない、よく言えば読みやすいって感じの小説でした。文身を読んで興奮している時に読んだから、よりそう思ってしまったのかも、、?

    何作もあるみたいだし、余裕があれば次の作品も読んでみたいです。

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    2024年10月11日
  • 飛べない雛 横浜ネイバーズ(2)

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    ロンとヒナの過去に関しては、かなり深いところまで踏み込んだ内容にしたなという印象です。
    だけど一気にここまで話を進めてしまってこの先どうするんだろうと余計な心配をしてしまいました。

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    2024年10月09日
  • 夏の陰

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    読みやすく一気に読めた。
    対極的な2人の感情のぶつかりが剣道を以て語られている。2人の感情は決して交われることができないと思う。

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    2024年09月27日
  • 暗い引力

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    皮肉な味のするの6編の短編集。

    以下印象的だった作品。
    「海の子」
    養子として迎えた息子の出生の秘密。同情的な気持ちで見ていた人物が一転して醜悪な人物に。そういうオチになるとは思ってなくて驚いた。自業自得だけど、残酷なラスト。

    「極楽」
    借金から逃げるために認知症を装って特別養護老人ホームに潜り込む女の話。認知症の診断にはMRIとか専門的な検査をするだろうし、そう簡単にはいかんやろ…とは思うのですが、皮肉な結末が面白かった。

    「蟻の牙」
    過労死で夫を失い、企業に過失を認めさせるために戦う妻。妻がWEB上で公開した証拠資料としてメールや手紙のやり取り、記事の抜粋、議事録などで構成されている

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    2024年09月13日
  • 付き添うひと

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    少年の非行や犯罪、そのバックヤードとなる家庭の問題に付添人の朧が関わり、導いて行く連作。
    朧自身にもつらい過去があり、少年たちと関わりながら本人も葛藤し自分の生きる意味を確かめて行く。
    ありそうでない小説ながら重すぎずさらっと読めた。

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    2024年09月14日